【BL】カプごちゃ混ぜのBL短編集 作:腐エロのひと。
ウルベルトさんは悪魔だからストレートな方がいいよな、って思い込んでこんな行動に出たたっちさん。異形化って怖いね!
「ウルベルトさん、こちらの書類にサインして下さい」
そう和やかに言う、白銀の聖騎士。俺の目の前に翳された羊皮紙には、流暢な筆記体でたっち・みーと書かれている。
「たっちさん」
「はい」
俺は笑顔のまま羊皮紙を受け取ると、
「巫山戯んな」
そう言って、渾身の力で破り捨てた。
「あっ……!ウルベルトさん、何するんですか?せっかく同意書用意したのに」
破り捨てられた同意書を慌てて拾い集めるたっちさんに、俺は冷たい視線を向ける。
「馬鹿じゃないですか?何でアンタを嫌ってる俺が、ソレにサインするって思ったんです?」
大きく溜息を吐きながらそう言えば、たっちさんは小さく首を傾げながら俺を見る。
「え?だって、ウルベルトさん私の事好きですよね?本当に照れ屋さんですね」
「……はァ?」
唐突に言われた寝言に、血管がぶち切れそうになった。何言ってんだ、コイツ。
「何でそう思ったんです?俺、常にアンタに突っかかってたし、好意を示した事なんて一度も無かったと思うんですけど」
にっこり、と笑顔を浮かべてたっちさんを見つめると、たっちさんは真っ直ぐに俺を見て言い放つ。
「好きな子をつい虐めちゃう、ってヤツですよね?ウルベルトさんは本当に子供っぽいヒトですね」
「…………」
……ヤバイ。マッハで<大災厄>ブッパしたい。何でコイツはこう、ヒトの神経を逆撫でするのが上手いのか。マジで、根本的にコイツとは合わないんだろう。そうでなきゃ、こうまでやる事なす事全てが気に食わない、とかあり得ねぇだろ。
「たっちさん、ソレ、誰に聞いたんです?それとも、御自身の判断ですか?」
もしコレが阿呆鳥とかの入れ知恵だったら、手加減無しで燃やしてやろう。そう思いつつ笑顔のまま訊いてみる。疾っくの昔にティーカップはテーブルに戻している。結構気に入っている茶器だし、一時の衝動で割ってしまったらいけないし。……これ以上イラッと来たら、思わず持ち手を握り潰してしまいそうだし。
「えぇと……誰、というか。ウルベルトさんご自身が私の事を意識しまくってるじゃないですか?もう、態度でバレバレですよ?恥ずかしいのなら私が手伝ってあげますから……」
白銀の聖騎士は朗らかにそう言うと、あっという間に俺の背後に回る。そして、俺の目の前に新たな羊皮紙を置いて俺の右手に羽根ペンをねじ込んだ。
「ちょ!?テメェ、何しやがるッ!離せ、糞聖騎士ッ!!」
前衛職らしい馬鹿力で、俺が暴れてもビクともしない。背後から拘束された右腕は、ゆっくりと羊皮紙の上に運ばれる。
「え?だから、手伝ってあげますって言いましたよね?ここにですね、ウルベルト、と。あ、フルネームじゃ無くても大丈夫ですから」
声が、もの凄く愉しそうだ。ワクワクしてるというか、浮かれてるというか。
「い、や、だ、って言ってんだろ!?無理矢理サインさせようとすんじゃねぇよ!この馬鹿聖騎士がッ!!テメェなんざ抱けねぇってんだよ!!」
こんなゴツい、しかも蟲の野郎なんか相手に勃つモンも勃たねぇよ。幾ら俺が悪魔でも、好みってモンがある。しかも、俺は元々異性愛者な訳だし。そう簡単に意識が切り替わってたまるか、ってんだ。
「……え?ウルベルトさん、私を抱くつもりだったんですか?可愛いですね本当に。違いますよ、私があなたを抱くんですよ?さぁ、サインをして下さい」
俺の言葉に、とんでもない事を言いだしたたっちさんに、全身が凍り付いた。……ちょっと待て。コイツ、今何言いやがった!?コイツが、俺を抱く……!?
「おまッ……マジ、何言って……!」
「当然でしょう?私の方が年上ですし、あなたを上手くリードしてあげられますよ?」
その言葉に、一気に総身に鳥肌が立って。考えるより先に、俺の指先から魔法が迸った。一瞬のうちに燃え尽きた羊皮紙。そして、緩んだ拘束。
「ざけんなッ!!絶対サインなんざするもんか、この腐れ聖騎士がッ!!」
その隙を突いて、俺は転移した。どんなに腹が立っていても、自室を灰にするつもりは無かったから。