「……あ、席ここか」
キャノンボール・ファスト当日、私は久しぶりにIS学園に来ていた……のだが、やはりザル警備と言うべきか。簡単な変装さえしていれば、結構簡単に入れた。
まぁ、ザル警備なのは暴動を起こされても中の戦力で鎮圧できると分かりきっているからだ。それに、施設の設備だけでも十分暴動は鎮圧できる。余程のパイロットじゃない限り、簡単に止められてしまうのが現実である。事件を未然に防ごうとは思わないのか、という問いに関しては『どうしようもない』が回答だ。問題を起こす前に、誰かを止めるというのは愚策も愚策……してしまえば最後なのだ。何せ、証拠も何も無いのに止めるのなんて不可能なのだから。
「さて、私は……しばらく見ておこう」
学園祭と言い臨海合宿の時と言い、どうもこういうイベント事に関しては問題を起こしてしまうのがIS学園なのだろうか? いや、少なくとも場が動いているのは織斑一夏が参戦してからだ。つまり、原因は彼……に擦り付けようとしている篠ノ之束と言ったところか。
「……普通にレースが進めばいいけどねぇ……」
他のテロ組織が入ってくるかもしれないし、一枚岩ではない同じ亡国企業の誰かが問題を起こすかもしれない。どちらにせよ、私は便乗するか殲滅するかの2択である。
「ま、頑張ってね……マライア」
sideマライア
「はっ……今お姉様の応援が聞こえた……」
確実に聞こえたその声に感激しながら、私はレースの準備を終わらせていた。1年の専用機持ちだけのレース。基本的に高機動パックというものを付けている物がほとんどだが、つい最近生まれた白式と紅椿に関してはそれが存在しないため『どうやって移動するか』のエネルギー配分の問題に移っていた。
……紅椿はエネルギーを生み出せる絢爛舞踏というのがある筈だけど、自由に使えないのだろうか? それとも、自分には使えないとか? まぁ、考えていたところでしょうがないのかもしれない。
と、ここまで考えていたところで……シグナルランプが点滅する。
『3』
カウントダウンが始まる。緊張はしない、ただ私も同じように高速移動するだけだ。
『2』
朱雀・翼に熱が溜まる。羽同士が震えて熱を溜め込み、そして震え同士がぶつかることでなかなか喧しい音を立てていた。
『1』
そして、今……スタートの火蓋が切って落とされる。
『GO』
一斉に、一気に、一瞬で……全員がスタートを始める。だが、幾ら高機動パックと言っても、機体の本来の使用用途にあっていない使い方をしている機体では、私に勝つことは出来ない。……私の機体、という方が正しいんだけど。
「1番、貰い!!」
一気に、熱が放射されて加速する。あまりの急加速に、一瞬視界がブラックアウトしたが慣れたのかその直後から特に問題はなかった。
「はやっ━━━」
「行かせませんわ!!」
オルコットさんの専用機、ブルーティアーズ。高機動パックになっているせいか武装はいつもの武装ではなかった。しかし、その命中精度は相変わらずなのか、的確に私の翼を狙い打とうとしていた。
……まぁ、全て私の翼から放たれた高温の熱のせいで目標がズラされているのだが。
「待て!!」
「いかせない!!」
次はボーデヴィッヒさんと、デュノアさんの攻撃。この2人、私よりは遅いけど……速度としては中々の物である。私を含めたトップ3人の移動……あっという間に飛行距離が稼がれるが……その途中、不意打ちでどこからともなく攻撃が入ろうとしていた。
「なっ!?」
「どこから……!?」
「あっぶなっ!?」
後ろにいた2人は、見事に撃ち抜かれてコースアウト。私は盾を出して攻撃を防ぐが……物の見事に速度は防がれてしまっていた。あれ速度載せるの結構手間かかるのに。
「2人とも大丈夫か!?」
コースアウトした二人に関しては、織斑君が向かっていったから良しとして……目の前に現れたのはサイレント・ゼフィルス……確か、Mとかって言われてた女の使っているISである。
私はあまり記憶はないが、私と彼女は面識がある筈である。
「……フッ……」
しかし、そんなことは関係ないと言わんばかりに、彼女は私達にビームの雨を降らせていく。私たちはそれを何とか防いでいるが……
「……イラッときた……」
サイレント・ゼフィルス……私の知っている情報だけでも、面倒な相手。強いというより、面倒……お姉さまの使うカリオストロとはまた違って意味で、相手にしたくない機体とも言える。まぁ、ISなんてどれもこれも相手にしたくないような専用機ばかりなんだけど。
兎も角……今私は、私をそこまで気にしていない彼女に、腹が立っていた。そもそもお姉様に応援されているのに、それを邪魔しに来るなんて……こいつ、頭おかしいんじゃないのか……と。
「邪魔しないでよ!!」
「……どこかで見覚えがあるな、お前」
「関係ない、今からあんた潰すから」
私の翼から大量の羽が飛んでいく。全てが遠隔操作できる小さな刃、普通の相手ならこれを展開した時点で勝てている。だが、サイレント・ゼフィルスには……シールドビットが備わっている。
「ちっ……」
「鬱陶しいな……」
向こうのシールドビットが、彼女の周りを回るかのように弧を描きながら周回を続ける。それに対して私の羽は、彼女に刺さろうとしながらシールドビットに防がれていく。
枚数としては私の方が圧倒的に多いはずなのに、速度は向こうの方が早いようだ。
「マライアさん! そのまま攻撃を続けてもらいますわよ!!」
そして私の攻撃に便乗するかのように、オルコットさんが別の方向から攻撃を行っていく。多角の多重攻撃。本来私一人で出来ることだが、いないよりはマシな程度である。
「私達に牙を向けるのか?」
「先に攻撃したのは、そっちだ」
今ここで、1年の専用機持ちが一堂に会して目の前の敵を排除しようと躍起になるのであった。
side五十冬
「派手に暴れてるねぇ」
「そうね、流石エムだわ」
突如乱入したMを眺めながら、私は隣に来た人物をチラリと見ていた。しかし、すぐに視線は外してMの戦いを覗いていた。隣に来たのは、私もよく知る人物……Sだった。
「でも、マライア以外は……あんまりね」
「あら、強制参加しておいてその言い草はあんまりじゃないかしら?」
「ザル警備なのが悪いんすよっと……流石に逃げなかったから目立つよね」
突如声をかけられる私達。その声の主は、振り向かなくてもわかっている。IS学園生徒会長、更識楯無……その人である。私達に声をかけられるくらいは、まだメンタルは保てているようである。
「……貴女のIS、『
「それは昔の名前よ、今は『ミステリアス・レディ』というの」
「不思議な女、自分で言ってて恥ずかしくないんですか……ね!」
ISを部分展開して、武器だけを取り出す。取り出したのは、更識楯無のIS武装の一つのコピー、蛇腹剣である。しかし、その攻撃は彼女の水の塊に簡単に叩き落とされてしまう。
「……マナーがなっちゃあないわ 」
「そりゃあどうも、マナーをやろうとするのなら、私はテロやってる方が有意義だと思ってるので」
「つくづく、貴方はひねくれているとしか思えないわ」
「褒め言葉ですかね……」
「……私の事、忘れてないかしら?」
ストン、と綺麗な音を立ててナイフが更識楯無の後ろの壁に突き刺さっている。更識楯無に向けて投げたナイフが、更識楯無に避けられて突き刺さっていたということである。
「あら、嫉妬かしら?」
続けて投げられたナイフは、彼女が自らの蛇腹剣で叩き落としていた。私がそう使ったから、彼女もまた真似をした……と取られたいのだろうか? 後で罵倒しまくってやろう。
「……亡国機業、狙いは何かしら?」
「世界平和願ってるんで、さっさと帰って下さい」
「貴方は篠ノ之束を殺すって言ってるんでしょ?」
ちっ、流石にそこまで行くと更識楯無も知っている情報を出されたか。出されたところでどうした、としかならないのだが……私の心の中はもやっとしている所がある。
「彼女はともかく、私は言うわけないじゃない。折角いいシチュエーションにできたって言うのに」
「……ま、本来の目的を無理やりにでも聞き出してみるわ」
「それが出来てないからこうなったんでしょ、生徒会長更識楯無」
「するつもりなのかしら? 随分と、舐められてる物ね、私達」
「舐めてないわ、あなたたち二人を……どうにかして私一人で抑えるって話をしているのよ」
私を除いた2人が、私の目の前でバチバチと火花が散らされていた。私? 標的にされてはいるけど、私自身はあんまり戦う気は無いかなぁ……って。
「抑える? まぁ私は兎も角……S……」
「
「……バレてるみたいだけど?」
「別にいいわ、私はあんまり気にしてないし……それより、1人で相手できるかしら?」
ちっ、前に彼女と戦って負けたの知ってたのか……まぁいいや。だったらここでリベンジ戦させてもらうとしましょうか。
「あら、貴方の武装では私には勝てないわよ?」
「私の専用機……その能力を知ってる? 生徒会長さん」
「さぁ? まさか、私のISの弱点を突くような武装でも作ったのかしら?」
「うん、作った……というかコピーしたよ。それが私のISの能力なんだし」
「コピー……?」
ま、私の事が大好きで大好きで仕方がないISパイロットがいて、私は心底嬉しかったという話である。武装を一定以上使えば、その分の浪費エネルギーとかがきついが……しかし、その分の見返りはちゃんと存在している。
「さ、水なりなんなり……どうぞご自由に」
「……なら!!」
生徒会長は、蛇腹剣を投げ捨てると同時にランスをその手に掴んでいた。後でコピーして知ったのだが、このランスは四連装砲らしくて遠距離武器としても使用が可能なものらしい。
だが、私としては関係がない。というか、
「ぶばっ……!」
「早っ……!? がっ……!」
カリオストロよりも、この場合はサクリファイスの方がいい。一瞬で展開した後に、一気に最高速まで急加速。首から変な音が聞こえてきたが、生きているのでセーフ。
兎も角、一瞬で近づく&そのままの勢いで追突したために更識楯無ごと私は吹き飛んでいた。
「ぐっ……けど、今の一瞬じゃ━━」
「
「なっ……?!」
「……そんなになっても生きれるのね」
景色が真後ろな上に正反対に向いてるけど、私はきっちりと更識楯無の首筋にその手を這わせていた。軽く握れば、そのままへし折れてしまうほどには。
「いやぁ、私自身こんなになっても生きてるとは思わなかった……って訳でS、あとは私に任せて」
「えぇ、お願いするわ」
Sこと、スコールは私にそれだけ言ってからこの場を離れていく。因みに、少し動いたので更識楯無の首にサクリファイスの爪が少しだけ食いこんでいた。
「……くっ……2度も、逃がすなんて……」
「貴方はもう動かない方がいい。2人で、あの戦いの結末を……いたっ……見守ろうじゃない」
途中で首を戻す。ちょっと痛かったが、まぁなんとかなっただけましである。
兎も角……そのままの体勢で私たちは、Mとマライア達との戦いを見つめるのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい