私達は戦っていた。新しく進化した白式……『ホワイト・テイル』はっきり言えば、相当な進化を遂げていた。中身がどうなってるのか調べたくなるほどには、その強さは私のカリオストロを超えていた。
そう、同等ではない……私は越えられていた。
「くっ……!」
「何を狙ってるのか知らないが……殺す気がないのなら……!」
だが、織斑一夏は私を殺そうという気概が無かった。当たり前だ、普通はそう簡単に人を殺せるようにはならない。私のような異常者じゃない限り難しい話である。
「……けど……」
その覚悟を持ってして、ようやく追いついている……否
「鬼村! もう諦めろ!!」
「諦め切れるか……!」
私の目標は、進化した白式の破壊。またはコアの奪取。ワンオフアビリティーにより、ISを初期化するその機能は放っておいたら私たちの驚異になりかねない。
そう、だから私達は戦いあっている。エムは戦う前はちゃんと隣にいたが、いざ始まったらどこかへと姿を消した。正確には、私達が離れてしまった為はぐれたという方が正しいのかもしれないが。
「はっ!!」
「あぶっ!!」
新たな白式の装備、6枚羽が追加されていたのだが……それら一つ一つがどうやら零落白夜と同じもののようだ。つまり、一撃でも当たればタダでは済まないということになる。
「エクスカリバーのコアを破壊しろ!!」
「断る!!」
……織斑一夏は、どうやら私が吸収したエクスカリバーのコアを狙っているらしい。確かに、このコアが余っていたら新しいエクスカリバーが作られてしまうだろう。正義感溢れる男としては、放っておけないというべきだろうか?
「折角だから……味わっていきなよ!! エクスカリバーを手に入れたカリオストロの力を!!」
そう言って私は、新しく生まれた装備を呼び出す。小型化された衛星と言うべきだろうか? 正確には、私の腕にマウントしてある装備なので衛星型ビームキャノンなのだが。
「ただの一直線のビームで、当たるわけないだろ!!」
私はビームを乱射する。そう、乱射しているだけでは当たらないだろう。しかしこの男は忘れてないだろうか? エクスカリバーは途中で分裂したことを。
「行け! エクスカリバービット!!」
マウントされていた武装が分裂、そして独自に行動をとり始める。それはまるで、獲物を追い込む狼のようだ。
まともなISならばここで終わっていただろう。だが、相手はまともじゃない……故にもう一押しするしかない。
「追加!」
「くっ……」
「ほらほら! 当たらないんじゃないの!?」
ビットからのビーム乱射、カリオストロの中にあるゴーレムの巨腕を使った熱線、そして四象の朱雀のビット。操作する為に頭をフル回転させないといけないため、脳に負担が凄まじい程にかかるが……それでも成果は出てきているのか、織斑一夏の額に汗が流れていた。
「当たらない、さ!! 絶対に!! はぁ!」
「……は?」
叫ぶ織斑一夏。その瞬間私のビット達は全て爆散していた。どうやら、織斑一夏の翼が全て破壊したようだ。全く忌々しい羽だねぇ……どうやって破壊してやろうか……!
「くっ……! まだ、まだまだァ!!」
「まだ諦めないか……!」
「諦めるわけないでしょ!! あんたのISを放置することの影響がデカすぎるんだ!!」
「そんなに世界を混乱に落としたいのか!?」
「……んな事、私はどうでもいい!!」
その一言で、再びぶつかり合いが始まる。私は白式の手にさえ触れなければいい。もしくは、手から出てくる光に当たらなければいい。当たる前に、切り裂ききれば私の勝ちだ。
「じゃあなんで俺と戦うんだ!!」
「何度も言ってんでしょうが!! あんたのISは放置してたら厄介な事になるんだよ!!」
「厄介になるって言うのは……亡国機業にとって、お前にとってだろう!!」
正論だ、確かに普通ならこの力を使って悪事を働かない限り……その力で厄介と思うのは彼の敵……要するに私達、亡国機業みたいな存在なのだ。
「それがどうした!! 私は私の目的を達成する! その為にも、そのISには退場してもらわないと困る!!」
「やらせない! 俺がみんなを守るために……!」
「私と同じように、ISがなければ何も出来ないくせして!!」
ぶつかり合いながら、お互いにヒットアンドアウェイを繰り返していきながら、私達は剣戟を繰り広げていた。エネルギーが減ってきてはいるが、単純なエネルギーならこちらの方がまだ上である。
「鬼村……!」
「何を守るって!? 自分の都合のいい世界!? こんな世界、守ったってしょうがないでしょ!!」
「守らなくてもいい世界なんて、ない!!」
「こんな世界すら守るつもりなら……やってみろよ!! 正義は絶対に勝つって言うんなら……勝ってみせろよ!!」
私には負けるつもりは無い。勝てるかどうかは不明だが、負けるつもりは毛頭ないのだ。故に、私は殺す気で織斑一夏を……殺す。
「はぁぁぁぁぁあ!!」
「っ!!」
お互いの武器がぶつかり会った瞬間、私は体を滑り込ませるようにして織斑一夏の懐に入っていく。そしてそのまま、攻撃型のAICを起動して白式を削る為に……織斑一夏をそのまま突き殺す為に攻撃をする。
確実に距離はない。仮にここから回避運動をしたとしても、無傷で済むはずがない……そう思っていた。だが、実際はそうはならなかった。
「遅い!!」
「なっ……!?」
頭を前に倒せば織斑一夏の体に当たりそうなほどに近い距離、そんな近い距離だったにも関わらず織斑一夏は
「終わりだ……鬼村……!」
「はっ……!」
そして、完全に回避された挙句後ろを取られた。私は攻撃のために飛び込んだから、即座に後ろを振り向いて攻撃することも出来ない、ビットは破壊された、AICも起動中だが攻撃に全て回したので効果がない。
そうこの瞬間私は『詰み』の状態に陥ったということになるのだ。
「━━━夕凪燈夜」
そして、その一言で……私の全てが終わった。ISも、意識も……そして記憶も。
side?
「……」
五十冬は倒れていた。夕凪燈夜はISをフォーマット……つまり初期化するワンオフアビリティー。しかし、ただISを初期化しただけではパイロットは気絶することは無い。
「鬼村……」
ただ……カリオストロは特殊なISである。フルフェイスのヘルメットで頭を覆い、ISと人間の脳を繋げるという特殊なものだ。そんな状態でISを初期化した場合……起こることは未知数である。
「なんで……」
生きてはいる。だが、織斑一夏にとってこの結果は苦いものだ。だが、これでカリオストロから解放されたと考えれば彼女にとってはいい結果になるかもしれない……織斑一夏はそう考えた。
言わずもがな、カリオストロは特殊であり危険なISだ。その危険性に触れられなくした……と考えれば、恨まれるだろうが、鬼村五十冬という少女の身は守れるのだ。
「……」
一夏は五十冬を担いで、元の場所に戻るために飛翔する。だが、ここで彼は致命的な欠点を犯していた。まず、コアを6個手に入れていたカリオストロ。
初期化した場合どうなるか、当たり前だがそんなことは織斑一夏にとっても分からないことだ。故に、見逃してしまっていたのだ……
「……なんて言われるかわかったもんじゃないけど……俺は、お前も守る気なんだぞ……鬼村……」
「……」
返事は誰も返さない。返す当の本人が気絶している以上、返せるわけもない。織斑一夏は軽く溜息をつきながら、飛んでいくのであった。
その後、イギリスのセシリアの屋敷で……とある部屋で五十冬は寝ていた。傍には、簪とセシリアが座っていた。
「……織斑一夏、生徒会長としてはなんとも思わないけど……私個人としては……もう、好きになれる要素はない」
「……でも、これでもう五十冬さんはあのISを使うことはなくなります」
「うん……けど、この結果で守りたかった……なんて言われても……私は信用出来ない」
「簪さん……」
「━━━う、うーん……」
セシリアと簪が静かに言い合っている中で、五十冬が呻き声をあげる。瞬間、2人とも五十冬に視線を向けて立ち上がっていた。
「五十冬さん!?」
「起きた……!?」
「……っ!?」
目を開ける五十冬。その瞬間ベッドのシーツを掴んで、自分の体を隠していた。そして、二人を見ながら……怯えていた。その異常に気づいた2人は、困惑しきっていた。
「い、五十冬……?」
「━━━あ、貴方達……誰、ですか……?」
その一言で、2人は固まった。冗談で言っているとは思えず、尚且つあまりにも怯えているその様子から、その言葉が意味することが本当なのだと、確信を得てしまった。
「か、簪さん……これは……一体……」
「……まさ、か……」
簪には思い当たることが一つだけあった。いや、カリオストロの異常そして五十冬が倒れていることもあって……その答えは絞られていった。
「……夕凪燈夜、だったっけ……」
「一夏さんが仰っていた……新しいワンオフアビリティー……ですか?」
「うん……全てを初期化する、ISにとって禁じ手のワンオフアビリティー……それを使われて……最悪の形で、五十冬に影響が出た……」
「最悪の、形……?」
セシリアの胸が痛いほどに鼓動を鳴らしている。2人とも顔を真っ青にしているが、簪は兎も角おそらくセシリア自身も何となく答えは見えているのだ。故に、心の中ではその答えを聞きたくないと思ってしまっていた。
「……カリオストロは、五十冬の恨みで……動いてた……篠ノ之束に対する……今の世界に対する……恨みで……」
「……」
「その気持ちが……ダイレクトに伝わってて……カリオストロと、共有してる状態だったの、かも……」
「つ、つまり……?」
「カリオストロが初期化された、今……五十冬も……恨みを得る前の状態にまで……
つまりは、こういう事である。
夕凪燈夜というISを初期化するワンオフアビリティー、通常ならISを文字通り初期化して終わるだけなのだが……パイロットの脳と繋がっているカリオストロはそれだけで終わらなかった。
ただでさえ、感情とシンクロして進化していくIS……それが五十冬の脳と繋がっているということは、それだけ感情の影響を受けやすいということでもある。
それだけ感情の影響を受けている機体……つまりは感情をほぼ共有していると言っても過言ではないカリオストロ。その共有している部分が全て消え去った……となれば、五十冬にももちろん異常が起きる。
「五十冬が恨みを得る前……」
「お兄さん……が殺される前まで、記憶が戻った……ということですか……?」
「下手をしたら……それ以上に……」
「あ、あの……何の話を……?」
怯えている五十冬。簪は少し考えた後に、五十冬に対していくつかの質問を投げかけていく。
「……貴方の、名前……年齢、住んでる場所……覚えてる?」
「……ごめん、なさい……わからないです……なにも、覚えてなくて……私が誰なのかも、ここがどこなのかも……分からない、です」
「……脳なのかカリオストロなのか……どっちかは分からないけど……五十冬を守ろうとして……全部の記憶を消してる……」
『記憶喪失』この一言で全てが終わる。夕凪燈夜を受けた五十冬は、記憶喪失に至ったのだ。
「そんな……」
膝をつくセシリア。無論、簪もセシリアの様に感情に任せたかったのだが、そうすれば誰も五十冬を落ち着かせる人物が居なくなってしまう。
「……起き、れる?」
「は、はい……」
「貴方は……ここにいるべきじゃない……私が送ってあげるから……ね?」
「……ありがとう、ございます……」
……本日、鬼村五十冬が記憶を失う。よってIS学園としても亡国機業としても戦力として見なされなくなる。全ての縁が切れ、彼女はIS学園の置物と化すだろう。この事実に、セシリアと簪……そして他のメンバーも悲しみを抱くものはいた。
そして……この日に限って……セシリア・オルコットの誕生日という日にこのようなことが起きてしまい、セシリアは恐らく世界でいちばん不幸なプレゼントを貰ったのだろう。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい