ワールドトリガーのヒロインたちが色々な目に遭うお話 作:名無犬
千佳ちゃん編その4です!
男が、千佳には似つかわしくない咆声を聞き届けてから数秒から数十秒の間。その間に千佳は、一つの巨大な絶頂と、余震のように続く小さな細かい絶頂を繰り返した。
「ゼーッ、ゼーッ、ゼーッ、ゼーッ」
イってる間、男は千佳に挿入して彼女を狂わせた己の中と薬の両指を膣内に収めたままだった。男の意というよりは、抜けなかったが正しい。どうやら千佳にはイったときに強く締め付けるクセがあるらしい。
絶頂が治まって力が抜けるとともに荒い呼吸を繰り返し始めた辺りで締め付けも緩み、男は指をようやく引き抜く。引き抜きは、愛液という潤滑剤のお陰で先よりもスムーズで、先と同じくちゅぽっという水音を伴った。
「ひぅんっ♡」
男の指が膣壁を擦り、呼吸の合間に千佳の嬌声が混ざる。男はついでに幾分硬度を失ったムスコにて、千佳の顔をわざと擦ってから身体を起こす。
さしもの千佳も、それに反応を返すことはなかった。男は立ち上がると、身体を反転させて足元に横たわる千佳の裸体を舐めるような視線で眺め回す。
ひっくり返された蛙のように腕も足も開いたまま横たわって呼吸を繰り返している幼気な少女の一糸まとわぬ姿。呼吸のたびに、汗の浮いた可愛らしい双の丘が上下する。頂点にあるさくらんぼは硬く隆起し、男に摘み取って欲しいかのように赤らんでいた。視線を下に落として、目に入るのはなだらかなお腹。きめ細かい肌には丘と同じく玉のような汗が浮かび、そのうちの一つが可愛らしいくぼみへと流れ落ちる光景はカナーンもかくやというもの。流れに誘われるように更に下へと視点は移り、見えるのはだらしなく開かれた両の脚。幼い中でここだけはむっちりと女性的なふくらみを持つ太ももを這い上がるように視線を移動させれば、その付け根に位置するところに男のメインディッシュ――おまんこが、賞味の時を今か今かと待ち侘びるようにひくひくと震え男を誘っていた。
ごくりと生唾を飲み込むほどに、少女の股ぐらに付いているには不釣り合いなほど淫猥な割れ目は、つい先程割り開かれて潮を吹かされたとはとても思えないほどぴったりと閉じ、元のつるつるの一本スジに戻っていた。
名残があるとすれば、ぷるぷるとした大陰唇をしとどに濡らす愛液がテラテラと輝いていることくらいで、ビラビラの一枚たりともはみ出したりもしていない、幼女のような無垢なおまんこ。
それをさっきまでぐちゃぐちゃに蕩かせて、悲鳴じみた喘ぎを上げさせていたことを思い出し、男にゾクゾクとした愉悦が走った。
名残惜しげにそこから目を離して、視線は同じくトロットロに蕩けた千佳の顔へと向かう。
本来であれば自信なさげでありつつも強い意志を込めた瞳は、男によって絶頂を教えられるとメスの色を宿し、しまいには今のように焦点も合わなくなってしまうことを知っている。
今は呼吸の大部分をそこには依存していない鼻は、形もよく小さな鼻孔なのに敏感にオスの匂いを受容することを知っている。
だらしなく半開きになりながらも鼻では足りぬ呼吸の役を代行する口は、その可憐な唇も思ったより長い舌もその奥の喉も、全てが性器の代用ができるようになってしまったことを知っている。
世界で、男だけが、雨取千佳に潜んでいた『オンナ』の部文を知っている。
とてつもない優越感を男は感じる。先程質問の中に出てきた数々の面子――友も、戦友も、師も、幼馴染も、兄も、父母も知るはずのない千佳の雌の顔を、自分こそが引き出した優越。
だが、男の目的は更にその先にある。
なので、そろそろ戻っては来ないだろうかと男が千佳の目を覗き込んだ時だった。
奇しくも、千佳の意識がトリオン体から戻ったときとほぼ同じ体勢で、千佳の目が焦点を結んだ。
白い世界から、千佳の意識が浮上する。
「あ、目が覚めた? いいタイミングだね」
目の前には、どこか覚えのある光景。目に続いて呆けた頭が機能を回復しだして、千佳は悟った。
(わたし……負け、ちゃった……)
負けたのだ。貞操を賭けた勝負で。つまりは負け分のチップを払わなくてはならない。この目の前の男に、純潔を明け渡さなければならない。
(なんで……かな……なんで、わたしだったのかな……)
思えば、青天の霹靂もいいところだった。普段通りの日常で、普段通りに訓練していただけ。それなのに我知らぬうちに現れた男に、意識のないままの本体を弄ばれて、女の子の大切なところに隈なく触れられて、気持ち悪くされて、でも本当は気持ちよくて、おまんこからはおもらしさせられて、でもきっとあれはおもらしじゃなくて、気持ちよくて、えっちな子って言われて、悔しくて、でも気持ちよくて、おちんちんまで舐めさせられて、それでも満足してくれなくて、フェラチオなんて知らなかったのに、頑張ったのに、でも気持ちよくなるのは自分で、喉の奥におちんちんが入ってきた瞬間にまっしろになって、それでも頑張っておちんちん気持ちよくさせようとしたら、突然おまんこをまたいじめられて、ぐちゃぐちゃでもうわけわかんなくされて――
「う、うぁ……うぅぅぅぅぅ……うぇぇぇぇん……」
どうしてわたしなんだろう。どうしてわたしは、こんなにきもちよくなっちゃうんだろう。
理不尽な現実と、自分のくせに意のままにならない身体に翻弄されきった千佳の涙腺が、とうとう緩んだ。
兄らを失って以来久しい涙は、熱かった。
本当はこんな男の人の前で、泣き顔なんて見せたくなかった。でも、もう何もかも見られてしまった。泣き顔以上の顔だって。それが悔しくて、悲しくて、でも、このヒトが与えてくれたあの気持ちよさがまだ体中に残っでいて、このヒトが今日これからわたしを弄び終えていなくなったら、もう二度とあんな気持ちよさは味わえないんじゃなんて考えている自分を許容できなくて、涙は止まらない。
「ああ、チカ、泣かないで」
男が地面の己の服で手を拭ってから千佳の髪を撫でる。あやすような手付き。滲む視界に男を見やれば、困ったような、でも思いの外優しげな風貌の青年が映る。
思えば、男の顔をまともに見たのはこれが初めてな気がする。至近距離すぎたり、まるで余裕がなかったので少なくとも記憶には残っていなかった。
思ったよりも大きな掌。温かい手のひら。それなのに、この先に付いている指はどこまでも冷徹に千佳をあそこまでぐちゃぐちゃにできてしまう。
ちゅっ
「ふぁっ!?」
そんなことを考えていたら、不意打ちでキスをされた。さっきとは打って変わって、啄むような軽いキス。性欲を意識させるよりは男女を意識してしまうような初々しいキス。
その驚きに、千佳の涙が止まる。
「ごめんね。でも、止めないから。罰ゲームとか勝ち負けとかじゃなくなったからね」
「?」
前半はともかく、後半の男の言葉の意味が分からず、千佳の困惑が深くなる。が、男はお構いなしに千佳の額に口づけて、続けて顎をクイッと持ち上げて己の唇と千佳のそれを重ね合わせた。
「!!?」
唇を割り開く動作さえ先よりも優しく、千佳の口内に男の下がまた入ってくる。
だが、続く動きは自分都合で貪るようなものではなかった。
くちゅ……れろ……にちゃ……ぴちゃ
「んぁ…♡ んふぅ♡……にぁ♡ れぅぅ♡」
無理矢理に性欲を喚起させるような激しさはなく、まるで先程捉えた千佳の気持ちいい部分を再確認し、またさせるかのような舌の動き。
一方的に激しく性欲だけを喚起させるような独りよがりな暴力的なものでなしに、互いにゆっくりと昂ぶりを覚えさせるような、それはまるで――
(恋人どうしみたいな――)
どんな言葉よりも雄弁に、千佳を気持ちよくしてあげたいという献身さえ感じられるようなフレンチキス。
先程まで男が見せていた姿とのあまりのギャップに、自分がありえないことを考えていることに気づけない千佳。というより、気づいてはならないと千佳の奥底の部分が判断したのかもしれない。自分をさんざん陵辱した男に覆い被さられ、熱烈な、しかし激しくはないキスをされて安心感を得ている自分という事実に。
あれだけ自分勝手なことをした人間が、打って変わって他人のためを思っている、なんて事実に気がついたら、千佳の奥底にある自分のいやらしさに触れてしまいそうで――
「ぷはっ……ねえ、いま何か余計なこと考えたでしょ」
「!」
瞬間、男が口を離して、千佳に問うた。
まさしく図星をつかれた驚きに見開いた目で男を見る。
「チカ、君をいただく前に少しだけ話をしていい?」
「……ふぇ?」
そして今度は意表を突かれた。君をいただく、なんていう明確なワードより何より、このタイミングで対話を望んできた男の真意が読めない。
「どうして君は、そんなに自分から目を背けているんだ?」
「!……な、なにを」
怖い。
千佳は改めて、目の前の男にそう思った。だがその恐怖は、今までみたいな得体のしれなさや欲望をぶつけられることへのものではない。
まるでユーマのような、こちらを見透かす眼差し。衣服のそれではなく、内心を丸裸にされるような恐怖。
「チカ、君は強い。ここまでされても折れない心を持ってるし、意外と負けん気もある。状況に翻弄されてても、その中で打開策を練ることを止めない諦めの悪さもある」
「…………」
「だけど、君の中には君がいない。いや、そういうと語弊があるな。君は救うこと、贖うこと、報いることに縛られている。まるで、『そうしなければならない』と何かに強制されてるみたいに」
「……やめ……」
「滅私といえば聞こえはいいが、君のそれには違和感がある。さっきまでそれが何なのか分かってなかったけど、君が泣いたのを見てなんとなく分かった」
「……やめて……」
「チカ、君はどうして――」
その先を聞かされることの恐怖。
「やめてぇ!」
「――自分を出すことをそんなに恐れるんだ?」
そして、男が決定的な一言を放ち、千佳の顔が快楽ではない歪みを見せた。
「気持ちよくなっちゃいけない。なのに俺の機嫌を損ねちゃいけない。負けちゃいけない。なのに俺の要求には素直に従う。折れない強さを持っているのに、チカから伝わってくるのは自己否定ばかりだ」
「いや……聞かせないで……」
掴まれていた。身体だけだと思っていたそれより深く、男は千佳を見抜いていた。
あんなことをしたくせに、あんないやらしいことをしていたくせに、この人は自分をしっかりと見ていた。
それが怖い。幼馴染の修だって、きっと千佳をそこまで理解していないのに、この男はこんな僅かな時間で千佳の底まで手を伸ばしてこようとする。
男は千佳を強いと言った。千佳は自分をそんな風に思っていない。雨取千佳は弱い。本当に強いなら――
「君は、何をそこまで恐れているのか。はじめは、俺を恐れているんだと思った。だけど違う。君は始めから俺の目を見ていた。恐怖の対象にできることじゃない」
「いや……やだぁ……」
「未知の感覚を恐れているのかとも思った。でも違った。翻弄されてはいたけど、君はあれそのものを恐がってはいなかった。むしろ気持ちよくなってからは積極性さえあったし」
「やめてぇ……もう……」
「そしてさっき、俺がおまんこぐっちゃぐちゃにしてあげたとき。君は最後の拠り所に兄や友達を助けに行くことを叫んだよね? あんなに自分が滅茶苦茶にされてるのに他人のためを叫ばなきゃならなかった。それを、俺に言ってやめてくれるだなんて君自身思ってなかったのに、君は叫んだ。縋り付くように。そういう自分でなくてはならないとでも言うように」
「………………」
千佳がいやいやを止めて沈黙する。千佳自身が目を背けていた奥底に沈めた真実が、男の言葉で浮上する。
「君が恐がっているのは、自分が傷つくことじゃない。他人が傷つくことじゃない。気づくこと、気づかれることだ。君自身が心にしまった何かを自分で気づくこと。他人に気づかれること。違うか?」
「……………どうして」
浮き上がったものは、見えてしまう。目に映らなくても、心に浮き彫りになってしまったものは、もうごまかせない。
「……どうして、分かったんですか……」
だから、訊いてしまう。自分で分かってるくせに、その決定を自分以外の誰かにしようとしてしまった。
「どうして、というか。ぶっちゃけ当たっちゃったかーって感じだけどね。俺としても意外だよ。まさか俺ごときがチカをそこまで分かってあげられたなんて」
だから、聞きたくもない男の本心なんてものを聞く羽目になった。
「……え?」
「正直ね、チカにイタズラし始めた当初のまま、都合のいい性欲の処理として君を『使う』気持ちのままだったら分からなかったと思うんだわ」
「…………そうじゃ、なくなったんですか……?」
そうして吐露された男の内心は、最低ではあったが同時に意外なもの。痴漢の気持ちなんて知らない千佳にしてみれば、イタズラされた時点で最低なのでそれを下回ることはなく、むしろそうじゃなくなったというのがどういうことなのか気になる。
「いやホント、自分でも何言ってんだよって思うレベルなんだけどね。正直に言うよ。この最低男は、どうやら君の可愛さや強さに本気になったらしいんだ」
「??」
言ってる意味がわからず、千佳の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。いきなり年相応の顔を見せた千佳に男がくらっとやられそうになり、いやいやキモいキモいと自嘲気味に自戒してから千佳をまっすぐ見た。
「この俺は、アマトリチカという女を、男として本気で欲しくなった。だから本気で君を落とす。まずは身体を、そしていつかはその心も。最低な男が最低な告白をしているのは自覚してるけど、俺は、こういうやり方しかできないから」
「!!!!?」
ありえない告白だった。千佳の知る告白とは、もっと甘酸っぱくて、ロマンチックなものだ。
でも、きっとこの男の精一杯の誠意がこれなのかもしれないと千佳は思う。どこまでも歪んでいて、醜くて、悪辣で、しかしそれを隠さないこの目の前の男。名前さえ知らない、千佳を散々に弄んで、その上で更に千佳を頂こうなんて、身勝手さが人の形を持ったような男。最低な痴漢のくせに、千佳を理解しかけた男。
「どうして……」
「ん?」
だからこそ、問わずにはいられなかった。先程頭をよぎった疑問を、正しく目の前の、千佳が思う千佳よりも最低で、その最低さを隠しも否定もしない強さを持つ人間に。
「どうして、私みたいな子なんかを?」
「それ、どっちの意味で訊いてる?」
そして、疑問には疑問が返ってきた。はぐらかすではない、更に深く千佳を理解するための疑問が。
「……どっちも」
「どっちも、ねえ……じゃあ答えるか。一つ、俺チカみたいな小柄な子が好きだから。もう一つ、君が思うほどに、君の魅力は小さくないから」
「な、何を」
「なんかチカは自分の価値をだいぶ低く見積もってるみたいだけど、少なくとも俺にとっては女として見るに充分なんだよ。ミデンの価値観じゃどうかは知らないけど、でも価値観なんてものは個人の物でしょ?」
「ミデン……え? やっぱり、近界民……ですか?」
「え、今更そこ?」
確かに男には、アフトクラトルの角付きのように明らかなミデンの人間との差は見受けられないが、今まで自分をただの痴漢とでも思ってたかのような千佳の態度に男の口からこの日何度めかの苦笑が零れる。
「いや、ここでそんな質問って、豪胆というか、マイペースというか……まあどちらにしても俺好みの女だよ、チカは」
「ふぁっ!?♡」
そしてそのまま不意打ちで頬にキスをする。言葉か、感触か、そのどちらに嬌声を上げさせられたのか千佳にも分からないまま、男が千佳を自分のものにするべく、ベットの徴収を始める。
「やめっ」
「やめない。ますますチカを俺のものにしたくなったから」
「そ、そんな……」
ふにぃ、こりこりこり、ふにふに
「えやぅ♡ んぃぃぃ♡ やぁっ、これ、違うぅ♡ さっきと違うぅ♡」
その徴収は部位自体は同じの責めでも、摘んだり弾いたり吸ったりといった「引き」の責めではない、乳首を中心に千佳のおっぱいを全体的に愛撫し、圧を与える「押し」の責め。
とろけたバターをフライパン全体に広げるような、先程まで散々にイカされて燻っていた千佳の身体に再び火を入れる動きは、されど先と異なり優しさを感じるもの。ゆっくりと、千佳の身体がまたも快楽を受け入れ始める。
さすさす、ふにふにふに、くにっくにっ
(やだぁ、この動き……奥が、きゅんきゅんするぅ♡)
「チカ、キスするね?」
「ふむっ!? んふぅ♡ んふーっ♡」
唇をまたも塞がれ、鼻からしか漏れなくなった息が、それでも千佳の昂ぶりを示す色を宿す。
続いて差し入れられる舌は火箸のようなものだ。すでに火入れの済んでいた千佳という火鉢の中を撹拌して、性感という名の火を大きくする。
燻りは舌のくすぐりによって容易く燃え上がり、その熱が千佳のおまんこと瞳を再び蕩かせるのに時間はかからなかった。
未成熟なおっぱいを堪能していた男の手が下腹部へと伸び、千佳の無毛のおまんこへ触れれば、その証左のように彼の指を愛液が濡らす。
くちっ
「あっ♡ だめっ♡」
「そのだめってさ、気持ちよくなってるの知られたくないっていう『駄目』でしょ?」
くちゅっ、つぷぷぷぷ、ずにゅっ
「んああああああ♡ 入ってぇ♡ ぃひぁん♡」
「もうバレバレなのに、まだ意地を張れるんだね」
男の指二本は、先までよりも抵抗なく千佳の膣内へ侵入を果たし、その狭い門を開くべく、少しずつ少しずつ広げるような動きを加え始める。
くちゅくちゅ、くぷっ、くぱっ、くぱぁ
「ひぁぁ♡ りゃめっ♡ なんれ、こんな♡」
「え、解さないと痛いって聞くし」
「いたくて♡ いひぃ♡ いいの、にぃっ♡」
「そしたらチカ、言い訳できちゃうでしょ。とことん気持ちよくさせるから覚悟してね」
言いつつ、首筋へとキスを与え、しかしおまんこの開発も止めない。
「ふぁあああああ♡ やさしくしないれぇ……♡」
「駄目、する。チカでさえチカを優しくしてあげない分、俺がするって身体に教えてやる」
「やああああ♡ そこっ、らめなとこっ♡」
男の指がまたもGスポットを責め始めると、千佳もまた前と同じようにいやいやと首を振って拒絶を示す。前と違うのは、やはり男の触り方が絶頂に導くような激しさを持たないことだ。千佳の快感の波を次第に時化らせるように、緩く擦りつつたまに軽く捏ねるような動きで千佳の感覚を撹拌していく。
その徹底して千佳を気持ちよくさせるためだけの責めは、快感以外のところでも千佳の脳を蕩かせ、あっという間に千佳の身体の準備を終えようとしていた。即ち、男の肉棒を迎え入れるための。
「んひ♡ んやぁ♡ やぁ♡ んきゅぅぅぅ♡ ひぁゃん♡ りゃめ♡ もうやぁなのぉ♡ できちゃう♡ えっちの準備ぃ♡ れきちゃうぅ♡」
「おっと」
そして、男の指や舌の動きがピタリと止まった。
もう間もなく千佳が絶頂しそうになっているのを感じ取ったのだ。そして、それまでの千佳の可愛らしすぎる反応だけで、男の剛直は再び臨戦態勢を取っていた。
「チカ、えっちの準備できちゃったよ」
「ふぇ?♡ ひやぁぁぁ♡」
千佳の膝を抑えて脚を開かせ、おまんこをさらけ出させる男。ピトリ、と男が己の竿の先端を千佳のおまんこに充てがう。ビクビクと脈打つ熱を持った肉の塊が、男の象徴が、自分の女の部分に迫り、あまつさえ侵入を試みようとしている。
「ふわああ♡」
そのことを認識した瞬間、千佳の背筋に拒絶とかけ離れた震えが走り抜けた。
それだけでなく、僅かに腰を浮かせ、男のちんぽをおまんこでお迎えしようとさえしてしまう。
ちゅっ、と千佳の膣口と男の鈴口がキスをし、千佳おまんこが男のちんぽを味見するかのように僅かに吸い付いた。
「あんっ♡ これはぁ♡ ちがうのぉ♡ ちがうからぁ♡♡」
そして、自分の恥態を否定するのも最早言葉の上だけの形骸と化していた。言いながらも千佳の火照りきった身体は腰を落とすこともせず、おまんこは男のちんぽにちゅうちゅうと吸い付くのをやめない。
「………っ!」
流石に、男の理性もここで限界だった。
「チカっ! 貰うぞ、君の処女を。お前の初めては俺のものだっ!」
「だ、だめっ♡ んっぎぃぃぃぃぃぃ!♡」
男がそのまま腰を進め、水音がわずか立ったかと思うと、千佳の発情おまんこは大した抵抗もなく男のちんぽを受け入れた。
指よりももっと太いそれは、あっという間に千佳の最後の防壁――処女膜に届き、その抵抗を意にも介さず千佳のおまんこの奥へと突き立った。
「んぃぃぃぃ……い、いた、いぃ……♡」
破瓜の痛みに身を震わせる千佳ではあったが、その奥の情欲は決して消えていない。
丹念にほぐされた膣の内部は、その痛みを早く和らげ更なる快感を貪りたいかのように愛液の分泌を増し、膣壁は入れた瞬間こそギチギチに固まっていたが、指で教え込まれたことを反復するように千佳の呼吸に合わせて男根を徐々に締め付けから解放し、あまつさえ圧までもを与え始めた。
表情だって、一息に処女を散らされた痛みから目の端に涙こそ浮かべているものの、瞳の奥の蕩けた雰囲気は消えていない。
(うおおおおおおおおおおおお!)
一方、男は感動していた。千佳の処女を奪い、この手で女にしてやったこともそうだが、何より千佳のその名器っぷりに。
納めて初めて分かったことだが、入り口はきつく締め付けてくるのに奥へと誘うような動きを持ち、それに従って奥に行くにつれふっくらとした締りに変化しつつも襞が絡みつくようにチンコに吸い付いてくる、巾着とミミズ千匹を併せ持つかのようなおまんこに、男は挿入直後からイクのを我慢するので精一杯だった。
三こすり半などというレベルではない早さで処女に射精させられては男のプライドとして許せないと、割と必死に我慢していた。なお、男にとっても千佳が初めてであることはどこかに放り投げている。
処女喪失の衝撃から千佳が回復するまでの間、男も千佳も互いに目を見開いて、下半身に集中していた。
ついでに男は同調作用を今度は逆に作用させ、千佳の痛みを感覚としてある程度引き受ける。
(っくぉおおおおっ!? いってええええええ!)
男性が経験し得ない類の痛みを味わって内心絶叫する男。お陰で射精感が遠のいてくれたのは目論見通り。萎えなかったのは運が良かった。
作用のおかげで破瓜の痛みが徐々に薄れ、痛みへの反射で蠕動していた千佳まんこの動きが緩やかになっていき、男の方に若干余裕が戻る。
対して、挿れられている側――処女を奪われた千佳の側には、そこまでの余裕はない。破瓜の瞬間など、一瞬であったがかなりの激痛に襲われ、痛みが引き始めた今だって、男と千佳の持ち物のサイズ差からくる圧迫感が千佳を苛み続けている。
なので、千佳は気づかない。
破瓜の痛みがありつつもそれが普通よりありえないほど早く引き始めていることにも、圧迫感の原因はサイズ差も然りではあるが、自らの膣がきゅうきゅうと男の逸物を締め付け始めているからであることにも。
暫く男が千佳への観察に終始していると、浅く激しく上下していた胸の動きが徐々に落ち着きつつあることに気づいた。目からは力が抜け、焦点がまた合い始める。
「ふぁ……んむぅ!?」
「ちゅっ、れろ……んはっ、チカ、女になった気分はどう?」
そこですかさず唇を奪い、口内を軽く舐め回してから離れ、見つめ合う形で千佳の視界と心の向きを独占する。途端に真っ赤になる千佳。
「ど、どうって……いっ!」
「まだ痛いか。じゃあ、もう少しこのままいようか」
答えを聞くでもなく、試しに少し腰を動かしてみると、流石にまだ痛みが走るらしい千佳を労るように、繋がったまま腰を動かさずに抱きしめる。
(ふぁ……あったか、い……)
「痛かった?」
「……………い、痛かった、けど、段々、痛くなくなって、る? ぁやんっ、耳やめぇ♡」
「はむ……チカは耳も柔らかいね」
また男は千佳に問うておきながら答えの前に千佳の耳たぶを食んだ。ぞわぞわとした、しかし悪寒ではない寒気が千佳の身を震わせ、それが千佳に入ったままの男の陰茎に伝わり、肉棒が僅かに跳ねた。
「んひぃ!?♡」
「あれ、チカ、今……」
それへの反応として千佳から引き出されたのは、痛みへのものではなく、もう聞き慣れた快楽からのもの。
どうやら千佳のおまんこは膣内の形状のみならず順応性も優秀らしい。持ち主の快楽を引き出さんと、急速に痛みより快楽を優先させ、中に侵入してきた肉の棒が千佳のための性具であると千佳に教え込もうとしている。
それを理解した男は、ホールドを解き、千佳の膝に再び手を添えてほんの少し腰を引いた。
ずるっ
「いっ、んくふぅぅぅ……♡」
そのわずかな動き。男のカリが膣壁をちょっと擦っただけ。それだけで、並の少女であればまだ痛みを感じるしかないだろうこの状況の千佳の口から吐き出されたのは、紛れもなく嬌声だった。口を閉ざして必死に漏らすまいとしているが、そこに籠もる熱がほんの数分も経っていない程度前に感じていた苦痛よりも、性的快感が勝っていることを雄弁に語っている。
「やっぱりチカはえっちだ。もう気持ちいいんだね」
「違っ」ずぷ……「ぅぅぅぅん♡」
否定の声も、男がもとの位置に戻しただけの動きで封じられる。
(なんでっ!? いたいのにっ、いたいのにぃ!♡)
痛いのが気持ちいい、というわけではない。流石にそこまで逸脱できるほど千佳は常識を逸していない。痛いよりも気持ちいいのだ。身体が、もうこの男から与えられる快楽に屈しているのだ、と思わず脳裏によぎる。
もちろん、この痛みの引きも男のトリガーの効果によるところが大きい。ある程度同調のコツを掴み始めた男が、自分の性的快感や興奮を千佳へ意識的に流し始めたのだ。その上で、そんなことを知らない千佳へと男のこんな言葉が届けられる。
「いいこと教えてあげる。普通の女の子はね、初めてだともっともっと痛くて、しかもまだまだ痛みは引かないんだよ」
「!!!」
千佳の目が男の目を捉えて驚愕に見開かれる。信じたくないという様子はありありと伝わった。千佳には分からないことだったが、喪失の痛みには個人差もあるし、そもそも大概の女性は初体験で気持ちよくなんてなれないのが普通だ。
つまり、千佳の体の敏感さは、いくら本人の資質があっても異様さを感じるほどにかなり過敏だということ。しかし、それが起因しているのが男のトリガーによるものだと分からない千佳には、自分の身体が男の言うとおりいやらしいものなのだと思わされてしまう。
「う、うそ……」
「嘘じゃないよ、こうやって」
ぐぐぐ
「んんっ♡」
「ちょっと動かすだけでほぉらえっちな声だ」
男のペニスのカリ首が千佳の中身を擦ると、意図せず口からは喘ぎが漏れてしまう。
痛みはある。痛みはあるのだが、指とはまるで違う感触が己の中で蠢くたびに、千佳の奥底からやってくる快楽がその痛みを塗りつぶしていく。
「ほら見てチカ。繋がってるところ。この赤いのが千佳の初めてが俺のものになった証で、もうピンク色になってる繋がってる部分のが千佳がえっちだっていう証だよ」
男に後頭部に手を差し入れられ、首を持ち上げられて結合部を見せつけられる。まず目につくのは痛ましいほどに広がった自分のほとに男のものが突き立っている光景。次いで、男の陰茎。それにコントラストを描くように、赤い液体が付着している。ペニスの中程当りから赤く、千佳の中に収まっている辺りだけほのかに色が薄く、ピンク色になっていた。
「これ、千佳の気持ちよくなったときにぴゅっぴゅって出ちゃうお汁と混ざったから薄くなったんだよ?」
「いやああ……♡ えっちなこと言わないでぇ♡」
「まだ認めないか、ほら」
つぷっつぷっ
「んっ♡ んんぅ♡」
男が腰をわずかに動かし始める。強烈ではない、しかし紛れもなく与えられる快感が千佳を責め始める。
「んぁっ♡ らめっ、うごかっ♡ うごかしちゃぁっ♡」
「でも、チカのおまんこはちゅうちゅう吸い付いてきてるよ。もっとしてっておまんこが言ってる」
「言ってないっ♡ そんなのぉ♡ あんっ♡ あっ♡ 言ってないんらからぁ♡」
いつの間にかちゅぷちゅぷと水音を立て始めたおまんこを、浅い部分で男がこすり続ける。千佳の僅かにざらつきのあるGスポにカリを擦り付けるだけでとんでもない気持ちよさが男を襲う。やがて、結合部から見える出し入れのグラインドは少しずつ大きくなり、赤の交じる液体がひっきりなしに千佳のおまんこから漏れ出すようになった。
男としても、正直この膣穴をめちゃくちゃに突いてやりたい衝動に駆られるが、そんなことをしては千佳に自分の中の淫靡さを認めさせるのは流石に無理だという自覚があるから、今の動きで現状は満足だった。というか、トロットロの千佳まんこは入れているだけでも男のペニスを気持ちよくしてくれる優秀なおまんこであり、むしろこれ以上の刺激を受けると即射精しかねない。
まずは千佳を一度は中イキさせてから、同時に射精したいと気持ち悪いことを考えながら、千佳のより気持ちいいところをちんこで探る男。そのせいか単純なピストンの動きは次第に円を描いたりカリで引っ掻いたりを意図的に行うようになり、そのたびに男の下で千佳の腰が震える。
「んっ♡ ひゃめっ♡ しょこっ♡ ごしごしするのらめっ♡ んひぃ♡ ぐるぐるしゅるのもりゃめぇっ♡」
「はぁっ……すごっ……チカの、おまんこっ……最高だ……」
「やらぁ♡ にゅぽにゅぽとめてぇ♡ んぅ゛っ♡ んはぁっ♡」
千佳のGスポを捉えつつ、次第に次第にキツキツの膣内を自分の形に広げるように、緩やかなピストンを男は続ける。男のその動きに、千佳のおまんこは千佳の意思とは別の意志を持っているかのように、積極的に順応しようとしていく。
突き入れられた瞬間に溢れた真紅は、愛液と混じり合うことで徐々にその色を薄め、結合部からはそれよりもピンク色の膣肉が、ほんのわずか引っ張り出されてしまっている。
男が奥へと進んでいるのか、千佳が迎え入れているのか、あるいはそのどちらもだろうか。互いの性器は互いの性感を高め合うように卑猥な音を立てては、男の息を荒く、千佳の息を甘くする。
この間も、同調作用は男の快感に作用し、信じられないほどの気持ちよさを容赦なく千佳に流し込んでいる。
(いやあ♡ えっちじゃないの♡ わたしえっちじゃないのにぃ♡ どうしよ♡ きもちい♡ きもちいよおおおおお♡)
「やぁ♡ んふぅん♡ んひっ♡ んひっ♡ぞりぞりもらめっ♡ もうやらぁ♡」
「はぁっ、はぁ、チカっ、可愛い。感じてる顔可愛いっ」
「いやぁ♡ 見ないれぇ♡ 見ながらぬこぬこ♡ らめなのっ♡ こんにゃ顔見ちゃらめにゃのぉ♡♡」
自分がきっととてもだらしない顔をしてしまっていることをぼんやりと理解して、恥ずかしさから両腕を交差して顔を隠す千佳。しかし、男は千佳の顔が隠れることを許さず、膝の上の腕を千佳の両手首へと移動させ、その両手を強引に開かせる。
「顔隠しちゃだめだよ。おまんこと一緒でとろっとろになったチカの可愛い顔、もっと見せて」
「らめえ♡ かわいくないからぁ♡ 見ちゃらめなのぉ♡」
「そんなことを言う口は塞いじゃうからね」
「ふむぅ!?♡ れろぉ♡ んちゅ♡ んちゅ♡ にぁ♡ んふぅぅ♡ ぷはっ、らめ♡ ちゅーもらめぇ♡ お口の中ぺろぺろぉ♡ りゃめえ♡ んむぅ♡ ちゅぱっ♡ れぅ♡ れるれる♡」
そのまま、濃厚なキスで唇を塞がれ、またも差し込まれた舌が慣れた調子で口内を蹂躙する。
そして、男が千佳により覆いかぶさる体勢になったことで、男の腰のグラインドが意図せずして深くなる。
結果、
ずにゅうっ
「んぉっ!? 〜〜〜〜〜〜〜っ゛!♡♡」
それまでGスポを擦り続けていた男のペニスが、千佳のポルチオまで一気に到達してしまった。
その瞬間、千佳の脳にスパークが走り、先程ぐっちゃぐちゃにされた時と同等か、もしくはそれ以上かという快感が全身を駆け抜けた。
背中を仰け反らせ、声なき声を上げる。絶頂の快感の大きさは先に経験していたが、ポルチオによる中イキのそれは質が異なっていた。
先程のが打ち上げられるような絶頂ならば、これはまるで深く深く、どこまでも沈められていくような絶頂。本能がよりこの気持ちよさを求めて身体を動かすレベルの、中毒性のより高い快楽が全身を捕まえているような感覚。
気持ちいいところを全部知られた? とんでもない。自分の中の淀んだものすべてが白く塗りつぶされるような、幸福感さえ感じるこの気持ちよさを知ってしまった。「少なくともこの感覚を味わっている間だけは、何もかもを考えなくていい」ことを。
千佳のおまんこは絶頂をさらに求めるかのようにペニスをきゅうきゅうと締め付けている。もっともっと、千佳自身をめちゃくちゃにして欲しいと催促している。
「ぷはっ……チカ、すごくイったね。……あらま」
男が千佳の絶頂に合わせて止めていた舌を千佳の唇から離し、その顔を至近距離で見る。目を剥いて、口を金魚のようにパクパクと開閉している。もう何度目かのその意識を手放した状態を見て、しばらく戻ってこないかもしれないな、と男はぼんやり考え、千佳のイキマンコの感触をしばし楽しもうと思考を切り替える。
ついでに千佳のちっぱいに手を伸ばし、やわやわとそっちも楽しみ始めた。
しばらく、それをしていると、次第に千佳の意識が戻ってくる。
「…………」
「あ、おはようチカ。気分はどう?」
男がそれに気づいて声をかけるが、千佳からの反応はない。ひょっとしてやりすぎたかとも思ったが、千佳の目を見てみると、虚ろというわけではなく、そこに意思の光はしっかりと見て取れる。
「……どうして」
「ん?」
やがて、千佳の口から言葉が零れた。
「……どうして、なのぉ……うぁぁ……」
同じく、涙も。もう解らなかった。唐突に現れて、突然いたずらされて、途轍もなく気持ちよくされて、途方もなくイかされた。千佳の体を好き勝手に弄び、穴という穴に侵入された。千佳の初めてを土足で踏みにじって、千佳の本心に土足で入り込んでくる。
「君が何でそこまで自分を顧みないのか、俺には分からない。分かるのは、君が弱い部分、自分自身を否定する部分があることを自覚しているのに、それに負けない強い意志を持ってる女だってことだけだ」
「……なに、それ……わたし、そんないい子じゃない……」
「良い子なんて言ってない。いい女って言ったんだ。自分の中に目を背けたいものがあって、でも背を向けない強さは、俺にはないから。だから、君が欲しくなった」
「そんな……いい女でも……ない……ないんです……」
「チカが自分をどう思っていたとしても、俺にとっては君はいい女なんだよ。もうご存知だろうけど、俺は身勝手だから」
「なんですか……それ……」
しかし、誰にも話したことのない自分の弱さに、気づいてなお肯定を返してくれる。最低の人間が、最低の口説き文句で自分のものにしようとしてくる。
「わたし、本当に貴方が言うような強さなんてないんです……だって、わたしはズルいだけで……」
「チカがズルいなら俺どうなるのさ」
「違うんです……わたしは、怖いだけ。自分が誰かを傷付けて、それを他の誰かから責められるのが、怖いだけ……わたしは、誰かのことを口にしながら、自分が傷つかないことを……自分のことだけを考えてる……」
それなのに、その最低の人間は、千佳に価値を見出している。千佳にとって最低の人間が、千佳にとって最低の人間を、最高だと言ってくる。
だから吐露した。今まで抱えていた千佳の昏い部分を。自分の恐怖から目を背ける言い訳に他人を使うだけの浅ましい人間なのだと。
「何言ってんの? 結局それって、チカが優しいってことだよね?」
「…………へ?」
しかし返された男の言葉に、間の抜けた声が出た。
「チカ、根本的に勘違いしてるけどね、人間なんて君が思うほどキレイなもんじゃない。君は傷付けるにしろ傷つけられるにしろ、そこに『自覚』が無いのを怖がってるんだ。無自覚に傷つけること、無自覚に傷つけられること。それを思って涙を流せる君は、少なくとも優しい人間だ。傷つくことなく傷つけられる人間よりよほど上等だよ」
とんでもない暴論だった。世界を二色でしか見てないような理屈だった。しかし、千佳にとって、そんなものの考え方そのものが、眩しく見えた。
「だから大丈夫だよチカ。君は別に悪くないし、重ねて言うけど俺にとっては魅力的なんだよ。容姿も、考え方も、本当に俺だけのものになってほしいほどに」
とんでもない口説き文句だった。千佳の気持ちなんてお構いなし。だが、千佳は今までこうも自分を他人から求められたことも、ここまで無条件に肯定されたこともない。
「そしてもし君が俺のものになってくれるなら、俺は俺の力を君のために使うこともやぶさかじゃない」
さらに男は、取引めいたことを口にする。
「俺のトリガーの能力を使えば、友人の方はどうか分からないが、いなくなった君の兄を探すことは不可能じゃない」
「!」
その内容が、あまりにも大きな衝撃を千佳へと叩き込んだ。目の前の男に、兄を探す術があるという。それは、たとえ悪魔との契約であっても千佳が千佳であろうとするなら断れはしないもの。兄を失い、責められる恐怖から逃げた千佳に、卑怯な自分を否定したい千佳自身が繋いだ鎖が、男の言葉を拒絶させてくれない。
「俺のトリガーの能力を使えば、界を渡ることができる。実際俺はそうやって門を開くことも、遠征艇を使うこともなく、こうして君のトリガー内の疑似空間にさえ入り込んでみせた」
「…………」
だが千佳は頷くこともできない。自分がどうなるかではなく、その取引に応えることは仲間を裏切ることになるからだ。
その千佳の内心を見透かしている男は、その耳に口を寄せて悪魔の囁きを重ねる。
「大丈夫。チカ、君は仲間を裏切るんじゃない。俺にまたこれからめちゃくちゃにされて、俺のものになって、俺にお持ち帰りされるだけだ」
「…………っ!♡ んんぅ♡」
囁かれた言葉、そして、ぴくりと己の中で動かされた、入ったままだった男の肉棒。
忘れていたわけがない、忘れられるわけがない千佳の雌が、再び顔を出すのは必然。
ずっと、自分の裡に目を向けることで目を背けていた自分の中のモノが少し動いただけで、一見冷静さを取り戻していた千佳の瞳が瞬く間に潤んだ。
千佳は思い知る。この男の前では、自分が目を背けていた部分も、自分でさえ知らなかった部分も全部ぜんぶ曝け出されてしまうのだと。
「……だったら」
「ん?」
千佳の身体から力が完全に抜けて、千佳の裸身が余すところなく男に曝け出される。
呼気が漏れるような小さな呟きに男が耳をそばだてると、千佳は諦念のような、呆れのような、しかし、その中に僅かに期待があると男には感じ取れる声で、言った。
「優しくなくていい。どこまでも身勝手でいい。もう何も考えなくていいように、わたしを……壊して。自分の嫌なところも、あなたの嫌なところも、見えなくなるくらいに……わたしを、助けて」
男によって歪まされてはいたが、そうでもしなければきっと出なかったであろう、救いを求める、言葉を。
もうちょっとだけ続くんじゃ