仕事してるのもあって、執筆時間が前よりガタ落ちしてます。
~~~前回のあらすじ~~~
対魔忍、水城ゆきかぜの母、水城不知火救出
のために動き出した歩夢達。そんな中で達郎
は、歩夢の持つ覚悟に感化され自分も
仮面ライダーになる道を選ぶ。
達郎は歩夢から、最後のゲーマドライバー
とガシャットを託され、仮面ライダー
ブレイブとなる。
一方、情報屋を通じて情報を集めていた
歩夢たちは、ついに不知火が政治家、
矢崎宗一、更にはその弟の矢崎利二に
よってヨミハラに捕えられている事を
知るのだった。
不知火の居場所発覚から、2日後。
歩夢達は大型車に乗り千葉から東京を
目指して高速を進んで居た。
「さて、もうすぐ東京に着くが、もう一度
作戦をおさらいしておこう」
運転席に座る歩夢は、眼鏡のブリッジを
中指で押し上げながら真剣な表情で
話し始めた。
その言葉に耳を傾けるのは、アサギ、さくら、
紫、紗弥、ゆきかぜ、達郎、凜子の7人だ。
来栖は基地に護衛戦力のガーディアンと共に
居て、彼女はガーディアンへの指示と彼等の
視覚システムから入手した情報を吟味し
歩夢達に伝える役割を担っている。
そして今、歩夢の耳元にあるインカムを通して
彼女も作戦の確認を行っている。
「僕達は情報屋から入手したルートを通って
ヨミハラ内部に潜入する。この時点で皆には
可能な限りのステルスを前提に動いて貰う。
潜入と同時に、まずはマーカーをヨミハラ
各地に設置。これはゲーマドライバーの
ステージセレクト、空間転移技術を
応用した物だ。マーカーの設置後に
ガーディアン部隊を召喚。万が一に備えて
ヨミハラ各地で待機して貰う」
そこまで言うと、歩夢は一旦息をつく。
「そして、ここからは時間との闘いだ。
僕達8人はアンダーエデンへ突入。
不知火さんの奪還を目指す。これと
同時刻、ガーディアン全隊はヨミハラ
全域を包囲。更に各地で陽動作戦を
展開。僕達は不知火さんの救出後、
即座にヨミハラを離脱。最優先目標は
不知火さんの救出だ。なので、戦闘は
最小限。変に深追いはしないように。
全員、分かったね?」
歩夢の言葉に、皆が静かに頷く。
しかし……。
「あの、橘さん。私達が『これ』を
持つ必要はあるのでしょうか?」
後ろに座っていた凜子は疑問を口に
した。
首をかしげる彼女と、更にゆきかぜ。
二人は歩夢から『イクサナックル』と
ベルトを渡されていたのだ。
「いざとなれば強固な鎧になる。
持っていても困る物では無いと
思ったからね。お守り程度と
思って欲しい」
「了解です」
凜子は静かに頷くと口を閉じた。
そして彼女は、その手にあるイクサナックル
に視線を落とすのだった。
一方……。
「いよいよね」
「うん」
一番後ろの席に二人して座るゆきかぜと達郎。
達郎は彼女の呟きに静かに頷く。
車窓を流れる夜の街並みを見つめるゆきかぜ。
しかしその時、彼女の手が僅かに震えた。
如何に万全を期したとしても、予想外の事態
は必ず起こる。敗北の可能性も0ではない。
だからこそ、ありえるかもしれない敗北に
彼女は怯える。
だが……。
『スッ』
「あっ。達郎」
その時、隣に座っていた達郎が彼女の左手に
自分の手を重ねた。
「大丈夫だよ、ゆきかぜ。……ゆきかぜ
も、不知火さんも、必ず僕が守る」
そう言って、達郎はもう片方の手で
タドルクエストガシャットを握りしめる。
一方のゆきかぜは、彼の発言に頬を
赤くしていた。
やがて、車はヨミハラへの入り口近くまで
やってくると停車。更に全員が対魔忍
であるため、大きめの外套を纏って顔
を隠し、入り口の門番に金を払って
中へと通された。
その際、歩夢は独自に開発した変声機を
通す事で声を普段より太くしておいた。
薄暗い洞窟のような通路を歩いて行った
先に待っていたのは……。
地下に似つかわしくない、ギラギラと
輝くネオンの光に包まれた町だった。
「ここが、ヨミハラか」
アサギがポツリと小さく呟く。
「それじゃあお前等、各々好きに
買い物をしてから、約束の場所
で合流だからな。遅れるなよ?」
変声機を通している事もあり、普段
の口調から外れた、少々荒っぽい
しゃべり方で話す。
彼等は無言で頷き、その場で別れた。
彼等はそれぞれの地区にマーカーを
気づかれないように設置するのだ。
その最中。
「ねぇ、本当に大丈夫かしら?」
路地裏を二人で歩いていた達郎
とゆきかぜ。……場所と状況、
更に大きな作戦である事から彼女
はとても不安そうだ。
「心配しすぎだよゆきかぜ。
……アサギ様やさくらさん。
紫さんや姉さん。それに、
何より歩夢さんがいるん
だから。……きっと、
不知火さんを助けられるよ」
達郎は、必死にゆきかぜを励ました。
そして、そんな中で彼はポケットの中
にある『それ』を、ドラゴナイト
ハンターZガシャットに触れる。
これは、ヨミハラへと続く通路突入前
に歩夢から達郎に渡された物だ。
「歩夢さん。これは?」
「これはドラゴナイトハンターZ
ガシャット。僕が開発した中で、
今使える一番火力のある物だ。
これを使えば、レベル5にまで
レベルアップできる」
「れ、レベル5!?それって
今使える中じゃ……!」
「うん。一番上の数字だ。残念
だけど、イクサの量産を優先
していたから、レベル50の
ガシャットは間に合わなかった。
でも不知火さんがずっとヨミハラ
にいるか分からない以上、
作戦を遅らせるわけにも行かない
んだ。……僕やアサギなら、
経験で何とかなる。でも達郎君は
ブレイブになって日が浅い。
出来るだけ改良は施してある。
暴走とかの危険も最小限に抑えた。
……でも、体に掛かる負担までは、
どうしようもない。だからこそ、
切札として、持っていて欲しいんだ」
そう言って、歩夢からこれを渡された事
を思い出した達郎は、静かにギュッと、
ポケットの中のガシャットを握り
しめるのだった。
その後、彼等は順調にマーカーを
設置していった。
「こちら『風魔』。マーカーを
設置完了。エグゼイド、スナイプ、
レーザー、イクサ、ブレイブ。
そちらの状況は?」
定時連絡を取る歩夢。ここでは盗聴
されている事を恐れてライダーとして
のネームを使っていた。
『こちらエグゼイド、こっちも終わったわ』
『同じくスナイプ、準備完了だよ』
『こっちもOKだよ風魔』
『こちらもです、風魔』
アサギ、さくら、紗弥、紫の順番で
答える。ちなみに凜子は紫と一緒に
行動中だ。
『こ、こちらブレイブ。俺達も
設置完了です』
「分かった。それじゃあマーカーを
起動する。皆、周囲を警戒していて」
『『『『『了解』』』』』
歩夢の言葉に彼等が頷く。
「こちら風魔、HQ、どうぞ」
『こちらHQ』
「マーカーの設置を確認。
これより起動する」
『HQ了解』
本部に通信を繋げば、来栖が応答する。
ここでも彼女の存在がバレないように、
ヘッドクォーター、つまり司令部を
意味するHQと言う単語でやりとり
をしていた。
「よしっ、全マーカー、作動……!」
歩夢が端末を操作すると、各地に設置
されたマーカーが起動し、続々と
ガーディアンが召喚された。
今現在、各地に召喚されたガーディアン
は5000体程度だ。これは全体の
10分の1程度だ。残りはガーディアン
部隊の陽動開始と共に順次マーカー
から転送される予定だ。
『こちらHQ』
そして、転送後に、全員に来栖の声が
響く。
『第1陣、全機転移完了。待機中
です』
「こちら風魔了解。……各員へ。
作戦第1段階は集合。次の段階へ
移行する。予定通り指定した
ポイント01へ移動。そこで
落ち合おう」
『『『『『了解』』』』』
彼等は通信を終えると、ガーディアン
をおいてその場を後にした。
そのまま、暗い街の路地などを
移動しながら達郎達は進んでいく。
そして、予定したポイント、
とあるビルの上にたどり着くと。
「来たか。二人とも」
歩夢達全員が揃っていた。
二人に気づいて声を掛ける凜子。
「お待たせしました。すみません
遅くなって」
「ううん。大丈夫。幸いまだ、
向こうに気づかれては居ない
みたいだし」
そう言って歩夢は、ビルから見える
下の街並み。そこの一角に立つ
娼館、アンダーエデンを見下ろして
いた。
「最後にもう一度だけ、これからの
事を確認する。僕達の最大の目標は
水城不知火さんの奪還とこの
ヨミハラからの脱出だ。時間は
かけられない。それと、達郎君」
「は、はいっ」
「万が一の時は、君とゆきかぜちゃん。
そして不知火さんの3人で、
ステージセレクトの機能を使って
ここを脱出するんだ。良いね?」
「ッ?!そ、それはつまり、皆さんを
おいて、逃げろ、と?それは、俺が
皆さんにとって、足手まといだから……」
達郎は静かに拳を握り、震わせる。
そして、言いかけた時。
『ポンッ』
「違うよ」
歩夢が優しく彼の頭に手を置いた。
「……君なら、間違い無く二人を連れて
逃げられると思ったから、頼んでる
んだ。僕は、二人なら、達郎君と
ゆきかぜちゃんなら、出来るって
信じてるから」
そう言うと、歩夢は右手の人差し指で
達郎の心臓を指さす。
「『ここ』で炎が燃えている限り、仮面
ライダーは決して負けない。
……負けそうな時、倒れそうな時。
その時は、そんな時だからこそ、
ここで燃える炎を消してはダメだ。
……あの時みたいに、自分の中に
ある『勇気(ブレイブ)』を信じて」
「歩夢さん」
達郎は、優しい笑みを浮かべる歩夢を
見上げる。
と、その時。
『こちらHQ、皆、聞こえるますか?
少し不味い事態です』
HQから来栖の通信が届いた。
それに気づいて達郎の傍を離れる歩夢。
「こちら風魔。どうしたの?」
『ヨミハラの入り口付近の監視カメラ
にバックドアを仕掛けて映像
データを盗んでいたんですが、今、
カメラの映像で顔認証システムを
使ってたら、ヒットしました。
……『矢崎宗一』です、風魔』
「ッ、何……!?」
来栖からの無線に、歩夢だけで無く
周囲の皆も驚く。
「このタイミングでか……!
HQ、位置は追跡できてる?」
『はい。でも、やっぱりというか、
真っ直ぐアンダーエデンに向かっています』
「ちっ、間の悪い……!」
密かに舌打ちをするさくら。
「どうするの?風魔」
問いかけるアサギ。
歩夢はしばし迷いながらも……。
「作戦決行だ。……ここまで
来たら、もう引き返せない」
歩夢はその場に居る全員を見回す。
皆が静かに頷く。
「よし、じゃあ始めよう。
HQ。作戦開始。繰り返す、
作戦開始。……守護者たちを
起せ」
『HQ、了解。守護者達を、戦闘
モードで、起動っ!』
通信機の向こうで、ターンッと
エンターボタンを叩く音が響いた。
そして、それを合図としてガーディアン
達のディスプレイが怪しく輝きを
放ちだした。
そして、行動を開始したガーディアン達
はすぐさま隠れていた場所から広い場所
へと出た。
「ん?」
「おい、何だあれ」
黒い鋼鉄のガーディアンが道に出ただけ
でも、やはり周囲の視線を引いてしまう。
「何だ貴様等っ!一体何をしている!」
するとそこに、ノマドの警備部隊だろうか。
男たちが数名やってくる。
ガーディアン達は一斉にそちらを向く。
その動きに、男達が足を止め僅かに
戸惑った、その時。
『『『ガガガガガッ!』』』
ガーディアン数体が男達目がけて
手にしていたセーフガードライフル
を発砲した。手足や体、頭を撃ち抜かれて
倒れる男達。
一瞬の静寂。そして……。
「「「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」」」
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」
事態を見ていたヨミハラの住人達が、
一斉に蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
更に、同じような状況があちこちで起る。
ガーディアンたちは、人のいなくなった
建物に銃撃する。
ガス管か何かに命中したのか、直後に
火の手が上がった。
建物が燃えさかる。
あちこちで火事が発生し、それによって
ヨミハラの住人達は戸惑い、警備隊の
男たちは対応に追われた。
更にその警備隊の男達に、ガーディアン
隊が襲いかかる。
そしてそれは、仮面ライダー、歩夢達
が動くのに絶好の囮となった。
「……ガーディアン達が時間を稼いで
いる今がチャンスだ。みんな、
行こう」
歩夢の言葉に、全員が無言で頷く。
そして、ベルトを持つ者達は、それを
取りだし、ガシャットを、ナックルを
起動する。
『ハリケーンニンジャ!』
『マイティアクションX!』
『バンバンシューティング!』
『爆走バイク!』
『タドルクエスト!』
歩夢、アサギ、さくら、紗弥、達郎が
ガシャットを起動する。
『レ・デ・ィ!』
更に紫がイクサナックルを掌に当て
起動する。
そして……。
「「「「「「変身っ!!!!」」」」」」
彼、彼女達の叫びがヨミハラに響き渡った。
『『『『『ガシャット!ガッチャーン!』』』』』』
5つのベルトから、異口同音の電子音声が
響く。
『『『『レベルア~ップ!』』』』
そして、紗弥、レーザーを除いた4人が
一気にレベル2までレベルアップする。
更に……。
『フィ・ス・ト・オ・ン!』
紫も仮面ライダーイクサ、セーブモード
へと変身する。
6人が変身する様子を、静かに見守って
いたゆきかぜと凜子。
2人が、静かに仮面ライダーたちと並ぶ。
そして、彼等8人の眼下に見える建物、
『アンダーエデン』。
「あそこに、お母さんが」
アンダーエデンを睨み付けながら、
ギュッと拳を握りしめるゆきかぜ。
「……行こう」
風魔の言葉に、彼女達は頷く。
そして、8人は建物の屋上から大きく跳躍。
アンダーエデンの前に着地したのだった。
直後、前に出るブレイブ。
「はぁっ!」
そして、彼の手に握られたガシャコン
ソードが、一太刀でアンダーエデンの
扉を切り裂いた。
ズズンッと音を立てて倒れる扉。
そして中に入る仮面ライダーたち。
直後、中から警備の者らしき男達が
銃や剣で武装して襲いかかってくるが……。
『バンバンバンッ!』
スナイプのガシャコンマグナムの射撃と。
『シュルルルッ!ドドドッ!』
風魔のエネルギー手裏剣が男達を
瞬く間に蹴散らす。
直後、アンダーエデンの中にいた客や
娼婦達が悲鳴を上げながら外へと出て行く。
「行こう。この先に、彼女がいる」
そう言って駆け出す風魔。
彼に続くエグゼイド、スナイプ、レーザー、
ブレイブ、イクサ、ゆきかぜ、凜子。
彼等が駆け出し、まず向かったのは事前に
建物をスキャンしてデータを得ていた
怪しい部屋だ。
その部屋から、地下に向かって階段が
続いていたのだ。
「何だお前等っ!」
そして部屋に近づいていくと、警備
なのか武装したオークが立ち塞がる。
「仮面ライダーだっ!」
オークの言葉に風魔が応え、そのまま
小太刀で一閃。一体を切り裂く。
「そこをどけぇっ!」
「邪魔なんだよねぇっ!」
更にエグゼイドのブレイカー・ハンマー
モードの一撃が、頭が180度回転する
程殴りつけ、スナイプのマグナムが
オークの頭を吹き飛ばす。
その後も護衛がワラワラと現れるが、
全て風魔、エグゼイド、スナイプが
一撃で倒してしまう。正に鎧袖一触だ。
「す、凄い……!」
「あぁ。凄まじいと言う他無いな」
その圧倒的な強さに驚くゆきかぜと凜子。
「あれが、仮面ライダーか」
そして、その後ろを走るブレイブが
3人の背中を見つめながら呟くのだった。
そんな彼の目には、憧憬と尊敬の色が
浮かんで居た。
やがて、目的の扉の前にたどり着いた
一行。扉は、先頭を走っていた風魔の
跳び蹴りで吹っ飛んだ。
そして、扉の向こうにあった階段を
駆け下り、更にその先にあった扉を
蹴破る。
すると、直後に彼等の前に薄暗い、
近未来的な通路が現れた。
どう考えても娼館の地下には似つかわしくない場所だ。
そして、それ故にここがどのような
場所なのかを、彼等は理解する。
「……ここからは地図の無い場所だ。
だから、部隊を分けようと思う。
僕、エグゼイド、スナイプと、
レーザー、イクサは陽動として
施設内部で派手に暴れる。
その間に凜子ちゃん、ゆきかぜちゃん、
そしてブレイブの3人は、目標の
水城さんを探し出して救助するんだ」
「は、はいっ!任せて下さい!」
威勢の良い返事をするブレイブだが、
その体は若干震えていた。
自分だけが、二人を守れる騎士なのだ。
そんな自負が、逆に重し、プレッシャー
となっていたのだ。
だが……。
『ポンッ』
そんな彼の肩に、風魔が優しく手を置く。
「大丈夫。落ち着いて」
「あっ、歩夢、さん」
「ベルトと、自分の力を信じて。
そして、ここで燃えさかる炎を
信じて」
そう言って、風魔はブレイブの胸の
アーマーに人差し指を当てる。
「思いを、力に変える。それが、
仮面ライダーだ」
「ッ!はいっ!」
先輩としての、歩夢の激励を受けて、
達郎は震えを止めた。
「よしっ、行こうっ!」
そして、風魔の叫びと共に、彼等は
動き出した。
風魔たちが陽動として施設各地で
暴れ回る中、ブレイブ、ゆきかぜ、
凜子の3人は、不知火を探して
施設の中を走り回っていた。
そして不意に、警報に驚いたのか
前方の扉から白衣を着た男達が飛び
出してきた。
「ッ!?人っ!?」
「だったら、好都合!」
次の瞬間、驚いたブレイブを超えて
獰猛な表情のゆきかぜが飛び出し、
自身の雷を操る、『雷遁の術』を
使い、更に銃の形をした武器、
『ライトニングシューター』から
電撃の弾丸を放ち、一人を除いて
瞬く間に気絶させてしまった。
「ひ、ひぃっ!?」
運悪く、気絶出来なかった男が壁に
背中を預け、その場にへたり込む。
ゆきかぜはその男の眼前に
ライトニングシューターの銃口を
突き付けた。
「素直に話せば見逃す。よく
聞きなさい。この施設に水城
不知火という女性がいるわね?
居場所を教えれば助ける。
……でも、教えなかった場合は……!」
次の瞬間、ゆきかぜが男の口の中に
ライトニングシューターの銃口を
押し込んだ。
「私の雷で、人間バーベキューに
なってもらうからね?」
ドスの利いた脅しに、男は泣き、
失禁しながらも必死に頷く事しか
出来ないのだった。
その後、男から不知火の居場所を聞き
出した3人は、男を気絶させると急いで
彼女の居る場所へと向かった。
途中、何度か警備の兵士に出くわしたが、
全てブレイブのガシャコンソードが
切り裂いた。
「これ位なら!試合で戦った風魔に
比べれば!全然弱い!」
ブレイブは内心、マスクの下で笑みを
浮かべながら走る。
風魔、つまり歩夢はこれまで、年単位
の実戦経験を積んできた。到底、
素人などと比べる事の出来ない
圧倒的な経験値を彼は持っていた。
そしてその経験値から裏付けされた
戦闘技術は、高々強面の警備兵やオーク
などとは比べものにならない。
達郎はそんな彼と戦って傷を作りながら
戦闘技術を学んだのだ。
故に、歩夢などと比べてもここの敵は
雑魚と感じるのは、おかしな話しではない。
「達郎!油断しないで!」
とはいえここはリアルな戦場。
調子に乗っているように見える達郎を
ゆきかぜが叱責する。
「ッ!ごめんっ!」
達郎は自分の今の考えが危険であると感じ、
短く謝る。
「反省は後だ!今は時間との勝負だ!
急ぐぞ!」
凜子の声に従い、ブレイブとゆきかぜは
走る。
やがて……。
「あっ!あれじゃないかっ!?」
曲がり角を曲がった先に見つけた扉を
見てブレイブが叫ぶ。
「達郎っ!」
「分かってる!」
凜子の言葉に、ブレイブが前に出る。
そして、左手でガシャコンソードのBボタン
を5回、連打する。
刀身の、炎のようなエフェクトから火炎が
溢れ出し、刀身を覆う。
「はぁぁぁぁぁっ!」
そして、灼熱の炎を纏ったガシャコンソード
が鋼鉄の重厚な扉をバターのように切り裂いた。
すぐさま中に突入する3人。
「うっ!?」
次の瞬間、部屋の中に充満していた生臭い
臭いに凜子が顔をしかめ、手で顔を覆う。
「何、この臭いっ!?」
ゆきかぜも同じように左手で鼻を摘まんで
いる。
そこは、研究室のような作りであったが、
中に擱座している肉の塊のような物から
四方に根が張られていて、不気味であった。
「不知火さん。どこに……」
そんな中で周囲を見回すブレイブ。
しかし、ぱっと見た限り周囲に不知火の
姿は無い。
だがふと、ブレイブの視線が部屋の中央に
ある肉の塊に向けられる。
「まさか……」
そう思って近づいていくブレイブ。
「達郎?」
それに気づいて声を掛けるゆきかぜ。
ブレイブは肩越しに振り返っただけで、
すぐに前を向くとガシャコンソードを
構えた。
「はぁっ!」
『ズバッ!』
ソードの一刀が肉の塊を切り裂いた。
すると、中から白い液体が溢れ出して
きた。
「うわっ!?」
突然の事で驚いて飛び退るブレイブ。
すると、部屋の中の異臭がより一層
強くなり、ゆきかぜは気持ち悪さから
口元まで抑えている。
しかし……。
「ッ」
凜子は、溢れ出した『粘度のある白い
液体』を見て、ある答えに行き着いた。
そして、その答えを理解した瞬間
思い切り顔をしかめた。
やがて、流れ出る液体の量が減ると
ブレイブは切り裂いた傷口を広げ、
中をのぞき込んだ。
そして……。
「ッ!?不知火さん!」
中に、裸の女性、『水城不知火』が
いるのを確認した。
「ッ!?お母さんっ!?」
「くっ!?やはりかっ!」
ブレイブの声に驚くゆきかぜと、
更に顔をしかめる凜子。
ブレイブは、そのまま肉壺の中に入り、
不知火を拘束していた壁の肉を
その腕力で引きちぎり、更に不知火の
口の中に侵入していた触手を
引き抜いた。
「うぇっ!げほっ!げほっ!ぐ、げぇ!」
すると、嘔吐いた不知火が口の中から
大量の白濁液を吐き出す。
「不知火さん!不知火おばさん!
僕です!分かりますか!?
達郎ですっ!」
ブレイブは彼女をお姫様抱っこで
肉壺から出すと、そのまま声を
上げて問いかける。
「げほっ!げほっ!……その、声。
本当、に、達郎、君?」
やがて、震える瞼が開き、その目が
ブレイブへと向けられる。
「はいっ!そうです!達郎です!」
「お母さん!お母さん!」
「おば様!分かりますか!?
凜子ですっ!」
「凜子、ちゃん?それに、ゆきかぜ?」
「うん!そうだよお母さん!
私の事、分かる?」
ゆきかぜは、1年ぶりの母との再会に、
嬉し涙を流す。
しかし……。
「ゆきかぜ、泣くのは後だ。今は
ここから離脱するぞ」
「はい、分かってます」
凜子の言葉に、ゆきかぜは涙を拭い、
不知火と向き合う。
「お母さん。少しの辛抱だからね。
私達が、必ずお母さんをここから
連れ出してあげるから。
凜子先輩。お母さんを頼みます」
「あぁ、任せろ」
そう言うと、凜子が不知火を背中に
背負う。
「達郎。今の私は剣を振るえない。
お前が、先頭に立って戦うんだ。
いいな?」
「分かってるよ、姉さん」
そう言って、ブレイブはソードを握り
しめながら立ち上がった。
「行こうっ!ここを脱出するんだ!」
そう言って叫ぶブレイブに続いて、
ゆきかぜと凜子も走り出した。
「風魔っ!こちらブレイブ!応答して
下さい風魔っ!こちらは目標を
確保っ!これより離脱しますっ!」
『こちら風魔、了解っ!僕達は
囮として暴れ……』
『ブツッ!ザーザーッ!』
通信機越しに会話をしていたブレイブと
風魔。だが、突如その通信が途切れた。
「ッ!?」
耳元で鳴るノイズにマスクの下で顔を
しかめる達郎。
「何だ!?電波妨害!?」
彼は戸惑いながらも、走る。
だが……。
『バッ!』
一つのドアを超えた先では……。
「逃がさんぞ、ネズミ共」
広いドーム型のスペース。
そこには、この娼館、アンダーエデンの
主であるリーアルと、その配下だと
思われる数百のオーク、数十の銃器で
武装した男達が立ち塞がっていた。
「ッ!?お前はっ!?」
咄嗟にブレイブはソードを構えて
3人の盾になろうと、前に出る。
「初めまして、とだけ言っておこうか。
仮面ライダー。我が名はリーアル。
この館の主だ」
そう言うと、リーアルは凜子がおぶっている
不知火に目を向けた。
「成程。その女の救出が目的か。だが、
残念だったな。お前達に、既に逃げ道は
無いぞ?」
そう言って笑みを浮かべるリーアル。
更にオークや男達も下卑た笑みを浮かべる。
『ッ!こうなったらっ!』
やむを得ない、と考えた達郎が左腰の
ステージセレクトのボタンを押し込む。
だが……。
『カチッ!カチカチッ!』
「え!?」
いくらスイッチを押しても、ステージセレクト
による転移が発動しない。
「そんなっ!?どうして!?」
「くくっ、何も対策していないとでも
思ったのか?」
戸惑う達郎に、リーアルは更に笑みを浮かべる。
「仮面ライダーが未知の空間転移技術を
持っている事はノマドも知っている。
そして1年ほど前、東京キングダムでの
貴様等と龍門の戦いで、その転移技術
を阻害する結界術が開発された。
……幸いな事に、ノマドも同じ物を
開発したのだよ」
「ッ!?」
『それじゃあ、ステージセレクトで
ここから逃げられない!?』
まさかの事態に、達郎は内心冷や汗を
流す。
ふと、後ろを振り返れば、ゆきかぜも
凜子も、歯がみしたような表情を
浮かべている。
その姿を見て、達郎は歯を食いしばる。
『いやっ!ネガティブになるなっ!
今、僕は、仮面ライダーなんだっ!』
暗い考えを振り払い、ブレイブはソードを
構える。
「だったら、実力でお前達を倒してここを
突破するだけだっ!」
そう言った次の瞬間、ブレイブは大きく
踏み込んだ。
そのスピードに対応出来なかったオークを
ソードの一刀が真っ二つに切り裂く。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
更にブレイブはBボタンを連打し、
火炎を纏った斬撃波を放った。
灼熱の刃が、数人の男とオークを
両断する。
だが……。
「バカめ。感情的になった所で……」
そう言って、リーアルは懐から拳銃を
取り出して、凜子の方へと狙いを定めた。
「戦いに勝てる訳がない」
「ッ!?姉さん!おばさんっ!」
それに気づいたブレイブが咄嗟に
彼女達の前に飛び込み、結果リーアル
達の方に背中を向けてしまった。
「バカめ。撃てっ」
『『『『『ドドドドドドドドドドッ!』』』』』
次の瞬間、リーアルの周囲に居た男達が
一斉に手にした銃を撃ちまくった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
無数の銃弾がブレイブの体に命中し、
いくつもの火花を散らす。
そして、ついにブレイブはその場に
膝を突いてしまう。
「う、ぐぅっ!」
ブレイブは震える体で立ち上がろうと
する。が……。
「ふんっ!」
『ドゴォッ!』
「ぐはっ!?」
オークの巨大な棍棒に殴り飛ばされ、
その体がゆきかぜ達の前まで転がる。
更に……。
『ガッシューン』
その衝撃でベルトからガシャットが
抜けて変身が解除されてしまう。
そして、所々裂傷を負った達郎が
床を転がる。
「達郎っ!」
咄嗟にゆきかぜが達郎を抱き起こす。
だが、その間にオーク達と悪人達が
ジリジリと4人を包囲する。
「ぐっ、くぅっ!」
達郎は、近くに落ちていたタドル
クエストガシャットを握りしめる。
「ふっ、哀れな物だなぁ仮面ライダー。
他人なぞ庇って、怪我をして。
まぁ、見たところ貴様はまだまだ
半人前。……お似合いの最期だろう」
そう言って、リーアルは床に倒れ伏す
達郎を見下ろしながら嘲笑を浮かべる。
「しかし……」
だが、次の瞬間には、リーアルはゆきかぜ
と凜子に視線を向けた。
「お前達は別だ。見たところ、良い体を
している。奴隷娼婦にぴったりだ」
そう語るリーアルに、凜子とゆきかぜは
表情を赤くしながらも、敵意を剥き出しに
する。
「ほう?……いい目だ。その目、その
怒りの表情。実に良い。実に、墜としがい
のある目だ。くくくっ」
そう言って嗤うリーアル。
「ちょうど良い。お前達の別働隊がここ
に来るまで、まだ時間があるだろう。
ならばその前に、貴様等を犯し、
快楽で狂った姿を連中に見せるのも
一興か」
そのリーアルの言葉に、周囲のオークや
男達が下卑た笑みを浮かべる。
そして、その時、達郎は……。
『やっぱり、無理なのか。僕が、
仮面ライダーになるの、なんか』
ネガティブな感情の中で、彼は静かに
ガシャットを握りしめていた。
『このまま、奪われるのか。
助けられないのか。おばさんの
事も、姉さんの事も、ゆきかぜの事も』
彼の脳裏に、最悪の結末がチラつく。
直後。
『嫌だっ!!!』
彼のガシャットを握る手に力がこもる。
『嫌だ嫌だ嫌だっ!認めないっ!
絶対に、そんな未来だけは、認めないっ!』
彼の中で、消えかけていた闘志が再び
燃え上がる。
『思い出せっ!あの人に、歩夢さんに
教えられた言葉をっ!自分が、
あの人に向かって叫んだ覚悟の言葉をっ!』
『ここで炎が燃えている限り、仮面ライダー
は決して負けない』
『僕は、ゆきかぜに笑っていて欲しい!
彼女の『笑顔』を!『幸せ』を!
守りたい!取り戻したい!』
達郎は、歩夢から送られた言葉と、自分
自身の決意を思い出す。
『そうだ。諦めて、たまるかっ!』
そして、彼は立ち上がった。
「ん?」
それに気づいて、リーアルや配下たちが
足を止める。
「おばさんも、姉さんも、ゆきかぜもっ!
お前達の好きには、させないっ!」
「ふんっ。ガキが粋がるな。今の
傷だらけの貴様に、何が出来る?」
「そんなの、関係無いね。僕は、
僕の覚悟で、戦うっ!」
そう言うと、達郎はポケットの中に
あった、ドラゴナイトハンターZ
ガシャットを取り出した。
タドルクエストガシャットを右手で。
ドラゴナイトハンターZガシャット
を左手で持ち、手首を交差させながら
構える。
彼は大きく息を吸い込んだ。そして……。
「僕は、戦うっ!ゆきかぜの幸せを
壊そうとする奴を、僕が倒すっ!」
「達、郎」
その時、ゆきかぜは目の前の達郎の
背中が、とても大きく見えた。
「誰にも彼女の幸せを踏みにじらせないっ!
誰にも彼女とおばさんを引き離させは
しないっ!
誰にも、ゆきかぜの『笑顔』を奪わせ
はしないっ!!!」
「ッ!」
達郎の威風堂々の叫びに、ゆきかぜは目尻に
涙を溜める。
「彼女の幸せは、僕が守るっ!
僕は、勇気の仮面ライダー……!
仮面ライダー、ブレイブだぁっ!」
『タドルクエスト!』
『ドラゴナイトハンター!Z!』
二つのガシャットを同時に起動する達郎。
「何をしているっ!?撃てぇっ!」
咄嗟に指示を下すリーアル。
男達は次々と手にした銃から銃弾を
放った。
だが……。
『AAAAAAAANN!!!』
次の瞬間、ハンターZガシャットの
ディスプレイから出現した龍のような
ゲーマが、その体で銃弾を全て弾いた。
「僕が、ゆきかぜを守るっ!
変身っ!!!」
そして、達郎はその覚悟のままに、
ガシャットを装填した。
すぐさま、ドライバーの扉を開く達郎。
『ガシャットッ!ガッチャーンッ!
レベルア~ップ!』
『タドルメグル!タドルメグル!
タドルクエスト!』
達郎はブレイブへと変身した。
だが……。
『バチバチバチッ!』
「ぐっ!?ぐあぁぁぁっ!」
その体から火花が散る。
ダメージを受けた体で、更に負荷の
かかるドラゴナイトハンターZを
使ったからだ。
彼の体がフラつく。痛みで達郎の意識が
飛びそうになる。だが……。
「達郎っ!!」
後ろから聞こえた、愛する人の声で、
達郎は踏みとどまった。
「ぐっ!ぐぅっ!負けて、たまるか!
ゆきかぜも、姉さんも、おばさんも!
僕が、『俺』が、絶対に守ってみせるっ!」
ブレイブは叫び、声を張り上げる。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
俺は、仮面ライダーだぁぁぁぁぁっ!」
そして……。
『アガッチャッ!ド・ド・ドラゴ!
ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!
ドラゴナイトハンター!Z!』
電子音声が響き渡り、次の瞬間、一旦は
バラけたゲーマが、ブレイブの各部に
装着され、達郎は、ブレイブは、
『仮面ライダーブレイブ・
ハンタークエストゲーマー・
レベル5フルドラゴン』となった。
今、青き騎士が龍の力を借りて、この場
にある大切な人を守る為に、立ち上がった。
その姿は正に、『竜騎士』と呼ぶに相応しい
物であった。
幻想に生きる生物の中において、最強とも
言われる龍。
その力を纏った騎士。
それが、今の仮面ライダーブレイブだ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして、そのブレイブの裂帛の気合い
の叫びが、基地全体を揺るがすのだった。
第3話 END
戦いは次回で完結する、と思います。
更に次はH回になる、と思います。
確証は持てませんが……。
感想や評価、お待ちしています。
読者様から、不知火を歩夢のハーレムに入れて欲しいと言うのがありました。どちらが良いですか?
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不知火は予定通り達郎のハーレムに入る。
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上とは別に歩夢のハーレムに入る。