~~~前回のあらすじ~~~
水城不知火の居場所を突き止めた歩夢達は、
彼女を救出するため基地に来栖を残し、
残りの8人でヨミハラへと向かった。
内部への潜入に成功した彼等はガーディアン
の出現マーカーを設置後、不知火が捕え
られているとされる娼館、アンダーエデン
へと突入。攪乱のため、歩夢やアサギ達は
派手に暴れ、達郎ブレイブ、ゆきかぜ、
凜子の3人は地下にあった研究室を探索
し、無事に不知火の救出に成功する。
しかし、待ち構えていたリーアルとその
部下の攻撃を受け、ブレイブは一度変身
解除まで追い込まれてしまう。
だが、ゆきかぜを守りたい一心でブレイブ
はドラゴナイトハンターZガシャットを
使い、レベル5へとパワーアップするのだった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
達郎、ブレイブの咆哮が研究所を揺らす。
「ぐっ!?」
その余りの声量に、敵であるリーアル達は
耳を塞ぎ、顔をしかめている。
「何をしている!?早く奴を撃てっ!」
表情を歪めながらも指示を飛ばすリーアル。
その指示を受けた、武装した男達が
ブレイブ目がけて手にしていた銃を
撃ちまくる。
だが……。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
達郎の咆哮に合わせて、ブレイブの頭部を
覆うドラゴンの顔のようなパーツから
放たれた火炎放射が銃弾を溶かし、更に
それを放った男達をも燃やす。
「あぁぁぁぁぁぁっ!熱いっ!
熱いっ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
火だるまになった男達が地面をのたうち回る
が、竜騎士の炎は、悪しき男達を燃やし
尽くすまで衰えず、男達はやがて体中を
焼かれ、物言わぬ炭となった。
すると、今度はオーク数体が左右から
突進してきた。だが……。
『ドンドンッ!!!』
『ズバズバッ!!!』
左から来たオークを左腕の『ドラゴンガン』
で撃ち抜き、右から来たオークを右腕の
『ドラゴンソード』で切り伏せる。
更に、もう一度その口から放たれた火炎
放射が、横薙ぎにオークや男達を
火だるまにして、ただの炭へと変えていく。
「ぐっ!?バカなっ!?ただアイテムを
一つ追加しただけで、こんなっ!?」
目の前で部下たちが炭になっていく様を
見せられ、狼狽しているリーアル。
「アイテムを追加しただけ?違うさ」
その時、ブレイブが静かにリーアル達を
睨み付けながら首を振った。
「本当の意味で、僕は、俺は覚悟を
決めたんだよ」
今、マスクの下に隠された彼の瞳では、
炎が燃えさかっていた。
『覚悟』という名の炎が。
「お前達にゆきかぜは好きにさせない!
お前達なんかに、彼女は渡さない!
ゆきかぜは、ゆきかぜは……!!」
「ゆきかぜは、俺の女だぁぁぁぁぁぁっ!!!」
達郎は、宣言するように叫ぶ。
「お前達の、汚い手で指1本だって触れさせねぇ!!」
彼は叫び、殺意のオーラを滲ませる。その、
圧倒的なまでのオーラに飲まれ、オークや
兵士達が後退る。
「俺の女に、手を出すなぁ!!」
叫んだ直後、ブレイブの頭部から三度
灼熱の火炎放射が放たれ、残り僅かとなって
いたリーアルの部下を焼き払う。
「た、達郎」
ドラゴンの名にふさわしい、圧倒的な力で
悪人どもをなぎ払うブレイブの背中を
見つめるゆきかぜ。
そんな彼女の頬は赤く紅潮していた。
それは、周囲で燃えさかる炎の影響か。
或いは、威風堂々とした姿でゆきかぜを、
自分の女だと宣言した達郎、仮面ライダー
ブレイブの後ろ姿に心ときめかせた結果か。
それは、ゆきかぜ以外に知る由もなかった。
「く、クソォッ!」
と、その時リーアルが駆け出した。
部下が全滅し、このままでは自分も死ぬ
と確信しての行動だ。
『パンパンッ!!』
リーアルはゆきかぜ達に向かって手に
した拳銃を放つ。
「ゆきかぜっ!」
だが、銃弾が届く前に、彼女の前に飛び
込んだブレイブが両腕をクロスさせて
銃弾を弾く。
だが、その間にリーアルは通路の一つに
飛び込むと壁にあったスイッチを叩く
ように押し込んだ。
それによって壁の上から隔壁が降りてきて
ブレイブ達がリーアルの後を追うのを
拒んだ。
「っ!?アイツがっ!」
ゆきかぜはリーアルが逃げた扉の方へ
向かおうとする。
「止めろゆきかぜ。今の我々の目的は
おばさんを無事に連れ帰る事だ」
しかしそれを凜子が制した。
「凜子先輩」
「当初の目的を果たすんだ。それに、
ここは敵の町の中心だ。下手に追って、
藪をつついて蛇を出すのは避けたい。
今は風魔さんたちとの合流が優先だ」
「はい」
その後、不知火を連れた3人は、ブレイブ
を戦闘に元来た道を走っていた。
すると、その途中で十字路に差し掛かった時。
『バッ!』
前方の十字路から人影が出てきた。
それは……。
「あっ!歩夢さん!それに皆さんも!」
変身している風魔、エグゼイド、スナイプ、
レベル1のレーザー、イクサの5人だった。
「あっ!居たっ!」
「3人とも!良かった無事だったんだね!」
紗弥が真っ先に4人に気づき、風魔は
安堵した様子でブレイブ達に駆け寄る。
「突然通信が切れたから焦ったけど……」
と言いつつ、風魔は凜子の背中に
背負われている不知火に気づいた。
「どうやら無事、不知火さんを助けられた
みたいだね」
「はい。歩夢さんがこれを貸してくれた
おかげです」
そう言って、ブレイブ、達郎はベルトの
ドラゴナイトハンターZガシャットに
左手を添えた。
その時。
「あの、貴方達、は?」
凜子におんぶされていた不知火が風魔や
エグゼイドを見回している。
「はじめまして、水城不知火さん。
僕達は仮面ライダーです。娘さんから、
貴女の救出を頼まれた者たちです」
「ゆきかぜ、が?」
そう言って不知火はゆきかぜに目を
向ける。
しかし、状況が状況だ。
「すみません。詳しい話はここを脱出
してからでお願いします。凜子ちゃんは
引き続き不知火さんをお願い」
「はい、心得ています」
「良し。ここでの主目的は達成した。
ガーディアン達にも順次撤退と、
不可能なら自爆するように指示を
出しておいた。この混乱が終息
する前にここを脱出する。
ステージセレクトの能力が使えない
事を想定したプランBに沿って、
ポイントαの脱出地点から
ヨミハラを離脱する」
「「「「「「「了解っ!」」」」」」」
こうして、合流した彼等はすぐにヨミハラ
から脱出すべく行動を開始した。
途中で遭遇する敵兵や魔族を鎧袖一触で
蹴散らしながら地下施設を脱出した彼等は、
アンダーエデンの外に出て、更に道路を
ひた走る。
ヨミハラの各地では火の手が上がっており、
街の様子は既に混沌を極めていた。
あちこちで怒号や悲鳴、そして銃声が
聞こえるが、それに混じって更なる爆音が
時折聞こえる。
「風魔、この爆音って」
「恐らく撤退出来なかったガーディアンが
自爆してるんだ。ガーディアンには
コピーを恐れて緊急時には自爆するよう
システムが組み込まれている。それが
上手く作動しているみたいだ。
さぁ、今のうちに!」
エグゼイドの質問に答えながら先頭を
走る風魔。
そしてヨミハラの住人達は、仮面ライダー
である風魔達を見ると怯えた様子で
逃げ出した。どうやら、後ろめたい人間
や魔族の間では、既に仮面ライダーとは
死神にも等しい名前として広がっている
ようだ。
おかげで空いた道を8人が駆け抜ける。
そして、あと少しと言う所で外に
通じる脱出口、ポイントαと言う所で……。
「逃がさんぞ、ネズミ共め」
「ッ!貴様はっ!」
曲がり角から大通りに出た直後。彼等の
前に立ち塞がった存在がいた。
それは、無数の魔族に銃や刀などで
武装した男達。その数は、数千にも及ぶ物
であった。
そして、それを率いているのか、先ほど
ゆきかぜ達から逃げおおせたリーアル
と、スーツ姿の男、矢崎宗一。
「……ボス自ら現れるか」
足を止め、敵と向かい合う風魔は矢崎宗一
を睨み付けながら周囲を観察する。
「そこに居る女は、俺の所有物だ。
返して貰うぞ。それに、そいつは
色々知りすぎている。ここから逃がす
訳には行かないのでな」
矢崎はそう言うと懐から拳銃を取り出した。
咄嗟に身構えるゆきかぜ。だが、それを
風魔が制止した。
「大丈夫」
そして彼は、ただ一言そう呟いた。
再び矢崎達を睨み付ける風魔。
「……雑兵をいくら集めた所で、僕達
に勝てるとでも思ったのか?
舐められた物だな」
「ふん。粋がるな仮面ライダー。
いかに貴様らとて、この数を倒し
突破出来る訳がない」
そう言って鼻で笑う矢崎。
だが……。
「出来る、出来ない、か。だがな、
これだけは言っておこう」
そう言って、歩夢はマスクの下で
笑みを浮かべた。
「自分の物差しで勝手に相手を測るのは、
もっと言えば敵を過小評価している
ようでは、痛い目を見るぞ?」
「何?」
風魔の言葉に眉をひそめる矢崎。
「ブレイブッ!」
「ッ!はいっ!」
風魔に名を呼ばれたブレイブは、事前に
教えられていたドラゴナイトハンターZ
の力を思いだし、一旦ガシャットを抜いて
ドラゴンゲーマを消滅させた。
何を、と凜子が問いかける前に……。
『パァァァァァァァァァッ!』
ハンターZガシャットが光を放ちながら
宙に浮き始めた。
そしてその光が分裂し、何とガシャットが
4つになった。
「え?増えた?」
それを呆然と見上げながら呟くゆきかぜ。
そして、分裂したガシャットが4人の手元
に落ちる。
エグゼイド、スナイプ、レーザー、そして
ブレイブの手元に。
「このガシャットのパワーは強力だ。
使用者に負担を掛けてしまう程にね」
そう言って静かに語り始める風魔。
「だからこそ、そのパワーを分散し、
かつ使用者を強化するシステムを
組み上げた。4人とも、行けるね?」
「えぇ」
「もちのろんだよ!」
「いよいよ私もレベル5だね!」
「はいっ!」
エグゼイド、スナイプ、レーザー、
ブレイブが三者三様の返事を返す。
そして、スナイプが一歩前に出て、
風魔と並ぶ。
「はい、風魔」
そう言って、ジェットコンバットの
ガシャットを渡す。
「援護、よろしくね?」
「うん。任せて」
彼が頷くのを確認すると、更にエグゼイド
が前に出る。
「教えてやる悪人共。お前達如きじゃ、
私達には勝てない。力の差を、
教えてやる」
「ちっ!舐めるなぁゴミ共がぁっ!」
エグゼイドの言葉に怒り心頭の矢崎。
だが……。
誰かの大切な人を、家族を陵辱した
矢崎に対する仮面ライダー達の怒りは、
それを遙かに上回る物だ。
そして、彼、彼女達はその怒りを力に
変えて纏う。
4人の騎士は、その手にした力を解放する
為に、それを起動する。
『ファング!』
敵を喰らう竜の牙が。
『ブレード!』
敵を切り裂く竜の刃が。
『ガン!』
敵をなぎ払う竜の息吹きが。
『クロー!』
敵を切り裂く竜の爪が。
4人の騎士を、竜騎士へと進化させる。
『『『『ガッチョーン』』』』
『『『『ガシャット!』』』』
4人はドライバーを閉じ、ガシャットを装填する。
そして……。
「Mk5!」
エグゼイドが。
「タクティクス5!」
スナイプが。
「ヴァージョン5!」
レーザーが。
「レベル5!」
ブレイブが。
各々がそれぞれのかけ声で叫ぶ。
『『『『ガッチャーン!レベルア~ップ!』』』』
ベルトから響く電子音声。そして、現れた
ドラゴンゲーマがまず、アサギのエグゼイド
に合体した。
『アガッチャ!マイティジャンプ!マイティ
キック!マイティマイティアクションX!』
かと思った次の瞬間、各部のアーマーが
分離し、ソードがブレイブの元へ。ガンが
スナイプの元へ。クローと分裂したソード、
ガンがレーザーの元へと飛んでいった。
それが彼等に装着されていく。
『ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナ~イト!
ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!』
『エグゼイド!』
『ブレイブ!』
『スナイプ!』
『レーザー!』
ここに、4人の竜騎士が揃った。
と、それと同時に武装した男達が手にした
銃を一斉に撃ちまくる。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
だが、それはエグゼイド、ハンター
アクションゲーマーレベル5となった
事で放たれた火炎放射がなぎ払った。
そして、それを合図にして戦端が
開かれた。
咆哮を上げながら迫るオークなどの
魔族達。
「来るなら来やがれってのぉ!」
対して、スナイプが左腕のドラゴンガンを
構え、エネルギー弾をぶっ放した。
放たれたエネルギー弾が悪人や魔族の体を
余裕で貫いていく。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
更に飛び出したレーザーの両腕のソードと
ガンが敵を殴り、切り裂く。
更に飛び上がったかと思うと右手のソードを
地面に突き立て軸にし、回転しながらガンを
撃ちまくり、更に足先の爪で近づいてきた
敵の体を引き裂く。
そして……。
「達郎っ!」
前に行こうとするブレイブにゆきかぜが
声を掛けた。
足を止め振り返るブレイブ。
静かに、数秒見つめ合う2人。
やがてブレイブの方から視線を外し
前を見据える。
「……行ってくる」
そして彼はそれだけ言うと、前に、
敵に向かって駆け出した。
その背中を見送るゆきかぜ。
「おぉぉぉぉぉぉっ!くたばれぇぇぇぇっ!」
大きく咆哮を上げながら、ブレイブは
悪人や魔族を次々と切り飛ばす。
右腕のドラゴンソードが煌めく度に、
敵の血飛沫や体が切り飛ばされる。
後ろで待機している不知火を背負っている
凜子とその傍で構えているゆきかぜ。
その少し前に立つ風魔とイクサ。
そして、風魔は手にしたジェットコンバット
のガシャットに視線を落とし、次いで
隣のイクサに目を向けた。
「イクサ。3人をお願い。僕は、エグゼイド
たちを支援してくる」
「はい。お任せ下さい」
彼女が頷くと、風魔は手にしていたガシャット
を起動した。
『ジェットコンバット!』
「変化、参の巻」
『ガッチョーン。ガシャット!』
一旦ドライバーを閉じ、ガシャットを
装填する。
『ガッチャーン!レベルア~ップ!
マキマキ!竜巻!ハリケーン
ニンジャ~!アガッチャ!
ジェットジェット!イン・ザ・スカイ!
ジェットジェット!ジェットコンバーット!』
風魔は現れたゲーマを纏い、コンバット
ニンジャゲーマー・レベル3となった。
風魔は一度だけイクサに視線を向けると、
すぐに前を向いて背中のスラスターを
吹かして飛び上がった。
彼の向かった先では、4人が魔族や悪人たち
を切り裂き、燃やし、撃ち抜き、殴り、
次々と倒して行っていた。
しかし数が多く、既に周囲を囲まれていた。
だが、それを見過ごす風魔ではない。
「これでも、喰らえぇっ!」
『バババババババババッ!!!』
武装のガトリングから放たれた光弾の雨が
魔族や悪人達を蜂の巣にしていく。
何とか銃器で武装した男達が反撃するが、
風魔はそれをひらりとよけ、カウンター
の小型ミサイルを発射した。
元々まとまっていた為に、逃げ場の無い
オークや悪人達の元にミサイルが着弾
し、その四肢をバラバラに吹き飛ばした。
と、そこにヨミハラの警備部隊だろうか。
銃と黒いボディアーマーで武装した
一団が向かってくるのを上空で確認した
風魔は、背中から無数のミサイルを四方
に放った。
ある物はビルに。ある物は地面に。
ミサイルがランダムに着弾すると同時に
地面はえぐれ、建物は音を立てて道に
倒れかかり、その道を塞いでしまった。
これで警備部隊の連中は合流に時間がかかる。
更に風魔はガトリングと小型ミサイルの
掃射でエグゼイドたちから離れた場所にいる
魔族と悪人達を残らず吹き飛ばしていく。
爆音と銃声と悲鳴がヨミハラの中で木霊する。
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
アサギの咆哮と共に放たれた爆炎が
悪人達を飲み込んで行く。
「うらぁぁぁぁぁぁぁっ!」
さくらの乱れ打ちが次々とオークを
撃ち抜いていく。
「るぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
達郎の斬撃が、次々と悪人を切り裂く。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
紗弥の連続攻撃が次々と悪人を吹き飛ばし、
切り裂き、撃ち抜く。
そこへ更に風魔の爆撃が加わり、悪人や
魔族達は瞬く間に数を減らしていった。
「何をしている!人質だ!後ろの小娘共
を捕まえろ!」
苛立ち交じりに指示を飛ばす矢崎宗一。
それを聞いた数人が大きく迂回して
ゆきかぜ達の元へと走った。
だが……。
「行かせると思うかっ!」
そこに紫の変身したイクサが立ち塞がった。
「相手は1人だっ!やっちまえっ!」
悪人の1人が叫ぶ。彼等は止まらない。
対してイクサは手にしていた武器を構える。
そして……。
『ドドドドドドドドッ!!!』
「がぁっ!?」
「ぎゃぁっ!」
イクサの武器、『イクサカリバー』から
放たれた弾丸が横薙ぎに男達やオーク達
を撃ち抜いていく。
「なめやがってぇ!」
そこに巨大な斧を持ったオークが横から
突進してきた。
「紫さま!」
それを見ていた凜子が咄嗟に叫ぶ。
だが、イクサは慌てる事無く、左手で
カリバーのマガジン部分を押し上げた。
すると、イクサカリバーがガンモードから
カリバーモードとなって赤い刃が起立する。
「そんな細い剣でぇっ!」
イクサに向かって振り下ろされる大斧。
『ガキィィィィィンッ!!』
だが、イクサはそれを、事も無げに
カリバーの刃、ブラッディエッジで
受け止めて見せた。
「な、何ぃっ!?」
これに驚きを隠せないオーク。
「歩夢さんの創った仮面ライダーの力を、
なめるなぁっ!」
紫は、イクサはカリバーを振って斧を
逸らすと左フックをオークの胴体に
たたき込んだ。
今のイクサは、力をセーブしている
『セーブモード』と呼べる状態だ。
だが、それでもパンチ力は4トンを超える。
故に、オークの腹から肋骨が折れる
バキボキという音が響く。
「おごっ!ぐげ、げっ!」
痛みで呻く事しか出来ないオーク。
それこそが命取りだ。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
イクサカリバーの一閃が、オークの胴体
を斜めに切り裂いた。
別れた上半身と下半身が、音を立てて倒れる。
その切れ味に、悪人やオーク達は二の足を踏む。
「さぁ、このイクサカリバーのさびに
なりたい奴は、掛かってこい!」
そう叫ぶと、イクサはカリバーを構え、
襲い来る悪人達を蹴散らしていった。
悪人と魔族たちは、瞬く間にその数を
減らしていった。
「ば、バカなっ!あれだけの数を、
たったの6人でっ!」
リーアルは目の前の光景を到底
受け入れられなかった。
彼等が用意した兵力はざっと見積もっても
1000人以上。対して歩夢達は8人。
ゆきかぜと凜子は不知火を守っている
ため、実質戦っているのは、風魔、
エグゼイド、ブレイブ、スナイプ、
レーザー、イクサの6人だけ。
キルレシオで行けば、1人あたり
160人以上となる。そして今、
残る兵力は、せいぜい200人程度。
戦闘開始から僅か10分程度で、800人
近い奴らが倒れた事になる。
であれば、のこり200人程度、ライダー
達なら4~5分で片付けられる。
そして……。
「分かってないな、アンタは」
『ズバッ!!!!』
その時、悪人達の壁を切り裂いてブレイブ
が現れた。
「き、貴様はっ!?」
「俺達の戦いに賭ける覚悟を、お前等みたいな
クズの安っぽい欲望と一緒にされちゃ
困るんだよ」
そう言って、ブレイブは右手のソードを
リーアルに向ける。
「俺達には、簡単に退けない理由が、
負けられない理由がある。だからこそ
諦めない。簡単に諦めてなんか
いられない。だからこそ、俺もあの時
立ち上がれた。ドラゴンの力を
使いこなせた」
「ふんっ!ガキがっ!根性論が何だと
言うのだっ!そんな物で勝負に
勝てるとでも言うのか!」
「……あぁ、分かってるよ。勝負の
世界はそんなに簡単じゃないのかも
しれない。だけどなぁ!」
ブレイブは右手を握りしめ、叫ぶ。
「覚悟のねぇ奴の振るう力は弱いっ!
ただ弱い人をいたぶって強がってる
お前等なんかよりも、誰かの為に、
全てをなげうつ覚悟で努力を
続けた、あの人の生み出す力には、
仮面ライダーの力にはあの人の、
風魔の覚悟が宿ってるんだよ!!」
達郎は腹の底から声を出し叫んだ。
愛する人を守りたいと言う、歩夢の意思。
それを具現化したのが、『仮面ライダー』
と言っても過言ではないだろう。
憎悪や嫉妬が、人の持つ感情であり
それが悪人と呼ばれる者達、即ち
悪しき存在を生み出すのは、否定しよう
がない事実だ。
だが、人が持つのはそれだけではない。
愛する人を守りたいと願い、その為に
時に、戦う覚悟を持つのもまた、
人として当然の意思である。
それこそが、人の持つ『光』だ。
仮面ライダーは、その覚悟を、意思を、
光を、力に変換する鎧でもある。
どれだけ傷つこうと、どれだけ
打ちのめされようと。
その胸の奥で、『光』が輝き続ける
限り、仮面ライダーは決して倒れない。
だからこそ、達郎は叫ぶ。
「負けられないって言う意思が、俺達を
何倍にも、何十倍にも強くするんだぁっ!
おらぁぁぁぁぁぁっ!」
ブレイブは襲いかかってきた数人の悪人
たちを一閃。瞬く間に切り捨ててしまった。
「俺はお前達には負けないっ!お前等みたい
なクソ野郎にはなぁっ!」
炎の如く怒りを燃やす達郎の目は、その
マスクの下でギラギラと輝いていた。
「く、クソッ!」
すると、リーアルは踵を返して
駆け出した。恐らく逃げるつもりだろう。
「逃がすかぁっ!」
ブレイブは、ベルトからドラゴナイト
ハンターZガシャットを抜くと左腰の
キメワザスロットホルダーに突き刺した。
『ガシャット!キメワザ!』
そして、それは他のライダー5人も同じだ。
「数が減ってきた!一気に仕留めるわよ!
スナイプ!レーザー!風魔っ!」
「OK!」
「任せてよっ!」
「一気になぎ払うっ!」
エグゼイドの言葉に、スナイプ、レーザー、
風魔が答えた。
3人はブレイブと同じようにハンターZ
ガシャットを。風魔はジェットコンバット
ガシャットを。それぞれホルダーに装填した。
『『『『ガシャット!キメワザ!』』』』
エグゼイドの頭部に。
ブレイブの右腕に。
スナイプの左腕に。
レーザーの両腕に。
エネルギーが収束し、輝いていく。
そしてその輝きは、暗いヨミハラの街を
照らし出す。
それはまるで、太陽が顕現したかのように。
そして、彼女も必殺技の構えを取る。
イクサはベルトから笛のようなアイテム、
『フエッスル』を抜くと、それをベルトの
リーダーに差し込み、ナックルを
押し込んだ。
『イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ』
片言の電子音声に続いて流れる待機音。
イクサはベルトからイクサナックルを抜き、
正拳突きのように構える。
そして……。
『『『『ドラゴナイトクリティカルストライク!!!』』』』
『ジェットクリティカルストライク!』
勇ましき電子音声が響き渡る。
4人から放たれたエネルギーが、風魔が
放ったミサイルと銃弾の雨が、
イクサのナックルから放たれた衝撃波が。
悪人や魔族たちを次々と飲み込んで行く。
そして……。
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ブレイブの放った青い斬撃波は、逃げよう
とするリーアルの体を捉え、その体を上下
真っ二つにぶった切った。
やがて、必殺技の余波も収まった時、
ブレイブはふと周囲を見回した。
そこに広がるのは、斬られた悪人の
死骸や、燃え残った炭化した遺体など、
地獄もかくやの、戦場のような様相を
呈していた。
しかしそこに倒れているのは、人を欺き、
貶め、辱めてきた悪人や魔族達。
ある意味、因果応報の死に様であった。
そんな中でブレイブは、改めて自分の
手にした力の大きさを理解していた。
「ブレイブ」
その時、風魔が彼に声を掛けた。
「脱出しよう」
「……はい」
深くは語らない。ここは敵地だ。2人は
短く話すとすぐさまエグゼイド達と
共にその場を離れ、そして、ヨミハラ
を無事脱出するのだった。
そして、そんな中でゆきかぜはブレイブの、
達郎の背中を見つめていた。
だがそれは彼女だけではない。
『達郎くん』
不知火もまた、幼い頃から自分の子供の
ように可愛がっていた達郎の面影を、
今のブレイブに重ねていた。そして……。
『本当に、強くなったのね』
彼女は、今の彼の頼もしさと、娘や彼、
そしてその仲間達が助けに来てくれた
事実。あの地獄から解放された喜びと
安堵から、静かに涙を流すのだった。
そうして、ヨミハラは仮面ライダー達の
活躍によって施設の半数が崩壊。ガーディアン
の爆発によって発生した火災は今も進行中。
こうしてヨミハラは、前代未聞の被害を
被ったのだった。
それから数時間後、朝。
「クソッ!クソックソッ!」
弟を見捨てて、戦闘が始まった直後に
逃げ延びていた矢崎宗一は今、自宅とも
呼べる豪邸に戻ると自室でスーツケース
に金やパスポートなどを無造作に
突っ込んでいた。
不知火が無事に帰還した今、彼女は
宗一の後ろ暗い部分を知っている。
そしてそれが明るみに出る前に、国外
へ逃亡しようとしていたのだ。
だが……。
『ドンドンドンッ!!!』
「矢崎様!矢崎様!いらっしゃいますか!」
ドアを乱暴に叩く音と、宗一の秘書官である
女の声が聞こえた。
「何だっ!俺は忙しいんだっ!」
それをドア越しに一喝する宗一。
「し、しかしテレビを!テレビを見て
下さいっ!テレビで矢崎様の事がっ!」
「ッ!?」
テレビ、と言う単語を聞いて宗一の背中を
嫌な予感が駆け上がった。
彼は慌ててテレビのリモコンを見つけると、
そこでは臨時速報のニュースが流れていた。
その速報で話題になっていたのが……。
「引き続き、臨時ニュースをお伝えします。
本日未明、突如として報道各社へと
送られた矢崎宗一民進党幹事長の
犯罪を示すデータの数々」
「ッ!?な、なんだ、と!?」
宗一は、あまりにも早すぎる情報のリークに
驚愕していた。
「データの中には、矢崎容疑者の様々な
犯罪の証拠が収められており、確認
出来ただけでも収賄罪、恐喝、公職選挙法
違反、人身売買などがあり、内容が事実
であった場合、現政権の解散もありえる
ほどの大きな問題として各方面でも
混乱が発生しております」
「うっ、く、クッソォッ!」
宗一は握っていたテレビのリモコンを
床にたたきつけた。怒りで顔を赤くし、
荒い呼吸を繰り返す宗一。その時。
「な、何ですか貴方達は!?」
外にいた秘書が騒がしくなった。かと
思った次の瞬間。
『バンッ!』
ドアが乱暴に開けられ、複数のスーツ
姿の男達が強引に部屋の中へと入ってきた。
「民進党幹事長、矢崎宗一!収賄罪および
その他多数の犯罪容疑で逮捕するっ!
大人しくしろ!」
それは無数の制服警察官だった。更にそれ
に続いてボディアーマーや短機関銃で武装
した武装警察官も突入してきて矢崎を
完全に包囲してしまった。
それを前にして矢崎宗一は、ただただ、
その場に崩れ落ちることしか出来ないの
だった。
その後、矢崎の豪邸の前には無数の
パトカーと、更に報道陣が詰めかけて
辺りは騒然としていた。
やがて豪邸の中から手錠をされた矢崎が
現れ、パトカーに乗せられると、どこか
へと連行されていった。
そして、その様子を仮面ライダー達が、
風魔、エグゼイド、スナイプ、レーザー、
ブレイブ、イクサが、離れたビルの屋上から
見つめていたのだった。
ゆきかぜ、凜子、不知火は既に一旦基地へ
送り届けた。彼等は、宗一の様子を見に
来たのだ。
「終わりましたね、歩夢さん」
「うん。でも、現政権与党の幹事長が
あれだけの罪で逮捕されたとあっては、
今の政権もおしまいだろう。それに、
あのアンダーエデンの地下施設で
ハッキングしたメインサーバー内
には、あの男以外の、民進党幹部らの
不祥事や悪事のデータが残されていた。
それを公表すれば、民進党自体も、
もう終わりだろうね」
イクサ、紫の言葉に応える風魔、歩夢。
「でも何で連中はそんなデータをわざわざ
サーバーの中に残してたんだろうね?」
「恐らく、万が一彼等が自分達、つまり
ノマドの意思に反するような事をした
場合、それをネタにして脅すため
かもしれないね。政治家の悪行なんて、
出回った時点で政治家生命は終わりに
近いから」
首をかしげるスナイプ、さくらに再び
歩夢が答えた。
「あそこは滅多に対魔忍が行かない場所だ。
そう言うデータを隠しておくのには、
うってつけだったんだろ思うよ」
「成程ね~。にしても、これからどうなる
んだろね、この国は。あそこで
お兄ちゃんが見つけた情報を全部公表
したら、たくさんの政治家の首が
飛ぶし政権は転覆間違い無しだよね?」
「確かに。……日本経済の混乱は免れない
だろう」
紗弥の言葉に紫は頷く。
「でも、それでも公表するべきじゃない
かしら?悪人共をのさばらせておけば、
それだけ涙を流す人がいる。
虐げられる人々がいる。陵辱され
絶望する人だっている。そして、
そいつらを社会に残すべきではない」
アサギは、連行されていく宗一を乗せた
パトカーを見送る。
「そうだね。……僕達が戦うのには国や
組織の為じゃない。仮面ライダーが
戦うのは、人々の自由と平和を守る
ためだ。確かに僕達があのデータを
公表すれば多くの悪人が捕まるだろう。
でも、そうしたら行政は乱れるかも
しれない。それは社会の乱れ。
延いては犯罪の発生率増加にも
繋がりかねない。でも、だからこそ……。
『抑止力』が必要なんだ。悪人達の
犯罪を抑え込む、抑止力が」
そう言って風魔、歩夢は5人の方を向く。
「その抑止力って言うのが、私達
仮面ライダーって訳だね。アユ兄」
「うん。僕達の力で、人々を守ろう。
皆も、それで良い?」
「ふふっ。聞くまでも無いんじゃない
かしら?」
「全然OKだよアユ兄。何てったって、
今は私達も仮面ライダーなんだから」
「どこまでもお供します、歩夢さん」
「私も仮面ライダーの仲間として、
付いてくからね。お兄ちゃん」
アサギ、さくら、紫、紗弥は頷く。
そして、ブレイブは……。
「俺も、俺も戦います。仮面ライダー
として。俺は未熟かもしれない。
それでも、あの戦いで分かったんです。
世界には、泣いている誰かがいる。
以前のゆきかぜみたいに。だから、
俺はそんな風に泣いてる誰かに
手を差し伸べてあげたい。だから、
俺も戦います。仮面ライダーとして」
彼もまた、決意を固めていた。
「そっか。みんな、ありがとう」
風魔は頷くと、視線を東京の街並みへと
向けた。
『例え、人の悪意が途絶える事の無いの
だとしても、僕達は戦う。
この胸の内で輝く光を力に変えて。
愛する人達を守り、そして、今という
時間の中で助けを求めている人達を
助ける為に。それが、『仮面ライダー』
なのだから』
歩夢たちは、朝日に照らされる街並みを
見渡しながら決意を新たにする。
仮面ライダーとして、戦う覚悟を。
こうして、長い夜は終わった。水城不知火
奪還作戦は、無事に終わりを迎えるの
だった。
第4話 END
次回はバトル後の事とHシーンになる予定です。
感想や評価、お待ちしてます。
読者様から、不知火を歩夢のハーレムに入れて欲しいと言うのがありました。どちらが良いですか?
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不知火は予定通り達郎のハーレムに入る。
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上とは別に歩夢のハーレムに入る。