「くぅっ...」
腰がバキバキになってきた。引きこもりが1日雑用してたらそうなるよな...。
事の発端は今日の朝に遡る。
「ジリリリリッ...」
目覚まし時計が鳴る。このところリサや日菜と寝食を共にしていたので一人で朝を迎えるのは久しぶりだった。時計の針は8時を指している。
「ピンポーン」
普段出番のないインターホンが鳴る。画面を確認すると、片手に荷物を持ったリサがいた。
「○○、おはよっ!朝ご飯、作りに来たよっ♪」
荷物を見せてそう言う。
「ありがとな。出来れば予め連絡してくれると有り難いんだが。」
予告もなしに女の子に家にこられるこっちの身にもなってくれ。
「それなんだけどさ、良ければでいいんだけど、アタシが朝作るってのは、どう?」
たどたどしく、少し目を逸らしてリサは言った。
「僕は全然がまわないよ、寧ろありがたいと思ってる。けど...」
「ママには、許可取ったから♪」
僕の心を読み取ったかのようだ。
僕はあるものを探してリサに渡す。
「これ、リサが持っててくれ。」
すると
「えっ、いいの...?」
スペアキーを手にしたリサは驚いたように言う。
「いちいちインターホンするのも手間だし。」
リサはスペアキーを大事そうに手に握りしめる。
「何だか、○○の特別になった気がする...」
その後は、いつも通りリサの朝食を一緒に食べた。
「そうだリサ、circleってバイト募集してたっけ?」
「あぁ、そういえばまりなさんが前に、「猫の手も借りたい~」ってぼやいてたから、歓迎されると思うよ~」
そろそろ怠惰に過ごすのも飽きてきた頃だ。新しいバイトを始めてみるのも悪くないな、と思った。
「アタシが代わり練習のついでにまりなさんに伝えておこうか?」
「大丈夫。リサ見送るついでに まりなさんと話しておくから。」
念の為、一応履歴書を書いておく。
「おぉ~、社会人って感じ~!」
横で見ているリサがそう言ってくる。社会人。よく使われる言葉だがその定義は曖昧だ。たとえ自立していても、極端な話パチプロやトレーダーが社会人かというとそうは言えない。労働をするにしても、僕のようなバイトで切り盛りしている人も社会人のような感じではない。成人をしたら社会人だというような風潮があるが、存外成人でかつ社会人である人は少ないのではないだろうか。
そんな思考に耽りつつ、履歴書を書き終える。経歴の欄をみるとまだ三行しか埋まっていないのをみると、自分の若さを実感する。
「待ってくれてありがとな。そろそろ出よっか。」
そう言ってリサと共に家を出る。
circleに着いたあと、
「リサ、練習頑張ってこいよ。」
「うんっ!○○も、バイト頑張ってね!」
そう言ってリサはスタジオに入っていった。
「○○君~、またまた君は色んな女の子に手をだすね~。」
ほんとに人聞きの悪い事を言う人だ。でも何だか、まりなさんは社会人って感じはしないな。僕のなかの、社会人は満員電車に乗って出勤するサラリーマンという固定観念のせいかもしれないが。
「いえ、僕は紗夜一筋ですよ。」
自分でも言ってて馬鹿みたいに思え笑いそうになった。
「そんな夢みがちなプロポーズを私に今されても、反応に困るなぁ~。」
「冗談です。今日はバイトの件について聞きたいことが...」
「ば、バイト!?助かるよ!!」
まだ話の途中なのにまりなさんは僕の手をとって喜ぶ。
「早速だけど...」
そして早々と採用が決まり、場面は冒頭へと移る。
モップで床を掃除し終わり、背筋を伸ばす。
「くぅっ...!」
少し背を曲げた状態が長く続いていたので腰がバキバキだ。たまに女の子達が挨拶してくれるのが救いである。
「お疲れ~、ちょっと休憩してていいよ~」
まりなさんはそう言う。自販機で何か買ってくるか...。そう思って一旦外に出た。ジュースを一口のみ、
「ふぅ...」
と息をついて、しばらく空を眺めていた。
CoCo○で書いてたけどけっこう捗る。しばらくはリサがメインになりそうです。