このまま自分の家に帰る気にはならなかった。紗夜と別れて寂しいのかもしれない。
気付かないうちに足を例の公園に進めていた。
すると見たことのあるような人影がベンチにあった。
「あっ、○○じゃん~。こんな遅くに公園来たの?」
「それはこっちの台詞だ。リサこそ何でいるんだ?」
日も沈んだ後の公園に女子一人でいるのはどう考えても不自然だ。
「夕方ごろにね、友希那来てるかな~って待ってたら、いつの間にか日が沈んでたんだよね~」
どれだけ友希那に会いたいんだよ、と呆れた。リサには彼氏がいなかったはずだし、もしかしてレズなのだろうか。
「ふ~ん、もしかしてリサ、友希那の事好きなの?恋人として。」
単刀直入に訊いた。確信はあるが、それでもリサの口から聞かなければならない。
「っ!?...うん...そうだね。」
一瞬驚いたリサだったが、素直に認めた。とすると、友希那のバンドに入ったのも、クッキーを作るのも友希那に対する愛情から来ているものだ。リサは、良く言えば愛情深く、悪く言えば重いんだろう。
「道理で、男には興味がないわけだ」
少しだけ意地の悪い事を言ってみる。
「そう、かも...。でも、○○だってアタシにエッチなことしないじゃん。」
「それは、多分、リサの事をもっと知りたいからだ。」
自分でも少し矛盾した事を言っている気がした。普通はもっと知りたいという理由で性行為をするものだ。
「フフッ...何それ。普通逆じゃない?」
リサは軽くわらって応えた。
「だろうな。日菜と性欲を貪るだけのセックスを散々して、おかしくなっただけなのかもな。」
わざと下品な言葉を使ってみせる。
「アタシだって、友希那とあんなことやこんなことしたいと思ってるけど、この気持ちは本物だよ。」
リサは控え目に反論してくる。
「だったら、それでいいんじゃないのか?僕とリサの貞操観念がすれ違っているだけだ。恋愛にテンプレートなんてないんだよ。」
少しだけカッコつけてみる。
「何カッコつけてるの、○○らしくない。」
「リサの方こそ、らしくないぞ。恋愛相談なんて。」
図星だったが、誤魔化した。
「アタシ、友希那がいなくて寂しいのかも...。」
そう言ってリサは遠くの方をぼんやりと見つめた。
「...そろそろ親御さんも心配するし、帰ろう。」
ベンチから立ち上がり、リサの手を取ろうとする。
「先輩面しないでよ、○○だって紗夜いなくて寂しい癖に。」
どうもリサには全て見抜かれていたようだ。
「でも、ありがとう。少しだけ気が楽になったかも」
リサは微笑んだ。
そうして家までリサを送り届け、今度こそ家路に着いた。
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