sideセシリア
「はぁっ、はぁ……」
私はとある場所に向けて、ISを飛行させていました。それは学園前に位置する場所。そこに向けて飛ばしている理由は、そこで侵入してきたIS2機と、所属不明のISが一機いたからです。
私は、妙な期待を抱いていました。『五十冬さんではないか』と。その期待が叶えられないであろうとは思いながらも、しかしその期待にすがってしまう自分がいるんです。
「なんで、どうして……」
そんな言葉ばかりが口から出てきては、消えていきます。彼女に対して私は色んな感情があるけれど、それでも一つだけ確実なことが……
「……会いたいです、五十冬さん……」
その言葉に、嘘はない。殴ってやりたいし、暴言も吐いてやりたい。無茶苦茶にしてやりたいとも思っているけど、それでも抱きしめて彼女の温もりを感じていたい……私はそう考えていた。
「絶対、あなたなのは分かっていますからね……」
確信する理由はない、けど私からしてみれば真実なんです。それが私にとっての希望でしかない、貴女に会えないのがこんなに辛いなんて、私にはわからなかった。
初めて、こんな気持ちになった……だから、居て欲しい……いないわけが無い……そう思ってしまうのです。
side五十冬
「……ふざけんなよ、ほんと……」
私は巨腕を振り回しながら、残った一機を片付けていた。はっきり言おう、ゴーレムは瞬殺した。ビーム撃たれたことにはビビったが、いやはっきり言えば死にかけたよアレで。
けど、私は生き残った。鉄の右腕が軽くイカれたけど、装備の操作をするにはなんら支障はない……そもそもカリオストロは脳に直接繋いで、脳からの電気信号を使って操作することで、ラグを少なくする機体だ。体が動かなくなっても動かせる。
「ビームが鬱陶しいけど……ゴーレムとセットにするのが悪い……!」
改めて思うけど、ゴーレムの腕が便利すぎる。デカいし熱光線出せるし……装備を奪えるカリオストロの力だからこそ、行えることだわこれ。
「……あ? 誰か近づいてきてる……ってこの反応……」
見覚えのあるIS反応、学園内にいるんだからそりゃあ見知ったISの一つや二つ出てくるけれど……この反応はブルーティアーズ……セシリアだ。まぁ、学園前で戦闘行われてたらそりゃあ来るよね……つっても目の前の学園も今絶賛襲撃中な訳だけど。
「……」
「はぁ、はぁ……っ!」
来ちゃった……なんて言えた雰囲気じゃない。というか、向こうは私のこの姿を知ってるわけない……けど、駄目だ。今の私は何故か……とてつもなく焦ってしまっていた。
思ってしまう、『見られたから殺さないと』と。『見られたくなかった』と。
「……ここで諸共……死んでもらう」
「っ……!」
side?
向けられる巨腕、そこから熱線が放たれることはセシリアも知っていた。だからこそ、目の前の人物が……セシリアが言うには五十冬が巨腕を向けた瞬間に、一気に加速をして近づいていた。
普段の彼女ではありえないほどに正確に、かつ高速で、かつ冷静に近づいていた。
「五十冬さん!!」
「……離れて、そんなやつ知らないし今は戦闘中」
「今の一撃は、ヘッドショットです……破壊するには至らなくても……怯ませることくらいは出来ます」
「……それだけ強いなら、1人で倒せばいい」
「いいえ、あなたがいないと私も戦えません!!」
「っ……!」
勢いに押されていた。しかし、そうしている間にも敵機は動こうとしていた。それに気づいたパイロットは、巨腕を動かしてさらなる一撃を加える。
「……私の攻撃ですら通らない、貴方の射撃で倒せるの?」
「……貴方と私の2人なら、絶対に倒せます。えぇ、それは必ずと言っていいものですわ」
「……なら、手伝って」
「えぇ!」
嬉しそうに、セシリアは笑みを浮かべていた。反対に、もう1人のパイロットは複雑そうな表情を浮かべていた。セシリアと戦うことに、彼女は何も問題は感じていないと思っていた。しかし、その心には確かに違和感という名のしこりが残っていたのだ。
「私が援護致しますわ!!」
そう言いながら、セシリアは自慢のライフルからレーザーを放つ。それはただのレーザーではない、偏向……そのレーザーは撃ったあとに軌道を変える。
軌道を変えたそれは、敵機の後ろから迫ってくる。しかし━━━
「なっ……!? 私の攻撃が……!?」
「……対レーザーにレーザーを持ってくるなんて、頭の悪い機体だってことはわかった」
レーザーに対して、レーザーを持って立ち向かうことで無理やり攻撃を消滅させていた。さらに、ついでと言わんばかりに攻撃を同時に行う合理性があった。
「……あいつに立ち向かうためには、全方位攻撃を1回あいつにさせて……」
「無理やりぶち抜く……ですか」
「……そういう事。分かったのなら、さっさと一撃出来てる準備して」
「……私がやるんですの?」
「スナイパーに囮やらせるわけにもいかんでしょう……」
巨腕を構えながら、パイロットは突っ込んでいく。セシリアはその背中と言葉を信用して、ライフルを構える。
狙うは、相手の頭。先程は貫けなかったが、次の一撃は全てを貫く強力な一撃を放つつもりである。
「……それでいいんだよ」
突っ込んだパイロットは、そのままセシリアに向かうレーザー全てを巨腕からの熱線で消しながら、懐に入り込む。セシリアに全てを任せる気はなく、自分でも全力で倒すことに専念する気なのだ。
「こういうのって、近接には弱い……と思いたい!!」
エネルギーを無駄にはできない、自分の攻撃は巨腕を振り回す攻撃を中心になる。つまり、振り回すくらいしか出来ない。熱線を放つ時は、決める時である。
「はぁっ!」
上からの振り下ろし、それを敵機はその巨体からは信じられないほどの器用な動きで紙一重で横に避ける。だが、それだけでは終わらせない……そう言わんばかりに、地面に巨腕をぶつけた勢いで浮き上がった体を利用してかかと落としを行う。
「……」
「ぐっ……」
だが、通じない。当たり前だ、巨腕での質量で通るかどうか分からない攻撃なのだから、ただのISの蹴りではダメージが通るかどうかすら怪しいだろう。
だが、これによって一つだけ判明したことがあった。
「こいつ、肉弾戦の連撃に対応できないな……!」
ISでの戦いで、肉弾戦を行うというのはありえない話である。いくらなんでも、殴る蹴るの戦いをISで行うものはいない。織斑一夏ですら、そんな戦い方はしない……そうパイロットは感じていた。
「だったら……!」
巨腕を無理やり振り回して、何とか相手の頭を掴めないかと試行錯誤し始めるパイロット。掴めれば、掴んでしまえばこちらの勝ちだからだ。
「くっ……この腕だけ警戒しすぎじゃね……!?」
パイロットにも理由は理解出来ている。掴まれてしまったら一撃でアウトな腕を、回避しない理由がない。それ以前に、この敵機はゴーレム共に来たのだ。その驚異は嫌という程理解出来ているだろう。
「はぁ、はぁ……!」
上から横から、巨腕を振り回してはその反動を使っての攻撃、その隙に腕を動かしてさらに追撃……それを繰り返していきながら、パイロットは敵機に攻撃をさせることは無かった。
「……はっ!」
「っと!」
セシリアの銃撃が、パイロットの頭のすぐ横を通って敵機にぶつかる。強力な攻撃が、敵機を後ろに無理やり飛ばす。ほんの少しだが、相手を怯ませることができていた。
「このまま……!」
「倒れなさい!!」
パイロットの巨腕が敵機の体を掴む。それと同時にセシリアの攻撃が、完全に敵機の頭を貫く。貫通精度を圧倒的に高めた一撃、偏向射撃とはまた違うあらたなブルーティアーズの一撃が、敵機の頭を貫いていたのだ。
だが、それでは終わらない……終わらせなかった。
「追撃だオラァァ!!」
巨腕から放たれる熱線が、完全に敵機を破壊する。無人機となると、頭の役割がカメラだけしかない可能性も考えられる。つまり、完全な破壊は無駄な攻撃では無い。
「はぁ、はぁ……っ! これで、破壊出来た……!」
「やりましたわね! 五十冬さん!!」
「……」
飛んで帰ろうとするパイロット。だが、ここでふと気づく。飛んだところですぐにエネルギーが切れてISが解除されてしまう事に。このまま歩いたところで、あまりエネルギーを消費していないブルーティアーズに追いつかれてしまうだろう。
だったら、やれることはただ一つだけである。
「はっ!」
残りのエネルギーを全て消費することで、今出せる最大威力の熱線を巨腕から放ち、地面から破片達を飛ばしてブルーティアーズへの目隠しとすることである。
「なっ!?」
土煙と破片、飛んできた破片を防ぐために偏向射撃によってある程度を撃ち落としていくセシリア。しかし、土煙はどうしようもない。それが晴れて無くなる頃には、彼女が探し求めてついに見つけた人物は……いなくなっているのだから。
side五十冬
「はぁ、はぁ……」
全力で開けた途端、下水道までの道が広がったようで助かった。偶然なのかはたまた必然か……その空けた穴に入った瞬間、落ちてきた瓦礫によって道が塞がったのだ。適当に歩きさえすれば……恐らくはどこかに出るだろう。とりあえず、IS学園から離れなければならない。
「……セシリア……」
なにを焦ったのか、何を戸惑っているのか。彼女は敵だ、道具だ、嫌いな対象だ。何を持ってして、私は彼女に正体がバレたくないと思ってしまったのか。
「……ちょっと、関わりすぎたかもね……」
IS戦の疲れがどっと押し寄せてくる。下水道で寝るなんていう愚行を犯す前に、何とかIS学園から圧倒的に離れた位置まで移動しないといけない……と、ここまで考えて気づいた。
どう足掻いても、マンホールから出るのは至難の業だ。破壊するのは目立つし、これは誰かに助けてもらわなければならない。けどどちらにしても目立つ。
「……まぁ、いいか」
一旦、どこかで休もう。下水道で寝るのは、衛生上まずいのだ。ただでさえ鉄の体、異臭と不衛生さと水分の塊の下水道では私の体はすぐにダメになってしまうだろう。
けど、やばい……疲れたから……寝そう……
「……こんな、とこで寝たら……風邪ひくどころじゃ、無い……」
なんかの病気にかかりかねないし、私自身死にかねない。けど死にたくない、死ねない……篠ノ之束に復讐するまでは、死ねない。
「……早く、事件解決して……私を布団で寝かせて欲しいよ……マライア……」
果たして、迎えに来れるかどうかは別として……どちらにせよ私の体が動かなくなってしまった。疲労のせいで、頭がまともに働かない。体もまともに働かない。
「……や、ば……」
そして私は、その一言だけを残して……その鉛のように重い瞼をゆっくりと下ろしていきながら……その意識も同時に手放していくのであった。
目を覚ました時私がどうなっているのか……その想像すらも、出来ないままに……
五十冬の見た目
-
黒髪ロング、胸はない
-
黒髪で肩までの長さ、胸はない
-
茶髪ロング、胸はない
-
茶髪で肩までの長さ、胸はない
-
なんでもいいけど眼鏡が欲しい