「作戦開始までのカウントダウン5秒前」
各カタパルトに設置されたIS達。打ち上げられれば、作戦終了まで帰ることは許されない。例えるなら、ラスボス前のダンジョンと言ったところだろうか。
「4」
緊張が募る。こんな私でも、緊張することだってある。死ぬかもしれないという恐怖よりも、それ以上のよく分からないなにかによって心が支配されていた。
「3」
何かが起こるのは間違いがない。ただ、エクスカリバーに対して何かが起こるのは当たり前なのに……私はエクスカリバー以外の何かが起こりそうな予感がしていた。
「2」
カウントダウンが迫っていく。空に打ち出される準備は整っている。空はいつも飛んでいる、後は慣れない宇宙での戦いをどう制するか……それだけである。
「1……作戦開始!!」
その言葉と共に、私たちの体にGが入る。私が一番前、その後に織斑一夏、さらにその後ろに簪と箒の4人だ。簪はナノマシンによる防御、その制御に全てを割くための行動だ。
私がAICを含んだ全装備で、防ぐのも視野に入れて……出来れば避けていくのが理想的だ。だが、そんな簡単に避けれるものなら苦労はしていないのだ。
「早速来るぞ!!」
念の為と装備されたシールド。計算上、エクスカリバーの一撃を防げるものである。そしてもうひとつ。ミサイルランチャーも装備されている。これはISのセンサーで引っかからない作りだ。果たしてどれだけ役に立つのか。
「……って!!」
「あんな威力なんて……!?」
「箒! 絢爛舞踏の準備を!!」
まず1射目。エクスカリバーの威力は想定よりも遥かに高いものだった。推定は予測の3倍、こんな盾装備していたところで役に立たない。
「迎撃、お願い……!」
「合点承知之助!!」
私と織斑一夏でミサイルを放つ……が、即座に落とされる。やっぱり役に立たないじゃないか!! そう思って私達はミサイルランチャーをデブリにするために捨てた。
「とにかく近づきさえすれば!」
「速度を出すってわけ!? 癪だけど乗った!!」
次の作戦、私達で
「箒! 絢爛舞踏で全員にエネルギーシールドを!!」
「分かった!!」
箒は頷くが、そこで予想外の事態。O.V.E.R.Sが爆発したのだ。こんなものは使えないと即座に切り離し、箒は単独の絢爛舞踏で挑む。だがその隙が……エクスカリバーに好機を与えてしまった。
「狙いが……やばっ!? セシリア狙われてる!!」
「まずい!!」
既に気づいたが遅い。発射される直前と同時に織斑一夏が斜線上に入り、シールドを展開。更に雪羅まで利用してさらに防御力を上げる。箒は簪を射線上から既に避難させている。
「クソッ……!」
セシリアが落とされたら、この作戦は終わりだ。私も大急ぎで向かう。だが、織斑一夏のところに辿り着く頃にはそこまでエクスカリバーの攻撃は近づいていた。
「一夏ぁ!!」
「五十冬……!」
「全武装フル展開!」
私の武装とシールド、そして織斑一夏の雪羅とシールド。癪だがこの防御力なら何とかなるとさえ思っていた。だが、そんなのはただのポジティブシンキングでしか無かった。
「いやいや……流石にこれはまずいでしょ……」
「箒! 後は、頼んだ!!」
次々突破されていくシールド。私が溜め込んだ武装の全てが溶けて無くなっていく。AICも慰めにもなりはしない。ナノマシンのシールドも役に立たない。
織斑一夏もそれを悟ったのか、箒に全てを任せる気だった。
「いふ━━━」
簪の声だろうか、私の名前を呼ぼうとしたのか分からないが……それが聞こえてくる前に、私の視界は真っ白に染って行くのであった。
『織斑一夏、並びに鬼村五十冬のバイタルサイン消滅。状況確認、死亡と判断されます』
「……生きてる?」
私が意識を取り戻して最初に発した言葉だった。だが、今視界360°、色々なものが光り輝く暗い世界にいた。まるで、夜に瞬く星を眺めているかのような感覚だった。
「……」
体は動かない、ISもまとえてはいるが全く動かない。どうやら、鎧程度の機能しかないようで、フルフェイスのメットも簡単に取り外すことが出来ていた。
「……どんだけ気絶してたんだろ、というか私どうして息できるのか」
辛うじてISのシステムの1部が生きていて、それがまだ私に呼吸できるようにしてくれていた……とか? いや、今そこは重要ではない。ここからどうやって戻るか、だ。
「……何とか動く、か」
IS側である程度修復はしてくれるだろう。つまり、時間が経てば私は問題なくなるということだ。幸い、エネルギーが少しでも残っていたらコピーした絢爛舞踏で何とか回復できる。
本当に、どうやって戻るかだけが問題なのだ。
「……」
あんな威力だ、織斑一夏もタダでは済んでいない。下手をしたら死んでいるだろう。だとしたら、私的には敵が減って万々歳だ。
だが……
「……なんで、こんな腹が立つかな」
無性に腹が立つ。何故だろう、別に織斑一夏が死んで悲しいとかそういうのでは無いのは確かだ。では何だろうか。私は、織斑一夏が死んだことで……なにか思うところがあるのだろうか。
「……いいや、あんなヒーロー気取り……」
死んで悲しくなるのは、奴に惚れている女たちと友人達だ。私は悲しいわけじゃなく腹が立っている。一体何故か、何が一体私をここまで苛立たせているのか……
「何か……忘れてる、気が……」
生きてるって安心したせいか、無性に眠くなってきた……ちょっと……眠って━━━
『お兄ちゃん! 大丈夫!?』
小さい頃の私、当時の兄。小学3年生の時だっただろうか? 兄は私を守ってくれた。何をするにも守ってくれた。怪我をしても、絶対に抵抗はしなかった。自分が怪我させられても、絶対に抵抗しなかった。
『あぁ、大丈夫さ』
『でも……このままじゃお兄ちゃん死んじゃうよ!!』
子供の頃だからか、私は血さえでてたら下手したら死んでしまうのでは? と過剰に思う時もあった。今思えば、頭を切ったくらいで人は死にはしない。
『んー……お兄ちゃんは死ぬ気は無いけどな?』
『でも、でも……』
『……なぁ■■』
━━━あれ? 今私を呼んだんだよね? なんか、聞き取りづらかったような……
『……何?』
『もしお兄ちゃんがいなくなったら、お父さんとお母さんを守るのはお前だ。こんな傷で騒いでたら、まず駄目だぞ?』
『私が……』
小さい事ながらに、それが大事なことだとわかってた。今思えば女の子にする説得じゃなかったと思うけど、お兄ちゃんの言うことだったら私はなんでも聞いていた。
『あぁ、お兄ちゃんだってずっとお母さんたちを守ってられない。俺がいない時……そんな時はお前が2人を守るんだ』
『守れる、かな?』
『守れるさ、絶対』
『なら……お兄ちゃんのために頑張る……怪我しても騒がない……』
『いい子だ……
「……忘れてたけど、思い出した。私お兄ちゃんと織斑一夏を重ねてたんだ」
無意識に、重ねてたんだ。だから嫌いだった。お兄ちゃんと重ねて、お兄ちゃんと違うから。なるほど、こんな勝手な理由で嫌ってたんだ。なんだかんだ言い訳をつけてたけど、こんな小さなことで私……
『
最後の織斑一夏の言葉が、私の中のお兄ちゃんを思い起こさせた。思い起こさせたと同時に、最近無くなっていたであろう感情が……私の心を駆け巡る。
「━━━勝手に押し付けるな!! 勝手にいなくなって、任せた!? てめぇに惚れてる女にてめぇの死後の後始末を任せろ!? くだらないくだらないくだらない!!」
カリオストロのひび割れた傷から、赤黒い黒いエネルギーが噴出していく。さながら私の怒りと恨みが吹き出しているようで。
「この社会でまだ男の方が強い理論をかざすか!! 善人ぶるか正義の味方を気取るか!! 結局は篠ノ之束におもちゃを貰ってはしゃいでるだけだ! 白式を使いこなしているとはいえ、きっかけがなければこんなことに巻き込まれなかったのに!!
そうさ! 織斑一夏に怒りこそすれど、恨むべきは織斑一夏じゃない……篠ノ之束だ!!」
赤黒いエネルギーがカリオストロを私の体ごと一瞬包み込む。すぐに弾けるが、その中には回復を終わらせているカリオストロがそこにはいた。
「カリオストロ行くよ! エクスカリバーを止めて……そっから篠ノ之束を殺し尽くす!!」
私があいつと同じ組織にいること自体おかしかった、いっその事辞めれるほどに恨みを強く持てれば……私は後悔をきっとしないだろう。そうだ、私はなんの為に亡国機業に入ったのか……篠ノ之束を、殺すためだ!!
そう改めて心に誓って、私は再生したカリオストロと共に宇宙を飛翔する。
「あれは……織斑一夏……!?」
目の前を通り抜ける白い流星、それが織斑一夏だと私は直感でそう判断した。させるか、と言わんばかりに私も高速で飛び始める。白い流星と黒い隕石、対比させるならこんな感じなのだろうか。どうでもいい事だが。
「セシリア! 撃って!!」
「五十冬さん……はい!!」
以心伝心、とは言わない。通信を繋げていただけなので私はそのままエクスカリバーに向かって飛ぶ。織斑一夏もやることがあるのか、私と共にエクスカリバーに向かって飛んでいた。
「鬼村! チェルシーの妹をどうする気だ!」
「殺すに決まってんでしょ! 重要なパーツを破壊しない限りエクスカリバーは止まらない!」
「いいや! 俺が救ってみせる!!」
「救うって、なにを……」
織斑一夏が何をしようとしているのかは分からない。だが、碌でもないことなのは確実なので、私は織斑一夏と併走をしていく。そして、その間を縫うようにセシリアの……アフタヌーン・ブルーの一撃がエクスカリバーに直撃する。
よって、エクスカリバーはその機能を停止……もうビームが撃たれることはない。
「ここが、エクスカリバーの……!」
そして、侵入した私達が着いた場所はエクスカリバーのコントロールルーム。そこにはエクスカリバーに繋がれた少女、エクシア・カリバーンの姿があった。
「いた……! エクシア・カリバーン……君の悪夢を終わらせる」
「あんた、一体何を……」
織斑一夏はその右手に光を纏う。その輝きは、今までの白式からは見たことも無いものだった。
「白式の真のワンオフ・アビリティー『夕凪燈夜』……全てのISプログラムを、初期化できる能力だ」
そう言いつつ、織斑一夏の手の光はエクシア・カリバーンを貫いて……聖剣から解放する。
「私、は……」
「もう、おやすみ。エクシア」
「うん……少し、疲れちゃった……」
こうしてエクスカリバー事件は幕を閉じる……が、閉じたのは事件の幕だけだ。この後、私は━━━
地上につくと、そこではエムとチェルシー&セシリアが対峙していた。私はエムの側に降りて、織斑一夏はセシリア達の元へと降りる。
「エクスカリバーは破壊された、既に亡国機業のものであるブルーティアーズ3号機は貰っていくぞ」
「そして……織斑一夏、あんたの白式は今や相当危険な代物になってる。それをこの目で確認した以上、私はあんたを止めないといけない」
「……やっぱり、こうなるとは思ってたぜ」
全てのISを初期化できる能力? そんなもの、亡国機業でなくとも危険視する。下手をすれば封印ものだ。絶対誰にも使わせるわけにはいかないものだ。
「どうする? 今ここで決着をつけるか?」
「ふん、舐めるなこっちは……」
「分が悪くても、戦う気しかない……まぁ新しい力も手に入ったことだし」
そう言って私は……ひとつのISのコアを取り出す。これが何なのか、流れ的にわかったのか織斑一夏は驚愕の表情を浮かべていた。
「まさか……エクスカリバーのコアか!?」
「正解、これを手に入れて……吸収すれば6機めのコア。私はそれを……フル活用させてもらう」
そういって私はエクスカリバーのコアを……取り込んだ。エクスカリバーのコアが馴染んでいくのを確認していく中で……頭が引き裂かれそうな痛みに襲われる。
「ぐ、が……!」
「やめろ! ISを解除しろ!!」
「いや、だね……!」
カリオストロは元々、ISとパイロットそのものを繋ぐものだ。コアが6個ともなれば、当然その情報全てが頭に押し込まれていく。だが、この感覚を私は今まで味わっていなかった。
そう、これが本当の意味で……カリオストロ・フィフスを扱うための真の進化ということになる。
「がっ……はぁ、はぁ……!」
「鬼村……」
「ふ、ふふ……さぁ、殺しあおう……私は白式を絶対に止める……エム、任せた」
「あぁ、3号機は私が回収する」
こうして、私達は織斑一夏達と戦うことになったのであった。相手の機体よりも強くならなくちゃ……いけないのだ。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい