女の子ばかりの職場で身体を求められる件 作:通りすがりの魔術師
うみこさん編が長くなってるのは作者がうみこさん好きだからって訳ではなく単にエッチに行くまでが遠すぎるだけです。
「ごちそうさまでした」
あまり長居する気はなかったのだが、腹ごなしと称してスポーツゲームをし、さらにFPSゲームに時間を費やすこと数時間。気づけば空は紅蓮色に染まり、そろそろいい子は晩御飯という頃合いだった。2人とも時間を忘れて童心のようにゲームを楽しんだためか、腹はクゥクゥ鳴り、顔を見合わせた。
「いえ、お粗末さまでした」
帰りますねと腰を上げた俺に待ったをかけたのはうみこさんで、昨日実家から届いた野菜を使ってカレーを作ったらしくそれが余っているので食べていかないかと提案された。もちろん断ろうと思ったのだが、1人で食べ切れる量ではないとか言われたら仕方ないとなるだろう。断じて最初から晩御飯も馳走になる気などなかった。
「美味しかったです。普段から自分で?」
「えぇ。レトルトやお弁当だと栄養バランスが偏るので」
目を閉じながら水を飲んだうみこさんを見てから壁にかけられた時計を見やる。もう7時か。満足の時間はとうに過ぎており、帰って寝ればまた仕事という生活が戻ってくる。仕事は嫌いではないが、やはり休みを楽しんだ後だと憂鬱に感じてため息がこぼれる。幸い、グラフィックチームは遠山さんがスケジュール管理してくれたおかげで特に遅れもなく予定通りに進んでいる。しかし、プログラマーチームはそうではなさそうで、「そちらはどうですか」と話を振るとうみこさんはげんなりした顔で愚痴を吐き始めた。
「そうですね、まぁバグはいつも通りのことなので仕方ないのですが、葉月さんがこの忙しい時期に追加発注を持ってきたりとか仕様変更したりとかで……よりよいゲームを作りたいというのは分かりますが、その皺寄せが全てこちらに来ているので……」
クールな人の沈鬱な顔は画になっておりサラリと落ちる前髪がより哀愁を漂わせている。
「でもこれを乗り越えたら夏休みじゃないですか」
「あってないようなものじゃないですかアレ」
うみこさん曰く、イーグルジャンプの夏休みは1週間程度であるだけマシだが、趣味のサバゲーに関しては共に勤しむ大学生達の夏休みが終わっており敷地はあっても過疎っているので今日のようには楽しめないらしい。
「だから今日はよかったです。本当にありがとうございました」
「いえいえこちらこそ」
久しぶりのサバゲーで楽しめたのは俺も同じだ。でもそれはうみこさんがいたからだし、俺1人ではサバゲーには絶対に行かなかっただろう。その事で改めてお礼を言うと、うみこさんは鳩が豆鉄砲を食らったように驚いた顔をしてから逸らす。
「まぁ、それは、よかったんじゃないですか」
真正面から礼を言われて照れてるのだろうか。表情は窺いしれないが、顔を見られたくないということはそういうことなのだろう。
「じゃ洗い物したら俺帰りますね」
「いいですよ私がしますから」
「いえいえ、家に上げてもらってご飯まで貰ったのに何もせずに帰るのは男としてダメな気がするんで」
「そう、ですか。では、お言葉に甘えて」
少し納得出来ないという様子だったが、フッと微笑むとうみこさんは俺に台所を譲り、ノートパソコンを机に置いて椅子に腰掛ける。そして俺はスポンジに洗剤を付けると汚れのついた皿を拭き始める。カレーなどの汚れは軽く水で濯ぐか、ティッシュや布などであらかじめ拭っておくと洗いやすくなる。おかげでスポンジをあまり汚さずに洗い物が可能となる。
「……チッ」
脳内に平成最後のアニソン歌手と謳われた男の新曲を流しながら洗い物をしているとリビングでパソコンと向かい合っていたうみこさんから舌打ちが漏れる。どうかしたのかと聞いてみようにも機嫌が悪そうで聞くに聞けない。ここは聞かずに静観していようと思ったら、うみこさんはどっと溜息をついて力強くパソコンを閉じる。
「…聞いてもらっていいですか」
そう尋ねられてNOと答えるほど失礼ではないし、仲のいい友達ノリで茶化しながら聞くことも出来ない。なので俺は洗い物を終えて濡れた手をハンカチで拭いて、うみこさんの前に置かれた椅子に座る。
「いいですよ」
先んじて洗い物ありがとうございますと礼をしてからうみこさんが舌打ちし溜息を吐き出した理由の説明が始まった。
「どうやら今日、また新しい仕様変更が決まったらしく。私は明日の午後から出勤なのですが、バグの修正よりも仕様変更の方をしてくれとメールで通達が来ました」
「…ちなみに誰から」
恐る恐る尋ねるとうみこさんは苛立ちを隠さない声音で「葉月さんです」と言う。予想通りの返答に苦笑するしかなかった俺は投げかける言葉を探す。俺が逆の立場なら同情はいらない。頑張ってなどの他人事のようなエールも不要だ。苛立ってる人間がこういう時欲しいのは無言かあるいはそれを達成したら得られる報酬だろう。どんなに嫌なことがあってもそれを乗り越えた先にいいことが待っていたら人は頑張れるものだ。
「しずくさんには困りましたね」
「えぇ、本当に」
ドスの効いた声が返ってきてビクッと心臓が跳ねそうになるのを抑えて、極力自然に俺は言葉を紡いだ。
「俺でよければ今回のゲームが終わったらまたストレス発散に付き合いますよ」
最初にあくまでもし良ければという仮定を示唆しておき、終わったあとにいくらでも愚痴は聞くし趣味にも付き合うよと言われれば少し心の闇は晴れるのではないか。そう思った俺は身を差し出す。どうせ俺の夏休みなど実家に帰省したあとはジムに通うか溜まったアニメやドラマを見て漫画や本を読んで終わるのがオチだ。そんな定番の終わり方をするよりは今日のようにうみこさんと楽しく過ごす方が心地よい。
「……」
この提案は思った通りうみこさんに考える時間を与えたのか、険しかった顔は幾分か穏やかになり片肘をついて考える所作を取っている。何度か俺の顔を見たあと、うみこさんはある質問をしてきた。
「明日の出勤は何時からですか?」
「うみこさんと同じで午後からじゃないですかね」
自分の予定なのに確証がないのはいつもの事だ。にしても、何故俺の予定を聞いたのかと疑問に思っているとうみこさんはおもむろに立ち上がると口を開いた。
「では、今からストレス発散に付き合って貰えますか?」
この時間から? と時計を2度見る。でもまぁ俺達は社会人だし、深夜の2時くらいに寝て朝8時に起きても仕事はやり遂げる責任感は持っている。何をするか分からないが、おそらく先ほどと同じようにFPSゲームとかをやるのだと思った俺は首を縦に動かした。
「ありがとうございます。では、服を脱いでください」
「……はい?」
唐突なうみこさんの申し出に俺はすっぽ抜けたような声を出してしまい、うみこさんは「おかしなことを言いましたか?」と首をかしげている。いや、明らかに言ったよ。
「いきなり服を脱げって言われたら誰でも驚きますよ」
「それはまぁ確かにそうですね」
そう言うとうみこさんは躊躇いもなく着ていたシャツのボタンをプチプチと外し始めた。
「ちょ、ちょっと何やってんすか」
「え? 私が脱いでいないのに貴方に先に脱げというのは失礼かと思いまして」
「失礼とかそういう問題じゃない気がする…」
男の前で躊躇いもなく服脱ぐのは良くないと思います!そんな主張も虚しく、上半身をシームレスタイプのブラだけにしたうみこさんは脱いだ服を椅子の上にかける。生まれつきか小麦色に焼けた肌と思っていたよりはある胸とその下にある程よく鍛えられた腹筋が否が応にも視界に入る。
「さぁ貴方も」
筋肉を見せ合えばストレス発散になるのかと逡巡しながらもシャツを脱いで脇に抱える。俺の身体を見たうみこさんは感嘆の声を上げると首の付け根から俺の下腹部にかけて眼球を動かす。
「見事ですね」
「どうも」
世の中には筋肉フェチというのが存在し、そういう嗜好を持つ人間はそれで心を癒したり幸福を得たりするらしい。俺の筋肉を褒めたということはうみこさんもその人間の類なのかと納得する。どこか満足気に頷いたうみこさんはズボンに手をかける。スルスルとズボンが降ろされ、紅色のレースの下着からはこれまた引き締まった太ももにふくらはぎが顕になり、目が引き付けられてしまう。
「あの、その、綺麗っすね」
「……そちらもどうぞ」
先ほど褒めてもらったのでお返しに思ったが筋肉ではなくうみこさんを褒めてしまい、それが気に入らなかったのか額に手を添えながら低い声音で俺にズボンを脱ぐように促す。すね毛とかあるから下半身は必要以上に見せたくないのだが、仕方ないと割り切ると一気に脱衣する。
「下は普通ですね」
「まぁ下半身は鍛えすぎるとズボン入らなくなるんで」
少し言い訳じみてしまったが事実なので仕方ない。上着も専門学生の頃に胸囲が増したせいで世紀末覇者みたく軽く裂けてしまったからな。
「さて」
そう呟いたうみこさんは俺の筋肉をよく見るためかずいっと寄ってくる。あと半歩進まれたら肌が触れ合うという距離まで近づいてきたうみこさんは俺な顔から足の先にかけてまでプリントに目を通すように観察すると指先を俺の腹筋につける。
「ちゃんと鍛えてるんですね」
「え、えぇ…まぁ」
危うく恥ずかしい声が出そうになるのを抑えてうみこさんの口述にしどろもどろながらも声を振り絞る。トントンと腹筋の硬さを確かめるように叩くうみこさんは堪能したのか、次に胸筋、上腕二頭筋などにも手を触れる。
「ふむ、上半身は無駄なく鍛えてるみたいですね」
ぺたぺたと触られて俺の心は穏やかではないが、これでうみこさんのストレスが和らぐならと足の指先に力を込めて我慢を決め込む。そして別のことを考えて意識を逸らす。女子が男子の筋肉に触れるのはいいのに、男子から女子の筋肉に触れるのはアウトなのどうしてなんだろうな。いや、まぁ男には下心があるからなんだろうけど。女の子は単に男の筋肉にきょうみがあるだけで、あわよくば胸に触れようだとかラッキースケベに及ぼうとしている男の子とは違うのだろう。中学生の頃からの問いに自ら終止符を打っていると下半身に1枚纏っていたはずの布が足首に移動している感覚がし、意識を戻して目を動かす。
「ここはそこそこ立派ですね」
「えっ!?ちょっ!何やってんの!?」
いつの間にか腰を落として眼前で俺のイチモツを眺望していたうみこさんから距離を取ってパンツを履き直す。正常すぎる俺の反応にうみこさんは申し訳なさそうに目を逸らした。
「すみません、許可なく勝手に」
これはそういう問題なのだろうか。おそらく許諾を申し込まれても見せなかっただろうし。いや俺もそういうことじゃない。あまりなことに脳が混乱しているらしい。下手するとわけも分からず自分に攻撃してしまう可能性がある。大きく深呼吸して心を落ち着かせる。
「あの、なんで俺のその…コレを見ようと思ったんですか?」
腹筋とか腕は鍛えれてもコレはどうしようもないから。実際にちゃんと調べた訳では無いから定かではないが炭酸水につけるとか、真空管に入れて血液を充満させる方法とか、サプリメントを飲んだりとかしてサイズアップをすることができるらしい。だが、俺はそれをするほど自信がないわけじゃないし、風俗にでもいかない限り他人に見せることは無いと思っていたからコレのトレーニングは行っていない。けど、立派だと言われて悪い気がしなかったのはやはり男としての本能なのだろうか。ひとまずそれらの思考を振り払ってうみこさんの回答を待つ。すると、うみこさんは固まったように目を丸くして瞬きを数度すると口を開く。
「え、ストレス発散に付き合ってくれるのでしょう?」
「それと俺のコレに何の関係が…?」
純粋な疑問をぶつけるとうみこさんはまた不思議そうに俺を見つめ、しばし沈黙した後何か察したのか納得したように「あぁ」と声を漏らす。
「ご存知ないと思いますが、私のストレス発散には2種類あります」
指を人差し指と中指を立ててそう説明を始めたうみこさんに俺はまだ疑問を感じつつも黙って話を聞くことにした。
「1つはサバゲー。これは好きな銃器に触れながら汗を流し、日頃のストレスを忘れられるからです」
昔、保険の教科書で運動することでストレスを発散出来ると書いてあったのでそれは分かる。俺も筋トレは身体を鍛えつつ、汗を流すことで読書などでは出し切れない鬱憤やらを吐き出している。では、2つ目は? そう聞く前にうみこさんは既に言い終えていた。
「2つ目は自慰…マスターベーションやオナニーと呼ばれるものです」
その言葉がはなたれた瞬間、何故か身の毛がよだつような感覚に襲われた。
疑問に思うことが多い系主人公。その名も富嶽 照慈(ふがく しょうじ)いなさそうな名前で個人的な感性でいいなと思ったのがこれでした。葛飾北斎の作品【富嶽三十六景】と誰でも1度は聞いたことあったり修学旅行や遠足で行ったことがありそうな【慈照寺銀閣寺】から取ってます。決定で他にいいのが見つからなかったらこれで行きます。
名前をつける意味→好きな人なら【先輩】とか【貴方】ではなく名前で呼ぶのでは?と常々思ってたので名前をつけたいと思いました。八神さんとか特に下の名前で呼びそうじゃないですか?ということで、苗字呼びしそうなうみこさん編を機に名前をつけようと思ったわけです。
追記 名前を慈照→照慈に変更(慈照より照慈の方がいいと思ったから)
2019年3月28日に1話〜5話のセリフや段落などを修正。6話以降も随時やっていきます。
この主人公に対して好感が持てるか
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日常シーンでは持てる それ以外は〇ね
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普通くらい