side?
一夏は、少女と戦っていた。変貌した紅椿に乗り込み、バイザーをつけて顔を隠している少女とタイマンで戦っていた。少女の操る機体……否、少女は自分のことをこう名乗る。
「赤月……世界で初めて生み出されたIS。それが私……あの人が触れた、この世の全てを凌駕する存在……そして、貴方を手に入れる代行者」
「IS……!?」
「私……否、
操縦者の夢を叶える……そして、あの人という言葉。一夏は薄々目の前の少女の正体に気づいていた。そして、なんのために行動しているのかも、なんとなくだが解明できていた。
「……箒が、こんなことを望んでいるって言うのかよ!!」
「望んでいる……あの人のものになりなさい、織斑一夏」
篠ノ之箒、彼女の夢……叶えたいものが織斑一夏。彼そのものなのだ。そして、赤月と名乗る少女……その正体は、紅椿の中に宿るAI……いやここまで来れば最早『意思』に近いだろう。
「それが……」
笑みを浮かべる少女。暖かく、優しい笑みでもなく……冷たく薄ら寒い笑みでもない。温度を感じさせない張り付いているかのような笑み。
それが、一夏にとって堪らなく……憤らせる物だった。
「それが、どうしたぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
紅椿から赤月ヘ……画面に映っていたISの表示が変わる。今的として写っているのは、IS紅椿では無い……暴走している最初のIS、赤月なのだ。
切り結び会う二つの機影。しかし、赤月が出した一刀を……一夏が止めた。わざと右腕に刀一本を突刺させる事で、相手の虚をつく。そのまま余った左腕で赤月を抱きしめる……が、このまま説得して終わるようなら問題はとっくの昔に解決している。
「このまま我慢比べといこうか!!」
「なっ……!? 離しなさい!!」
一夏は白式の羽による斬撃で赤月をむちゃくちゃに切り刻んでいく。少女は一夏を離す為に両肩の射撃ユニットからひたすらにビームを連射する。
「止めなさい……止めっ……止めて!!」
悲痛な少女の叫び声、その声が聞こえてきたすぐあとに……赤月と白式は爆発していた。
全ての始まり、と言うよりは終わりの始まりと言うべきか。織斑千冬がISの表舞台から姿を消した理由……その直接的な原因を作ったのは、篠ノ之箒本人だった。
当時の箒は、暮桜を身にまとった千冬に戦いを挑んだ。その身に赤月を身にまとって……その赤月の能力は全てのISの弱体化。つまりはISの頂点に立てる能力である。
その能力を使い、箒は勝った。だが、その勝利が自身の暴力の結果であると知った時……箒は恐怖した。そしてその記憶は、封印された。姉である篠ノ之束の手によって。
「あ……あぁ……」
こんな自分に助けはいらない。記憶を取り戻した箒は自暴自棄になっていた。だが、その願いは叶えられることはなく……同時に彼女が最も望んでいることが叶えられてしまう。
「逃げるなよ、箒」
気がつけば、箒は一夏の腕に抱かれていた。彼のからだはありとあらゆるところが傷になっており、突き刺された腕は未だに血が止まっていなかった。
「どうして……そこまで……」
「どうしてって……決まってるだろ? 箒だからだ……他の誰でもない、箒だからだ」
その言葉に、箒の心は救われた。彼が自分を自分としてみてくれている、その事が堪らなく箒の救いとなっていた。涙を流し、嬉しい笑みを浮かべて彼女は一夏に笑いかける。
「……おかえり、箒」
「あぁ……ただいま……一夏……!」
あの人……篠ノ之箒は愛する男の腕にだかれていた。その事で、赤月は……箒は自分の夢が叶えられたと確信が持てていた。ISの中で、プログラムの海の中で赤月は微笑む。プログラムなのか自我なのか……それは誰にも理解できない。
だが、明確にわかっていることは……彼女は幸せだと言うことなのである。それが理解……確信出来た赤月は光の粒子となって……白式の中へと吸い込まれていく。
彼女の障害はいまだ残っている。それを消すために……力を愛する男へと渡すのであった。
side■■■■■
ISは、操縦者の夢を叶える存在。カリオストロと1つになっていて分かったことである。そう、カリオストロは私の夢を叶える存在。では、私の夢とは何か? 最初は篠ノ之束を殺すことで解決すると思っていた。けど違った、私は篠ノ之束が堕ちる姿を眺めていたいのだ。
何故かって? 殺すだけで終わりなんてつまらないから……それだけである。
「じゃあ、始めようか!! 篠ノ之束公開処刑を!!」
「……群咲を潰した程度でいい気になれるなんて、ほーんと失敗作ちゃんは頭も失敗作なんだね! 生身でも束さんはめちゃんこ強いんだよ!!」
「ほんとにそう思う? なら、この人達相手にしてみてよ」
私は、私の後ろに指を指す。そこには色々な男がいた。とは言っても、可愛らしい存在とか正義感とか持ってるやつは一人もいない。性欲に目を光らせて、女を喘がせたいと思っている野獣のような男である。
「……何、そいつら……どこから入って……」
「さぁて、どこだと思う?」
怪訝な表情で見る篠ノ之束。当たり前、ここは篠ノ之束とその関係者……とは言ってもほんのひと握りだけど……しか知らない秘密の場所。教えたところでたどり着ける場所じゃないし、こんなに大勢来ることは無い。
「……まぁ、ただの一般人なら僕が本気を出さなくても勝てるけどね!」
いつもの様に笑顔をうかべて、突っ込んでくる篠ノ之束……私は男たちの後ろで待機する。これからとても面白いものが見られるんだから。
「ふふん!」
篠ノ之束は、あの織斑千冬と同様の身体能力も有している。当たり前だ、天然で生まれた究極の人類。鯉から生まれた龍、アホウドリが産んだ鷹……まぁ要するに規格外という話だ。
本来ならジャンプひとつで男たちを飛び越して、私を一撃で殺すだろう。だがそれは……
「━━━あれ?」
篠ノ之束はまるで普通の人がジャンプしたみたいなジャンプ力だった。本当に飛ばない、どれだけ高く見積っても地面と足との幅は10cm程だ。
「っ……な、なんで束さんが転けてるのかなぁ……?」
「そりゃあ……
「……まさか、電脳ダイブ……!?」
「む、流石に理解が早い……そうそう……何だっけ? ワールド・パージ? IS群咲を食べたカリオストロが得た能力だよ、便利だよねぇ」
あっさり理解されたのでネタばらし。現在篠ノ之束は私が作り出した電脳空間に囚われている。正確には、ワールド・パージとはまた別の能力だが……
「……おかしいなぁ? 束さんを強制電脳ダイブさせる時間なんてあったかな? それに、機材も無いと思うけど?」
「あぁ……
「……ほんと、失敗作の癖に規格外のことばかりするねぇ?」
篠ノ之束は今私の中だ。まぁ本気になれば篠ノ之束の施設のコンピューター全てを使って閉じ込めることはできるけど……私の中なら苦しむ姿すぐに見られるからいいかなって。
「でも……でもでもでーも!! コンピュータってことならこのままハッキングしちゃえばいいよねぇ!! さっすが束さんだね!!」
理解したら順応が早いのがこいつ、すぐさまコンソールを開く。コンピュータの中だと理解した瞬間に、頭の中でコンソール開くまでのハッキングを終わらせている。
つまり、今私の体は篠ノ之束に乗っ取られかけている。
「そんなことさせるわけないじゃん」
男たちを向かわせながら、私は妨害を差し向ける。電脳空間だ、制している奴がそこの主だ。主が反逆者のハッキングを成功させなければ、主は主のままでいられる。
「おっと……そんなのが当たるわけないし、原理さえ分かれば束さんは直ぐに━━━」
私が投げた注射器を簡単に避ける篠ノ之束。物理的に避けてるように見えるが、コンピューター的にいえばワクチンを弾いてるウイルスみたいなものである。
まぁ、そんな簡単なものなわけが無いんだが。
「━━━え、あれ……? 何で……?」
腰が砕けたかのように尻もちをつく篠ノ之束。その顔は見た事もない焦り顔で染っている。実に気持ちいい、天才を異常で潰すのは。バカに潰される天才は実に滑稽だ。
「さてさてさーて!! あの天才で狂人で強靭な篠ノ之束ですらされたことに気づけない電脳ダイブ! それでこのカリオストロの能力が終わると思ってんの!? あんたの何が自慢かわからないけど自慢の群咲を食らったんだよ!? もっとえげつない能力に決まってるじゃん!!」
「え……」
「群咲を食ったカリオストロ……言いづらいしカリオストロバイオレットでいいや……で、そのカリオストロバイオレットの能力! それは━━━」
『強制的な電脳ダイブをさせ、その人物を書き換える能力』だ。ISを凌駕していると思うかい? けれどこの能力にも出来ないことがある。
例えばブサイクをイケメンにできないし、巨乳を貧乳にできないし、デブを痩せさせられない。その逆も然り。つまり、認識で変わる事と精神的なこと、そして記憶等を書き換えることが出来る。
とは言っても、不味いものを美味しいと言ったりする事は『認識』の範囲内らしいので可能だ。
「……そこまで覚醒しちゃってるなんて、ほんと失敗作の癖に……」
「……って言うかさぁ? 何でそんなに失敗作失敗作言うわけ?」
「……ふふ、人間を超える実験なのに人間を辞めてて『人間を超えた』って言えるの?」
「あ、なるほど確かに言えないや」
まぁだからなんだという話だが。さて、とりあえずこの女をどうしてやろうか━━
「……隙だらけ!」
そう言って篠ノ之束はこの空間から姿を消す。どうやら、ハッキングは1部だけ成功していたようだ。すぐに権利を取り戻せたものの、この空間から逃げ出したようだ。
「……んー、ほんと……天才って奴は……」
side?
「ふっふーん! こんなこともあろうかと束さんは生態学にも通じているのだ!!」
篠ノ之束が独自に開発したローカルコンピューター、束が各地に持つ秘密の研究所のみで共有されているコンピューター。その中に束は入り込んでいた。
肉体は、先程の基地に置き捨ててきていた。
「体なんて、束さんはクローンでいくらでも作れるしね!」
使うことになるとは思っていなかったクローン技術。ISの研究に使えるかと、試しに自分を作ったりしていたが、いつの間にか各研究所に1つずつ肉体が放置されている。
このローカルコンピューターを使えば、その肉体に入り直す事が可能なのだ。要するに、予備の体という奴だ。
「元々は、事故が起きた時に念の為に用意していたものなんだけど……ま、厄介な失敗作から遠ざかる為には仕方ないよね!」
朗らかに言っているが、頭の中は彼女の言う失敗作を殺すことしか考えていない。自分をここまでコケにしてくれた奴は、絶対に苦しませまくって……と、考えていたところで、ふと束は気づく。
「……何か、妙に遠いなぁ?」
電脳空間での移動、体感時間でそこまでかからないと考えていたが、妙に長く感じていた。とりあえず遠いところに移動出来ればよかったので、1番遠いところを選んだのだが、妙に時間がかかっているように感じていた。
「……お! 見つけた!!」
単なるイメージとしてだが、研究所のデータに繋がる扉を発見した束。その扉についているドアノブに手を伸ばして、回す。そして勢いよく開いて━━━
「あ」
勢いよく、謎の生物の触手の様なものに巻かれて引きずり込まれる。その後の束の意識はない。最後に感じたのは、自分の体が一気に勢いよく引き潰された感覚だけである。
そう、ここはコンピューター空間。その気になればファンタジーも再現可能なのだ。そして、コンピューター空間はありとあらゆることが可能だ。例えば……データのコピーなどがそれに当たる。
「━━━はっ!?」
目を覚ました束。自分の体は裸にされて両手足を拘束されている以外何も異常がなく、気づけばゴツゴツとした岩で出来た牢に閉じ込められていた。
「━━━テッテレテッテッテー! おめでとう篠ノ之束! 君の残機は1減ったぞ!! そして代わりに感度と残機が2増えたぞ!!」
「……データの、コピー……」
「お、さすがに理解したか。そう、カリオストロバイオレットの力は……さしずめコンピューター空間内の神。現実だと特に使える能力は無いけど……代わりに、コンピューター世界最強というわけだ」
「……そんな、バカげた能力……」
「コンピューター世界でしか使えないけどね……ま、とりあえず……」
・カリオストロバイオレット
簡単に言うとコンピューター内でならなんでも出来る、電脳ダイブした人間も好きに書き換えたりすることも出来る。例えどんな薬物が効かない人間でも、ひとたび電脳ダイブさせられてしまえばコンピューター内ではその『設定』すら無意味になる。
現実世界では特に何も出来ない。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい