【BL】カプごちゃ混ぜのBL短編集 作:腐エロのひと。
side ウルベルト
「ウルベルトさんっ!その、明日暇ですか?」
モモンガさんにそう訊かれて、俺はアイテムボックスから手帳を取り出す。アナログだなんて言われるけれど、転移後じゃコンソールを使ったメモ機能なんざ使えないんだからしょうがない。……それに、この本革の手帳は中々気に入ってる。悪魔だけれど、流石に両脚羊の革製ではないが。
「……えーと。特に予定は入ってないですね。何かありましたっけ?明日」
と、そう返せば、モモンガさんは眼窩の炎を大きく揺らめかせながら俺に迫ってくる。
「何言ってるんですか?ウルベルトさん!明日はクリスマスイブですよ!?」
「……あ。そうか、十二月……!最近カレンダー見てなかったからうっかりしてました。あっちと違って季節イベントも無いですもんね、こっちだと。……じゃあ、その。デートのお誘いだったりします?」
首を傾げながらそう訊くと、モモンガさんは大きく頷いた。
「はいっ!せっかくのイブなので、皆でパーティーをする前にイルミネーションでも見ながらデートしたいなぁ、って思って」
目の前でモジモジしながらそう言う骸骨姿の魔王様。
(マジ、萌え骸骨だよなぁ、モモンガさん。中の人、滅茶苦茶可愛いんだもん、ギャップ凄すぎて……)
まぁ、それでも惚れた欲目と言う奴か。俺はそんなモモンガさんの事も好ましく思っているんだけど。
「それは素敵ですね。……けど、イルミネーションなんてありましたっけ?俺、記憶にないんですけど……」
「あぁ、それはデミウルゴスがやってくれたんですけど、九階層の一部を飾り付けてくれたので……リアルよりも凄いイルミネーションになってると思いますよ!」
俺の言葉に、モモンガさんは胸を張ってそう答える。多分、今、ドヤ顔してるんだろうなぁ……。まぁ、そんな所も愛おしいんだけど。……俺も、大概末期な気がする。
「そうなんですか?全然気付きませんでした。じゃあ、明日は二人っきりでデートなんですね。今から楽しみにしていますね、モモンガさん」
そう言って、ハグをすると……途端に情熱的に抱き返される。
「はいっ!!じゃあ、明日の朝迎えに行きますね。ウルベルトさん」
可愛らしい恋人の言葉に、自然と口元が緩む。
「えぇ。お待ちしていますね」
俺がそう答えると、モモンガさんの腕の力が強くなったような気がした。
翌朝。いつものようにデミウルゴスの給仕で食事をして。クリスマスらしい赤のセットアップを装備していると、モモンガさんの訪れをデミウルゴスが伝えに来てくれた。
「そうか。では、前室で待って貰ってくれ。あと少しで私も其方に向かう」
そう告げて、ドレスルームで最終確認をしてからモモンガさんの待つ前室へ向かった。
「お待たせしました、モモンガさん」
前室に入ると、いつもとは違う装備のモモンガさんが待っていた。いつもは黒基調なのに、今日はイブだからか白基調の装備だ。縁取りに金などを使っているせいか、思ったよりも骨の躯にマッチしているように見える。
「モモンガさん。おはようございます。いつもの装備も格好いいですけど、今日の装備も荘厳で素敵ですね」
そう褒め称えれば、モモンガさんは眼窩の炎を嬉しそうに揺らしていた。
「おはようございます、ウルベルトさん。ウルベルトさんも真っ赤な装備が素敵ですね!黒の毛皮がより映えて魅力的ですっ!!」
「ありがとうございます、そう言って貰えると嬉しいです。一応、クリスマスカラーを意識してみたんですけど……好評みたいで安心しました」
普段は使わない、グリーンの装備品をワンポイントにした、一寸ばかりおめでたい感じの装備なんだが……イベント時ははっちゃけた者勝ちなので、気にせず装備している。モモンガさん受けは良かったので、まぁ結果オーライだ。
「準備は出来てますよ。もう、行きますか?」
そう訊くと、モモンガさんは俺にそっと手を差し伸べる。
「えぇ、行きましょうか」
「エスコートも様になってきましたね、モモンガさん」
差し伸べられた手を取れば、嬉しそうに手を握られた。……完璧にバカップルでしかないが、気にしたら負けだ。
「そりゃあ……何度もウルベルトさんに駄目出しされましたしね」
朗らかにそう言うモモンガさんに、小さく笑う。
「そんなに言った覚えはないんですけどね。でも、モモンガさんがより格好良くなったら嬉しいな、って思ってたので……すごく嬉しいですよ」
スマートにエスコートしてくれるモモンガさんに身を任せて、俺はモモンガさんと一緒に今日の目的地である九階層へ向かった。
side モモンガ
明日は久しぶりのデートだ。ずっと仕事が忙しくて、なかなかデートの時間が取れなかったから、事前にデミウルゴスに相談してイルミネーションを設置して貰った。お陰で、九階層はお洒落なデートスポットに早変わりしていた。
「デミウルゴス、感謝するぞ。これならウルベルトさんも気に入ってくれるに違いない」
「勿体ないお言葉です、モモンガ様。お二人のお役に立てたのであれば、これに勝る幸福はございません」
深々と綺麗な一礼をするデミウルゴスは、嬉しげに尻尾を揺らしていた。
(ウルベルトさんも嬉しいと尻尾をピコピコさせてたっけ。本当に親子でよく似ているよなぁ……)
そんな事を思いつつ、イルミネーションを眺める。立派なツリーも設置してあるし、かなり見応えがある。
「明日のデートが楽しみだな……」
そう言えば、デミウルゴスは嬉しそうに俺を見ていた。
デート当日。いつもより早くならないように気をつけながら、ウルベルトさんの部屋に向かう。いつもなら転移してしまっているけど、時間の調節といった意味も含めて、自室からゆっくりと歩いて向かう。思わずスキップをしてしまいそうになるのを、必死に堪えながら。
「ウルベルトさん、俺です。入っても良いですか?」
扉の前でノックを三回した後に、そう声を掛ける。すると、中からデミウルゴスが対応してくれた。
(……って事は、ウルベルトさんはまだ準備中かな?)
少し早く来過ぎただろうか?と、そんな事を思いつつ大人しく腰掛けて待っていると、すぐにウルベルトさんがやって来る。
「お待たせしました、モモンガさん」
現れたウルベルトさんは、いつも装備している黒い物とは違う、真紅の鮮やかなセットアップを装備していた。要所要所にこれまた鮮やかな緑色のアクセサリーを装備していて、とっても素敵だった。
「モモンガさん。おはようございます。いつもの装備も格好いいですけど、今日の装備も荘厳で素敵ですね」
そう。今日の俺はいつもの黒い装備とは違った装備を身に着けていたのだ。大好きなウルベルトさんにそう褒められて、俺のテンションは一気に上がる。
「おはようございます、ウルベルトさん。ウルベルトさんも真っ赤な装備が素敵ですね!黒の毛皮がより映えて魅力的ですっ!!」
力一杯そうウルベルトさんの可愛さをそう褒め称えると、ウルベルトさんはうっすらと微笑みながら俺を見る。
「ありがとうございます、そう言って貰えると嬉しいです。一応、クリスマスカラーを意識してみたんですけど……好評みたいで安心しました」
緑色のアクセサリーに手をやりながらそう言うウルベルトさんは、やっぱりすごく可愛らしい。いつも以上にキュートで可憐なウルベルトさんをエスコートして、俺は九階層へ向かった。
「わぁ……!すごいですね、モモンガさんっ!!」
九階層に入った瞬間、そう声を上げるウルベルトさんが可愛らしくて仕方が無い。廊下にもイルミネーションでサンタやトナカイのデコレーションをしているので、見た目にも派手で目を惹く作りになっている。
「本当にすごいですよね。古代図書館の資料だけでここまで飾り付けをしたのはデミウルゴスなので、後で直接褒めてあげて下さいね」
そう言うと、ウルベルトさんは頷いてくれる。金色の瞳を輝かせながら、イルミネーションに見入っているウルベルトさんは、普段よりもほんの少しだけ幼く見えて……より可愛らしかった。
(本当に可愛いなぁ、俺のウルベルトさんは……)
そんな事を思いつつウルベルトさんを見つめながら、二人でイルミネーションで飾り付けられた廊下を歩く。そうして、暫く歩くと今度はツリーが飾り付けられている大広間に着く。
「これは……一際すごいですね。ツリー……この大きさの木を用意するのも大変だったでしょうに。魔樹じゃなく、普通の木でこの大きさって……」
「そうですね。俺も触ってみましたけど、本当に魔樹じゃ無い普通の木ですから……近くで見ても安心ですよ」
俺がそう言うと、ウルベルトさんは嬉々としてツリーに近付いてゆく。
ツリーの大きさも相まって、ウルベルトさんがより小柄に見える。キラキラと光るイルミネーションが、ウルベルトさんの毛皮を照らしてよりツヤツヤに見せている。光を反射して光る角も、ピカピカしていていつも以上に綺麗だった。全体的に輝いて見えるウルベルトさんは、普段よりも一層可愛らしくて……。
「ウルベルトさん……!」
思わず、背後から抱き締めていた。
「モモンガさん……?」
俺の突然の行動に、ウルベルトさんは戸惑ったように俺を見上げている。
「ウルベルトさんが、可愛すぎるから……!俺っ、我慢出来なくなっちゃうじゃないですかっ……!!」
絞り出すようにそう叫べば、ウルベルトさんは一瞬目を丸くしたかと思うと、次の瞬間には微笑んでいた。
「珍しく、余裕たっぷりにエスコートしてくれたかと思ったら……結局我慢出来なくなっちゃうんですか?本当に可愛らしいですね、モモンガさんは」
抱き締めた手の上に自分の手を重ねて、艶然とそう微笑むウルベルトさんは、本当に色っぽくて。いつ見てもドキドキする。
「ウルベルトさんが可愛すぎるのが悪いんですよっ!!俺だって、今日はせっかくのイブだし?もっと格好良くエスコートするつもりだったんですよっ!?」
目の前でぴょこぴょこ動いている愛らしい耳に軽く噛み付きながらそう言えば、ウルベルトさんは小さく笑いながら俺の腕を撫でる。
「いつだって、モモンガさんは格好良くて可愛らしいですよ。……それに、余裕が無い所も俺は好きですから」
「ウルベルトさんっ……!」
好きなヒトにこんな事言われて、我慢なんて出来る訳が無い。沈静化が全然追い付かないのを感じつつ、俺はウルベルトさんを抱き上げた。
「……まだ、デートが始まって三十分くらいしか経ってませんけど?」
「我慢出来なくしたのは、ウルベルトさんじゃないですかっ!!」
余裕綽々で言うウルベルトさんにそう返すが、ウルベルトさんの笑みが深くなるだけだ。
「しょうがないですね。……また、明日俺とデートしてくれます?折角のイルミネーションですし、俺もっとゆっくりと見たいんですよね」
可愛らしくそうおねだりしてくるウルベルトさんを抱き締めて何度も頷けば、ウルベルトさんは小さく笑う。
「大好きですよ、モモンガさん。我慢出来なくなっちゃっても、今日は許してあげますから……」
ウルベルトさんは俺の腕から抜け出すと、振り向きざまに俺に触れるだけのキスをしてくる。
「えっ……今っ!!」
「……続きは、部屋で。ね?モモンガさん……」
甘い声でそう言われて。俺は再びウルベルトさんを抱き上げると、即座に転移していた。自分自身の部屋へと。
「ウルベルトさんが悪いんですからねっ!俺の事、そうやって誘うからっ……!!」
そう言ってウルベルトさんをベッドに押し倒すと、甘く潤んだ紫と金の瞳が俺を見返す。
「俺に誘われてくれるのなんて、モモンガさんくらいですけどね。誘われてくれたのなら、ちゃあんと責任取りますから……安心してくれていいですよ」
ウルベルトさんの手が俺に触れたかと思ったら、次の瞬間強く引かれて。俺はあっさりとウルベルトさんの上に倒れ込んでいた。
「……責任……どうやって取ってくれるんですか?」
大きな耳元で囁くようにそう言えば、ウルベルトさんは小さく身を捩りながら甘い吐息を漏らす。その色っぽさに、ドキドキが止まらない。もう俺に心臓なんて無いのに。
「言わなくても……解ってる癖に。言わせたいんですか?俺に」
ちゅ、っと頬にキスされて。一気に熱が高まる気がした。
「お願いしたら、言ってくれるんですか……?」
そう返せば、ウルベルトさんは俺の耳元で囁くようにその言葉を口にしてくれた。
「モモンガさんが俺に飽きるまで……責任取ってお付き合いしますよ。どんな事にでも、ね……」
意味深にそう言って笑うウルベルトさんは、本当にえっちで。滅茶苦茶エロかった。
(一晩中甘々えっちをしているモモウルを妄想して下さい!!)
「……俺、全然飽きてないんですけど」
翌朝。離れがたくてウルベルトさんを抱き締めたままそう言えば、腕の中で小さく身動ぎながら、可愛らしい恋人は俺の口元に指先で触れる。
「でも、今日はデートの続きって約束しましたよね?だから、もうおしまいですよ。ほら、起きないと!俺、今日はするの嫌ですよ?ちゃんとデートしたいんですから」
悪魔なのに真っ当な意見を言うウルベルトさんに、俺は渋々ながら手を離して身を起こす。
「じゃあ、せめて、デート中は手を繋いでません?俺、ウルベルトさんと離れるの淋しいです」
エスコートもいいけど、手を繋いで歩く方が俺には合ってるみたいだ。ウルベルトさんの手の温もりを、ダイレクトに感じられるし。
「そうですね。其れ位で満足して貰えるのならいいですよ。……今日はちゃあんと我慢して下さいね?昨夜はたっぷりイチャイチャしたんですから」
「……はい」
確かに、昨夜たくさんイチャイチャした。けど、全然飽きないし、ウルベルトさんに触れれば触れる程もっとイチャイチャしたくなるんだから……仕方ないというか。けど、ウルベルトさんに嫌われたい訳じゃないから、クリスマス本番の今日はちゃんと我慢しようと思う。
「まぁ、今日は皆でパーティーですし、あんまり色っぽい雰囲気にはならないと思いますけどね」
笑いながらそう言うウルベルトさんは、やっぱり可愛らしくて。誰にも渡したくないな、って強く思った。
「ウルベルトさん。愛してますよ。貴方の事だけを、永遠に」
想いを込めてそう言えば、キスを返される。
「……知ってますよ。モモンガさんがどれだけ愛情深いヒトかは。俺も、モモンガさんが大好きですよ。誰よりも。……愛してます」
柔らかに微笑んでそう言われて。胸が熱くなる。嘘が吐けないウルベルトさんの言葉だから、他のヒトのそれと比べて重さが違う。
「さ、準備して出掛けましょう。クリスマスはまだ始まったばかりですからね」
照れ隠しのようにそう言うウルベルトさんが愛しい。けど、触れるのは我慢しておく。
「そうですね。今日はのんびりとデートしましょうね、ウルベルトさん」
俺の言葉に、ウルベルトさんは満面の笑みで応えてくれた。
「えぇ、楽しみにしていますね」
そう言うと、ウルベルトさんはそっと俺の手を握ってくれた。その手の温もりに、ジンワリと心の奥底から温まってくるような気がした。
「はい……」
体温の無いこの躯に感じる、その温もりが心地良くて。俺はそっとウルベルトさんの手を握り返した。
END