「ふぁ……」
「よう鬼村、おはよう」
「おはよう織斑君」
朝、とある朝。何の変哲もないただの朝……私は教室にやってきていた。セシリアはお嬢様だからか、流石に起きるのが早くさっさと来ていたが私はそこから少し遅れてきていた。と言ってもいつもの事だ、お互いに生活スタイルをそこまで合わせなくてもいいという判断である。
「クラス代表戦もうすぐだね」
「どんな奴がいるのかな」
私は代表でもないので、その話題に興味はない。専用機持ちが1組に2人と4組にもいるらしいのでその2つとの戦いになるのはわかり切っている話だからだ。
そして、クラスメイトも専用機の話題で持ち切りだったが……
「その情報、もう古いよ」
突如、ツインテールの小さな女子が1組にやってきていた。もうそろそろ授業開始時間なのだが、大丈夫なのだろうか。
「鈴…?お前鈴か!?」
そして織斑一夏の反応、どうやら知り合いのようだった。あー、やっばい今私すごくイライラしてるのが自分でもわかる。別に織斑一夏に新しい女ができたことによるイライラでは無い。
お前はよくモテるなというイライラである……あれ、意味が一緒だった。
「そうよ、2組の専用機持ち
「転校生……あぁ、なんか2組で噂になってたのって…」
「鬼村、知ってるのか?」
「知ってるというか……聞いたことがあるというか…」
「…」
「……ん?」
凰鈴音……鈴と呼ばれた少女が、何故か私を見ていた。織斑一夏と話しているのが気に食わない…と言った表情ではない。何かを疑っているような表情だった。
「……えっと、何かな?」
「ねぇ一夏、こいつ…何?」
「おいおい……ウチのクラスメイトだよ、鬼村五十冬…ただの女の子だぞ?」
実は私ただの女の子じゃないんですけどね……という冗談はともかくとして、まさかの『何』と来たか。ただ口が悪いと言うよりは……私の体のおかしさに気づいたのだろうか?存外、直感力とかその辺はいいらしい。
「そう……気を悪くしたならごめんなさい、なんか気になって」
「ううん、気にしてないよー」
「……」
どうやら、私は喋らない方がいいらしい。笑顔で応対したのだが、どうやらそれがまずいらしくまた訝しげな表情となっていた。
「━━━痛っ!?ちょっと何すんの…」
「もう
そして、突如現れる織斑千冬。鈴の頭を1発殴り、教室の中に入ってくる。反応的に、彼女の事が鈴は苦手らしい。
「ち、千冬さん…」
「織斑先生と呼べ、早くクラスに戻れ」
「……また後で来るからね!首洗って待っておきなさいよ!!」
そう言って鈴は1組から出ていった。まるで嵐のようだが、ツインテールなので回ればそれなりに嵐っぽくなるだろうか……という訳の分からない妄想をしながら、私は授業を受けるのであった。
side鈴
「……それにしてもあの女…」
妙にきな臭い感じがした。なんというか、擦れている人の気配がプンプンとしていた。
ただの直感だけれど、私はそれを確実に感じとっていた。ただの人間にあそこまでの笑顔は作れない。聖人と呼ばれるくらいに性格がいい人だろうが、少しの困惑も見せずに自分が罵倒されて純真の笑顔を見せるなんてありえない。
「一夏に近づく……のはしょうがないとしても、もし危害を加えるようだったら…」
私しか守れる人がいない。鬼村五十冬と言っただろうか?あの女は。名前も何処と無く千冬さんに似せてあるのが、妙に偽名のように感じる。名前のイントネーションが一緒なのも、発音の音が一緒なのも、あまり偶然とは思えない。
「……千冬さんに相談…するべきかな」
あくまでも確証がない私の直感である。故に相談しても、私の嫉妬や考えすぎという点で片付けられてしまうだろう。
「……ひとまず、授業受けないと」
思考まとめるには、ひとまず手を動かす。授業受けないといけないのだから、ちゃんと受けていかないとどうしようもないのだ。
私だって、受けなければ馬鹿になってしまうんだし。
そう考えながら、私は2組の扉を開けて教室の中に入っていくのであった。
side五十冬
「ボロネーゼ3人前どーぞ」
結局、あの鈴っていう子が気になってしょうがなかった。おかげでちょっと注文間違いを起こしたが、まぁなんとかなるだろう。パスタは嫌いではない。
「鬼村さん…どれだけ食べる気ですの……?」
後ろにいるセシリアが心配してくれたが、如何せんこの体は色々燃費が悪いのだ。食べなければやっていけない。
「うん!私いっぱい食べるの好きだから!」
「なら、しょうがありませんわね。いっぱい食べるのは、成長にとってもいいことですもの」
どうやら成長期だと思われたらしい。何をどう成長するべきなのか、ふと問い詰めたくもなったが……そんな事よりも、目の前で面白おかしいことが起きている。
「━━━箒がファースト幼なじみ、鈴がセカンド幼なじみなんだ」
篠ノ之箒、凰鈴音、織斑一夏の三角関係の理由のような話をしていた。織斑一夏の言葉だけで分かるのだが、要するに小学校前半まで篠ノ之箒と共にいて、凰鈴音とはそれ以降の付き合いだったらしい。
器用に入れ替わり、そして器用に二人とも仲良くなっていたのだ、織斑一夏は。
鈴とも離れていたらしいが、せいぜい1年ほどだったらしいのであまり再開という再開でも無いだろう。鈴自身は、サプライズしたかったようだが……
「……サプライズ、ねぇ」
「あら、五十冬さんはお嫌いですか?」
「嫌いではないけどね?まぁ、いい思い出がなかったからあんまり好きでもないかも」
「そうなんですの……」
サプライズと言えば、私の兄を殺した奴らの言い分が『サプライズ的に後ろから押したら、勝手に落ちていった』というものだったのを思い出した。今となってはどうでもいいが、これでサプライズにいい思い出を作れというのも無理だと私は思う。
「さて、ご飯食べよご飯」
「そうですわね」
織斑一夏たちの話し合いは白熱していた。幼馴染と言うだけで、何故そこまで熱くなれるのかは私にはよく分からなかった。ただ理解出来ることは、篠ノ之箒と凰鈴音という少女達が織斑一夏という男性を恋愛的な意味で好意的に見ている……ということである。
「あ、オルコットさん少しいいー?」
「はい?なんですの?」
「私新聞部なんだけど、織斑くんとあなたが一緒に写ってる写真を撮りたいから、こっちに来てくれないかな?」
「私はここで待ってるし行ってきたら?」
「……なら、少しの間だけですわよ?」
「ありがとー、あぁ手を繋いでもらえたりすると嬉しいかなぁって」
セシリアが織斑一夏達の所に行き、写真を撮り始める。1年1組に二人の専用機持ちがいるのだから、珍しいどころの騒ぎではないだろう。
そもそも、基本的に専用機持ちは1国家の代表として扱われるのだ。無論、セシリアはイギリスの代表ということもあって、イギリスに属する専用機持ちである。
しかし、別にその国家の生まれでないといけないという決まりはない。ロシアで生まれた誰かが、日本だったりアメリカだったりの国で代表生で専用機を貰ってもいいのだ。無論、基本的にそういったことはほとんどない事例ではあるのだが。
「ねぇねぇ、鬼村さんはどう思う?」
「え、何が?」
突然、クラスメイトが私に話しかけてくる。別段私が無視していた……ということも無いらしく、ただ話を突然降っただけの様だった。
「織斑君と凰さん!どっちが勝つかなっていう話だよ!」
「あの二人が戦うとなると……」
真面目な話、凰鈴音代表候補生の持つ専用機のISの情報がない為に、予想するにしてもかなり曖昧な答え方になる……とは思わない。
そもそも織斑一夏は、つい最近ISに乗ったばかりの素人なのだ。それが代表候補生に勝てる道理があるのか?いや、無いだろう。まぐれの確率を含めても、半分を超えていれば上等な部類である。
「うーん、ちょっとわからないかなぁ。せめて凰さんの武装が分かれば、予想もしやすいんだけどね?」
「あー、やっぱりそうなっちゃうよねぇ……2組に聞きに行こうかな?」
「教えてくれるか分かんないよ?そもそもクラス対抗戦も近いんだし、自分の代表の武装を教えるなんてことは……」
「あ、やっぱりないと思うよねぇ……そうなんだよねぇ…」
露骨に落ち込むクラスメイト。いや、普通に考えれば分かる事だと思うのだが……私の考えがおかしいのだろうか。
しかし、凰鈴音……彼女の武装を織斑一夏との戦いで見ておくのも、悪くないのかもしれない。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
授業も終わり放課後の時間、私は突然後ろから声をかけられていた。声の主は、何となくわかる……凰鈴音、彼女だろう。事実、今振り向いたら彼女だったし。
「はい?なにか私に用ですか?」
「貴方、私の相手しなさいよ」
「……凰さん、貴方は織斑君と放課後にISの練習をするって言ってたのを聞いてましたけど?」
「あぁそれ?わざわざ対戦相手に私の武装見せる訳ないじゃん……って言うのは建前。ファースト幼馴染…っていうあの子が練習に付き合ってあげてるんだし大丈夫でしょ」
何故?という気持ちが私の中で強くなっていた。わざわざ放課後、私一人の時を狙って話しかけてくるなんて余程の事だろう。
「あんたさぁ……一夏に手を出したらタダじゃ置かないわよ?」
「……何の事だか、ちょっとわからないですねぇ」
「ほら、その顔」
「…顔?」
「こうやって私が失礼な態度とってるのに、貴方は本当の意味で嫌な顔一つしてない。私が吐いた言葉で、全く反応を示していない……はっきり言って、表と裏がきっちり区別付きすぎてるのよ」
なんと、笑顔から私の異質性を覗いたのだろうか?なんという覗き魔……という冗談は置いておくにして……ここでずっとはぐらかし続けるのもありだろう。
しかし……確実と言っていいほどに、彼女は私を怪しんでいる。織斑一夏に手を出すという気は全くないが、恐らく正当な人間ではないということだけは気づいているだろう。
「……そうですか、まぁでも安心してくださいね?私は、織斑君に異性的な興味は抱いていませんから」
「ふーん……まぁ、仮にそれが本当だったとしても…標的として殺す分には、あんたを怪しむには十分よ」
「証拠が笑顔だけと言われましても……」
「それと、胡散臭いしあんたの歩き方は……怖いものがあるわ」
「……怖い、もの?」
「私が思っただけよ……教えて直されたらたまったものじゃないわ…と言っても、私が気づいてんだから千冬さんにはもうバレてると思うけどね」
口からのでまかせか、はたまた私が気づいていない癖があるのか…どちらかは分からないが、しかし……こいつは、早めに消しておいた方がいいのかもしれない。
「千冬さんが手を出していないから、私が手を出していないだけ…もし、あんたが敵に回るようなら……」
「回るようなら?」
「遠慮なく、
そう言って、凰鈴音は離れていく。どうやら、ただ文句を言いに来ただけらしい。当たり前か…今ここでISを展開して戦う必要性はない。
というか、話し相手という意味だったのか。てっきりISの特訓相手にでもなれって意味かと……
「……」
ひとまず、私はいつタイミングを見計らって彼女を消すのか。それだけを考えながら、部屋に戻っていくのであった。
鈴ちゃん五十冬を敵視中。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい