sideマライア
『サイレント・ゼフィルス』━━━それは、イギリスの機体の一つである。特徴的なものをあげるとすれば、シールドビット並びにBT兵器と実弾の両方が使用可能な
イギリスのBT兵器の2号機であり、その性能はやはり破格の物となっている……
「━━━ってあるけど、『使用者にもよる』って一文は絶対に必要だと思うの」
「同感だな、付けなければどれだけ活躍しようとも『サイレント・ゼフィルス』だけの活躍と取られかねない……が、私としてはどうでもいい事だ」
「同感だ、とか言った癖に?」
「客観的な意見なだけだ」
レーザーと実弾、私の羽に火炎放射やら水の砲弾やら空気の塊やら……色々飛ばしては、お互いに攻撃が打ち消されあったり、防がれたりしていた。
「私の事も忘れないでくださいまし!!」
「黙っていろ……雑魚が……!」
オルコットさんが割り込んでくる……が、私が止めるよりも早く彼女はエムの武器により撃ち抜かれていた。シールドエネルギーが減らされて、武装も破壊されているけど……相当なものだ。
「……助けないのか?」
「助けたら、後ろから撃たれるでしょ。ミイラ取りがミイラになる……それだけは避けないといけないじゃない」
「成程、道理だ……なっ!!」
……とは言ったものの、私のISもサイレント・ゼフィルス相手に上手く立ち回れてはいた。オルコットさん助けても問題は恐らくなかったと思う……けれど、心配事は潰しておかないとね。
「はぁ!!」
お互いの武器が激突する。火花を散らしながら、無茶苦茶な近接戦闘を繰り広げる。私が蛇腹剣で横になぎ払えば、エムはそれを回避して頭の上ほぼゼロ距離から発砲する。羽によって、それを未然に防ぎながらも攻撃を忘れない。
「……やはり、面倒だな。小型とはいえ高熱を纏った刃。それが縦横無尽に飛んでくる……それらの操作を頭一つでこなせる処理能力、ISのためだけに産まれた『兵器』はやはり違うな」
「……は?」
「兵器が兵器らしい一面を見れて安心だと言ったんだ」
「……私は、お姉様のためだけに生きてるの。兵器と言われても、お姉様に使われるなら正直本望だし」
「ならば、何故そんな激昂した顔になる?」
あれ? 私怒ってんの? そっかぁ、私兵器って言われるの実は嫌だったのか。意外な事実が判明したけど……まぁ、多分ただ兵器って言われるのが嫌なわけじゃないかも。
「そりゃあ、私1人で兵器してたら……
「……何を言っている?」
「兵器は、使う人間がいてこその兵器……使われたいからこそ兵器……私からお姉様を抜いたら、お姉様が他の馬の骨とくっつく可能性があるって事でしょ?」
「……お前……」
「それだけは認められない、私はお姉様しか認めないしお姉様が他の女とくっつくのも認めない。行為は最悪任務だからってことで許すとしても心まで許すのは認めない絶対に認めない。私だけのものなの私しかダメなの私にはお姉さましかいないの私には━━━」
「……壊れたか。よく分からなかったが……まぁ、死━━━」
side?
エムがマライアに攻撃を加えようとした瞬間、エムのスターブレイカーは大破していた。油断していた訳でもない、文字通り突然爆発したのだ。
「━━━」
「……なんだ、今お前何を……」
ブツブツと言葉を喋るだけになったマライア。その言葉は『認めない』のみである。エムは、彼女がよく分からないタイミングで壊れたようにしか見えなかったが……それは突然に納まっていた。
「……あ、なるほど。合点がいった」
「……?」
「お前がお姉様を狙ってるんだ」
「……何だと?」
エムはお姉様……つまり鬼村五十冬のことは知っている。だが、知っているだけでありその関係性は恐ろしく薄いものである。つまり、何の感情も抱かないのだが……なぜだか目の前の同士はそうは思わなかったらしい。
「泥棒猫!! 絶対殺す!!」
「……ちっ、意味のわからんヤツめ……!」
悪態を吐きながらも、エムはマライアに攻撃を仕掛けていく……が、行う前に予知でもしているのか、と言わんばかりに先手を撃たれて潰されていく。
シールドビットによる特攻も、完全に見切られて見る事さえ無く潰されていた。
「……幾らなんでも早すぎる……!」
「ねぇ、ISの操作ラグって知ってる?」
「操作ラグだと……?」
通常、ISで起こるラグというのは要するに『遠隔操作の武装の発動までにかかる時間』という事が主に考えられる。しかし、マライアの言うラグというのは、手足などの装備などに起こるラグのことも指し示している。
普通の体を動かすように動けるようにしているため、ラグがあったとしてもそれは、コンマよりも遥かに短い時間の世界の話になる。
「私は、ただ操作ラグの合間を使って貴方の攻撃を潰しているだけ」
「お前にも、ラグがあるというのにか?」
そう、ISを動かすという以上その一瞬といえる時間のラグはマライアにも存在している。それは、どう足掻いても変えられないことである。
「私のISのラグは、平均よりも1/10だよ。ISを操作するためだけに生まれて、そしてISを誰よりもつかいこなせるために特訓してきたんだもん……動きを予測することなんて容易い容易い……容易いからこそ、その合間を有効活用できるんだ」
「……ちっ、面倒な……」
「面倒で結構……本気を出せば、私はこんなものだよ」
「……なら、予測出来無いように動くだけだ」
「人間にそんな動きが可能なわけ……無いでしょ」
「どうかな……!」
そう言って、エムは突撃してくる。お互いの武器が再びぶつかり合い、火花を散らす。先程と違うところと言えば、マライアにぶつかりざまに攻撃を加えていっては、離れていくヒットアンドアウェイを行っている事だ。
「なるほど……偉そうなことを言ってるとは思ったけど、飛びながらぶつかってくる攻撃方法は、確かに対処しづらい」
「飛んでいるだけだからな……予想はしやすくなっただろうが、予想したところで反応できない速度ならば関係ない、と言うだけだ」
「真理で正論で至極ごもっとも」
そう言いながら、マライアはエムに気づかれないようにほんの少しづつだけ、自分の立ち位置をずらしていく。
その攻防がしばらく続き……永遠に続くかとも思われたその瞬間、唐突に終わりがやってきた。
「……ところで、気づいてる?」
「……」
エムは返事をしない。このまま行けばシールドエネルギーが尽きて、マライアは直接的な攻撃を加えられてしまう。だが、そのようなことはありえないと言わんばかりに、突如としてマライアは笑みを浮かべていた。
「
「何が━━━」
再び突撃しようとした瞬間、マライアはエムを回避する。回避されたところで、再び急旋回して向かえばいいだけだ。だが、今回はそうはいかなかった。
「ブルーティアーズ! フルバースト!!」
今現在、高機動パックを装備しているブルーティアーズ。それによって多種多様な武装が使えなくなっていたが、それを無理やり使えるようにする……それがフルバーストである。
しかし、諸刃の剣なので下手をすれば機体が空中分解する可能性もある危険な行為である。
「なっ……!?」
今のエムの位置は、ブルーティアーズの直線上……ということはつまりは、射程範囲内ということである。避けようにも、タイミングが完璧すぎたのだ。このままでは避けるどころか激突が容易に想像出来るほどである。
「ぐぅ……!?」
「隙だらけ、チェックメイト」
ブルーティアーズの直前上かつ、マライアの直前上以外の全ての方向から襲いかかる朱雀・翼。マライアは直線上から二つの青龍と、白虎の2つの砲塔、そして玄武の水大砲が同時に呼び出され放たれていく。
マライア自身が『隙』だと認識したそのタイミングは、エムが何もできることのないタイミングであるのだ。
「ぐううううう!!」
ちらりとマライアが目線をセシリアに向けると、ブルーティアーズがショートして火花を散らしていた。そして、パラパラとパーツを落ちていく。
「……さて、ブルーティアーズはしばらく動けなさそうだから……」
「ぐっ……」
「さて、どうする? 帰るのか、はたまたまだ戦う意思を見せつけるのか」
「この、程度で逃げるわけが……無いだろう……」
「そっか、そんなに死にたいんだ」
青龍を構えて、マライアはなんの躊躇いもなくそこから炎と風を一気に発射する。躊躇いはない、何も考えず、何も感じない。殺すことに一切迷いのない躊躇なき一撃が、エムを襲う。
「ぐっ……!」
「シールドビット如きで……!」
とは言うが、マライアの方もエネルギーが尽きかけていた。このまま防がれ続けてしまうと、ただの相打ちで終わってしまう。そんな状況になりかけていたその時、マライアにプライベートチャンネルが入る。
『マライア』
「お姉様!?」
『攻撃を中止、Mを逃がしてあげて』
「そんな、どうして!?」
『S……スコールからの連絡。彼女からの指示だよ、流石に同士討ちだけは避けて』
「……お姉様が、言うなら」
マライアは攻撃を中止する。それと同時に、エネルギーが底をついたのでゆっくりと降下せざるを得なかった。
『それと……織斑千冬から有難いお説教飛んでくると思うから覚悟しておいて』
「説教? 何故?」
『そこ、市街地』
マライアは言われて気がついていた。むしろ、言われるまで気がついていなかった。いつの間にか、IS学園を飛び出して市街地で戦闘を行っていたのだ。
「いつの間に……」
『さっきさりげなく破壊してたよ』
「……分かりました、甘んじて受けておきます」
『それと……そろそろ本命に手を出そうかなって思ってる』
本命、その言葉にマライアは緊張感を持っていた。本命とは、篠ノ之束……のことではない。あれは最終目標、なれば本命とは何か? この場合、篠ノ之束を連れてこれる存在……篠ノ之箒の事になる。
「いいんですか? まだ、他の専用機達を無力化出来ていませんが」
『私が彼女達をダシに使う『種』を撒いて、マライアが芽を咲かせた。なら次に起こるのは……花が咲くって事。簡単に咲くと思うよ』
「織斑千冬や、山田先生はどうしますか?」
『まぁ、見ててよ。もうすぐIS学園で行われる行事で……その2人に引導渡せるかもしれないからさ』
「……では、事を起こすことになったら……連絡ください」
『ん、了解……じゃあそろそろ切るね』
連絡を切る五十冬。切られた直後から、マライアは緊張の高まりを感じ取っていたのであった。
side五十冬
「……さて、と……」
今私は更識楯無と共に、IS学園の外に出ていた。無論、監視カメラのことも考えて……私が『逃げ遅れた被害者』として、エスコートするように頼んだのだが。
「何が目的?」
更識楯無が声をかける。当然だろう、ただ逃げるだけならそのまま歩いて外に出ればいいだけなのだから。しかし、そう言ってもいられない事情があるのだ。
「いやぁ、実はさっき上司から連絡があって」
「……貴方の上司なんて、せいぜいスコール程度でしょう」
「それは兎も角……真面目にちょっとまずいんだよね」
「……まずい?」
「私達も知らないISが、2機くらい近づいてきてる」
「……だから? 手伝えって?」
すごく嫌そうな顔をしている。いや、実際そうだろう。私だって生徒会長の手なんて借りたくないが、現状1番手を借りたい人物なのだ。
「スコールに手伝わせたくない、ほかは場所がわからない、1年勢は使い物にならない、2年以上はどんな人かも知らない……貴方以外候補いないわけで」
「……」
「ま、手伝わなかったら手伝わなかったで写真ばら撒くだけだけど」
「くっ……手伝えば、いいんでしょう」
素直な子は私はとても大好きだ。ともかく、これで私は一応の戦力を得ることが出来た。さて、近寄ってくる二機を倒すために……なるべく遠いところで戦ってやらないとな。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい