※この作品はR-18です。

対魔忍アサギ~~風の騎士・風魔~~   作:ユウキ003

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今回で第3章、アサギ2編は終了です。


第4話 4人目の仮面ライダー

~~~前回までのあらすじ~~~

無事に紗弥を救出した歩夢達。紗弥は友人である

来栖と無事に再会することが出来た。そんな中で、

紗弥は悪人にレイプされた事から人の為に戦う

対魔忍のあり方に疑問を持つが、歩夢の

『見過ごせない今を変えるため』という言葉を

聞き、紗弥と、同じように彼の優しさと決意を

前にした来栖は彼に興味を持つようになり、

その後は頻繁に橘邸に来るようになった。

そしてある夜、紗弥と来栖は歩夢と肌を重ねる

のであった。

 

 

紗弥・来栖と肌を重ねてから数日。

あの後、やっぱりと言うか、二人も橘邸に

住む事になった。表向きは、アサギやさくら、

紫と言った先輩対魔忍の元で腕を磨くため、

としているが、実際は二人とも歩夢との

同居が目的だ。

とは言っても流石に地上のログハウスには

もう部屋が無いので、しばらくは地下施設

の空き部屋が彼女達の部屋になった。

『……そろそろ、増築した方が良いかな?』

と、歩夢は頭を悩ませたりしていた。

 

そして、そんなある日。

「え?紗弥ちゃんも仮面ライダーに?」

何というか、アサギやさくら、紫の例に

漏れず紗弥もそれを希望してきたのだ。

「うん。……私ね、本音を言えば、『対魔忍

 として』の戦う理由は、どっちかって

 言うともう殆ど残ってない気がしてるんだ。

 対魔忍は、所詮政府の犬みたいな物

 だから、ね」

そう語る紗弥の表情は、笑みを浮かべているが、

どこか暗い。

 

それは無理も無い。

彼女は闇の組織、龍門の施設内で悪人にレイプ

されたのだ。彼女が、人のために戦う理由を

見失いかけるには、十分過ぎる事だった。

「正直に言えば、私をレイプした悪人と

 政府の連中の違いなんて、私には

 分からない。だから、そんな連中の

 道具として戦いたくは無い」

 

「……それで?」

歩夢は、静かに紗弥の先を促す。

すると紗弥は、一緒に来ていた来栖の右手を

左手で握る。

それに気づいて、来栖も優しくその手を

握り返す。

「けど、お兄ちゃんはあの日言った。

 見過ごせない今を変えるために、

 仮面ライダーとして戦うって。

 それを聞いて思って、考えたの。

 私の戦う理由は、私が決める。

 政府の連中が決めた敵とか味方とか、

 どうでも良い。私も、お兄ちゃん

 みたいに戦いたい。対魔忍なんて

 言う、政府の道具としてじゃない」

彼女の瞳には、決意が宿っていた。

 

それは、ある意味、『広がり』なのかも

しれない。

歩夢の持つ、正義ではなく、誰かを

助ける為に戦うヒーローという意思、

覚悟の感染。虚像であったとしても、

子供達がテレビのヒーローに憧れる

ように、彼女もまた、憧れた。

 

橘歩夢という男の。

最初の仮面ライダーの背中に。

 

だからこそ、その高みを目指す。

『仮面ライダー』という高みを。

 

「本物のヒーロー、『仮面ライダー』

 として、人々を守るために戦いたい。

 そのために、仮面ライダーの力が

 欲しい!」

「……正直に言うと、僕も仲間は多い方が

 良いとは思う。紗弥ちゃんを助けた戦いの

 中で僕は、アサギとさくらちゃんは

 少しは仲間を頼れって言われたんだ。

 だから、可能ならば紗弥ちゃんの意見を

 尊重したいと思う」

「じゃあっ!」

「でも、これだけは確認しておきたい」

歩夢の言葉に、喜びそうになる紗弥。

しかしそれを彼自身が遮る。

 

「仮面ライダーになる、って事は、これまで

 以上に危険な戦いに参加する事になる。

 当然、敵と戦って敗れ、捕まって、

 あの日々と同じような環境に戻って

 しまうかもしれない」

その言葉に、紗弥はあの日々を思い出し、

体を震わせる。

「無論、僕はそんな事を許すつもりは無い。

 だから新しいガシャットなんかの開発を

 続けている。でも、それは絶対じゃない。

 だから、可能性はあるんだ。

 それでも、紗弥ちゃんは仮面ライダーに

 なる道を選ぶの?」

 

女である事。それはある意味、デメリットだ。

悪人共に捕らえられたが最後、そこで待つのは

死よりも辛い、屈辱的な陵辱の日々。

 

だが……。

「紗弥ちゃん」

不意に、来栖が紗弥を抱きしめる。

「大丈夫だよ。もう、紗弥ちゃんは一人

 じゃないよ。私もいる。兄様もいる。

 アサギ様や、さくら様、紫様だって。

 だから、きっと大丈夫」

来栖は、紗弥の頭を胸に抱くようにして

その頭を優しく撫でる。

 

まるで、母が子をあやすように。

 

『あぁ、そうだ』

来栖は、ふと思い出す。

あの日々は屈辱的で、他人の肌を見るのが

嫌だった。

だが、ここでは逆だ。紗弥の肌を通して

伝わる温もりが、恐怖に震える彼女の心を

勇気づけ、そして、心に火をともす。

『みんなが一緒なんだ。怖い物なんて、無い!』

 

紗弥は、ゆっくりと来栖から離れる。

「もう、大丈夫?」

「うん。ありがとう来栖ちゃん」

二人は互いに微笑み合う。そして、紗弥は

改めて歩夢と向き合う。

「確かに、未来はどうなるかなんて分からない。

 もしかしたらが、あるかもしれない。

 でもっ!」

 

彼女は叫ぶ。その心に灯った火を糧に、自らの

胸に内に秘めたる思いを爆発させる。

 

「私と同じような境遇の人を見捨ててなんて

 おけない!私が、お兄ちゃん達に助け

 られたように!今度は私が助けるんだ!

 対魔忍としてじゃない!仮面ライダーの

 一人として!だから、私にライダーの力を

 下さい!お願いしますッ!!!」

己が胸の内を叫び、紗弥は頭を下げる。

 

その言葉に、歩夢は……。

 

「分かった」

静かに頷いた。

その言葉に、紗弥は頭を上げる。

「紗弥ちゃんの決意は、良く分かったよ。

 これからは一緒に戦おう。仮面ライダー

 として」

そう言って、歩夢は右手を差し出す。

 

「はいっ!!」

紗弥は、その手を取り、笑みを浮かべる。

 

ここに、新たなる仮面ライダーが生まれようと

していた。

 

それから数日後。紗弥の決意を実現するため、

歩夢は彼女のためのバグスターウィルスの生成

を行った後、それを彼女に投与し術後経過を

確認。問題無い事を確認した後、彼は最後の

一つとして残っていたゲーマドライバーと

あるガシャットを彼女に与えた。

 

 

ある日、地下施設の一角にある訓練施設にて。

「爆走、バイク?」

と、紗弥は手渡されたガシャットに書かれた

文字を読み、首をかしげる。

「うん。そのガシャットはちょっと特別でね。

 まぁやってもらった方が早いかな。

 とにかく変身してみて。あぁそれと、

 僕達と違ってドライバーのハンドルを開く

 必要は無いから」

「うん?良く分かんないけど、やってみる」

 

説明をしていた歩夢が離れると、紗弥はドライバー

を装着しガシャットを起動した。

 

『爆走バイク!』

 

電子音声が流れ、周囲にトロフィー型のアイテム

ボックスがばらまかれる。

 

「変身!」

 

『ガシャット!』

紗弥は、笑みを浮かべながら叫ぶとガシャットを

ドライバーに突き刺す。

すると……。

 

『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャ

ゲーム!ワッチャネーム!?』

 

「え!?あの状態でも変身出来るの!?」

普段、装填と同時にドライバーを開いて変身

していたさくらは驚き目を見開く。

すると紗弥の周囲にアイコンがいくつも並んだ

リング状の物体が現れる。

「え!?え!?こ、これどうすれば!」

驚き戸惑う紗弥。

「落ち着いて紗弥ちゃん。自分の正面にある

 アイコンをタッチして」

「あ、アイコン!?こ、これかな!」

紗弥は目の前にあったアイコンをタッチする。

そして……。

 

『アイム ア カメンライダー!』

 

黄色い光が彼女の体を包み、それがはじけた時。

 

「え?」

「えぇ?」

「あ、あれは……」

アサギ、さくら、紫の3人は戸惑った。

「OKだ。紗弥ちゃん、無事に変身出来たよ」

歩夢はそんな3人を後目に紗弥の方に

大きな鏡を手に近づいていく。

 

「え?へ、変身出来たの?っておぉ!

 何これ!」

紗弥は、いつのまにか両手に装備されていた

武装、『フロントアームドユニット』と

『リアアームドユニット』に驚く。

 

「紗弥ちゃん」

するとそこに鏡を持った歩夢が歩み寄る。

「は、はいっ!」

紗弥は戸惑いながらも彼の方を向き、

そして鏡に映った自分の姿を見るのだが……。

 

「ん?」

そこに映っていたのは、歩夢たちとは違う、

3頭身の白いボディの、ゆるキャラみたいな

自分だった。

 

「……。えぇぇぇぇぇっ!?」

一瞬間を置いてからの絶叫。

「え!?えぇっ!?これが私!何か違う!

 あの時のアサギお姉ちゃんやさくら

 お姉ちゃんとは違う!?どゆこと!?」

と、戸惑う紗弥。

「落ち着いて紗弥ちゃん。ちゃんと説明

 するから」

そう言って、歩夢は紗弥を落ち着けた後、

アサギ達も交えて事の説明を始めた。

 

「「「「「レベル1?」」」」」

と、彼女達5人が異口同音を漏らしながら

首をかしげる。

「そう。僕が開発したガシャットは現在まで

 僕の使うハリケーンニンジャを含めて

 11個。その内アサギのマイティアクション

 X、さくらちゃんのバンバンシューティング、

 今紗弥ちゃんに渡した爆走バイク。

 そして残りの一つのタドルクエストは初期に

 完成したガシャットなんだ。そこで僕は

 変身した際、出来るだけ変身者の負担を

 減らすフォームを考え、負担の最も少ない

 フォームをレベル1として実装。そこから

 力を発揮するレベル2。ガシャット追加

 する事でレベルアップするレベル3や

 レベル5を創り出したんだ。けど、

 レベル1は大して必要性が無かったため、

 僕のハリケーンニンジャではレベル1は

 省略してあるんだ」

「じゃあ、お姉や私にもあんな風になれるの?」

「うん、とは言っても、レベル2を普通に 

 運用出来る2人からしたら、レベル1は

 体力と引き換えに高威力の技を繰り出せる

 事以外、あんまり変身するメリットはない

 んだよね」

「へ~」

と、納得するさくら。

 

「でも、じゃあ何故紗弥はいきなりレベル2

 はダメなの?」

「うん。紗弥ちゃんに与えた爆走バイクで

 変身する仮面ライダーのレベル2は

ちょっと特殊なんだ」

「特殊、なの?」

首をかしげる紗弥。

「うん。やって貰った方が早いかな。

 紗弥ちゃん。ドライバーを開いて

 レベル2になってみて」

「うん!分かった!」

 

そう言うと、一旦彼等から離れる紗弥。

「それじゃ、行くよっ!レベルア~ップ!」

紗弥は叫び、ドライバーを開く。

 

『ガッチャーン!レベルア~ップ!』

 

『爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク~!』

 

電子音声が流れる中、彼女の体が変形し、

アームドユニットは前輪と後輪になり

体に合体。紗弥はなんとバイクになってしまった。

 

「うぇぇぇぇぇっ!?私、バイクに

 なってる!?なんでなんで!?」

突然の事に顔の部分であるフロントカウルを

左右に振る紗弥。

「もしかして、兄様。このライダーが特殊

ってこう言う事なのですか?」

「うん。そうなんだ。爆走バイクのレベル2

 はバイクなんだ。もちろんこのままでも

 ある程度動く事は出来るけど、内部の

 バランス制御ユニットによって速度が

 でない、つまりフルパワーを出せない

 状況なんだ。レベル2が全力を出すため

には、バランサーとなる乗り手、つまり

ライダーが必要なんだ」

「成程。しかし何故、歩夢さんはこの

 ガシャットを作られたんですか?」

「理由としては、やっぱり速い相手と

 戦う際、それの追跡や逃亡を見越して

 の事なんだよね。確かにライダー状態でも

 そこそこ速い。けどそれは、そこそこなんだ。

 だからもし、敵を追撃する際の足が必要に

 なった時のために爆走バイクを設計したんだ。

 仲間を乗せて走る存在としてね」

そう説明したとき、歩夢はハッとなった。

 

「あ、もし紗弥ちゃんが嫌なら爆走バイク

じゃなくて、タドルクエストも使えるよう

にするよ!?それにまだ開発中だけど、

イクサシステムって言うのもあるから!」

と、説明する歩夢。人を乗せて走る。つまり

人が自分に跨がる、と言うのが彼女の経験から

嫌いかも、と考えたのだ。しかし……。

 

「ううん。良いよ。私はこのままで良い」

『ガッチョーン。ガッシューン』

そう言うと、ドライバーが自動的に閉じ、

彼女の変身が解除された。

そして、彼女は自らが手にしたガシャット

を見つめていた。

「姿形はどうあれ、これが私の仮面ライダー

 の力だもん。だから、私はこのままで良い」

「……そっか。分かったよ紗弥ちゃん」

 

こうして、新たに4人目の仮面ライダーが

誕生した。

 

そして、その数日後の事だった。

ある日、橘邸に小包が届いた。それは、対魔忍

達の極秘の連絡法だった。

中に入っていた手紙には、歩夢以外の5人、

つまり対魔忍全員を里へ一旦戻れ、と言った

旨が書かれていた。

最初はさくらや紫が、歩夢を省いている事に

憤りと疑心感を持ったが、歩夢の、『自分は

里に入れない身だからしょうが無い』と言って

説得し、彼女達5人は渋々里へと向かった。

 

そして、翌日。

「ただいま」

対魔忍の里へと招集されていたアサギとさくら、

紫、更に紗弥と来栖が戻ってきた。

「お帰り皆。どうだった?」

歩夢は5人を迎え入れた。

 

そして、歩夢を入れた6人は一旦地下に行き、

歩夢の私室で話をする事になった。

そんな中でアサギが話し始めた内容と言うのが、

歩夢にとっては驚きの物だった。

 

「僕を対魔忍として復帰させるだって?」

「えぇ。里に戻った時、本家の連中がね。

 歩夢の対魔忍の復帰を認めても良いと

 言ってきたのよ」

そう語るアサギの表情は、どこか憎たらしげ

だった。

「彼等は欲しいのよ。『仮面ライダー』の力が」

「……」

吐き捨てるように呟くアサギに、歩夢は

何も言わない。

 

仮面ライダーの力の強大さは、ここにいる

彼女達だからこそ良く分かる。ゆえに、

それを渇望する者達の魂胆など、簡単に

分かってしまう。

 

「その力を、自分達の配下にしたいのよ。

 そうすれば、大いなる力が手に入る。

 ……対魔忍の上下関係は絶対よ。例え

 歩夢が対魔忍に復帰したとしても、

 貴方の家系は私の、井河の分家。

 とても本家の連中に逆らえる立場には……」

そう言って、アサギは俯く。

 

「ごめんなさい歩夢。私が、もっと

 しっかりしていれば……」

彼女は、静かに謝る。アサギは、裏切り者

である祖父を殺して井河の統領となったが、

まだ若く、加えて祖父が裏切り者であった

以上、彼女の発言権は、決して強いとは

言えない。

 

「大丈夫だよ、アサギ」

すると、歩夢は立ち上がって優しくアサギを

抱きしめる。

更に、さくらや紫も、アサギの背中を撫で

彼女を落ち着かせる。

 

やがて数分後。

 

「僕は、対魔忍に戻る気は無いよ」

彼が、真剣味を孕んだ表情で5人を見回し

ながら静かに語る。

 

「僕達は、誰かに命令されたから戦うん

 じゃない。自分達が正しいと思った事を

 貫くために戦う。自分達が戦う理由は、

 自分達で決める。僕が、アサギやさくら

 ちゃんを助けたいと思って仮面ライダーを

 生み出したように。僕達は、僕達の

 意思で戦う。僕達は、誰の下にも付かない」

 

それは、歩夢の決意だ。そして、彼の言葉に

5人は静かに頷く。

 

「僕達は、誰かの命令で戦う兵士じゃない。

 『仮面ライダー』は、人々の自由と平和を

 守る為に戦う戦士なんだ。だからこそ、

 僕達は僕達の意思で戦う。

 皆は、どうする?」

 

「戦うよ。私は」

彼の問いかけに真っ先に答えたのは、さくらだ。

「あの日、アユ兄に助けられて、そして、

 告白して。私はアユ兄を支えるって決めた。

 ……だから、私はアユ兄と一緒に行く。

 『仮面ライダー』として」

そう言って、さくらは笑みを浮かべる。

 

「ならば、私も」

次は紫だ。

「私はまだ、仮面ライダーではありません。

 ですが、その魂は、仮面ライダーとして

 歩夢さんや、さくら達と共に在りたいと

 思って居ます。だからこそ、私は

 歩夢さんのお側に仕えるつもりです」

 

「愚問だよお兄ちゃん」

3人目は紗弥だ。

「私はとっくに仮面ライダーなんだ。

 だから私は仮面ライダーとして戦う。

 仮面ライダーとして、人類の自由と

 平和のために戦う」

 

「私もです」

4人目は来栖だ。

「私もあの日、兄様に魅せられた

 英雄の光、仮面ライダーの『光』を

 信じています。だからこそ、私も

 その光の一助となれるよう、兄様や

 紗弥ちゃん達と共に戦いたいと

 思います」

 

そして、最後は……。

「そうね。……私も、今は仮面ライダーよ」

アサギだ。

「私は自らの意思で仮面ライダーになった。

 そこに後悔は無い。だから、私も

 貫くわ。『仮面ライダー』という道を」

 

それは彼、彼女らの決意だ。

 

それぞれの決意を胸に、ここに集まった。

 

だからこそ、彼等は一つのチームとなる。

 

 

その後、アサギは一人で里に戻り、歩夢と

自分達の決意を声高に叫んだ。

 

自分達は誰の下にも付かない事。

仮面ライダーとして、自分達の戦う理由は

自分達で決める事。

 

更に、助けを求める者がいるならば、全力で

手を差し伸べる。それが『仮面ライダー』

である事を、大勢の前で語った。

 

無論、里のトップの人間達はそれに反発した。

だが、アサギはそんな人間達をも『知ったことか』

と一蹴し、里を後にしたのだった。

 

 

それから。

某月某日、某所にて。

 

寂れた港町の一角にある寂れた倉庫を

隠れ蓑にして、悪人組織と妖魔の取引

が行われていた。

それは人身売買。それも、人が妖魔に

人を、女を売ると言う行為だった。

 

女達は涙ながらにこれからの未来を憂い、

絶望に打ちひしがれる。

視界に映る下卑た笑みを浮かべる妖魔たち

に、彼女達は身を寄せ合って泣くことしか

出来なかった。

 

その時、一人の女性がある都市伝説を

思い出した。

 

それは……。

『絶体絶命のピンチの時、颯爽と現れる

 ヒーローがいる』という噂だった。

彼女は藁にも縋る思いで祈った。

もしいるのなら、助けて、と。

 

そして、その願いは届いた。

 

『『『『『シュルルルルッ!!!』』』』』

突如として暗がりから降り注ぐ光の

手裏剣の雨。

『『『ドドドッ!』』』

それが妖魔や悪人の護衛達に突き刺さって行く。

「な、何だ!?」

悪人のリーダー格の男が叫ぶ。

 

すると、倉庫の上。天井の梁の部分から

人影が落下し、女性達を繋いでいた鎖。

その鎖を持っていた男を切り伏せ、彼女達を

庇うように着地した。

 

それは、彼女が信じて縋った、最も新しい

英雄。『仮面ライダー』に他ならない。

 

「な、何だ貴様!」

妖魔は、女性達の前に立つ仮面ライダーを

指さし叫ぶ。

 

すると、仮面ライダーは静かに背中の小太刀を

抜き放つ。

「……仮面ライダー、とだけ言っておく」

「ッ!?仮面ライダーだと!?あの都市伝説の!」

歩夢の言葉に妖魔の一人が驚き後退る。

 

「びびるな!相手は一人だ!やっちまえ!」

「「「おぉぉぉっ!」

リーダーの妖魔が叫ぶと、部下のオーク達が

一斉に仮面ライダーに向かっていく。

『ドドドドドドドッ!』

 

しかし、そのオーク達を横合いから飛んできた

光弾の雨が穿つ。

「なっ!?」

驚く妖魔のリーダー。

「だ~れが一人だって?」

そこに聞こえた声に、リーダーが光弾の来た方

へ視線を向ける。

 

そこ、倉庫の一角にある錆びたコンテナに、

いつの間にか黒い、さくらの仮面ライダーが

寄りかかっていた。

その手にはガシャコンマグナムが握られており、

銃口はしっかりとリーダーの二人の方に

向けられていた。

 

「もう一人!?」

「あら?まだいるわよ?」

驚く悪人リーダー。

 

だがその時、アサギの声が聞こえてきた。

かと思うと、天井の梁の陰の部分から跳躍

してきた彼女のガシャコンブレイカー、

ブレードモードの一撃が、妖魔の一匹を

一刀両断する。

 

「なっ!?さ、3人目だと!?」

驚き、後退る悪人リーダー。

「ちぃっ!?びびるな!行けお前達!」

妖魔リーダーが命令を下すと、妖魔達が

3方向に分かれ、アサギ、さくら、歩夢に

向かっていく。

 

更にそこに悪人の武装した部下たちも便乗し

拳銃なり何なりで攻撃を開始するが、

仮面ライダーならば、この程度敵ではない。

次々と殴られ、蹴飛ばされ、斬られ、撃たれ。

瞬く間に数を減らしていく妖魔と悪人たち。

 

そして、その隙に紫と紗弥、来栖が捕らえられて

いた女性達を逃がす。

 

「く、クソッ!?こんな所で死ねるか!」

すると、悪人のリーダー格の男が停車していた

車に飛び乗り、エンジンを掛けて車を発進

させた。

ギュルルルッと音をさせながら走り出す車。

「あっ!?逃げたっ!」

その様子に真っ先に気づいたさくらが叫ぶ。

 

「え!?」

その事に、歩夢はすぐさま後を追おうとするが、

まだ妖魔や悪人が残っている事から、一瞬迷う。

その時。

 

「行きなさい!仮面ライダー!」

アサギの叫びに彼が振り返る。

「ここは私達に任せて!紗弥!」

「OK!行くよ!」

アサギの叫びに答えるように、紗弥が

ゲーマドライバーと爆走バイクガシャットを

取り出す。

 

『爆走バイク!』

 

「変身!」

 

『ガシャット!』

彼女は、起動したガシャットを装填すると

すぐさまドライバーのハンドルを開く。

 

『ガッチャーン!レベルア~ップ!』

 

『爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク~!』

 

紗弥は変身と同時に、バイクとなるレベル2へと

レベルアップする。

「乗って!仮面ライダー!」

「うん!」

仮面ライダー、歩夢が彼女に飛び乗ると、

アクセルを捻り倉庫を飛び出した。

 

暗く寂れた埠頭の夜を、ヘッドライトの光が

切り裂く。

リーダー格の男の車を、紗弥と歩夢の二人が

追いかける。

「クソがぁッ!」

男の乗る車は、追い抜こうとする2人を抜かせ

ないよう、右へ左へハンドルを切る。

「あいつ!往生際の悪い!」

「逃がさない!」

フロントカウルにある瞳が明滅し紗弥の

声が響く。歩夢は更にアクセルを捻り、

加速させる。

 

やがて、車とバイクは倉庫の敷地を抜け、

一般道に飛び出した。

今の時間帯は深夜だ。幸い車通りは無い。

海沿いの道を車とバイクだけが走る。

すると、車の向かう先には未だに光を

放つ街並みが見えてくる。

 

「不味いよお兄ちゃん!町に逃げ込まれたら!」

「そうは、させない!その前に奴を仕留める!

 紗弥ちゃん!必殺技、行くよ!」

「ッ!OK!行くよお兄ちゃん!」

 

歩夢は、バイクのシート部分にあるゲーマ

ドライバーにあったガシャットを抜き、

それを横のキメワザスロットホルダーに

装填し、スイッチを押し込む。

 

『ガシャット!キメワザ!』

 

「行くよ!」

「よっしゃぁぁぁぁぁっ!!」

 

場所はS字カーブの連続する所。

曲がりきれなければガードレールを

突き破って海へまっ逆さか。

 

だが、仮面ライダーならばその程度、

何の問題も無い。

 

『爆走!クリティカルストライク!』

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

紗弥が大きく叫ぶ。そして、ウィリー走行に

入った次の瞬間、バイクのマフラーから爆炎

が放たれ、爆発を推進力にしてバイクは

ロケットのように大きく跳躍し、大きく

ショートカットを果たした。

 

「なにぃっ!?」

回り込まれた事で驚く男。だが、それだけ

ではない。

 

「紗弥ちゃん!行くよ!」

「OK!私達の、合体技!パート1!」

 

これでバイクと車が、相対する。

加速するバイク。

「このぉ!跳ね飛ばしてやる!」

男も負けじとアクセルを踏み込む。

 

仮面ライダーは、自分のガシャットを

スロットに装填すると紗弥の方のスロット

と自分のスロットのボタンを、同時に押し込む。

 

『『キメワザ!』』

 

『ハリケーン!』

 

『爆走!』

 

『『クリティカルストライク!!』』

 

2人の体を、エネルギーが覆う。やがて

そのエネルギーが合わさり、一筋の流星の

ように光を放つ。

 

真っ正面からぶつかるバイクと車。

 

結果は、簡単だ。エネルギーの砲弾となった

2人を、たかが車程度で止められはしない。

大きく空に弾き飛ばされた車は、空中で

爆散してしまった。

 

キキキキィと音を立てながら止まるバイク。

2人は爆散したバイクを見上げた後、アサギ達

と合流するために来た道を戻っていった。

 

 

彼等は、今日も戦う。そして、そんな彼等に、

ある変化があった。

 

「え?名前?」

「うん。いつまでも全員が仮面ライダー、

 って訳にも行かないからさ。皆の

 コードネーム?みたいなのを考えて

 みたんだ」

「へ~。どんな感じ?」

「えっとね、私のが『スナイプ』。お姉のが

 『エグゼイド』。紗弥ちゃんのが『レーザー』。

 そしてアユ兄のが、『風魔』」

「ふうま?それって、風魔一族からもじったの?」

「うん。アユ兄のライダーって忍者っぽいし。

 けど仮面ライダー井河じゃ語呂悪いし。

 って事で『仮面ライダー風魔』って事に

 したんだ!」

 

歩夢は、得意げに語るさくらを見て笑みを

浮かべる。

「風魔、仮面ライダー風魔か。良いねそれ」

「でしょ~?頑張って考えたんだからね!」

「うぅ!さくらだけでなく紗弥までもが

 仮面ライダーに!来栖!お前は違うよな!」

「はぇ!?何ですか紫様!?」

「お前は、お前は私を置いて仮面ライダーに

 なったりしないよな!」

「し、しませんよ!私はまだ半人前ですし!

 まだ仮面ライダーになろうなんて思って

 ませんから!」

そんなやり取りをする紫と来栖に、周り

の皆が笑みを浮かべるのだった。

 

 

こうして、新たに4人目の仮面ライダーが

覚醒。同時に、それぞれに名が与えられた。

 

『仮面ライダー風魔』。

 

『仮面ライダーエグゼイド』。

 

『仮面ライダースナイプ』。

 

『仮面ライダーレーザー』。

 

 

今ここに揃った、4人の騎士。

 

だが、まだ一つ残されたベルトとガシャット。

 

それを受け取るのは誰なのか。

 

それはまだ、誰にも分からない。

 

が、その者と歩夢達が出会うのは、

そう遠くは無い未来のお話である。

 

 

     第4話 END

 




次回からは対魔忍ユキカゼをベースにした第4章となります。
お楽しみに!

感想や評価、お待ちしています。

読者様から、不知火を歩夢のハーレムに入れて欲しいと言うのがありました。どちらが良いですか?

  • 不知火は予定通り達郎のハーレムに入る。
  • 上とは別に歩夢のハーレムに入る。
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