『んー……』
「マライア? 何してんの……」
『いえ、次の……何でしたっけ? ワンボールフェスティバル?』
「……あー、もしかしてキャノンボール・ファスト?」
『あ、はい多分それです。で、今ちょっとISを調整中です』
確か、ISでやるレースのようなものだったか。しかし攻撃もありなので、確かに調整がいるものではある……しかし、わざわざ私のいるところに連絡しながらしなくてもいいのではないだろうか?
出る私も私だが、この子はどれだけ私が大好きなのだろうか。
『お姉様はどちらがいいと思いますか?』
「……何が?」
『速度は、本国から送られてきたパック……なんてものが無いので、攻撃に振るか、さらに速度に振れるようにするか、です。武装も考えないといけないので……』
「……どっちも共存出来ないの? 青竜の2つの武装は速度上げられない?」
『増えることは増えますけど……ちょっとでも調整をミスすると、地面とキスします。私の唇はお姉様だけのものなので、そんなことは絶対に避けなければならない事態です』
地面とキスすることすら避けるのか……しかし、ミスするとえっげつないことになるというのは、サクリファイスで私が経験済み……そう言えば、サクリファイスどうしよっか。まだ持ったままだけど。
「……うーん、なら……朱雀の羽と別にもう1つ使うしかないよね」
『そこなんですよねぇ……青竜使うにも、実は左右で出力が違うのでバランスが悪いし、玄武だと時間かかるし……白虎砲だとエネルギー消費多いんですよね……』
実はバランスが悪いとか、初めから言って欲しかった。しかし、それを除けばおおまか私の予想通りとも言える。空気中から水分を吸収する玄武は、レースの形式をとっている今回の大会では不向きだし、エネルギーの問題もあるので白虎も却下……となると……
「玄武の盾と、朱雀の剣……この2つを1緒に使うのは?」
『なるほど……確かに、盾なら問題なさそうですね』
どうやらマライアは納得したようで、悩んでいた先程までの顔から一転してニコニコと微笑んでいた。と、そんなマライアを眺めていたら……別の方から私に通信がかかってきていた。
『お姉様? どうされましたか?』
「ん、いやごめん……何か通信来た。一旦切るね」
『はーい』
こうして切られた後に、私は誰からの通信だとチャンネルを開くが……少しノイズがかかっていた。音声は問題ないが、この感じは……
『五十冬、いいかしら?』
「S? どうしたの急に……」
『久しぶりの任務』
どうやら、私は私ですることがあるようだった。Sから聞いた情報をもとに、私はとある場所に向かって出て行くのであった。
「……任務、ね」
私はすぐさま、中国に飛んでいた。その理由は、中国本土に何かしら用があるかららしいが……場所は……まぁ言わなくてもわかる。空港着いた瞬間に、組織の同期が車で連れてってくれた。その間にスーツに着替えたが……
「……で? 私にどうしろと?」
「命令は1つ、とある情報を抜き出して欲しい」
「情報を抜き出すって……それ、私が一番苦手とする種類なんだけど……」
「いや、今回PCから抜くなどといったものではなく……人から情報を聞き出して欲しいとの事だ」
「……その情報って?」
「中国がIS学園についてどう思っているか、だ」
なぜそんな情報を欲しがるのかは分からないけど……とりあえず、どんな回答が欲しいのかくらい聞いておこう。
「因みに、お望みの回答は?」
「IS学園に対して、否定が入る回答だ」
随分とまぁ曖昧な質問だけど……一体何が目的なんだろう……? ま、今ここで命令に逆らっても私にメリットは特にないし、私は従うんですけどね。
「了解、でもお望みの回答が得られなくても処刑はやめてよ」
「今回求められる回答は、どちらでも構わないが……ひとまず数が欲しいとの事だ。数を集めてこい」
「はいはい、了解」
しょうがないし、片っ端から声をかけていこうかな……なんかよくわからない名札を渡されたけど、これさえあれば大体どうとでもなるみたいだし……十分に使わせて貰うとするかな。
「……でまぁ、回答結果なんですけど。殆ど否定、残った1部も否定とも肯定とも取れない回答だった」
「ふむ……やはり、予想していた通りだったか」
「……予想? 上はなんて予想してるの」
「お前には関係がない……という訳にもいかないな、今お前が行っている……今は別の者に引き継いでいたな? 任務について、成果があったかどうかの確認だったのだ」
……という事は、この任務自体だと処刑されないけど私のやりようによっては、私処刑されかけたんだ。こっわ……そういうとこだよほんと、テロ組織だからってやっていいことと悪いことあるんだからね? 悪いことやってるからテロ組織なんだけど。
「……それで? それがどうして、中国に行くって話に?」
「正確には、お前が中国に向かった……他の者は他の国に向かっている」
「……? 話が見えてこないんですが」
「お前が確保して、他国へと売り飛ばした凰鈴音という元代表候補生がいただろう。あの少女が確保された瞬間、世界は『動いた』のだ」
私そんな凄いことしてたの? って思ったが、一国の代表候補生が捕まるって言うのは……確かに色々と動くだろう。まず出てくるのがIS学園への不信感、次に自分の国に対する非難……これに関しては国民からのバッシングもあると思われるが。
「……で、中国がどれだけIS学園に対する不満を押さえ込んでいるのかの調査が入った、と」
「そもそも、例のドイツの代表候補生に負けてから、中国とイギリスはドイツに対して当たりが強くなっている。そして、お前が中国の代表候補生を捕まえた時に、一緒にいたとされるフランスの代表候補生……あれのせいで、フランスも少し浮いた立場になっている」
つまり、今はフランスとドイツが非難の的になっていると。まぁ、情報が流れたら、確かにそんなことにもなるだろう。IS学園が幾らどの国家にも属さないとは言っても、代表候補生は文字通り国の代表とも言えるのだ。授業や、大会など以外で何かしらの問題、または喧嘩が起こった場合起こした側が、結構愚痴を言われるということらしい。
「……あぁ、じゃあ今私のやってること引き継いでる子にもう一国だけ巻き添えで浮いた存在にしてあげましょう」
「何だと? そんなことが可能なのか?」
「幾らIS学園が国家に属さないと言っても、行動まで国家とは関係ないと言われない訳が無い……ま、どれだけその国がシラを切っても矢面に立たせることはできると思いますよ」
「……それで? その国は?」
「ロシアですよ、ロシアの代表……更識楯無を使ってあげます」
「……?」
今度は向こうの方が訳が分からないと言った表情をしていた。まぁ、そうなるだろう。中のことを知らなければ、誰だってそんな反応にもなる。
「んじゃ、ロシア以外にメールを送ってあげるとしましょう。私お得意の妄想ストーリーと、現物写真を添えて……ですけどね」
送るメールのタイトルは、一律こうである。『ロシアの代表である更識楯無による、世界唯一の男性IS操縦者織斑一夏をロシアに引き入れる方法』だ。さて、更識楯無の行動はどこまで問題を無駄に大きく出来るのか……楽しみである。
そんなことは兎も角、マライアのチケットを使って私はキャノンボール・ファストの観戦権を手に入れた。無論、簡単な変装くらいは行っていくが……一応ISも両方持っていく。
速度だけなら、サクリファイスで逃げ切れるし。ただ、問題としては……私ちゃんと入れるのか? という所である。他の者に渡してもいいが、マライアにがっかりした顔を見せたくないし……
「ま、問題起こすなら……その時に起こした方がいいよね」
少しだけ、変な予感がある。嫌な予感でもいい予感でもない、文字通り変な予感である。言葉では言い表しづらいのだが、どうにも『何かが起こりそうだ』という確信めいた何かがある。
「そう言えば、M達の方も色々してたみたいだけど……」
彼女達は、ISとバトってたらしい。いいなぁ、そっちに行けたら私だってもれなくカリオストロでコピーするのに……如何せん、何度も連続して使用出来るような機体でもないからなぁ……使った後はすごく頭痛くなるし。
「……ま、考えてたところで仕方ないか……ひとまず、カリオストロと……念の為にサクリファイスの調整だけしておこうかな」
それなりに知識もあるから、なんとかなるだろう。まぁ本格的なところは難しいかもしれないが……戻った方がいいのだろうが、如何せん時間が無い。
どうせなら、何とかしたいと思っているが……
「素人の調整で何処までやって行けるかな……」
この大会が終わったら、私は戻るとしよう。どうせ、マライアは寮生活だろうし、彼女なら私のようなヘマをこいたとしても問題ないだろうし……ただ、まぁ……あえて言うんだったら。
「織斑千冬をどうするか、だなぁ……」
やつを倒すのは至難の業、マライアであってもそれは難しいかもしれない。しかし、倒せれば大金星である。殺す方が手っ取り早いが、出来れば彼女を使って色々してやろうとは思う。
「……ま、妄想するくらいなら……って話かな。とりあえずやれることは、全部やっておくとしよう」
side?
「んー、ふふふ」
とある研究所、そこでは一人の女性がまるで子供が無茶苦茶に弾くピアノのように、キーボードをひたすら叩いていた。しかし、その例えと違うところがあるとすれば……その動きは彼女に取って理解して行っている行動なこと、そして何も問題ない動きなこと、である。
「箒ちゃんは頑張ってるみたいだねぇ、おっぱいの方も大きくなってたし」
特徴的なうさ耳、そして青色のドレス。ドレスだけで見れば、不思議の国のアリスそのものである。しかしてその正体は、ISを発明した本人篠ノ之束である。
「ふふん、ふーんふふふーん……んー?」
しかし、彼女は1つのモニターに目を落としていた。それは、何事もないただの会話。男女の会話である。しかし、その男女は彼女のよく知る織斑一夏と、よく覚えてないが織斑一夏と共にいた少女だった。
『━━━』
音声がいまいち聞き取れないが、全く問題がなかった。得意としている訳では無いが、多少の読心術なら彼女は心得があったからだ。
「ふむふむ……私を殺す、かぁ……いっくんの周りに箒ちゃん以外の女の子がいるのを確認しようかなと思って、気まぐれで世界中ハッキングしたけど……随分と面白い子がいるねぇ。名前は━━━」
キーボードを叩き、気になった女生徒の名前を調べあげていく。その間にも、似たような状況がもう一つ動いていたが、そちらは何故か彼女の興味を引かれなかった。
「鬼村五十冬……ちーちゃんの名前を、ちょっと変えてるだけで偽名だねぇこれ。IS学園も、ちゃんと調べてからやればいいのに」
映し出されたモニターを見て、束は楽しそうに微笑んでいた。その笑みに、邪悪さは一切感じられない。本人も、一切悪意も殺意も怒りも何も無いからだ。
「……それでも、面白そうな子がいるなぁ。そうだ、この子のために……新しいの作っちゃおうっと! 私を殺すんだったら、それなりに強くなってくれないと困るしね!」
そう言って、彼女はどこかへと走り去っていく。彼女は、自分が殺されるなんて微塵も考えていなかった。それは油断などでは一切ない。本当に、自分が殺されることは無いと確信しているからだ。
その上で、彼女を強くしようと思っていた。
今まで、自分を殺そうだなんて思う人はほとんど居なかったのだから。あのテロ組織……彼女は名前を忘れてしまったが、亡国機業でさえ懐柔しようとしているつもりなのだから。
「そうだなぁ……すんごい攻撃と、すんごい防御力と、すんごい狙撃と、すんごい速度のISを作ろうかな」
彼女からしてみれば、ただの気まぐれと何ら変わりないその行為。しかし、鬼村五十冬だけに絞ったその行動のせいで……世界が『当たり前』だと思っていたことが、崩れ去る。
「よーし、コアを作っちゃうぞー! 束さん、作り方忘れちゃったけど何とかなるでしょ!!」
そう、世界で467しかなかったコアが……今、増えようとしているのだ。
今回から、結構オリジナル展開増やしていこうと思います。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい