さて、今日はセシリアと織斑君の決闘の日である。セシリアが使うは遠距離狙撃型専用IS、ブルー・ティアーズ対して織斑君のは……やはり専用機、けど武装が見たところ1本しかない。どういうISなのだろうか?
「では、これより織斑一夏とセシリア・オルコットの試合を始めます」
「……ん?」
よく見たら、観客席でない場所で篠ノ之箒が何やら真剣な顔で試合を見ていた。
ちょうど良かったので、私は彼女の近くにこっそりと忍び寄って、そして後ろを取った。
「……鬼村か」
「覚えててくれたんだね、ありがとう篠ノ之さん」
「いや……別に…」
「ねぇ、この試合どっちが勝つと思う?」
「……」
少しこちらを向いて、彼女はムッとしてしまった。意地悪な質問だっただろうか?ただ予想するだけならば、彼女は幼馴染の織斑一夏に賭けても何もおかしくは……と、ここまで思ったところで私は彼女が睨んだ理由が別にあると判断した。
「……
「そりゃあ、勿論…
「……何?」
「別に同室だからって、私はセシリアの肩を盲目的に持つわけじゃないよ。友達だからって、狂信的なまでに好きって訳でもないよ」
「……」
「けど、技術並びにISの性能で言えばセシリアは専用機なのだから当然トップクラス……そんな彼女が負けるって言うのは私はあんまり思いつかないかな」
「では、結局オルコットの肩を持つと?」
「話は最後まで聞くべきだよ〜」
私の台詞にイラついているのがよくわかる。私の言葉に真実がないことを見抜いているのか、それとも単純に喋り方にイラついているだけなのか。どちらかは分からないが、恐らく前者な気がする……篠ノ之箒はそういう人物なのだと、私は思っている。
「でもね、情報で言えば織斑君のISは未知数極まりないよ。どれだけシミュレーションしようが、全くの未知のものは想像できないんだもの」
「……」
「だから、セシリアは警戒しないといけない。けど警戒し過ぎもいけない……適度に警戒していきながら、自分の戦い方の理想ができるようにしないといけない」
「それが出来ているからこそ、専用機に選ばれたのでは?」
「そんなの、分からないよ?どれだけ技術を磨いていても……感情論1つで壊れてしまうような人だっている。そして、セシリアは今織斑君が専用機持ちだと言うことと、男そのものという事に怒りを、憤りを感じている」
私と箒の会話は続く。セシリアと織斑君が戦っている横で、軽い舌戦が行われている。
「随分と、彼女のことを知っているのだな……入学してからまだそれほど時間が経っていない筈だが?」
「分かるよ……分かるんだよ。男嫌い…ううん、男を見下している女の目っていうのが私にはわかるんだよ」
「それはまた……随分と局所的だな?」
「局所的?ううん、今のご時世…最低でも小学生になってからなら、誰でも持ってると思うよ。この私も……貴方も含めて」
「━━━私も、だと?」
私の一言で、箒が動揺しているのがわかった。ついつい喋りすぎてしまったようだが、結果は分かりきっている。試合というのは、相手を舐めた時点で舐めた者が倒されて終わる。
そう、セシリアが負けるというのが私にはわかるのだ。
「うん、貴方も男を見下している……織斑君の事をさ『守ってやらないと』『私しかいないから』とか思ったことない?」
「それは━━━」
「思い当たる節、あるよね?それに、同じクラス……ううん…この学校の殆どが差別してるよ。どれだけ織斑君の事をいい感情で見ていても、育った環境で培われた無意識の物は、絶対に消えないんだから」
「……自分は、そんな環境にいなかったと?」
「ううん、寧ろ私は多分貴方達よりそういった環境にいるよ……けど、そういった所から見えることもあるんだよ」
私の目は、箒を捉える。箒の目も、私を捉えている。まるで箒は蛇に睨まれた蛙の様だった。
「……どんな、事だ?」
「………今は、秘密だよ。でもそのうち分かるよ……私の言っていたことがどんな意味なのか、どんな理由だったのか……って言うのがね」
箒の動悸が激しくなっていた。呼吸も少しだけ荒くなっていた。周りの環境音と外されたかのような、そんな雰囲気を纏わせていた私たちの会話は、これで終わりを迎えたのであった。
さて、織斑君のISの紹介をしよう。私は彼が発進した後に、彼が先程から居た場所にいた。ロボットアニメなどでよく見る、発進する場所のような……まぁそんな場所である。
そこに、元々箒がいた……恐らく話し合っていたのだろう。来た時には試合は既に始まっていて、少し進行してしまっていた。
彼のISは、白い機体である。そして、武装は恐らく刀のような武器が1本……なのだが、どうにも腑に落ちない。
「ねぇ、篠ノ之さん…織斑君って、IS動かすの慣れてるの?」
「……起動したのは2回、まともに動かしたのは今回が初めてだ」
なんということだろう。織斑一夏もまた天才の類だったようだ……とは言っても、あの織斑千冬の弟なのだから天才であっても何らおかしいとは思わないが。
しかし、それにしても━━━
「彼のIS、やけに……」
「……どうした?」
「……ううん、気の所為かも」
織斑君は、最初こそセシリアのスナイプに連続でヒットしていたが、その内あっちこっちに飛び回って攻撃を避けるようになっていた。
しかし、この戦いはISのエネルギー残量が切れた方の負け……ただ逃げるだけでは、到底勝ち目はないだろう。
「……あれが、オルコットの…」
「ブルー・ティアーズの兵装……遠隔操作出来る射撃装置と言ったところかな?」
ビットなりファンネルなり、色々な言い方こそあると思うが彼女の使う兵装は軒並み遠距離装備のようだ。ミサイルに遠隔操作射撃装置、そしてスナイパーライフル。
1度でも間合いを取られれば、取り返すのは難しいだろう。
「……一夏…!」
「……」
セシリアのファンネルから打ち出される光線を避けながら、織斑君は的確に一つずつ落としていく。
本格的に、才能がありすぎる彼の動き方に私は少し……嫌悪を抱いていた。結局、彼もまた才能によってISを動かしているようなものなのだろうか、と。凡庸な一般人が、ISを使わされるという……そういったことは、無かったのだ。
「……お?」
『へへ、分かったぜ…!』
どうやら、織斑君はその『天才的な才能』でセシリアの弱点を理解したようだ。
セシリアのファンネルは4基、しかし彼女はそれを動かしている間他の攻撃を一切していないのだ。つまり、ファンネルさえ落としてしまえば、後はスナイパーライフルをかわすだけ……
「……んなわけないじゃん」
「……鬼村?」
「ねぇ篠ノ之さん…彼って調子に乗る時ってあったりする?」
「どうした?急に……」
「えっと……『セシリアのファンネル』が『動いてる時』に『他の攻撃が出来ない』なんて……『わかりやすい隙』に気づいてないのかなって」
「なっ……」
驚く表情になる箒。いや、何故そこで驚かれるのかが私にはわからない。そもそも、セシリア……いや、ブルー・ティアーズには目立った近接武器はないのだ。
しかし、近接武器を相手取る時もある……そういった時、一体どんな手段が必要になるか?それは、いかに相手の予想を外れるかということである。
一言言おう……決闘が始まってから今の今まで、セシリアはミサイルの装備を使っていない。
『━━━かかりましたわね』
『なっ…!』
『4基だけではないですわ!!』
ファンネルは4基、そして4基全てを破壊した織斑君は真っ直ぐセシリアに突っ込んでいく。
だが、それを狙っていたセシリアは……織斑君にミサイルを叩き込んだ。不意の一撃だ、避けようがない……そして今ので決着が着いた……と私はそう思っていた。
「一夏!!」
「ほらね、だからこう…なって……」
しかし、爆煙の中から現れたのは形の変わった……例えて言うのならば、殻を破ったかのような…見た目が一回り大きくなり、そして白から純白へと変貌を遂げていた彼のISがそこにあった。
『貴方…初期設定で……!』
セシリアの驚いた声が響く。それは、私も同じである。初期設定で戦っていたこともそうだが、何故そこまでの運を持ち合わせていたのか。
「……これだから、あの女は…!」
「……鬼村?」
「……私、戻るね」
そう言って、私は踵を返して試合を見るのを辞めた。結局、試合はセシリアが勝ったらしい。
どうやらいい所まで追い詰めたらしいが、最後の最後に彼の武装の刀の能力、バリア無視のせいで残量エネルギー全てを使い果たしてしまったらしい。
なんともアホな結末である。それを聞いた私は、そう思いながらセシリアを迎えに行くのであった。
「この、気持ち…」
「セシリアー…いるー?」
「あ……い、五十冬さん……」
「……どうしたの?そんな顔して…」
「い、いえ……ちょっと、思うところが合ったというか…」
シャワー室で、セシリアはシャワーを浴びていた。迎えに来たのはいいけど、どうしてか妙に様子がおかしかった。
どこかぼーっとしているような……そんな風に見受けられる。
「……体の調子、悪い?」
「……悪い、のでしょうか…清々しいにも似たような気持ちを……」
セシリアは、やはりぼーっとしているようだ。一体何があったというのだろうか?しかし、それを知っているのはセシリアだけでありそれを私が知る術はない。聞いたところではぐらかされるか、正直にわからないと言われるかの二択だろう。
ならば、今は聞かないのが得策である。どちらにしても、セシリアに自分の今の感情が理解出来ているとは思えない。
「……疲れてるだろうし、今日はもう休もう?明日からも授業はあるんだから」
「……そうですわね、ありがとうございます五十冬さん」
私はとりあえず、一旦セシリアから離れる。そして、わざわざ人気のない場所まで移動を行っていた。
それは、とある人物と通信がしたいからだ。私の保護者扱い……入学時にはいなかったが、一応はそうなっている……組織のS。
「……こんな時間に電話だなんて、ごめんね?」
Sは問題ないと語る。というか、この声は少しだけ加工しているのだろうか?何らかの作戦の妨げにならないように、同一人物とならないように事細かく声は変えているのは知っていたが……
「でも、見てくれた?私の送ったもの……凄いよね、IS学園ってあんなに施設が多いんだもの」
私とSは、他愛のない話を行い続けていく……表面上は、だが。私もSも、本当に話したいことは文章の前半において会話をしている。後半から喋っているのは、全く関係の無い独り言なのだ。
というか親に写真を送るのだけは、どうやらOKらしい。別段、機密事項まみれという訳では無いようだから。
「うん、うん……そういえば今日ね━━━」
と、ここまで語ったところでSに停められた。今日はもう夜遅いから早く寝ろ……と言っているが、恐らく別の理由だろう。恐らく、盗聴されている可能性も考慮して、だろうか?
そもそも私が掛けるのはSが通信OKな時だけである。今彼女がどこにいるのかは、全く知らない。
「……わかった、うんおやすみなさい」
そう言って電話を切る。さて、日曜日に送ったデータ…ブルー・ティアーズのものを向こうはどう処理するのか?私はそれを考えながら、部屋に戻って明日のために眠りにつくのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい