「んー……」
「五十冬、仕事……」
「終わったよぉ、資料整理終わったよぉ……」
「ならいい」
五十冬は今生徒会室でグーたらしていた。頼まれた仕事が全部終わったためである。今の彼女は、何故かなんでも出来る気がしてしょうがなかった。少し話は遡るが……彼女が復学してからの事としていくつか説明するところがある。
まず1つ目、五十冬は1組に復帰した。そして政府から派遣されてたり亡国機業から派遣された人が教師になったりしてる。面倒臭いのかオータムは来ていないが、スコールはいる。
2つ目、生徒会が完全に機能し始めたことで生徒会が仕事を出来ている部分を見せているおかげか、思いのほか好感度は悪くないというところである。
3つ目、それでも好かれていない生徒達から……よく狙われているという事である。主に、裏切り者である五十冬、フォルテ、レインの3人だけだが。
「……それにしても、見事にIS学園を乗っ取ったのね……貴方達」
「生徒会メンバーの全員が亡国機業、さらに今のところ学園で1番強い位置にいるのも亡国機業メンバー……もう実質亡国機業学園では? FT学園とでも名前変える?」
「まぁそれは後にしておくとしても……」
「……ちょっといいっすか?」
「なんだ、お前が意見すんのか?」
フォルテが生真面目に手を上げるが、それをレインが茶化す。少しだけ顔を赤くするフォルテだったが、すぐに他のメンバーに顔を向ける。
「……不穏分子、どうするつもりっすか?」
「不穏分子って言ってもね……まず今のこの学園の派閥は分かってる?」
「派閥? んだ、そんなのが出来てんのか?」
「先輩なのに、この学園への興味の何なんだろうか……」
マライアがレインに呆れている間に、五十冬がどこからか取り出したホワイトボードに色々と書き込んでいく。
「まず第1派閥、これは2年に7割くらいだけど……『更識楯無派』」
「何だよ、あの女この学園にもう居ないんだろ?」
「……うん、私が……処理した」
レインの感想に、簪が簡単に返事を返す。少し間を置いてから、再び五十冬が説明を続けていく。
「次に……1年1組、このクラスは『織斑姉弟派』」
「織斑一夏と、姉の織斑千冬の派閥ってことか。しかし意外だな、織斑千冬はもっと人気だと思ってたんだが?」
「それは2組が関係してる……2組は『マライア派』」
「まぁ私が色々と言いまくって増やしました!」
「因みにマライア派は1組以外のクラスには大体1人か2人はいるよ」
「これも私の話術のおかげですよお姉様ァ!!」
2人のやり取りを少し眺めながら、レインは呆れていた。一体何をいえばひとつの学年の殆どを掌握しかねない勢いなのか。うっかり話さないようにだけ、レインは心に決めておくのであった。
「そしてこれが大半……『生徒会派』」
「えっ!? この生徒会全生徒の約半分に好かれてんの!?」
五十冬が、ありえないと言わんばかりに大声を出す。仕事はしている、織斑一夏は独占しない、突然ルールを変えたりしない、本人の意思が関与して居ないことはしない。
とまぁ、細かいがこれらの事をしていなかった今の生徒会が好かれていない訳でも無いのだ。
「確かにそうっすね、大半が生徒会派だなんて……」
「……言っておくけど、生徒会派って大きな括りの中にある1つだから」
「つまり、生徒会派アンチがさっきまでいってたことってことか。あれ? マライアもアンチ側なの?」
「……ううん、ただ賛成派って訳でもない人もそれなりにいるから別枠にした」
「なるほど、そういう感じね」
要するに賛成派でも反対派でも無い位置なのだろう。それでも半分は元々賛成派なので問題は無いのかもしれないが。
「……因みに、それぞれの人達はちゃんとクラスを見張っておいて欲しい」
「見張ってて欲しいって言うのは?」
「いつ反旗を翻されるか分からないし、それで授業ほとんどなくなるってなったら嫌でしょ?」
「私は別に……」
面倒臭いのが嫌いな五十冬は、目を逸らして会話をしていた。彼女からしてみたら、学園はイチャつく場所であり勉強をする場所ではないと五十冬はそう考えていた。そして、それを簪はジト目で見ていた。
「おっと、簪が嫉妬の恨みを私に押し付けてきたな……大丈夫大丈夫、後でみんな可愛がってやるからな」
「うわぁ、低音ボイス出していかにもそれっぽくしてるっすよこの後輩」
「いいじゃねぇか別に」
「さて……まぁまだまだやりたいことはあるけど……ちょっと、政府から頼まれてることがあるの」
簪が数枚の紙が綴じられているファイルを全員に渡す。全員が気になって中を覗き始めて……そこから簪が、とあることを騙り始める。それは、学園にとっては最悪……政府にとっては最高の案件なのであった。
「……『生徒会五番勝負』ねぇ……?」
「これで不穏分子をあぶりだして欲しい……だって」
「まぁ、私たちの行為が気に入らないってことは……要するに世界的に正しいってことですから」
「マライア離して動けない」
マライアに抱きつかれながらも、五十冬は簪と会話を続ける。要するに、生徒会の5人と戦う勝ち抜き戦のようなものが現在制度として作られているらしい。
「意義の申し立て、形式的にはそれを学園から政府に送って受理されれば5人勝負……それで勝ち抜けれた場合、望みを一つだけ叶えられる……というものである……ねぇ?」
「まぁでも、ここでお姉様の気に入らない奴らを倒すのもいいんじゃないですか?」
「こっちが負けた場合のリスクはともかくとして……あっちが負けた場合のリスクは?」
「生徒会側で自由に決めて欲しい……らしい」
「なんと豪胆……とは思ったけど、政府的には厄介なのを同時に2人処理できる方法ではあるわけだな」
「なるほどっすね」
5人を突破するのは相当な実力がなければ出来ない、そしてどちらが負けても政府にとってはメリットでしかない、ならばその方法を取るのは当たり前と言えよう。
「で……その餌に食いついたバカが既に2人いる訳だが」
そう言って、グラウンドにいるのはラウラとシャルロットの2人。この報をした際に直ぐに送ってきたのだ。この2人、レインとフォルテの二人はわからない案件なのだが、要するにどちらも五十冬に過去に好き勝手されたことがある。それに加えて、どちらも警戒しているのだ。五十冬が一夏に手を出すのではないかと。無論、恋愛的な意味ではなく殺害的な意味であるが。
「試合はいつ?」
「明日」
「早っ!!」
「この制度がすぐに使われることになって、政府もウキウキって事っすねぇ」
「んで? どうすんだ? 2人同時に試合すんのか?」
レインが五十冬に向かって尋ねる。今の五十冬は2人同時でも問題ないと簪や他の生徒会メンバーもそう思持っているが、やはり少しの不安はあるのだ。レインとフォルテは自分達が誰も相手したくないだけなのだが。
「はい、いくら強化されてるとはいえ……今の五十冬だったら勝てるはずです」
「簪ちゃんからの信頼が分厚すぎて怖い、辞書3冊くらいの分厚さありそう」
そう茶化す五十冬だったが、高速で移動つつ弾幕を使って相手を撹乱するシャルロット。そして一瞬の隙を狙ってラウラが超電磁砲で相手を撃ち抜く、正しく攻防一体のコンビと言えよう。
「まあ、自分達よりかはコンビネーションは下っすけどね」
「お前は妙に対抗意識燃やすなよ、当たり前のことを言ってるとそれが当たり前にならなくなっちまうからな」
「先輩……」
「あー、はいはいイチャイチャしないで」
2人のやり取りを確認しながら、五十冬は呆れた表情を浮かべる。しかし、この制度でふと思ったことが彼女にはあった。
「そう言えば、これ炙り出すためとはいえ……ある程度やってたらみんな諦めそうなもんだけど……」
「まぁ、対抗勢力を無くすのが目的な訳だし……政府からしたら、万々歳……」
「言われてみれば確かにその通りだ」
要するに、どう転んでも政府には旨みしかないわけである。仮に生徒が生徒会全員倒した場合は単純にリスクを背負ってるとも言えなくもないが。
「ま、私はもっと面白い案件を出せるからいいけど」
「……面白い、案件?」
「あの二人にだけ通じる逸品って事かな」
「……あぁ、なるほど」
マライアと簪は通じたのか、納得してい様子を見せていたが、レインとフォルテはなんのことだかわからずに首を傾げていた。この2人には後で説明するつもりだったので、五十冬はこのタイミングでの説明を無視という形にすることにより、スムーズにやりたいことの説明を行おうとしていた。
「とりあえず、向こうが負けたら……もう顔を出せなくなるくらいやっばいことしてあげるしね」
「……何するつもり?」
「まだ深くは考えてないの、ごみんに」
「……まぁ、いいけど」
五十冬のこの態度はいつもの事なので、簪はそのまま仕事を続けることにしたのであった。
「……君達を倒して、織斑先生達を取り返す……!」
「おいおい、自業自得なのに何言ってんの……先生達も捕まったの言っとくけど私そこまで関与してないからね?」
「つまり、関係はあるということだな!」
「話聞いてよ格闘ゲームのキャラかなにかかよ」
翌日、シャルロットとラウラの2人は五十冬と相対していた。2人の目は過去に五十冬に怯えていた目ではない。
絶対に勝つという意志を持って、五十冬に挑もうとしていた。
「さて、改めてルール説明……生徒会五番勝負は、庶務、会計、書記、副会長、会長の順でバトルするもの。チャレンジャーは勝ったあとの試合を直後に行うか別の日程で行うかを選ぶことが出来る……ここまではOK?」
「あぁ」
「で、もしチャレンジャー側が負けた場合負けた生徒会メンバーが敗者をどうするか選ぶことが出来る」
「それも分かってるよ」
「全てを理解してる上で挑んでくるなら、全てよし! なら私は貴方達を問答無用で倒せる」
「……前みたいに、簡単に負ける訳には行かない……!」
「……私たちが仮に負けた場合、そちらは私達に何を求める」
ラウラが睨みながら五十冬に尋ねる。五十冬はしばらく考える素振りをしたあとに、指を鳴らしてウィンクをする。
「どこか遠くに行ってもらうね」
「……?」
ラウラとシャルロットは顔を見合わせるが、五十冬の言っていることがよく理解できなかった。だが、碌でもないことだけは確かなので……絶対に負ける訳には行かないと強く気持ちを保っていた。
「じゃあ、そろそろやろうか? 君たちの一方的な……敗北ショーを」
「調子に乗っていられるのも……!」
「今のうちだよ!!」
五十冬とシャルロットの両名が、ほぼ同時に前に飛び出す。ラウラは隙を見て援護射撃を飛ばし始める。フランスの貴公子と、ドイツの黒兎VS日本の機械人間。今ここに3人が激突を開始するのであった。
掛けたんで出します
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい