今井家からでて、circleへと向かおうとしたとき、奇遇にも隣の家からも誰かが出てくる。
「あら、リサに○○、おはよう。珍しいこともあるものね」
出てきたのは友希那だった。先ほど彼女の下着姿を見てしまっただけに、気まずいものがある。
「おはよう、友希那♪」
リサは手をひらひらと振りながら挨拶を返す。
「リサはRoseliaの練習があるのだけど、○○は何か用事があるのかしら?」
そう友希那は問う。昨日、circleで働いてたんだけどな。
「実は昨日からcircleでバイト始めたんだよ、暇潰しにね。」
本当は紗夜達と接点を持ちたいという後ろ暗い理由があるのだが、言わないことにする。
「あぁそういえば、昨日、circleにあなたがいた気がするわ。」
今朝のことといい、友希那のポンコツさはどうにかならないものだろうか。
「友希那~、あんまり○○に酷いこと言わないであげてよ~♪」
そこでリサにフォローされる。
その流れで、友希那はリサと会話をし始めた。邪魔しないよう、半歩後ろから二人が談笑しているのを見守る。しかしリサの本性を、今朝僕は知ってしまったので、リサの心中を邪推してしまう。今も、リサは友希那を犯したいなどと考えているのだろうか。
間違いないのは、行為をするとき、友希那はネコなんだろうな、ということだ。猫だけに。
性行為に疎い友希那を、リサがリードしてあげる光景が容易に想像できる。そしてあげくの果てに、友希那はリサなしでは性欲も発散出来ない体になるのだろう。
そんな、薄い本が一冊描けそうな妄想をしていると、もうcircleの近くまで来ていた。
「おはよう、○○くんに、リサちゃんと友希那ちゃん♪」
受付のまりなさんに挨拶される。
「じゃ、○○、バイト頑張ってね~♪」
そういってリサは友希那と共にスタジオに向かっていった。高校生は気楽でいいな、と一瞬思ったが、老害になるにはまだ早いだろう、僕は未来ある大学生のだから。とは言っても現在進行形で社会の歯車、もとい社会人と化しかけているのだが。
「じゃあ○○くん、今日は午前だけ受付やってもらおうとおもうんだ~」
いつもの緩い口調でまりなさんは言う。いや、待てよ、このコミュニケーション障害持ちに受付をさせるとは、まりなさんの目は節穴なのか。
「ん、私が老眼だって?」
まりなさんは少し笑いながら言う。眉間に少しだがシワが寄っている気がするが気付かなかったことにする。
「冗談だって、私も隣にいるから、困ってたらフォローするよ。」
少しはハードルが下がったか。ただcircleの利用者はガールズバンドが大半を占めるので、必然的に女子高生に応対しなければならないので、依然ハードラックであることには変わりないのだった。
受付の仕事はつつがなく終わった。いや、つつがなくはなかったかな。Roseliaとは別のガールズバンドの、派手に赤のメッシュを入れた少女とひと悶着、というか軽くトラブルになりかけたっけ。その赤メッシュは校則に抵触しないのだろうかと興味深いと思い、まじまじと見ていたら
「そこの店員、あたしに何か用?」
とかなんとか因縁をつけられたような気がする。
良い思い出とは言えないので忘れるように努める。
スマートフォンで時間を確認すると、12時を過ぎた頃だった。弁当を買いに行こうとコンビニに行こうと、circleから出ようとした。
「○○、バイトお疲れ様。」
後ろから聞き慣れた声が聴こえる。
「あぁ、紗夜こそ、練習お疲れ。」
紗夜は片手に何か持っている。
「そ、その...、弁当を作りすぎてしまったので、食べてくれませんか?」
紗夜は目をそらしながら、少し顔を赤くしてそう言う。普段から嘘をつくことがないのだろう、分かりやすくすぎる嘘をつく紗夜が可愛かった。
そもそも、計画性のある紗夜が、弁当を作りすぎると言うのがそもそも不自然だ。
「ありがとな、丁度お昼にしようかと思ってた所だったんだ。」
「では、そこのベンチで食べましょう。」
circleの近くの、公園のようなスペースの方を指して言う。すると、片手にタオルを持ったリサがスタジオから出てきた。
「ふ~疲れた疲れた、友希那ったらぶっ通しで練習するんだから~って、○○じゃん~♪」
リサもこちらに駆け寄ってきた。
「おつかれ、リサ。これから紗夜とお昼にしようと思ってな。」
「へ~、どうりで昨日、紗夜が○○のこと聞いてきた訳だ~♪」
察するに、やはり紗夜は作りすぎたのではなく、作為的なものだったのか。
「い、今井さんっ、それは言わない約束だとっ...」
紗夜は慌ててそう言う。
「あ~、ゴメンゴメン、でも言っちゃったものはしょうがないじゃん~♪」
それを自分で言うかよ、全く申し訳ないという気持ちが伝わってこない。特にゴメンゴメンと二回重ねるところが。そんなに人の彼女を辱しめたいか、この変態レズ野郎は。多分、今朝の勝負で負けたことの八つ当たりだろう。
「リサ、その辺にしといてくれ。紗夜、早くお昼にしようよ。」
そういって紗夜の手を取る。背後から嫉妬に満ちた視線を感じるが、振り返らないことにして、circleから出たのだった。
最近一話あたりの分量ふえてきたな~とおもう今日この頃。よければ評価&感想お待ちしてます。