「……日曜日、また出かけたいの?」
織斑一夏と対決して、セシリアが勝った次の晩の事。突然セシリアがそのようなことを言い始めた。
いや、それは私としては別に問題は無いのだが、なぜ急にそのようなことを言い出したのだろう。
「え、えぇ……あの時は、その…よく分からなかったというか…何も覚えていないまま、帰ってきてしまったので……」
「……あー、そう言えばそうだったよね」
実は散々陵辱されているのだが、そのことは伏せておく。しかし、こうは言っているが恐らく別の理由も混じっているだろう。
変わった理由……少なくとも、織斑一夏という男と戦わなかったらこうはなっていなかっただろう。あの時、彼女達2人でなにか喋っていたように思えるが、あくまでも時折聞こえてくるのを聞いていただけなので、真相はわからない。
「……それで?同じ場所でいいの?」
「は、はい……次は、何も頼みませんわ」
あの時飲んだ水のことを警戒しているのだろうか?しかし、それならそれでやることが少し変わるだけである。
「……ねぇ、セシリア」
「…?なんですの?」
「織斑君のことどう思ってるの?」
「きゅ、急に何を!?」
「あぁいや……何か、決闘したあの日から明らかに様子が変わってたし…織斑君の見る目も変わったかのような気がするし……」
正直に、私はセシリアに尋ねる。どうやら思い当たる節があるのか、セシリアは目を泳がせているだけであり、否定をしなかった。やはり、彼との戦いで何かがあったのだろう。
「……私、彼に怒られましたの」
「……怒られた?決闘の日時を決めた日でも、織斑君はセシリアにキレてたし逆のパターンでもそうだったじゃない」
「そうじゃなくて……あぁ、私も言葉にするのが少し難しいですわ…」
「無理そうならいいよ。けど、嫌な思いをさせられてたら言ってね?」
「は、はい……」
さすがにもう夜なので聞きに行くことは出来ない。明日聞くにしても、聞き方の問題などがあるため、そこも考慮しておかねばならない。何故ならば、セシリアの都合は織斑一夏という男には全く無意味なのだから。
「さ、今日はもう寝よう?」
「あ、あの……」
「何、どうしたの?」
「……い、一緒に…」
どうやら、一緒に寝たいらしい。そういう所を前面に押し出していけば、私の毒牙にかからずに済んだというのに……しかし、同室になった時点で手を出していた可能性もあったので、どっちにしても……と言うやつだろう。
「……あ、そう言えば知ってますか?五十冬さん」
「ん、何?」
「2組に転校生が来る……なんて噂が今立っているんです」
2組、隣のクラスである。たったそれだけ……なのだが、転校生となるとやはり専用機持ちなのだろうか?そこら辺もちゃんと確かめねばならない。
「もし本当に来るんだったら、私たちと良いお友達になれそうだね」
「そ、そうですわね」
友達?こちらとかかわり合いになることがないのならば、わざわざなりに来ることもないだろう。向こうが友達100人を作ろうとしているのならばともかく、そんなことを望んでいる高校生などそうはいない。
私はそう考えているのだから。
そして、次の日の朝。私とセシリアは授業に出席していた。相も変わらず背が比較的低く、かつ胸が大きい山田先生の授業を聞きながら別のことを考えていた。
「……」
それは、織斑一夏の事である。とは言ったものの、絆されたセシリアや、恐らく惚れているであろう篠ノ之箒のようなものでは無い。ただ、彼がどう言った人間なのか……少し知っておいてもおかしくないからだ。
私が一番いいと思えるのは、彼が『モテる男』だった場合である。その場合、私が彼と恋人的な意味で付き合うことが出来たら……私の計画が大幅に縮められると思ったのだ。
とは言っても、彼と付き合うというのは少しばかり苦痛……いや、かなり苦痛になりそうな気がするが。
「では、この問題を鬼村さんお願いします」
「はい」
さて、山田先生に当てられたのでいくとしよう。ちゃんと問題は考えながら聞いていたし、答えももちろん分かっている。私は何事もなく回答を示し、そして山田先生に褒められながら席に着席する。
……山田先生のようなギャップのある女性はとても男ウケするだろう、と彼女の谷間を少しだけ注視しながら私はそう思ったのであった。
「あれ?山田先生ー、鬼村さんはー?」
「今日は午後からお休みです、体の都合で定期的に病院に通うんですが、今日がその日なんです」
恐らく学校では、そのような話をしてるだろう。私は、今この時だけはIS学園の生徒ではなかった。
午後から授業を休んでいる……と言っても、向こうには体の都合による定期検診だと伝えてある。その事自体は本当だ、実際私の体は定期的なメンテが必要なのだ。
「……にしても、学校を一々休まなくてもいいんじゃないの?」
「こういう時こそ、素を出していたいのよ……」
私の担当の女医……もちろん、亡国機業に属しているブラック面ズブズブのドがつくほどのアウトな医者だが……そんな彼女が、珍しく私のやることに口を出していた。
「私の体は、貴方にしか見られない……Sの体も、Sの体の担当の人しか見れないのと同じようにね」
「S、ねぇ……いい加減呼んであげたら?スコ━━━」
「はいストップ、やること先やって……」
「はいはい……で?定期検診だけ?なんか追加する?冷蔵庫機能とか便利よ?」
「私の体で遊ばないでくれる?」
「自分の体を殺す事特化にしてる時点で説得力ないけど?」
私は彼女を睨みつける、彼女は私に笑みを向ける。ダメだ、やはり私は彼女とどうしても相容れない。腕は確かだが、マッドサイエンティストな部分と人を煽ることに関しての才能に特化しすぎているせいで、性格ははっきりいってゴミである。
本人にも言ったが、『いやぁ、言われると気持ちよくなるんでやめてください』と言われたのでそれ以降言わないようにするくらいには、合わない。
「……特に追加はない。それに言ったでしょ?私のISと合わせるなら、私の今のこの体のままがいい」
「IS、ISねぇ……」
「……何?」
「
「……私が言いたいのだから、言わせて欲しいのだけど?それすら許さないってこと?」
「おっと?おこなの?まぁまぁ1回落ち着きなって……実際、あれはIS学園で使われているような代物じゃない、非人道的にも程がある…そんな兵器だよ、ISなんて言うスポーツ道具と比べたらね」
彼女が珍しく真顔になる。確かに、言われれば非人道的だろう。あれは中々使いたくない代物ではある。
機能だけならば、待機モードでも使えるが……
「ま、今は我慢しとく事ね。他の専用機持ちのISのデータを何としてでも集めて欲しいわけよ」
「はいはい……私の奴がそれで強化されるなら……いくらでも…って、何機までコピーすればいいの?」
「んー……今1機目だから…後7人くらい?」
「多っ……!?」
幾ら何でも7人は多すぎではないだろうか?しかし、それくらい溜めないといけないというのならば、何とかして増やさなければならない。セシリア以外…となると、上級生も狙わないといけないだろうか?
それと、織斑一夏のISも何とかしてデータを取らないと……
「あ、そう言えばさ。ひとつ聞いていい?」
「……何?」
「織斑一夏ってどんな子?イケメンなら攫ってきてよ〜、何で男なのにISを動かせるのか気になる━━━」
「篠ノ之束の依怙贔屓」
言い切る前に、私がばっさりと切り捨てる。先程まで、キャピキャピという擬音が似合いそうな程に笑顔だった彼女が、すぐさま真顔になる。
「まーだ言ってるの?幾ら篠ノ之束が天才と言っても、1個人が触れるかどうかわからない物を動かせるようにしておいたって……運命でも操ったとでも?」
「そもそも、篠ノ之束は織斑千冬と仲が良かった。そして、その束は妹の篠ノ之箒と織斑一夏のコトも大層気に入っていた……だったら、そんな事いくらでもしてのけるでしょ」
「嫌ってる割には、彼女の評価高いよね」
「嫌っているからと言って……正当な評価も下せないようじゃ勝てるわけがない」
事実、ISのコア…その存在は篠ノ之束によって作られて、彼女以外未だに作り方もろくに知らない、そして解明すらも出来ていない代物なのだ。そんな物を作り出せている時点で、1個人の認証を例外にすることなど容易いだろう。
もしくは、ISのハッキング……そんなことも考えられるし、それ以前のところで暗躍している可能性もある。例えば、受験会場のデータをいじってIS学園と、元々彼が受けようとしていた学園の場所を同じにする……など。
「ふーん……」
「……まぁ、はっきり言ってしまえば…彼女の頭の良さは異常だから過大評価でもなんでもしてないといけない」
「……そんな彼女が、今内にスカウトされるかもしれないって話を聞いたけど?」
「……どこ情報?」
「貴方のだーいすきな、彼女から」
わざわざそういった言い方をするあたり、Sの事を言っているのだろう。しかし、ここで反応すれば話の腰を折られるのは明白である。
「……そう、でも関係ない」
「え、いいの?敵対するかもしれないのに?」
「そもそもここはそういう所でしょ?それぞれの目的の為に動く…だから目的はバラバラだし、食い違いなんていつも起こる」
「ふーん……因みに、貴方は彼女に八つ当たりの復讐をしてどうするの?」
「……は?」
私は彼女の質問の意図が理解出来ていなかった。復讐にする理由なんて必要なのだろうか?いや、するからには理由はいるのだろうが、彼女の言っていることは復讐する必要性というか……明らかに、理由以外の何かを問いただしていた様に聞こえたのだ。
「復讐をして…って、貴方の言った通り八つ当たりだけど?」
「……いやいや、その後」
「その後…?」
「まぁ何らかの原因で篠ノ之束を倒しましたー……ってして、その後何を望んでるの?別に何も無いってんならそれでいいけど?」
「……そもそも、私と同じ立場に落とすことしか考えて…」
ふと、私に新たな考えがよぎった。新たな考えというか…復讐の後のことが、今思いついたのである。
「何?なんか思いついた?」
「ねぇ、仮に篠ノ之束の痴態を全世界に放送したらどうなると思う?」
「へ?そりゃあ……まぁ、混乱するよね。ISの発明者が潰されて…映像だけで信じて貰えるとは思わないけど」
「そうだよね……じゃあ、篠ノ之束の力を使ってISを使用不能…または男だけにしか使えないようにしたら?」
「……いやいや、それこそ全世界混乱でしょ。ISを導入してる軍隊は完全に麻痺して……今の女性の立場も、無くなる…?」
そう、鬱憤が溜まっている……男達は大変鬱憤が溜まっている。今はISがあると言うだけのアドバンテージで、女性達の立場が許されている。
じゃあ、そこからISを抜いて……男達に渡したら?簡単に女尊男卑は崩れ、男尊女卑の世界となる。それだけならばまだいいが、恐らく女性に対しての暴行が黙認される……最悪、殺害しても許される。そこまで行くだろう。息子が母親を殺し、年頃の娘に父親が襲いかかる。
本来ならば犯罪レベルの事も、男と女という立場が絡むものであれば、今と同じ状態になるまでには黙認される……いや、下手すればそれ以上か。
「楽しいよね、そんな世界になればどうなるか…」
「いやぁ、私らにとっちゃあ世界が混沌としてくれるだけで願ったり叶ったりだけど……」
「ふふ…そうだ。私は復讐のあとは男に就く女になろう……幸い、ここに入る前のコネ自体は生きてるんだし……」
「……その男達も、見境なくあんたを襲うかもしれないのに?」
「……その時はその時。そもそも、人殺しでもない人達を無差別に殺してるんだから、人生の終わりは碌でもないものになるに決まってる」
「……ま、その時は私はどこか遠くにトンズラするかな…ここも危ないだろうし 」
「ふふ、そうだね」
さて、関係ない人と自分を全て巻き込んだこの自害ショーの結果はどうなるのか……私自身、すこぶる気になるのであった。
五十冬の担当女医はオリキャラです、名前は特に考えてません。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい