「すみませ~ん、鮭とホウレン草のパスタ大盛1つと、ペペロンチーノ一人で」
リサが店員に注文する。少々お待ちください、とお決まりの台詞をいって店員は去る。
「そういえば、今度の祝日、行く場所とかって、もう決まってるの?」
そうリサに訊いてみた。
「ヒナは服屋に行きたいって言ってたかな。冬服が買いたいらしくてさ。紗夜は楽器店で新しいエフェクター選びたいんだって。」
四人だと動きにくいから、2人ずつ別れて行動するのがいいだろう。
「四人で行動するのもなんだし、僕は紗夜といるよ、日菜制御出来る気、しないし。」
それに、僕自身、ファッションには疎いので、会話も弾まないだろう。女性服のコーナーにいるのも何だか気まずいし。
「それがいいね、ヒナと服、選びたいし。久々に紗夜とイチャイチャ出来るし、いいじゃん♪」
「紗夜、相変わらずガード固いんだよ、この間やっとキスまで行ったんだ」
「あっはは~、普通のカップルより大分遅いね~...」
リサも苦笑しながら返す。大体いい雰囲気になっても紗夜はすり抜けてしまうけれど、あの夜強引に迫っても拒絶するということは無かったし、むしろそれを受け入れていた。
「お待たせしました」
そこで店員が料理を運んできた。
リサは手をつける前に写真を一枚、パシャリと撮る。最近の女子高生らしいな、と思った。きっとSNSにでもあげるのだろうか。
「それ、SNSにあげるの?」
試しに聞いてみる。
「ううん、○○、写っちゃってるし、止めとこうかな、って」
案外その辺の事にはしっかりしてるんだな。というかちゃっかり僕の写真、取ってるし。
まぁリサっぽいな、と思った。以前なら僕はそれを意外だとか思ったのだろう。しかしリサと接していて、人との距離感を上手く測って接していると気づいてからは、リサに対する見方も変わってきたのだろう。
道理で気難しい友希那とも親友になれる訳だ。もっとも、それは長い年月あってこその事だが。
リサならヤマアラシのジレンマも乗り越えられるのかもな、とらしくもなく思った。
それから、リサと他愛もない話をして、食後のコーヒーを飲んでいたりしたら、夕方近くまで居てしまった。混雑してくる前にリサと店を出た。
「すっかり夕方になっちゃったね~。」
「そうだな。リサと話してたらあっという間に時間は過ぎていく。」
リサは歩みを止める。
「せっかくだからさ、写真、撮っとこうよ」
何を?と訊くほど朴念仁ではない。理由はないが、これが何かを決定付けてしまいそうな予感がする。しかし、
「まぁ、そうだな。」
と深く考えず返す。リサがくっついてきて、よく見る自撮りのポーズをする。
「ちょっと!アタシだけやったら馬鹿みたいじゃん!」
そう言われたので、取って付けたようなピースをする。
作り笑いにならない程度の微笑を浮かべて、リサと写真を撮った。
「うん、上手く撮れたよ!」
リサの差し出し画面には、鏡とは左右対称の、いつも見る顔とは少しだけ違う顔が写っていた。
それから家の前までリサを見送り、家路に着く。しばらく誰かといたので孤独が恋しくもなっていたので、寂しいということはなかった。この時、安寧が破られることは知るよしもなかった。
自分の思う今井リサが上手く表現できたかなと思います。まぁ個人の見解を越えないので誰かから見たリサはこの通りではないのかもしれません。次回、久々に日菜ちゃんとの100%R18回です。