ここで立ち話するのもなんなので、circleに併設されているカフェで話すことにした。僕はカフェオレを、友希那はコーヒーを注文した。テーブルに掛けると、友希那の、金色の瞳に見つめられる。
「それで、話って何なんだ?」
すこし冷たい言い方だったかもしれないが、友希那はあまり気にしていないようだ。もっとも彼女のポーカーフェイスの下の心が読めていないだけかもしれないが。
「話がなければ話しかけてはいけないのかしら、○○は冷たいのね。」
後者だったようだ。友希那を傷つけたことがリサに知れれば、僕は生きていられないだろう。そう思うと少し怖くなった。
「ふふっ、冗談ですよ。話というのは、リサについてのことよ」
そう友希那は柔らかく微笑む。リサの親友である友希那にしてやれる助言などほとんどないといっていいが、話だけでも聞こう。
「それは、リサの演奏の調子が悪いとかか?」
そうではないと思いつつも、一応聞いてみる。
「違うわ、リサの、その...視線が熱っぽいというか、獲物を狙うような視線を時折向けられているのよ...」
友希那に確信はないだろうが、親友と言うのは相手の心をお見通しなんだな、と思った。
僕には親友はおろか友達もいないので、年甲斐もなく友希那が羨ましく思えた。
「それは、親友としての好意、みたいなのとは違う感じなのか?」
「えぇ、少なくとも同性に向けるようなものではなかったわ」
リサ、もうちょっと本性押さえてくれ、普通にバレてるぞ...と心の中でリサに言った。核心を知ってしまっているだけに、少し答えるのが躊躇われる。
「仮にさ、リサが友希那に対して、親友よりも深い意味で好意を抱いてたら、友希那はどうするんだ?」
僕は聞く。
「リサの本心なのなら、それも受け入れるわ」
迷わず友希那は答えた。これなら大丈夫だろう。
「じゃあ、リサに訊いてみたらどうだ、「私の事、どう思っているのよ?」ってさ」
ベタなやり方だけども取り敢えず失敗はしないんじゃないだろうか。友希那にリサの愛情を受け止める気持ちがあるのなら、それで話は解決だ。
「やはり、それしかないわよね...」
友希那はそう言う。そして運ばれてきたコーヒーに角砂糖を数粒落とす。リサから聞いていた通り、苦いものが苦手なようだ。
「何だ、分かってたら相談する必要もなかったんじゃないのか?」
「いいえ、○○は最後の一歩を後押ししてくれたから、意味はあったわ」
友希那はそう言う。表情もこころなしか晴れやかになったようだ。友希那は上品に、砂糖たっぷりのコーヒーを一口飲む。その姿を見て、苦いのが苦手ならば、素直にカフェオレを注文すればよいのになと思ったが、深くは追及しないことにした。
「そうか、紗夜は最近どんな感じなんだ?」
今度は僕から友希那に聞いてみる。
「そうね、前よりは少し丸くなったわ。それに感情の籠った演奏をするようにもなったわ、紗夜もあなたに変えられたのかしら?」
友希那は微笑みながら言う。○○と付き合ってからおかしくなった、とでも言われたらと思っていたが、安心した。どうやら紗夜はうまくバンドとプライベートが分けられているようだ。
「変な言い方はよしてくれ、僕は何もしてないよ」
そうは言ったが、紗夜とした情事が少なからず影響しているのだろう。退屈な日常を過ごしていれば、それは演奏にも影響するだろうし、逆もまたしかりだ。
「それじゃあ、お昼もまだのようだし、そろそろ失礼するわ」
友希那は白髪をゆらゆら揺らして、歩いていった。友希那はcircleの方に向かわないで帰ってしまった。
家で自主練習でもするのだろうか。代金くらい払おうと思ったが、自分の分の伝票を持っていってしまった、彼女らしいか。今日もあの下着を着てきたのだろうか、とふと思う。またあの、友希那の無防備な下着姿を見たいな、と思ってしまった。
友希那が去り、再び一人になってしまった。時計をみると、あまり時間がないことに気づいた。
ついでにフレンチトーストでも注文するか。
時刻は5時を回り、バイトも終了だ。今日は時間が少し長く感じた。連日の慣れない労働で、体に疲れがたまっているのかも知れない。
circleを出ると、どっと疲れが体にやってくる。少しそこのベンチで休むか...
「○○、起きないな~、仕方がないな~♪」
僕の唇に何かが触れたのに気づき、目を覚ます。
「んちゅる...やっと起きたね~♪」
日菜は銀色の糸を垂らしてそう言う。
「日菜、いくらなんでもキスで起こすのはないだろ...おまけに舌まで入れて」
紗夜に似た味の唾液が口の中に残る。
「だって声かけても全然起きないんだもん~」
そう言われては分が悪い。しかしcircleから日菜と帰るのはこれが初めてだろうか。大体いつもはリサと帰り、たまに紗夜と帰っていたからな。
日菜は僕も手を繋いで、機嫌が良さそうに歩く。
口から吐かれる吐息はすこし色気を感じさせるが、やはり日菜も溜まってきているのだろうか。すると、
「○○、指、借りるね...♡」
日菜は僕の手をそのスカートの中へと導く。そしてついに日菜のショーツに触れてしまう。道行く人々に気づかれないよう、電柱の影に隠れる。
「ぁぁっ♡...やっぱ○○の指じゃないと、イけなくなっちゃった...♡」
日菜は僕の手に自分の手を添え、すでに愛液で濡れたショーツに擦り付ける。割れ目に沿って指をなぞると、また一層、秘部から愛液が溢れ出てくる。
日菜の股間から垂れた愛液はコンクリートの地面に染みをつくった。
「○○の指でなぞられると、るんってするんだぁっ...♡」
そう言って、日菜は声を漏らさないよう、口を固く結んで絶頂した。日菜は潤んだ瞳で僕を上目遣いで見る。
今すぐにでも犯してやりたくなったが、今やれば確実に見つかる。その欲望をギリギリ抑え、日菜の手を引いて家まで日菜を送った。
「日菜、じゃあな」
家の前で日菜に手を振って別れを告げる。
「○○、またね~♪」
玄関のドアから紗夜の姿が見える。何か話している様子だ。
「...わよ?」
「...待って、おねーちゃん!」
あまりよく聞こえないが、珍しく日菜は慌てているようだ。紗夜は玄関からこちらにやってくる。
そして、紗夜は僕の手を取り、指先をぺろりと舐める。すると、耳ともで紗夜は
「○○の指、日菜の愛液の味、しますよ?」
と、そう言った。