side五十冬
「……はっきり言う、今回の敵は未知数」
更識さんの調べにより、篠ノ之さんをさらった機体の名前は朱蜂ということがわかりました。そして、未知数というのはその朱蜂が『一体何機存在しているのか』という事です。
「作ったのは、篠ノ之博士……でしたわよね」
「いやぁ、ISを作った創始者が相手ってなったらなかなかキツイっすよ」
「あぁ……相手の装備に数、それに加えて一体何がどう存在してんのか……それら全部がまるまる分かんねぇんだからな」
そして、今回の件で生徒会の皆さんも動くことになったようです。しかし、それでも今回の件はかなりの大きなものでした。だからこそ、絶対に成功させないといけない。
「だから、ちゃんとした作戦を立てないと一気に全滅する」
「……で、作戦はあるんですか? 生徒会長」
マライアさんが更識さんにそう伝えます。一切の表情を変えないまま、更識さんはどこから取り出したのかチェスの駒をまるで陣形のように置いていきます。
「ある……だからこそ、ちゃんと聞いて欲しいし従って欲しい」
「……」
「特に……織斑一夏、貴方が一番聞かないとダメ。篠ノ之箒を助けたいなら……私に従って」
「……わかった」
「……じゃあ、作戦を説明する」
そして、作戦開始時刻になりました。私達は陣形を組んで、空を飛んでいます。この作戦には生徒会、それに私達……加えてアイリスちゃん達も参加してくれました。
『まず、マライア……あなたが先頭に立って全部の攻撃を受けて』
「……まぁ、新パックの使い所だけどさ」
四象のパッケージ『霊亀』ありとあらゆる戦闘におけるダメージを軽減させるパッケージ見たいですけど……見た目は青……と言うより紺色です。そして何より、見た目がとてもごつくなってます。
肩がかなり大型、腕も大型……全長が大きいというよりはISの大きさから抜け出さないまま太くしてる……言うなればとてもマッシブ体型です。
「洋上に人工物の反応あり!」
サファイアさんの言葉に、私達は眼下に広がる人工島……とも思えそうなギガ・フロートが浮いていました。簡単にISで大きさを調べただけでも約200平方メートル。そこには大量のコンテナが詰め込まれていました。
「……まるで蜂の巣だな」
レインさんの言葉通り、六角形のコンテナが密集するそのギガフロートはまさに蜂の巣でした。そして、その中にいるのは……
「……IS無人機の反応多数、軽く100はくだらない」
その反応が現れてから、ギガフロートは浮上を始めました。徐々に明らかになっていく中で……私達は『声』を聞きました。
「行きなさい、私の朱蜂達……!」
「一夏さん!! あそこに!!」
指がさされた場所に私達は目を向けました。太陽を背に……そこに居たのは禍々しく変貌した紅椿を身に纏う華奢で幼さそうな女の子でした。顔に着けたバイザーは、表情を読み取らせない意志を確固たるものとして感じました。
「そのISは……箒をどうした!!」
織斑君が、目の前の女の子に食ってかかろうとしますが……その前に現れる多数の朱蜂達……それによって、彼女との道は閉ざされてしまいました。
「織斑君!!」
「くそっ! ここまで来て!!」
「マライア」
「わかってる! 無理やり突破するよ……!」
四象のパッケージのひとつ『霊亀』。その武装は全て大きなエネルギーシールドを展開するためのパーツ……とは聞いていました。今までごついと思われていたパーツは全て外れて、私たちの周りを囲うように移動します。
そして、それらがパーツ一つ一つと繋がっていくことでまるで亀の甲羅のような立体的なシールドが出来上がりました。
「これでしばらくは━━━」
けれど、途端に私達のISに異常が起きました。まるで、抵抗したくないかのようにIS達の出力が一斉に落ち始めたのです。整備不良……だと言えればまだ言い訳も出来ますが、そんなちゃちな物ではなく……完全に出力が落とされていました。
「こ、コードレッド!? 何これ!?」
「……多分、ISの出力を下げる……さっき私たちがみたあのISのワンオフアビリティーだと考えたらわかりやすい……!」
更識さんが悔しそうにします。それらを見て、織斑君は私達から離れるように……もっと言えば先程の子を追うかのように飛び出していきました。
「ちょっと!? あんたどこ行く気っすか!?」
「まどろっこしい事なんてしてられない!! 俺は箒を助けに行く!!」
「馬鹿……こんなところで飛んだら蜂の巣に飛び込むどころか……蜂の巣にされるのが目に見えてる……!」
「一夏さん!!」
「織斑君!!」
飛び出した織斑君を追いかけるために、私とセシリアさんも追いかけていきました。
確かに、白式の速度なら追いつくことも可能だけど……でも無茶はしてられない……そのはず、なんだけど……
side?
「今の白式なら……いける……!」
織斑一夏は朱蜂をただひたすらに落としていた。出力の面では完全に白式の方が上回っている。それどころか、朱蜂達の出力はあまりいいものとは言えなかった。
それに気づかない一夏は、少女に完全に追いついていた。
「箒をどこにやった!!」
「……それは、あなたが1番わかっているはず。どうして分からないふりをするの? どうして、私に聞くの?」
「っ……それは……」
口ごもる一夏。その隙に、五十冬とセシリアが追いついていた。盾がわりになっていた五十冬はボロボロであり、セシリアも完全には守りきれていないのか少しダメージを負っていた。
「2人とも大丈夫なのか!?」
「……織斑君、一人で行かないで。白式の性能なら確かに1人でも解決はできたかもしれない……けど……」
「俺が箒を取り戻す! それで問題ないだろ!!」
「一夏さん!!」
五十冬の言葉は届かない。故に、セシリアが一夏に対して平手打ちを放った。その平手打ちに、一夏は呆然としていた。
「……いい加減にしてください。箒さんを助けたいのは貴方だけでは無いんですよ? それに、怪我をしたら……箒さんはまず自分を責めてしまいます。
彼女は悪くないと言いたいのなら、まず自分が怪我をしないようにするべきですわ」
「……悪い」
セシリアの言葉が効いたのか、一夏は落ち着いて言った。だが、目の前の少女はそれを面白くなさそうに眺めていた。まるで、愛しき人を取られたかのような嫉妬だった。
「また、あなたはそうやって……!」
紅椿の2本の刀を抜刀した少女。そのまま彼女は一夏達に向かって飛んできていた。
「させない……!」
それを、五十冬が背中に取り付けられた武装を展開する事で防ぐ。だが、出力の落ちたサクリファイスでは今の紅椿には到底かないっこないのだ。
「邪魔……!」
「させませんわ!!」
五十冬を吹き飛ばそうとした瞬間に、セシリアが1発放ち少女に牽制を入れる。今のやり取りの中で、一夏は少女が五十冬を吹き飛ばそうとした瞬間に出した技に見覚えがあった。
それは、剣道としての篠ノ之流の技の一つだった。
「何でお前がそれを……!」
「セシリアさん!」
「はい!!」
曲がるレーザーに、強力な4連装レーザー。二人の息は長年連れ添ったかのようにピッタリであり、一瞬で少女の逃げ道を塞いでいた。ただ1点、目の前の一方向だけが空いていることを除けば逃げ道はない。
「くっ……」
少女は誘われているのだと気づいていた。気づいていたからこそ……そこに入り込まなければならない。一直線上に、彼女は全速前進と言わんばかりに進んでいく。
「誘われたね……一気に落とす!!」
ゼロ距離……全く逃げる隙のない中で、少女の体に押し当てられる銃口。それは、サクリファイスの中でも最大級の火力を誇るレーザー砲だった。
「ファイア!!」
引き金を引けば、落とすまで行かなくともダメージを与えることは可能だ。だが、それを引こうとした瞬間にレーザー砲は新たな敵によって貫かれていた。
「……あなた達の相手は、この子達……!」
「くっ!?」
朱蜂……再び十数機現れたその量産機は、あっという間にセシリアと五十冬を囲んでいた。だが、彼女たちはそんなことで諦めるたまではないのだ。
「織斑君!! 私達のことは気にしなくていいから!!」
「けど……」
「行ってください!! そして……箒さんを必ず助けてください!!」
セシリアの言葉に、ハッとなる一夏。その意志を受け継いだと言わんばかりに、彼は目の前の少女に目線を向けていた。
「あなたは、こっち……」
そうして少女はまたどこかへと飛んでいく。一夏は無言でそれを追いかけていく。そしてあっという間に見えなくなった一夏の事を、ふと五十冬は考えていた。
「……負けてるのかなぁ、私」
「あら、貴方はもっと素敵な人がいるはずですわよ?」
「ふふ、ありがとうセシリアさん……とりあえずまずは……」
「えぇ……ここを突破してからですわ!!」
武器を構える2人。そして、周りの朱蜂達に対してただただ攻撃を加えていく。敵が何機いるのか、そして無人機故に搭載された人工知能が戦闘データを学習しやしないか……色々考えながら、落としていく。
だが、出力の落ちた機体では普段戦えている範囲でも戦えなくなってくる。そう、簡単に言えばいつもより早くボロが出るということである。
「っ……!」
「五十冬さん!!」
朱蜂を落としたかと思えば、その機体はまだ動いていた。その油断が、この状況では死を招く……だがその油断を潰してくれる仲間が、今の彼女には存在している。
五十冬がトドメを指しきれなかった機体が、突如として離れ……爆散する。この挙動を五十冬は1度目撃している。
「アイリスちゃん!?」
「まったく……お主らは……」
「このお方に迷惑をかけるなど……言語道断。織斑一夏には、戻ってからきつい罰を与えねばなるまい」
その場に来たのはアイリスとジブリルだった。1度は2人とはぐれた筈だったが、どうやらこちらに追いついてきたようだ。
「重力爆撃と、ジブリルの雷で敵を殲滅する」
「はっ!!」
王女としての威厳を見せながら、アイリスは朱蜂達を一掃していく。それに続いて、セシリアと五十冬も朱蜂達を殲滅していく。広域型と遠距離型のコンビによって、ここら一帯の朱蜂達は順調に数を減らしていく。
「……さて、まだ来るようじゃの」
「織斑君が決着をつけて……」
「箒さんを迎えて……」
「IS学園に、全員で戻る。それが……今回の任務の終わりだ」
「違うぞジブリル」
ジブリルの言葉に、アイリスは訂正を加える。彼女は任務の終わりを『全員で戻る』事だとは考えていない。目を開き、覚悟を決めた目で敵を認識しながら、彼女はこう訂正する。
「『全員無事で戻ること』が今回の任務の終わりじゃ」
「……はい!!」
再度武器を構えて、4人は朱蜂達を迎え撃つ。一夏が決着をつけるまで……それまでは何としてでも朱蜂達の数を減らさなければならないのだ。
長い長い耐久戦が……今始まろうとしているのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい