side楯無
「くっ……!」
ゴーレム、突然の襲撃……よりにもよって対ISを構築している機体との戦いなんて、私達は想像がついていなかった。
だが、それでも私はこの学園の生徒会長として守らなければならなかった。
「……最後の切り札、こっちにかけるしか……」
防御用に回しているナノマシンを、全て攻撃に転用する……諸刃の剣だけれど……あの固い装甲を砕くためには、やるしかない。今ここにいるのは私1人、だからやるしかない……そう思って私はミステリアスレディの武装の槍を構える。
『ミストルティンの槍』それが、諸刃の剣の名前である。それを発動させようとして……ふと、私は考える。
「……簪ちゃん……」
無事だろうか、とふと考えてしまう。けれど、考えるのは後に回す……じゃないと安全を確かめるよりも前に自分が死んでしまう。今はそういう戦いなのだ。
「だからこそ……!」
「
「っ!? 簪、ちゃん……!?」
私の妹、更識簪……彼女がISを纏って私の目の前に降りてきていた。私が知らない目……いつも何かに脅えているような態度と目線は、何がきっかけかは分からないけど、無くなっているようだった。
「止めてよ、まるで私が弱いみたい……ううん、実際に弱かったかもね」
「……無事でよかったわ」
「無事でよかったね」
冷淡に返されるけど、それでも心強いことには変わりなかった。けど、どこかおかしい……彼女の目は私を見ているけど
「ねぇ、お姉ちゃん」
「な、何?」
「2人でISの勝負しよっか……この後」
「え……? ゴーレムを倒してから、って事……?」
「うん……あぁ安心して、学園内に残ってるゴーレムはあれで最後だよ」
「最後……って……」
侵入してきた機体は合計7機、その内2機はゴーレムじゃないらしかったのだが……私の目の前にいるゴーレム以外、その2機と残りのゴーレムの反応が全て消えていた。どうやら本当に倒されているようだった。
「一機は私とマライア、違う機体も倒したよ。もう一機は織斑一夏と束博士の妹さんが相手してたみたいだけど、横槍を入れて私が倒した」
「3機……」
「今目の前にいる一機を除いて残り二機、一機は学園入口でもう一機は他の先輩が倒したみたいだよ」
「……どうやって」
「普通に、幾ら硬いとは言っても熱を通せば倒せる相手……こっちには、ゴーレムの装甲を溶かせる武装が備わってるんだもの」
いつの間にここまで強くなったのか、いくら強力な武装があったとしてもそれを使いこなせる腕が無ければ、無いのと同じである。つまり、私の妹はそれをちゃんと使いこなしてるということに……
「……じゃあ、一瞬で倒すから……ちゃんと見ててね?」
そう言って、私の妹は自分の前に……コンソールを出していた。パソコンのキーボードの様なそれを、まるで演奏するかのように簪ちゃんは叩いていく。
「ただ超高熱を発射したところで、ちゃんとかわされるのは分かってる……だから、動けないように……ちゃんと仕留める」
両肩にマウントされていた大きな砲口が、中に浮かぶように飛んでいき、高速で移動を開始する。ゴーレムは簪ちゃんに向かって真っ直ぐ飛び込んでくるが、簪ちゃんは熱線をそれぞれの方向から放っていた。
それはいとも簡単に回避されるけど、突然何かに当たったかのように熱線が反射するかのような……いや、何かにぶつけて角度を変えていると言った方が正しいだろうか。
「完全防御機構、本来私を守るために散布しているナノマシンだけど……放たれた熱線の角度を変えることが出来る。これでどんな所に飛ぼうとも絶対に当てられる……
1度や2度の反射では無い。まるで熱線そのものが追いかけているかのように動いていき、あっという間にゴーレムの装甲を焼いていた……そうして焼かれ溶かされたゴーレムは、そのコアだけを残してこの世から姿を消したのであった。
「簪ちゃん……」
「……どう? お姉ちゃんボロボロだけど……私のおかげで、それ以上の怪我をしなくて済んだでしょ?」
「……貴方、その装備をどこで……」
「どこって……日本だけど?」
「嘘よ、貴方がそこまでの装備を手に入れるのははっきり言って難しいはずよ」
「うん……私一人だけじゃあ難しかった……心優しい人から、貰ったの」
……嘘を言っているようには見えない、ううん。多分嘘は言ってない。心優しいっていうのは、簪ちゃんの主観だから除くとして……日本で手に入れたって言うのは嘘じゃないはず。けど、じゃあ……一体どうやって……ということに行き着いてしまう。そうなると、必然的に私は考えたくもない結論に行き着いてしまう。
「簪ちゃん……幾ら簪ちゃんと言えども……やっちゃあいけない事をやってるのだったら、私はあなたの敵になるかもしれないのよ?」
「いいよ? 仮にそうなったとして……じゃあどうするの? 楯無の家から追放?」
「追放だけで済めばいいでしょ……最悪、世界各国から追われる身になるのよ?」
「……うん、そうなったら困る。アニメ見れなくなるから」
困る理由が少し思うところはあるけど、私の言ったことに否定を入れない。けど、否定を入れないのが私の心を乱すためなのかは分からない。私は、こんな簡単なことさえも見破れないほど……妹の心が分からなかった。
「……けどさお姉ちゃん、そんなお姉ちゃんの言葉を誰が信じるの?」
「え……?」
「知らない訳じゃないんでしょ? お姉ちゃんがロシアから代表の座を剥奪されたこと……あぁでも、表向きはまだ代表生のままだっけ?」
くすくすと笑う簪ちゃん。その笑みは、私たちが昔一緒にいた時の簪ちゃんの笑顔じゃなかった。
「……ねぇお姉ちゃん、私ね……お姉ちゃんを含めて更識の家が大っ嫌いなの」
「いきなり、何を……」
「お姉ちゃんが嫌いなのは、前から知ってるでしょ? でも、私は更識家が大っ嫌いなの。今すぐにでも滅ぼしていいなら、滅ぼしたいくらい」
「そんな……」
好きではないのは分かっていた。何だったら、大っ嫌いと言うことでも私は違和感を覚えなかっただろう。しかし、彼女は言ったのだ。『滅ぼしたい』と。
「嫌いだよ、実力があるからと言っていばり散らして、娘のレールを勝手に決めようとするあの家自身が」
「……だからと言って、テロリストに手を貸すなんて……」
「世界が間違ってるから、テロリズムがおかしく見える。世界を正そうとする動きがあってもおかしくないんじゃないの?」
「っ……」
これで、簪ちゃんがテロリストに手を貸したのはほぼ事実と言っても過言では無いだろう。考えたくなかった、考えるわけもなかった……けれど、ならばこそ……止めなければならない。
「……私が貴方を止める」
「……いいよ? けど……お姉ちゃんがもし負けたら……生徒会長の椅子は貰うからね」
「絶対に勝つ」
それが、姉の私が唯一できることなのだから━━━
sideマライア
「山田先生! こっちもけが人はいないです!」
「ありがとうございます! では次はこちらに……!」
今私は、1組の山田先生と共に救助者が居ないかを確認しあっていた。まぁ、はっきり言えば私が山田先生を連れ出したんだけど……救助者がいるとは思えない。それでも連れ出した。心配なのでは無い、これから起こることのために、山田先生を利用させてもらうためである。
「……あれ?」
「どうしました?」
「山田先生、ここに何かあります!」
手を突っ込んで、私はそこから謎の機械を取り出す……はっきり言わせてもらうが、こんな所に機械なんて置いてあるわけがない。予め仕込んでいたわけでもなく、上半身を突っ込んでから服からそれを取り出して、そして手に持つ。
「何があったんですか?」
「これなんですけど……」
「これって……」
「……何でしょう?」
分からないフリをするが、私自身はちゃんと理解している。今山田先生に渡したのは、盗聴器だ。しかし、流石にここで教師をやっている山田先生ならば分かるはずである。
「……一旦こちらは預かります」
「分かりました……それと、ここにも怪我人などはいないみたいです」
「分かりました、では次に行きましょうか」
そう言って、私達は新たな場所へ向かう。
さて、なぜ盗聴器を渡したのか……という話だけど……今IS学園にはゴーレムとその他2機のISのコアがある。どこかの国が寄越したものでなければ、おそらく新造されたISのコアかもしれない……そうなると、そのISのコアを巡って戦争が起きかねない。だったら、IS学園で保存しておいた方がいいのは簡単な話である。
ま、それは報告しないで……そのまま黙って持っておく可能性もあるけれど。もし黙ってコアを回収したままにしたら……色んな国にボイスデータ流しちゃおうかなって。
ま、この盗聴器も……ちょっと複雑なものにしてあるんだけどね。さて、どうなるかな……
side?
「……全部で回収出来たコアは7つ、つまり全てです……どうしますか?」
IS学園地下特別区格……教師ですら一部の人間しか知らない場所である。そこで山田真耶はコアの解析をしていた。結果としてだが、コアは全て回収が終わっていた。
そして、その場には織斑千冬がいた。
「政府には全て破壊したと伝えろ」
「で、ですがそれでは……」
「考えてもみろ、不要な争いの種になる……ないと伝えるほうが無難だ」
正論である。しかし、ISのコアの隠蔽ということはそれはつまりIS学園を危険に晒すということでもある。
「何……いざとなったら私が守るさ、学園の一つや二つな」
「……はい……あ、それと……これを」
真耶は、とある写真を千冬に見せていた。それはマライアから預かった盗聴器だった。
「これは……盗聴器か?」
「はい、マライアさんから預かったものです……今は破壊したものを別室に移していますが、報告を」
「そうか……しかし、盗聴器を素直に渡すとは思えんが……」
「それは私も思いました……」
「……なにか企んでるのかもしれない、壊して正解だな」
そう、盗聴器だと分かったら先ず壊すことが優先である。だからこそ真耶は地下特別区画から離れた場所で、破壊を決行したのだ。実際、バラバラになった破片を真耶は見ていた。確認もした。だからこそ、その破片をチリひとつ抜けることが出来ないような場所に今現在は保管している。
だが、真耶は……否、2人は全く予想していなかった。破壊を行うよりも以前に、
sideマライア
打鉄越式の完全防御機構……ナノマシンを使った防御システムだけど、そのナノマシンは一体どこから来たのか? 簡単な話、作ったのだ。私が、自分で。
その9割を一旦は簪に渡した。実際、9割もあれば稼働に十分だと判断したためだ……だが、残った1割はどうなったか? ナノマシンというのは、命令さえ与えればどんな形にも変身する。そう、どんな形にも、だ。
「ちゃんと聞こえてましたよ、山田先生〜」
「ふふ、ナノマシンなんて作ったの初めてだったけど……生徒会長さまさま……かな……いい見本を手に入れたよ、ほんと」
水を操る、攻撃を弾く、そして物への変身……ナノマシンは本当に可能性の塊である。ま、単調な命令しか出来ないのが玉に瑕だけど……
さて、このボイスデータ……各国のお偉いさんに流してみようかな……なんてね……
個人的な事情によりこの時間の投稿です
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい