「……言っておくけど、私は貴方をいつでも撃てるのよ」
「へいへい、隙を見せないように頑張りますよっと」
とは言っても、スコール達に手伝わせるわけにはいかないのは明白。手伝うことは無いかもしれないけど、頼むことすらダメに決まっている。何せ、私とスコール……というか、他の亡国機業メンバーが出た場合、囲まれでもしたら対処するのが面倒だからだ。
その点、更識楯無という生徒会長ならば問題は無い。何せ、IS学園の生徒会長だ。今のところは、学園からの信用も厚いので……『不明の機体が来たので、混戦になりました』とでも言っておけば、非常時に私と不本意な共闘をする形になってしまったということになるだろう。
IS学園の1年生組は、戦力としては論外である。100歩譲って連れていくとするなら、紅椿の篠ノ之箒だ。それ以外は高機動パックを使っているのが2人に、万が一落ちた場合手がつけられなくなりそうな姉がいるのが織斑一夏である。落ちた理由も私のせいにしてきそうで怖い。目当てにしない限りは、変に怒らせないのが得策だ。
「……さて、ここからだけど」
「未確認の機体が二機……けど、本当に貴方達が知らない機体だとして、だったら誰が作った機体なのかしら?」
「サイレント・ゼフィルスであっても、他のであっても……奪ったものなら識別くらいはできる。なら、新しく作ったISというのが分かりやすいけど……」
「……」
「ま、見て見ないとわからない……って言うのが1番の正解かもね」
海の上を飛んでいる私達。そして、それは目の前に現れる。未確認のIS、見た感じ人がいない無人機だというのがよく理解できる。
「……見たことない機体だわ」
「同じく……」
目の前にいるのは、真っ黒な中に黄色いパーツがちらほら見える機体。それと、もう1機は両手に真っ赤な血の色のような剣を携えた……白い機体。こちらも所々、金色の装飾が見えている。
「……何あれ」
「……IS、というより飛ぶロボットって感じね、最早」
確かに、と私は思った。そもそもISは人が乗ることで初めて真価を発揮するものだ。無人機にするには、それなりのAIを積んでなければならないが……
「というか、片方は武器を持ってるのにもう片方は……武器無し?」
「という訳ではなさそうよ、見て……肩の部分変に大きいわ。何か仕込んでいるかもしれない」
「流石生徒会長サマ、そういう読みは……多分正しいかも」
さて、一体どう攻めるべきか……そう思っていたのが間違いだった。相手の出方を伺うというのは、選択として間違っていない。先手を打つというのも間違いではない。
この場合、どんな武装を持っているのかわからないから、様子見という方が正解だ。だが、私はそれでも間違いだと思ってしまう。
「━━━えっ」
目の前に突如現れる白い方。とんでもない速度だと認識したのが、私の目の前に現れた瞬間だった。しかも、気づいた時には既に攻撃は始まっている。
「緊急回避!!」
ラウラの超電磁砲、マライアのその他遠距離武装……他反動が強そうなものをいくらか用意して、同時に放つ。一気に反動で、私は後ろに吹き飛ぶ。
ギリギリだったよ、当たってたらシールドエネルギー尽きてたよ絶対。
「何今の、見えた?」
「……残念だけど、いきなりすぎて認識すら追いつかなかったわ」
あれだけ速い速度で動くなんて、まともな人間なら首いかれてるんじゃないの? って思う。無人機で正解だよ無人機で。
「けど……目には目を、速さには速さを……」
念の為にと、カリオストロの能力でサクリファイスの武装をコピーしておいてよかった。何故かスラスターが武装扱いされていたが、よく考えたらこれくらいしか目立つ武装なかったな。
「追いつけるかどうかはともかく……生徒会長は、あっちの黒いのお願いね」
「仕方ないか……!」
さて、私とこの白いのは……一発速度対決と参りますか。
side楯無
私の目の前にいる機体……特に何もしてこない。私が何もしていないのもあるかもしれないけど、『攻撃』は一切してこない。けれど、私が移動するとそれに合わせるように正面を私に向けてくる。どうやら、隙があるという訳でもないらしい。
まぁ、当たり前の話なんだけれど。
「とは言ったものの……どう攻めたらいいのやら……」
機械だから当たり前だけれど、隙がない。ISは本来、人の癖によってその強さを発揮することが出来るもの。全てが標準化されているであろう無人機では、真価を発揮するのは難しいとされる。
しかし、発揮するのが難しいだけであり人が使う時より劣化している……ということは決してない。寧ろ、こう言った場合隙がない機械の方が優れていると言っても過言ではないだろう。
「……仕方ない」
彼女を手伝う義理はない。けれど、このISを放置して万が一今のIS学園に攻め込もうとするのであれば、私はそれを止めないといけない。ならば、未然に防げるこのタイミングなら……!
「━━━ここで、倒すしかない……か」
私はナノマシンを飛ばし、黒い機体に水をまとわりつかせようとする。水の塊そのものではなく、水分という細かく小さな単位で移動させてから、一気に水にして爆発を起こす……それが私の作戦だった。
しかし、ナノマシンが近づいた瞬間に目の前の機体の肩部分が変形し、中からレーザー銃の様なものが飛び出してきた。そして、赤黒いレーザーを360°に回して私のナノマシンを、寸分の狂いなく消していく。
「なっ……!?」
一瞬だった。本当の意味での全部という訳では無いけど、出していたナノマシンに関してはもれなく焼き払われていた。そして、それは私のエネルギーもかなり大幅に削っていた。
「……今の、何……カウンターを狙ったの? けれど、今の攻撃範囲……それに攻撃速度……完全に認知が不可能だった……」
攻撃速度は、視認不可能。そしてそのせいで今の攻撃の攻撃範囲もまた、見ることが不可能となっていた。はっきり言って、私の手には追えない相手とも言える。
「……今のを見る感じ、近づいてきたものを全て排除するみたいね」
敵味方の区別はついているのか、向こう側では彼女が今のレーザーに当たっていた。しかし、はっきりいってそれは些細なことだ。今は、目の前の強敵に対してどう戦うかを選ばなければならない。
「……それでも、やるしかない」
ここまですればやることは一つ……一点集中での一気に突破という脳筋戦法を取らざるをえらないということである。
「行くわよ!!」
私の、IS学園最強と言われた生徒会長更識楯無の……無謀な戦いが、今始まろうとしていた。
side五十冬
「いっだい!?」
白いのと戦っている最中、私は唐突に背中を焼かれていた。いや、シールドがあるからいいんだけど、今のでエネルギーの大半を持っていかれた。あの白いやつの攻撃を回避するために、緊急回避を行ったせいでもうまともなエネルギーは残っていない。
「つか、今の何よ……」
生徒会長更識楯無の反逆……とすれば、かなり分かりやすい答えだったし、安心できる答えだった。しかし、現実はあの謎の黒い機体から発射されたレーザーだと言うのが現実である。
「……」
はっきり言えば、『相手にしなかったらよかったこんなヤツら』である。しかし、知らないISである以上私達の敵か味方かという状況の中では、正体を確認しに行く以外の回答は不必要だった。
「……やるしかないけど、さ」
白いのは、今は私を観察しながらじっとしていた。スラスターがオーバーヒート仕掛けて、そのせいで身動きが取れない……なんて答えならどれだけ幸せだっただろうか。その理論で止まるなら、もっと私はあの白いのに殺されていた可能性がある。
「けど、どうすっかな……」
エネルギーはもうない、先程のレーザーで大半を奪われてしまった。強力過ぎて泣きたくなるのと一緒に、やはり足でまといになりかねない1年1組を置いてきて正解だったと痛感できる。あのまま適当に連れてきていたら、速攻で2vs1になっていただろう。
「うぉっ!?」
スラスターを全力で吹かして、突如として再度襲ってきた白いやつの攻撃を私は回避する。またエネルギーが減ってしまった。本当にどうにかしないと、私はこのまま海の藻屑になりかねない。私は100歩譲ってやられていいとしても、生徒会長更識楯無は本当にダメだ。下手したらIS学園そのものが私に襲いかかってきてしまう。特に教師が来たら、変な責任を押し付けられそうになるであろう事は予測しているので、死なないように彼女には頑張ってもらいたいところである。
何か不都合があるのかって? 色々立てていた計画が思いっきり狂うという不都合がある。
「……どうしたもんか」
私は考える。ここからIS学園までは、結構な距離が空いている。仮に感知されていたとしても、エネルギー効率を考えたら今さっきまで戦っていたマライアはダメである。相当エネルギーを浪費しただろうし。
「……カリオストロじゃなくて、サクリファイスで……?」
しかし、そうなると速度だけしかない為に体当たりだけしか使えなくなってしまう。あまりにも詰みと言えるこの状況……私は1体どうするべきか……そう考えている最中、『それ』は起こった。
「え、ちょっ……何……!?」
私に襲いかかろうとしてきていた、白いのが後ろに引いた。いや、引いたということが起こったのではない。突然、カリオストロが発光を始めたのだ。いや、よく見れば待機状態のサクリファイスも光っている。一体何が起こっているのか……理解する前に、カリオストロのエネルギーが回復していく。
「……まさか、カリオストロのワンオフアビリティ……?」
しかし、あれはてっきり武装のコピーがそれに当たるものであり、それしかないのだと思っていたけど……どういう事だろうか? それを考えたいところだが、それを考えるよりも先にやらなければならないことがある。
「……ひとまず、エネルギーは回復できたしやってみるしかねぇって事で!」
何故エネルギーを回復できたのか、私にはそれは定かではない。けど、それが後に不幸になるのか幸運になるのかなんて考えていたら、私は何も出来なくなってしまう。
「さ、第2回戦……って訳で、行くよ」
白いのとの戦いは、どうやらまだ続けないといけないらしい……面倒臭いなぁ……でも機体持ち帰りたいから……
side?
「━━━カリオストロのアビリティは、当たり前だけど1つだよ」
暗い部屋で語る女性と、聞く女性。カリオストロというISを作った本人と、鬼村五十冬という人物のメンテナンスをしている女医という立場の女性。今いるのはその2人だった。
「……突然何?」
「ISも、そのアビリティも使い方ということになるって話」
「……?」
「カリオストロの能力は、相手の武装をコピーすること。それを応用したら、相手のエネルギーを奪い取る能力に変化する」
「……それって、理論上無限に動けるってこと?」
あくまで理論上であり、現実的には不可能な話だが……可能という事は確定の事実である。
「うん、だから……それに気づいた時、彼女はもっと多くの女性を捕まえてこれる。なにせ、戦っている相手本人からでも奪いとれるんだから」
女医は冷や汗を流す……まるで、吸血鬼のごとくエネルギーを吸うそのISを、今以上に本当にISと呼んでいいのか、甚だ疑問だからである。
五十冬の見た目
-
黒髪ロング、胸はない
-
黒髪で肩までの長さ、胸はない
-
茶髪ロング、胸はない
-
茶髪で肩までの長さ、胸はない
-
なんでもいいけど眼鏡が欲しい