「……エム」
「なんだ、機械人間」
「スコールが怒ってるよ、無断での接触及び無断での戦闘の事」
「ふん……貴様に言われなくてもわかっている」
本当にわかっているのだろうか、このお嬢様は。戦闘は私とのものだったので、スコールは私も怒ったが……織斑一夏への無断接触を行ったのは、スコールも見逃せなかった。私が命じられていかなかったら、明らかに殺すつもりだった。
「貴方の目的は、各国のISの強奪。それ以外でISを使うようなら、スコールも考えがあると言ってる」
「考え? 一体何をされるんだろうな?」
スコールは私に挑発的な笑みを浮かべている。今回は特に問題がなかったからよかったが、こいつはあまりにも周りを舐めすぎているのではないだろうか? それでいて、織斑千冬に対しての評価だけ無駄に高くしてある。実際、評価は高くて問題は無いのだが。
「分かるでしょ? 私達がどう言った組織なのかさ」
「済まないが、私にはてんで分からないな? キチンと言葉で示してくれた方がよっぽどわかりやすい」
「……あぁ、そう……なら……」
私はそのままエムに向かって蹴りを繰り出す。エムはそれを一切見ずに受け止めるが、瞬時に私はISの部分展開を行ってビームビットを繰り出す。
「ちっ……!」
エムはシールドビットを出すことでそれを防ぎながら、同じようにビームビットによって私を狙い撃とうとしていた。一瞬で起こったことだったが、それでも私達の実力はほぼ同じくらいだというのを改めて認識していた。
「……ふん、機械の力に頼って生き長らえている人間風情が」
「……まぁ、私の事をどう言おうが知らないけど……スコールの言うことは聞いてよ? 『亡国機業』の一員のエムとして働くこと……それがスコールが伝えたいこと」
「わかっている……決着を付けるまではそうするつもりだ」
「決着って……織斑千冬?」
織斑一夏では、彼女に勝つのはどう足掻いても不可能だろう。それはエムも理解しているはずだ。そうなると、残る選択肢は1つしか存在しない。
「あぁ、スコールとて姉さんの足元にも及ばない……それを、私は倒す」
一体、どう考えたらその発想にいけるのか私にはてんで理解できない。根拠の無い自信、と言えばどうにも違うように受け取れるが……私としては、どっちでも計画には関係と無い話題なのでスルーしておく事にした。
「ま、別にあなたがどう思うかは私には関係ないし……倒したいなら倒したいで早めにしておいた方がいいとは思うけどね」
「早めに、だと?」
「じゃないと、貴方の織斑千冬へのその感情も無駄になるだけだよ」
そう言って私は離れていく。もうエムに伝えておきたいことは言っているので、戻っても問題ないだろう。彼女が織斑千冬に勝てるとは思わないが、とりあえず内心だけでも応援しておいてやろう。
side?
「……ふん、あの女は相変わらずか」
エムはそう愚痴りながら、傷の手当をしていた。五十冬との戦闘の際に、どこかを切っていたようでそれの治療を行っていたのだ。痛みはほとんどなかったが、切り口が酷かったのか血が止まりづらかったのだが、彼女の体内にある治療用ナノマシンが、彼女の事をある程度治していたので、傷口は完全に閉じていた。
「……ふ、ふふ……!」
エムは自分の持っていたナイフを手に取ると、そのナイフで自分の頬に切り口を入れる。とは言っても、うっすら血が出る程度のものなのだが。
だが、その切りこみ口をナイフの刀身に反射している自分の顔を見て、エムは満足そうに笑みを浮かべていた。
織斑千冬とほぼ一緒とも言える顔立ち、その顔を傷つけることによって、エムは時折満足感と嗜虐感……そして一定の快楽を受け取っていた。
「ふふふ……」
織斑千冬に対するひねくれた何かが、彼女をそうしていた。自分が狙っている者と同じ顔を持っている、それを傷つけて満足感を得る。そんな理性がどこかへと飛んでいってしまったかのような、そんな方法を使ってでも、エムは織斑千冬を傷つけたい……そう願っているのであった。
sideマライア
「タッグチーム? 」
突然同じクラスの人に頼み事をされる私。けど、タッグチームって一体なんの話? って今は聞いている最中。どうやら、先のサイレント・ゼフィルスの影響で急遽行われることになったらしい。
「そうなの! これは、専用機持ち達を倒すチャンスよ!!」
「私も専用機持ちだけどなぁ」
「マライアさん以外で、よ!」
「にしてもそっか……なるほど……」
私はふと考える。このタッグマッチで優勝した場合のメリットを、自分がそのまま受け取っていいものなのかどうか。別に受け取ってもいいものなのかもしれないが、始まる日時と更識簪が作っているISが完成する予定の日時……もし、後者の方が間に合うのだったら私は花を持たせてやってもいいと考えている。珍しく。
「どうしたの?」
「ねぇ、4組の更識簪さんって知ってる?」
「私は知らないけど……その子がどうしたの?」
「織斑君の白式と同じところで作られてるらしいんだよね、運悪く白式と制作過程が被っちゃったからISを持ててないんだけど……これを聞いた上で、彼女のことはどう思う?」
「……うーん、ちょっと不憫かなぁとは思うかな。でも、本当に運が悪いで済まされちゃうよね」
こういう回答なのは、割と予想できる。この学園における織斑一夏の信用性、または信頼性はかなり高い水準にある。ただ1人の男というだけでもそうなのだが、本人の性格が良くて頼めば大体のことをしてくれるという面倒みの良さもあるためである。
「ん、ありがと」
場合によっては、彼女と組むのもいいかもしれない。都合がいいしね。それに、新しいISの強さっていうものを私も直にこの目で見てみたいし。
「で、相方はもう決めてるの?」
「まだ考え中かなぁ? 別に別クラスの人でもいいんだよね?」
「そうそう、なんら問題はないよ」
「なら選択肢がいっぱいで悩んじゃうなぁ」
「この人たらし〜」
表面上仲良くしながらも、私は考えていた。更識簪と組もうが組むまいが、目で見ることには変わりない。組めば目の前で見れることと、より正確な間のとり方も行える。
もしくは、2組の誰かと言う手もある。もし戦うことになったら、敢えて囮を買ってでて行くことで、肌で強さを感じるというのもありだ。
1組の専用機持ち達は、完全に目の敵にされているので私は彼女達も組もうという気にはサラサラなれなかった。
「あ、私ちょっと行ってくるね」
「はーい、行ってらっしゃーい」
そう言って、私はクラスを出る。向かう先は、更識簪がISを組みたてている工房……って言うのかな? あそこに向かっている。私は彼女がどこまで作り上げているのか知らないし、手伝わなければいけないとお姉さまから言われているので、手伝うつもりではある。
「さてさてさーて……」
私は整備科の扉をくぐる。そこには、随分と装備が潤沢になっているISが存在していた。打鉄弍式……とは昔の名前、今の名前は知らないけどいい名前を貰うんだよ。
「ぁ……ど、どうした……の……?」
「お手伝い、だよ。進捗どう?」
「……各駆動部の接続が、おかしくて……」
「OK、私に任せて……」
更識簪の才能は本物だ。嫉妬してしまうが、お姉さまが容れ込むのもわかる……けど、姉がさらに優秀なせいで自分に劣等感を抱いちゃってるんだよね。そのせいで才能を生かしきれてない。
「……貴方も、天才なんだね……」
「貴方達みたいに、ISを作ろうとは思わないけどね……というか、作り方はわかっててもそれを形に出来ない、かな」
「……?」
「想像力が無いんだよ、私って。だから、どんなISを作りたい? って言われても、いまいちピンと来ないタイプでさ」
実際、作ろうと思えるのはすごい。たとえそれが、途中から作ることであっても、私にはできる気がしない。天才でも、知識だけがあるタイプと頭の回転が早いタイプがいるのとおなじ事である。
「だから、こうやってISの修正やってるほうがしょうに合ってるんだよね」
「そう、なんだ……」
カタカタとキーボードをならしながら、問題点を浮き彫りにしていく。無理やりパーツくっつけたのもそうだけど、元々の部分もそれなりに危ない状態になってるから……ここを修正したらいいかもね。
「中のパーツ幾らか変えた方がいいかもね。それまでは、あんまり激しく動き回ることは出来ないかも」
「激しく……動けない……」
「ISとしては、かなり致命的だよねぇ……動けないってことは、それだけ狙われるってことだから」
「……ううん、それを逆に利用する……」
「……逆に、利用? つまり動けないというところを利用するってこと?」
「そう」
動かなかったら、それこそ的だけど……そこを逆に利用するって……どうもISっぽくないなぁ。でも、ISっぽくないってことは……相手からしたら全く予想ができないって事だよね。それは確かに、いい武器になるかもしれないけど……
「……ま、私達は従うだけだから」
「うん……ありがとう」
お礼を言う更識簪。私達は手伝っているだけなのに、何に対してのお礼なのだろうか。ま、私に言ったところで私はお礼を返したりしないけど。そもそもお姉さまの言うことがなかったら、手伝うことさえなかったんだから。
「言わなくていいよ、お礼なんて」
「……分かった」
「そのIS、出来そうなら姉にぶつけてみたら? 案外、面白いことになりそうだし……それに、更識楯無を倒したら生徒会長の座が貰えるんでしょ?」
「……それって、お姉ちゃんの戯言じゃないの……?」
「戯言でも言ったことは言ったこと……約束を守らないようなら、生徒会長としての信頼がなくなるだけだしね」
生徒会長としての信頼がなくなれば、例え学園最強であったとしてもそれはただの圧政の生徒会長となる。そもそも、彼女がミステリアスレディを装備できなくなったと知れば、ロシア代表としての格も落ちるだろう。
「ま、勝った暁には……自分なりの生徒会を作ればいいと思う」
「私の……生徒会……」
果たして、そんなことが可能なのかどうかは知らないが……生徒会長権限と言っても、限度があるだろうし。そもそも、あれはロシア代表としての格があったからこそ成り立っていた権限のようにも思える。ただの私利私欲で物事を動かしかねない力なんて、普通与えるわけ━━━
「お姉ちゃん、結構好き勝手やってなかった……?」
「確かに」
我ながら、記憶力が欠如してきたように思える。まぁ、生徒会長と一緒にいた時間なんてたかがしれてるんだけど……それでも、それなりに好き勝手していたような気がする。
「……とりあえず、どうするの? 貴方の打鉄弍式は」
「……弍式、じゃない。名前は……もう変えてある」
「そうなの? どんな名前?」
「……打鉄であって、打鉄じゃない……打鉄を超えた……打鉄……『打鉄越式』……それが、この子の名前」
「いいね……私は嫌いじゃないよ、そういうのは」
打鉄を超える、と言うが。弍式の時点で、性能としては超えているのだ。つまり、超えるべきは性能ではなく打鉄というISそのもの……全く別物になってでも、こいつは打鉄を脱皮のように超えて別のものへと変貌しているということだ。
「……お姉ちゃんを、倒す」
さて、眠れる獅子を呼び起こしたところで……私は彼女の手伝いを再会しよう。このままでは、超える超えない以前の問題で起動すらままならないのだから。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい