※この作品はR-18です。

女の子ばかりの職場で身体を求められる件   作:通りすがりの魔術師

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4話 同期から悩み相談をされる話

滝本ひふみは俺と同い年で同期の同僚だ。話かけられたら話す程度の仲で、3年間プライベートでの付き合いはなかった。まず互いに他人のプライベートに干渉するタイプの人間でもないし、 されることを嫌うタイプだ。だから、今まで積極的な関わりを持つこともなかったし、これからもそんなことは無いだろうと思っていた。

 

 

「おいしい…」

 

 

だが、それも今日までの話。唐突に食事に誘われた俺は滝本と優雅なディナーを楽しんでいる。早めに来たこともあって予約を取らずとも座れた席で滝本は一口サイズに切った牛肉を口に運んで舌鼓を打つ。

滝本が気に入ってるというイタリア料理のレストランに来たはいいが、ここに来る前から黙々と歩いて着いても料理を食べるだけというのは味気ない気もする。

誰かと食事を共にするというのは、料理と共に会話を楽しむものだと思っている俺からすれば今回の食事は些か物足りない。時折、料理の感想を漏らしながら美味しそうに食べてる滝本は満足そうではあるが、俺はそうでも無い。

明日も仕事なのでそれを考えて美味そうな赤ワインでなく水を頼み、料理も昨日の予定外の出費で少なくなったお金のせいでビーフではなくチキンである。まぁ美味いからいいんだけど、やっぱり少し物足りない気がする。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

満たされない腹に憤りを感じつつも作ってくれた人に対しての感謝を言葉にして手を合わせる。俺より少し遅れて滝本も食べ終わって手を合わせた。

 

 

「ど、どうだった…?」

 

おずおずと上目遣いで聞いてくる滝本。今日はいつもと雰囲気が違ったと思ったが勘違いだったのだろうか。ここに来るまで歩いてる滝本を見てると何やら今日の滝本には"何としてもやり遂げる"という覚悟のような目をしているように感じたのだが。なんだろう。俺にこの店のリピーターにでもなって欲しいのだろうか。

 

 

「あぁ、美味しかったよ。チキンの焼き具合といい、ソースとのマッチングが完璧だった」

 

 

「そっか…! よかった…」

 

 

嬉しそうに花を咲かせたような笑顔をしてるが、やはり自分の好きなお店が褒められるのは嬉しいのだろうか。分からないこともないから、つい笑顔が零れてしまいそれを見た滝本がバッと目を逸らす。

 

 

「?」

 

 

それに首を傾げるが滝本は顔を逸らしたまま、オレンジジュースの入ったコップを手に取りストローで吸い取って飲む。可愛らしい仕草に見えるが自然にでた笑顔の後にそういうことをされるとこちらとしては複雑だ。気持ち悪かったかなとか不安になってしまう。

 

 

「…食べ終わったし、あと少ししたら出るか」

 

 

時計を見れば会社を出てからちょうど1時間経ったくらいだ。多分この時間なら家に帰る頃には小腹がすいて、軽食を食べることになるだろうがさっきの料理が物足りなかった俺には嬉しいことだ。そういえば、卵とネギがあったから肉なしチャーハンで腹を満たそうと考えてると、「あ、あの…!」と滝本がやっと振り絞ったみたいな声を出す。

 

 

「その、相談…したいことが、あって…」

 

 

やはりそうか。美味しい料理だけで終わるというのも良かったが、人生にはこういうスパイスもあっていい。いやむしろ俺は求めている。

他人の悩み事というのは俺からしたら関係の無い話だが、他人でも親しい人なら知人なら構え方は変わる。親しい人間が嬉しそうなら俺も嬉しいし、悲しそうなら悲しくなるから助けてあげたくなる。

だから、俺は俄然、前のめりに滝本の話を聞く。

 

 

「その…最近…あの…」

 

 

どうやら言い難いことらしい。だとしたらここでは場所が悪いかもしれない。先程から仕事を終えてやってきたのであろうカップルや友達連れなどで空いてた席が埋まってきてる。このまま増えてピークを迎えれば食べ終えている俺達は退店を促されるだろう。

そうなる前に出て、カフェとかもう少しゆったり出来るとこに行こうと提案すると滝本は頷いて俺達は退店し、場所を移すことにした。

 

 

 

###

 

 

悩み相談を聞くに適した場所とはどこか。

 

 

誰にも聞かれたくないというのなら情報媒体の進化した今ならLINEなどのメッセージツールが筆頭となる。これに関しては会話のログを残すも消すも自由だし、電話や直接の会話と違って1人で考えて言葉を伝えられる。だが、欠点として相手の感情が分からないということだろう。相談相手に選んだ人間がどんなに信用出来ても、自分の相談に対して相手がどう思うかは別だ。快く聞いてくれてるように見えて実は嫌そうな顔して適当に返してるなんて分かればとても嫌なものだ。

次に電話。これも容易に場所を選べて人のいない場所でなら誰にも聞かれずに相談できるし直接会話するので相手の反応は窺いやすい。しかし、顔が見えない。人の中には表情と喜怒哀楽を切り離して会話できる者がいるので、相手が言葉や口調通りの感情を持ち合わせてるかは別なのだ。

まぁそれは直接会って会話する時も同じだが、どうやら人というのは直接会って相談する方が、した後のスッキリ感は上のようだ。

聞かされる方も親身になれるし、聞きたくないことなら「その話はやめよう。やめてくれ」と真摯に断ることも出来る。電話やLINEのように途切れることがないと考えるとやはり、直接会うほうが俺はいいと思う。

しかし、こちらの欠点とすれば場所に困ることだろう。周りに聞かれたらまずいことなら公共の場であるカフェやレストランは使えない。声量を抑えるにしても相手が聞こえなかったら意味が無い。

個室でなら声量を抑えずとも内密に相談できるが料金がかかる。

お金をかけずに簡単に話せる、となれば夜の公園などが挙がるがそこも人が必ずいないわけじゃないので難しい。

そうなると自然に出るのは、話し手と聞き手以外の人がおらず来ない場所で料金が発生しない場所となる。

 

 

「だからって家はどうなんだ…」

 

 

相談の内容を知らないままではあるが、周りの目があると話しにくいというので滝本が選んだのは滝本の自宅である。まぁ確かにここなら、滝本と俺以外でいるのはペットのハリネズミくらいで俺の出した条件を全てクリアしてる。それでも相談するがために男を連れ込むのはどうなんですかね。お前のご主人大丈夫か? とゲージに入ってるハリネズミに首を傾げるが俺に見向きもせずに餌を貪ってた。

 

 

「こら、宗次郎」

 

 

台所から紅茶をのせたお盆を持って滝本は自分のペットに注意する。ペットは怒られてるのを理解したのか藁の山の穴に隠れてしまう。飼い主に似てシャイなのかもしれない。そう思うとこいつも可愛く見えてきたな。

 

 

「はい、紅茶…」

 

 

「ん、ありがと」

 

 

出されたカップがキャラクターモノのマグカップなのは一人暮らしで友達を呼ぶことを想定してなかったからなのか、あるいはこれがお客さん用なのか。それはさておき、味はいい。でも俺は紅茶よりほうじ茶の方が好きだ。

 

 

「それで相談って?」

 

 

相談は聞いてやりたいがこの状況は不慣れなので早く帰りたい。女子の家なんて来たのは小学校以来だ。それも相手に呼ばれたのではなくて母親同士が仲が良くて集められたという感じである。しかもその頃は物心はあれど相手を異性として意識していない。

だが今は下心はなくとも意識してしまう。カーペットがピンクなのとか、家具も女の子らしい物で本当に女の子の部屋に来たんだなと思わされる。

それに相手が滝本なのも拍車をかけている。滝本は男目線で見れば十分に可愛い。恥ずかしがり屋なのは日本人にはよくいるし、会話が下手でメッセージツールを使った会話ではハイテンションというコミュ障で趣味がコスプレという点も一周まわって可愛く見えるものだ。

俺が質問を投げかけてもじもじとしてるのも中々に甲乙つけがたい可愛さがある。てか、そんなに言い難いことなの?俺に言って大丈夫?と心配になってきた。

 

 

「その、実は…最近…」

 

 

「うん」

 

 

「欲求…ふ、不満…なの…」

 

 

「なるほどな…………………ん?」

 

 

今こいつなんて言った。聞き返すのはセーフか?アウトか? いや、滝本の発言はアウトだよな。欲求不満? あれだろ3大欲求のいずれかあるいは全てが満たされない状態のことだろ? それなら俺もそうだな。俺も今腹が減ってる。食欲に不満を抱えていると、日本語に違和感がある気がするがそういうことになる。滝本もそういうことかもしれないので聞いてみるとしよう。

 

 

「ちなみに食欲?睡眠?」

 

 

「へっ!?………せ、せ、せ………せ………」

 

 

爆発したと思ったらカクカクと頭を震わせている。ちょっと怖いんだけど。それに「せ」で言い戸惑ってるのは何故だ。もしかしたら食欲か睡眠の英訳か何かなのかもしれない。俺日本人だからわかんないな!

 

 

「欲求不満なのは分かったがそれで俺になにかできるのか?」

 

 

まぁ性欲ならば出来ることはあるだろう。でもやだ。一昨日のトラウマと感触がまだ抜けてない。中途半端にやったら俺もフラストレーションが溜まってしまう。けど、滝本に限って性欲なんてことは無いだろう。ならば自然と導き出されるのは不眠だろうか。夜に眠れないということに関して不満があるということで話を進める。食欲はさっき満てたからな。

 

 

 

「そ、その…わ、私と……」

 

 

「うん、滝本と?」

 

 

「し……し………」

 

 

「し?」

 

 

「うううぅぅぅぅぅ!!!!」

 

 

肝心なところを言わずにうずくまってしまう滝本に俺は困惑するばかりだ。しかし、「し」か。なんだろう。子守唄か催眠術あたりだと思ったんだけど、「し」から始まる不眠治療あったかな。それとも死のうという永眠だろうか。まだ20代なんだから死ぬには早いでしょと首をふる。顎に手を置いて考えてると滝本が目を濡らした状態で顔を上げる。

 

 

「泣くほどなのか…」

 

 

「う……うん……」

 

 

確かに仕事終わりに寝れないと辛いもんな。俺もわかるよ。身体は疲れてるはずなのに眠って休めないんだからな。仕方ない、俺に出来ることは少ないだろうが、手伝うとしよう。

 

 

「分かった。俺に出来ることがあるなら手を貸すよ」

 

 

「ほ、ほんと…?」

 

 

「ほんとさ」

 

 

だから、そんな顔するなってとハンカチを渡して目を拭いてもらう。女の子の泣き顔なんて見て嬉しいもんじゃないからな。出そうになっていた涙を拭いた滝本はハンカチを置くと、用意をしてくると扉の閉まってる部屋に入っていく。寝巻きに着替えるのかと待ってるとシャワーの水が出る音が聞こえる。まぁ女の子だしシャワー浴びてから寝たいよねと1人でウンウンと頷く。でも、髪を乾かす時間も入れると結構待つよなとスマホをいじる。不眠解消法について調べておこうと色々とサイトや質問箱などを見て回る。

へぇ、深呼吸をすると身体のムダな力が抜けて眠りやすくなるのか。スーハー、スーハーと2回繰り返して脱力して、瞼を閉じてみる。これは確かに少しは効果あ………。

 

 

 

 

───────不本意にも、俺は調べてる間に浅い眠りに入ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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