あの後、結局circleが閉店する時刻まで働いていた。
時刻は5時前。普段使わない筋肉を使ったので余計に疲れを感じる。休憩時間を除くと5、6時間は働いたのだろうか。
「それじゃああとはやっとくから、○○君は帰ってもいいよ~」
「わかりました。お言葉に甘えて失礼します。」
まりなさんにそう言われたので荷物をまとめて帰ろうとした。すると
「○○、お疲れ様~♪」
リサがスタジオから出てきた。
「あれ、Roseliaってさっき上がってなかった?」
と僕はリサに訊いた。
友希那たちは2時間前くらいにスタジオから出てきていたはずだ。
「アタシRoseliaの中じゃ下手だからさ、自主練してるんだ。」
下手、か。自分でもそういうんだからRoseliaの演奏レベルは相当高いんだろうな。
「リサ、頑張ってるんだな。」
気の利いた言葉が思い付かない。
「うんっ!だから頭撫でてよっ!」
他人に見られると怪しまれるので回りに人が居ないのを確認する。まりなさんは残りの作業で裏に行ったようだ。
「そんなに回りに確認してると何だか、イケナイ事してるみたいだね。」
「実際、年齢的にアウトだけどな。」
そう言って、リサの頭を髪型が崩れないように軽く撫でた。
「えへへ~、ありがとっ!」
リサは嬉しそうだ。そこで猫とたわむれた日のことを思い出した。頭を撫でられて喜ぶ様子など、やはりリサは猫ににているな、と思った。
「○○君~、リサちゃんにまで手出すんだね~。」
げ、まりなさん。いつの間に居たんだ、さっきまで居なかったのに。目が全然笑ってなくて怖い。
「い、いや、これはリサが...」
「言い訳しなくてもいいよ?紗夜ちゃんだけじゃ満足できないんだよね?」
そう言い残してまたまりなさんは作業をしにいった。
はあ。何だか今のやり取りだけで精神的に疲弊してしまった。
その後、いつものようにリサを家の前まで送り、リサと別れて家に帰ろうとした。するとリサの母親らしき人が玄関から出てきた。
「リサ、お帰りなさい。その人は?」
やはりリサの母親のようだ。
「ううん、友達だよ。名前は○○。」
するとリサの母親は驚いたようで、
「あら、てっきりリサの彼氏かと思ったわ!」
一応紗夜の彼氏なのだが、リサはそこまで言う気はないようだ。にしてもリサに似て美人な人だなあと思った。おまけに話し方も似ている。
「○○くん、リサを送ってくれてありがとう!お礼と言っては何だけど、ご飯食べていって!」
こうしてリサの家でご飯をご馳走される事になった。