時系列として、ユキカゼの本編の時点でアサギが29歳。不知火が失踪した時のアサギが24歳で、アサギ2の時点でアサギが24歳なので、不知火が失踪した時期はアサギ2の時期と殆ど変わらない、と思います。この話の時点で、不知火失踪から1年ほど経過している、と言う事になっているので、ゆきかぜ達3人はアニメとかよりもう少し若いとお考え下さい。
※2020/10/03
このユキカゼ編において、当初救出された不知火は達郎のハーレムに入る事を予定していたのですが、読者様からのご意見で、不知火を歩夢のハーレムに入れて欲しいと言う感想やメッセージを頂きました。結果、このユキカゼ編の話の部分でアンケートを採っています。
もしよろしければ回答をお願いします。
回答如何によってはストーリーを修正しますので、何卒ご協力お願いします。
とりあえず一週間ほどアンケートを採り、その結果でストーリーを
決定いたします。
第1話 戦争前夜
~~第3章のあらすじ~~
仮面ライダーとして戦う歩夢と、彼と共に戦う
アサギ、さくら。更に新たに歩夢を慕う
メンバーとして紫も橘邸に住むようになり、
4人は同居しつつも悪人や妖魔と戦っていた。
そんなある日、対魔忍の里から彼等を頼って
『来栖』という名の見習い対魔忍が橘邸を
尋ねてきた。来栖は、自分の友人である
紗弥が任務中に連絡を絶った事から彼女を
心配し、歩夢達に紗弥の救出を依頼。
歩夢とアサギ達は紗弥が消息を絶った
東京キングダムの新たな龍門のアジトへと
潜入し、陵辱によって疲弊していたが、
無事に紗弥を救出。
しかし、そこでは朧のクローンが待ち構えて
おり、アジトからの脱出の際に歩夢が
負傷してしまう。が、事前に適合手術を
受けていたアサギとさくらが仮面ライダーへ
の変身に成功し、この危機を突破。
紗弥は無事に友人である来栖と再会するの
だった。
そんな中で紗弥は陵辱された経緯から対魔忍
として戦う意思を失いかけるが、歩夢の
言葉によって仮面ライダーとして戦う事を
決意。来栖も、歩夢の決意に感銘を受け、
新たに2人が歩夢たちの仲間となり、更に
紗弥は歩夢から仮面ライダーの力を与えられ、
これで4人の仮面ライダーが揃うのだった。
紗弥を救出した、東京キングダムでの戦いから
既に1年近くが経過していた。
そして、彼と彼女達は今も仮面ライダーとして、
人々を守るために戦い続けていた。
歩夢達の力は既に相当な物となっている。
そのため、妖魔たちは仮面ライダーの名を恐れ、
その仮面ライダーに助けられた紫や
紗弥の噂が対魔忍の里にも伝わり、今では
かつての九郎や来栖のように依頼と言う形で
失踪、行方不明となった対魔忍の救出を
請け負う事も増えた歩夢達。
そんなある日の地下施設。
耐爆使用のトレーニングルームで紫が一つ
のベルトを腰に巻き、恍惚とした表情を
浮かべていた。
「え~っと、それじゃ紫ちゃん。事前に
説明した通りにやってみて」
「はいっ!お任せ下さい!」
そんな彼女に苦笑を浮かべる歩夢。紫は
『ついにこの時が来た!』と言わんばかり
に良い笑顔で頷く。
「なんか、むっちゃんすっごい良い笑顔
してるね」
「まぁ、紫も仮面ライダーに憧れて
いたし、結構時間掛かっちゃったから、ね?」
後ろで2人のやりとりを見ていたさくらと
アサギも苦笑気味だ。
「それじゃあ紫ちゃん。イクサシステムの
起動試験を開始するよ」
「はい!」
歩夢の言葉に頷くと、紫は渡されていた
アイテム、『イクサナックル』を右手に握る。
そして、手を合わせるようにナックルを左
手の平の部分に合わせる。
『レ・デ・ィ』
するとイクサナックルから低い男の声の
ような電子音が響く。
「うん。第1段階はクリアだね」
それを確認する歩夢。この音声が流れる、
と言う事は変身者に変身する素質があると
ナックルが判断した証だ。
「紫ちゃん。次だよ」
「はいっ!」
彼女は、待機音声のなる右手のナックルを
見つめた後、決心をしたような表情でナックルを
ベルトに装填する。
『フィ・ス・ト・オ・ン』
すると、ベルトから再び電子音が響き渡り、
合体したベルトから赤銅色のT字のような
エフェクトが浮かび上がったかと思うと、
それが高速回転し紫の前面に赤銅色の
鎧を生成。それが後退して紫と重なった時、
彼女の体を白の鎧が覆っていた。
黒いスーツを下地にし、その体を覆う白い
鋼鉄の鎧。頭部には顔を覆う、黄金の十字架
のようなマスクが備えられていた。
それこそ、歩夢が汎用性と量産を考え
開発した第2世代マスクドライダーシステム、
改め『仮面ライダーイクサ』の1号機の
姿だった。
「これが、私」
紫は、イクサとなった自分の手足を見つめ、
そして歩夢が用意した鏡を前にする。
紫は手を握ったり開いたりして感触を
確かめた後、小さくシャドーボクシングの
ような動きをする。
「どう?1号機の感想は?体に負担を感じたり
とかは無い?」
「はい。むしろ、体を大きな力に覆われてる
ような感覚です。これが、仮面ライダーの
力……!」
紫は両手を握りしめ、その手を見つめるの
だった。
「うん。イクサシステムはとりあえず
完成だね。今後はシステムアップデート
と改良で強化していく方向で決定かな。
紫ちゃん。もう良いよ」
「う~ん。もう少し感触を確かめたかった
ですけど、はい」
彼女は名残惜しそうにナックルを抜いて変身
を解除する。
「これで、むっちゃんが5人目の仮面ライダー
になった訳だね」
「おめでとう紫。念願が叶ったわね」
そこに歩み寄るさくらとアサギ。
「はいっ!アサギ様、さくら!これからは
私も共に戦います!仮面ライダーとして!
よろしくお願いします!」
念願叶って仮面ライダーとなった紫。
彼女は目尻に嬉し涙を貯める。
しかし、そんな彼等の元に喜ぶ間も
なく新しき出会いがやってくるのだった。
外。のどかな森林地帯の一角に立つ、少し
前に改築され更に大きくなった橘邸。
そんな橘邸を見上げる3人の人影があった。
「ここ、だな」
ポツリと、先頭を歩いていた蒼い髪のポニー
テールの女性が呟く。彼等は、その女性と
褐色肌に茶髪ロングヘアの少女。更に
先頭の女性と同じ、蒼い髪のショートヘアの
少年、と言う組み合わせだった。
3人は、全員が私服を纏っていて、まるで知人
の家に遊びに来た兄弟のようにも見えたが……。
3人は、そんな暢気な事をするためにここに
来た訳ではなかった。
「……待ってて、お母さん」
そして、褐色肌の少女、『水城ゆきかぜ』は
静かに呟きながら拳を握りしめるのだった。
『ピンポーン』
「ん?は~い」
リビングで紗弥と談笑していた来栖はチャイム
がなった音に気づいて玄関へと向かった。
ガチャッと音をさせながら扉を開くと、
そこには先ほどの3人が立っていた。
「すまない。ここは橘歩夢さんのご自宅
だろうか?」
前に立つポニーテールの女性、『秋山凜子』の
言葉に来栖はすぐに気づいた。
『彼女達3人が対魔忍である事』に。
「あっ。はい。間違いありませんよ?
歩夢さんにご用ですか?」
「あ、あぁ。少々込み入った話があってな」
「そうですか。あぁ外では何ですし、どうぞ
中へ」
そう言って、まるで普通に客人を招き入れる
ように3人を中に招く来栖。彼女は普通に
笑みを浮かべているが、それでも対魔忍。
万が一凜子たちが付けられていないかなど、
扉の向こうを警戒しながら来栖は3人を
迎え入れた。
「あれ?お客さん?」
「うん。歩夢さんにね、『町』の方からの
お客さんみたいだよ」
「ッ。OK!じゃあ私お兄ちゃん達呼んでくるね!」
来栖の言葉に紗弥は一瞬眉をピクつかせつつも
普通を装って動き出す。
この家の独自の言い回しである『町』は、対魔忍の
本拠地である『五車町』を指す。つまり町の方、
とは3人が対魔忍である事を伝える者だ。
紗弥は歩夢の執務室へ行き、壁一面を覆う本棚
の、1冊の本に偽造された通信機で地下施設
にいる歩夢たちに連絡を取った。
「お兄ちゃん。それとお姉ちゃんたちも。
これを聞いたらすぐに上がってきて。上に
町からお客さんが来てる」
紗弥の声が、スピーカーを通して地下施設全体
に流れる。
これを聞いた歩夢、アサギ、さくら、紫の4人
はすぐさまエレベーターで地上のセーフハウス
に向かった。
「お待たせしました」
そして、アサギ達3人と紗弥と共にすっかり
大きくなったリビングに向かうと、そこには
来栖と先ほどの3人が向き合っていた。
「はじめまして。僕が橘歩夢です。
それと、多分『知ってる』と思うけど……」
「井河アサギです。はじめまして」
「アサギお姉ちゃんの妹の、井河さくらだよ。
よろしくね」
「八津紫だ。よろしく頼む」
「っと、私達もまだだったね。私は紗弥
だよ。よろしく」
「私も、改めて。来栖と言います。以後、
お見知りおきを」
「はい。初めまして。私は秋山凜子と
言います。こっちは弟の……」
「あ、『秋山達郎』です。はじめまして」
「わ、私は水城ゆきかぜです。よろしく、
お願いします」
少年、達郎とゆきかぜは目の前にいる
メンバーに戸惑い気味だ。なにせ歩夢は
仮面ライダーの生みの親であり、さくらや
紫も対魔忍の中では相当の実力者だ。
もっと言えば、アサギに至っては対魔忍の
一派を治める統領なのだ。
2人を初め、凜子も表情にこそ出していない
が、内心は緊張していた。
歩夢達は3人と向き合うようにテーブルを
挟んでソファに腰を下ろす。
「さて、早速だけど本題に入らせて貰うね?
……君たちは僕達に依頼をするために
ここに来た。間違い無いかな?」
「はい。その通りです」
歩夢の言葉に応えたのは凜子だ。
「その内容、早速だけど聞かせて貰えない
かな?」
「じゃあ……」
歩夢の言葉に挙手をするゆきかぜ。すると
彼女に視線が集まり、肝心のゆきかぜは
一瞬萎縮するが、すぐに咳払いをして話を
始めた。
「皆さんに依頼したいのは、私のお母さん
の探索と救出です」
「水城さんのお母さんを?」
と歩夢が首をかしげると、ゆきかぜは持ってきた
バッグから1枚の写真を取りだしテーブルの
上に置いた。
「ッ、もしかして、貴方は……」
すると、写真の女性を見た瞬間、アサギは
写真とゆきかぜの顔を交互に見やる。
更にさくらや紫、紗弥と来栖も驚いた様子だ。
「アサギ、知ってる人?」
「あ、そうだったわね。対魔忍ではない歩夢が
知らないのも無理は無いけど、彼女は
『水城不知火』。一言で言えば、対魔忍の中
でも指折りの実力者よ」
「そう。水城さん。依頼についてだけど、
君のお母さんが行方不明になった理由を
もう少し教えてくれないかな?」
「はい。分かりました。……今からだいたい
1年くらい前、お母さんはある任務に従事
していました」
「任務?その詳細は分かる?」
「いいえ。ただ、ある大物政治家の不祥事を
暴くとか何とか言っていました」
「そう。それで?」
「お母さんは『もう少しで証拠が掴める』、
とだけ連絡してきた後、地下都市である
『ヨミハラ』へ潜入すると言う連絡を
最後に……」
それだけ言うと、ゆきかぜは体を震わせる。
「ゆきかぜ」
そんな彼女に、達郎は静かに肩に手を回して
彼女を抱き寄せる。
「ヨミハラ、か」
『ヨミハラ』。
それは地中300メートルに作られた闇の地下都市だ。
このヨミハラは東京キングダム以上に危険と
されており、ここはノマドの支配下にある。
対魔忍と言えど、潜入は命がけだ。
そこへ行く、と言う事は、これまで以上の
激戦になる事に他ならない。
そして、皆から意見を聞くとはいえ、行く
行かないの決定権はリーダー的存在である
歩夢にある。
つまり、歩夢の選択にアサギ達の今後が
掛かっている。まして、場所が場所だ。
そんな場所で敗れれば、見目麗しい女
であるアサギ達がどうなるか、
歩夢には分かりきっている。
真剣な表情で考え込む歩夢。
そして、ゆきかぜはそんな彼を見て、
『またか』と思ってしまった。
ヨミハラは潜入する事さえ危険な場所。
何度ゆきかぜが不知火救出の為に調査
しようと言い出しても、誰も聞き入れては
くれなかった。
『この人も、きっとそうなのかな?』
そんな絶望がゆきかぜを蝕んでいく。
だが……。
「歩夢」
その時、アサギ達が彼に声を掛けた。
歩夢はすぐに彼女達の方を向く。
そこには、各々が決意を固めた表情を
浮かべていた。
そして、歩夢は気づく。
今は、自分ただ1人が『仮面ライダー』
なのではないと。
そして、歩夢は真剣な表情で呟く。
「戦争、になるだろうな。
僕達と、ヨミハラの」
「え?」
ゆきかぜは歩夢の言葉に、俯いていた
視線を上げる。
「相手はノマドが統治する都市そのもの。
戦う相手の兵力は予想も出来ない。
仮面ライダーの力を持ってしても、
そう易々と水城不知火さんを救出は
出来ないだろう」
歩夢は、そう言ってテーブルの写真に視線を
落とす。
「それでも、私達は諦めないわ。
そうでしょ?」
そこへ、アサギが声を掛ける。
「これくらいのピンチ、きっと
私達なら切り抜けられるよ」
更に、さくらが歩夢を励ますように声を
かける。
「そうです。私達なら、きっと出来る
はず、いえ。必ず救出出来ます」
紫は自信たっぷりに頷く。
「そうだよお兄ちゃん。それに、私達
は仮面ライダーでしょ?」
「えぇ。兄様たち仮面ライダーは、
人々を救う英雄です」
更に、紗弥と来栖が笑みを浮かべながら語る。
「そうだね。……仮面ライダーは、誰かを
助ける英雄だ」
そう言うと、歩夢は不知火の写真をゆきかぜ
の元に戻す。
「水城ゆきかぜさん。僕達は、貴女のお母さん。
水城不知火さんの救出依頼、受けようと
思います」
「ッ!本当、ですか?」
「えぇ。何せ、僕達は仮面ライダーですから」
彼の決意は変わらない。この力を手にし、
覚悟を持ったあの日から、ずっと。
「仮面ライダーは、絶望に暮れる者を
決して見捨てたりしない」
「ッ!……あ、ありがとう、ございます」
歩夢の言葉に、ゆきかぜは泣きそうになる
のを必死に抑えながら頭を下げる。
そして、彼女の左右に座っていた達郎と
凜子も頭を下げる。
その後、更に詳しい話し合いをするため、場所
を地下基地へ移した。
ちなみに移動の際にはゆきかぜや達郎たちが
かなり驚いていた。
で、場所は移って地下の会議室。そこに
歩夢達6人とゆきかぜ達3人の合計9人が
集まっていた。
「さて。と言う訳で早速、水城不知火さん
救出について色々と会議をしたいと思う。
先ほども言ったけど、相手はノマドが支配
する都市そのものと言っても良い。そこで
今回は依頼者でもある水城ゆきかぜ、
秋山凜子、秋山達郎の3名にも協力を
お願いしたいと思います。構いませんか?」
「はい。お母さんを助けられるなら、私は
協力を惜しみません」
「ぼ、僕もです!まだまだ見習いですけど、
がんばります!」
「同じく、私もまだまだ若輩者ですが、
協力させて下さい」
三者三様の返事を返すゆきかぜ達。
ゆきかぜは決意と闘志を滾らせ、達郎も
戸惑いながらもやる気を見せる。凜子は
声こそ静かだが、確固たる決意を持っている
様子だ。
「さて、では改めて水城不知火さんの救出
についてだけど、正直に言ってヨミハラ
潜入から1年以上が経過していると
なると、囚われているにしても
ヨミハラにいる可能性は五分五分だと
僕は考えている。なのでまずは、
水城不知火さんが囚われている場所
の特定を優先したいと思う。
皆の中で、何か意見はあるかな?」
「はい」
と言うと、アサギが手を上げた。
「不知火さんの居場所を特定するとして、
どうするの?」
「こう言ってはなんだけど、ノマドは
綺麗な女性を奴隷娼婦にしようとする
傾向が強い。その点で言えば、その、
娘であるゆきかぜちゃんの前で言うのは
あれだけど、不知火さんの美貌を考えると、
奴らからすれば奴隷娼婦として逸材だ」
歩夢の言葉に、苦虫を噛みつぶしたような
表情を浮かべるゆきかぜ。
その時、達郎が彼女の背中を撫でて
落ち着ける。
「ごめん、達郎」
「良いって。誰だって、母親が娼婦
に、なんて話、聞きたくないよ」
そう言ってゆきかぜをフォローする達郎。
「ごめん。でも、だからこそそこに
不知火さんの居場所を突き止めるヒントが
あるはずだ。考えられるのは3つ。
ヨミハラでノマドの奴隷娼婦としての
行為を強いられているか。或いは
ノマドの関係者個人に捕らえられている
か、或いはオークションのような形を
とって組織とは関係無い第3者に
売られているかのどれかだと僕は思う」
「つまり、ノマドの拠点とかを調べるって事?」
首をかしげるさくら。
「まずはヨミハラと密接な関係にある
ノマド幹部クラスの人間を洗い出し、奴ら
からヨミハラに関する情報。そして可能
であれば水城不知火さんの情報をゲットする」
「成程。それで兄様。まずその幹部クラスの
相手を見つける方法は如何にして?」
「今僕達が動く事はあまりお勧めできない。
仮面ライダーが動き出したとあっては
向こうに警戒される恐れがある。
そこで、まずは情報屋の類いに接触し
情報を得る。それが無理だった場合は、
仕方無いけど強硬手段に出る。
……これが僕の考えた作戦だけど、
皆、何か意見はある?」
歩夢が周りを見回すが、誰も反論はしない。
「皆、歩夢の作戦に賛成のようね」
そして、アサギが皆の意思を代弁するように
呟く。
「分かった。では改めて。当面の目的は
情報屋を介しての情報収集。それが
空振りだった場合は、ノマドの支部など
を強襲してデータを探す」
「「「「はいっ」」」」
歩夢の言葉に、さくら、紫、紗弥、来栖が
頷く。
「さて、と。とりあえずの目標は出来た。
次は、皆に見せておきたい物があるんだ。
付いて来て」
そう言って、部屋を出る歩夢と彼に続く
アサギ達。
「さっきも言った通り、僕達の相手は個人や
集団じゃない。都市そのものになるかも
しれない。そう考えれば、例え来栖ちゃん
やゆきかぜちゃん達3人を仮面ライダー
にしたとしても、9人。まだまだ足りない」
「僕達も、って。僕や姉さん、ゆきかぜも
仮面ライダーになれるんですか?」
「まぁね。僕やアサギ、さくらちゃん、
紗弥ちゃんのライダーは特殊な人工
ウィルスを投与する適合手術を受ける
必要があるけど、紫ちゃんの使用する
イクサシステムは対魔忍になれるほど
の力があれば十分変身出来る可能性が
ある。そのイクサシステムも、紫ちゃん
の1号機から始まって、すでに10号
まで完成している。とは言え、それを
全て投入してもまだまだ数が足りない」
廊下を歩いていた一行だったが、やがて歩夢が
巨大なシャッターの前で立ち止まる。
「ここは?」
「……アサギ様達も、来たことが無いの
ですか?」
首をかしげるアサギに問いかける凜子。
「うん。この基地っておっきいからはっきり
言ってアユ兄いないと未だに迷うん
だよね~」
「え~?」
苦笑するさくらに、ゆきかぜは『この基地
どんだけ大きいの』と驚く。
やがて、歩夢が壁際の端末に数字を打ち込むと
シャッターが上がっていく。
「今回の戦いで必要なのは、質よりも量だ。
都市を攻略するのに必要な物量の戦力。
それが、『彼等』だ」
シャッターが上がりきると、パッとライトが
点灯し、内部を明るく照らす。
「こ、これは……!」
驚く来栖の視線の先には、何十、何百、何千と
言う『ロボット』だった。
「元々この子達を作った目的はこの基地の防衛
なんだ。如何に地下に作ったとはいえ、
いつ何時敵の襲撃があるかは分からない以上、
少しでも防衛のための戦力を整えて
おきたくてね」
「それが、このロボット達、ですか?」
「す、凄い……!」
ゆきかぜは驚きながらロボットを見回す。
達郎も、男としての性なのか、ロボットの
大群を前に興奮気味だ。
「彼等の名は、『ガーディアン』だ」
「ガーディアン。守護者、ですか?」
歩夢の言葉に紫が問いかけると、彼は頷いた。
「うん。元々はこの基地の防衛戦力として
設計開発していたんだ。今は地下施設で
量産を続けている所。武装は銃剣を装備
した特殊ライフルだけ。でもパワーは
成人男性の数倍。体の全てが機械だから、
完全に停止するまで戦闘を継続する事も
可能だよ。……ただ」
ガーディアンの説明を終えた歩夢の表情が
僅かに陰る。
「ど、どうしたんですか?」
それが気になって声を掛ける達郎。
「うん。ガーディアンはまだまだ数が
揃って無くてね。基地の防衛の為に
半数は残していくしかないんだ。
なので、ヨミハラとの戦争に投入
出来るのは、少ないと思う」
「そ、そんな……」
数が少ない。半数。と言う言葉に
ゆきかぜが落ち込む。
「ごめんね。今の総数から考えると、
投入出来るのは精々『5万』体
くらいで……」
「そ、そうですか。5万体ですか。
………ん?」
俯きつつも頷くゆきかぜ。
しかしふと聞こえた数字に首をかしげる。
ふと後ろを見ると、達郎や凜子。さらには
アサギ達まで首をかしげている。
「あ、あの。歩夢?」
「ん?何アサギ」
「えっと、5万って数が、少ない、の?」
戸惑い気味に問いかけるアサギ。
「うん。少ないよ。全然少ない。だって
都市を相手に戦争する訳だし、本音を
言えばその10倍の50万体。
……いや、それでも不安だな。可能
ならば20倍の100万体が欲しい
くらいだと僕は思ってたんだけど……。
ごめんねゆきかぜちゃん。少ないかも
しれないけど、今投入出来るガーディアン
の総数は、5万体『だけ』なんだ」
と、申し訳なさそうな表情を浮かべる歩夢。
「……………………。えぇ?」
しかし、肝心のゆきかぜは間を置いて
戸惑いの声を漏らす。
「あ、あの~アユ兄?5万体って数は
決して小さくないと思うけど?」
「何言ってるのさくらちゃん。相手は
ノマドの支配する都市だよ?それに
何がいるか分からない。それを踏まえて
水城不知火さんの救出を考えれば、
攻撃部隊、探索部隊、都市の包囲部隊。
更にガーディアンの弾薬の運搬を行う
補給部隊。それらを考えたら5万
なんて小さいよ。う~ん。それを
考えると100万でも足りないな。
200、いや500万体あれば確実か?
くっ!もっと早くガーディアンの量産を
始めていれば、こんな事には……!」
何やら苦虫を噛みつぶしたような表情の歩夢。
しかしそんな彼等の周りでは、アサギ達や
ゆきかぜ達がドン引きしていた。
「え、え~っと、アサギ様?歩夢さんは普段
からこんなに『過剰戦力』を投入するの
ですか?」
「そんな事無いわよ!?」
凜子の言葉を否定するアサギ。
「ひゃ、100万のロボットが少ないって。
橘さん、凄い人なんですね」
「いや、うん。凄いとかそう言う問題
じゃないよ?うん」
引きつった笑みを浮かべる達郎。そんな彼の
言葉を訂正するさくら。
その後も、歩夢は開発が進んでいた重武装の
ガーディアン、『ハードガーディアン』の
先行量産型2500機を投入すると言って居たが、
本人は『数が少なくてごめんね』と何度も
ゆきかぜに謝っていた。
しかし、肝心のゆきかぜ達は苦笑を浮かべる事
しか出来ないのだった。
「お姉」
「何、さくら?」
「アユ兄の欠点、私見つけちゃった」
「……何?」
「敵をね、過大評価し過ぎる事と、過剰に
戦力を投入する事」
「あぁ。確かに」
と、後ろで話していたさくらとアサギは、
思い人の欠点を見つけるのだった。
しかしそれでも、彼等の戦いに向けた準備は
進んでいく。
新たな戦い。それは1人の少女の母親を救出
する事。
しかし敵は強大だ。なぜなら、相手は都市
その物と言っても良い。
そして、ノマドにはエドウィン・ブラックや
かつて共闘したイングリッド。更にはまだ
相まみえたことのノマド配下の猛者たちが
ヨミハラを守っている可能性がある。
それでも、歩夢達が止まる事は無い。
彼等は、自らの意思で仮面ライダーと
なったのだ。
彼等は絶望を祓い、希望を取り戻す。
ゆきかぜの希望、願いを叶えるために。
今、新しい戦いが始まろうとしていた。
1話 END
次回はまだ戦いに向けた用意とかのお話になると思います。
感想や評価、お待ちしています。
読者様から、不知火を歩夢のハーレムに入れて欲しいと言うのがありました。どちらが良いですか?
-
不知火は予定通り達郎のハーレムに入る。
-
上とは別に歩夢のハーレムに入る。