※この作品はR-18です。

対魔忍アサギ~~風の騎士・風魔~~   作:ユウキ003

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すみません。エロ回まで行きませんでした。
次からエロ回です。


第5話 それぞれの選択

~~~前回のあらすじ~~~

無事に不知火を保護することに成功した

ゆきかぜ達。彼女達は途中リーアルの妨害

を受けながらもブレイブの力で脱出。

風魔たちと合流する。そしてヨミハラ

から脱出しようとするがそこにリーアルと

宗一、更に2人に率いられた悪人や魔族が

立ち塞がった。

しかしドラゴナイトハンターZガシャットの

力と彼等の覚悟もあってこれを無事に突破。

更に宗一はこれまでの悪行が世間に

知られる結果となって、警察に逮捕

されてしまうのだった。

 

 

ヨミハラでの戦いから数日後。

今も世間は宗一逮捕の話題で盛り上がっていた。

しかしアサギや歩夢達にはほぼ関係無い事

であり、今は家の事を紫、紗弥、来栖の3人

に任せて歩夢、アサギ、さくらは車に

ゆきかぜ、達郎、凜子、そして不知火を

乗せて五車町へと向かっていた。

 

ヨミハラから脱出した後、不知火はこれまで

年単位で陵辱を受けていた事から、療養と

媚薬の解毒などのために橘邸で治療を

受けていた。

そしてそれも終わった為に、彼女は晴れて、

町へと戻る事になった。

 

やがて、町の少し手前で車を止める歩夢。

「それじゃあ、僕が来られるのはここまで

 なので。アサギ、あとはお願い出来る?」

「えぇ。任せて」

助手席に座っていたアサギが歩夢との運転を

代わり、歩夢は車を降りた。

 

「それじゃあ、後で迎えに来るから」

「うん、分かった」

それだけ言うと、車は歩夢を残して

走り出す。

 

「あの、良いの?歩夢さんを置いて

 行ってしまって」

不知火は運転席に座るアサギに問いかけた。

「歩夢は一度里を追放された者ですからね。

 彼は今も里に戻る事を許されて

 いません」

「そんな」

不知火は、振り返る。既に歩夢の姿は

見えない。

 

「納得出来ませんね」

やがて静かに凜子が呟いた。

「……誰もがヨミハラと聞くと、おばさんを

 助けに行く事を渋ったあの場所から

 おばさんを助けた英雄だと言うのに。

 一度里を追放されたからと、その

 誉れを誇る事も許されないのですか?」

彼女にしてみれば、歩夢は対魔忍の中で

英雄と呼ばれるに相応しい功績の数々を

上げている。

 

アサギとさくらの救出から始まり、紫の

救出。紗弥の救出。今回の不知火の救出。

それ以外にも、歩夢を頼って仲間の救出を

依頼しに来る対魔忍は多い。そして歩夢

は助けを求める対魔忍達に答え、多くの

者達を助けてきた。

 

だが、歩夢自身がその賞賛を受ける事は無い。

それが凜子にとって歯痒かった。

 

しかし……。

「気にする事無いわよ。歩夢自身が、それを

 気にしてないんだから」

「え?で、ですがアサギ様。あの人は……」

「まぁ、確かにアユ兄が英雄である事は

 間違い無いけど。でもアユ兄は名誉

 とかが欲しくて戦ってる訳じゃないよ。

 『誰かを守りたい』。その意思で

 戦ってるからこそ、アユ兄は

『仮面ライダー』なんだよ」

「そうそう。お兄ちゃんならきっと、

 『そんなのより、被害者の人が無事

 で良かったです』、とか言うよ」

「あはは、確かに言いそう」

そう言って紗弥の言葉に笑みを浮かべるさくら。

 

「名誉でも、地位でも無く、お金でもなく。

 ただ守りたい、助けたい誰かの為に

 全力を尽くす。それが仮面ライダー風魔。

 歩夢の意思なのよ」

そう言ってアサギは笑みを浮かべる。

 

更に……。

「やっぱり、まだまだ届かないなぁ、僕は」

達郎は苦笑交じりに呟いた。

「同じ男のはずなのに、あの人の、歩夢さん

 の背中はデッカくて、かっこ良くて。

 仮面ライダーになって少しは並べた

 ような気になってたけど、やっぱりまだ

 まだだなぁ、僕も」

「あらそう?でも、卑下する事は無いわよ

 達郎君」

「え?そうですか?」

アサギの言葉に首をかしげる達郎。

「えぇ。『ゆきかぜは俺の女だ~』、だった

 かしら?」

「ぶっ!?えっ!?ちょっ!?な、なんで

 アサギ様が知ってるんですか!?」

アサギの言葉に達郎が驚いている。彼に

してみれば、結構恥ずかしい事を連呼して

いたので、余り人に知られたくなかったの

だが……。

 

「あ、それは私が話したからね」

「ちょっ!?お母さん!?」

笑みを浮かべながら挙手する不知火に

ゆきかぜも戸惑っている。

なぜなら……。

 

「いや~良い彼氏だね~達郎君は。

 で?で?彼女のゆきかぜちゃんは

 どうですか~?」

さくらがメッチャ弄ってくると分かっていた

からだ。

案の定、さくらはニヤニヤと笑みを浮かべ

ながらゆきかぜに声を掛けている。

 

「あぅあぅ~~!」

そしてゆきかぜは顔を真っ赤にして悶えていた。

「あらあら。でもゆきかぜ。あなた本当に

 良い彼氏を見つけたわね~」

「おっ!?これは親公認かなっ!?

 やったね達郎君っ!」

笑みを浮かべる不知火と、更に茶化しに

かかるさくら。

すると、ゆきかぜと達郎の2人は顔を真っ赤

にして俯いてしまった。

 

「ふふっ」

運転席のアサギも、彼女達のやり取りに笑みを

浮かべる。

「うぅ、笑わないで下さいよぉアサギ様ぁ」

「ふふ、ごめんなさいね。でも達郎君、

 あなたはやっぱり、歩夢みたいになる

 素質はあるわよ?」

そう言ってアサギはルームミラー越しに

後ろの達郎へ視線を送った。

 

「え?そ、そうですか?」

「えぇ。何と言っても、敵の前で

 あれだけ啖呵が切れれば上出来よ。

 だからもう少し自分に自信を持って

 良いわよ?」

「あ、ありがとうございます、アサギ様」

そう言って少し顔を赤くする達郎。

 

彼にしてみれば、ライダーの先輩である

アサギに認められた気がして、嬉しかったのだ。

 

 

「っと、話をしてたら見えてきたわね。 

 町よ」

 

そして、一行は五車町へとたどり着いた。

 

のどかな田舎町といった感じの五車町。

しかしその裏の顔は対魔忍の本拠地だ。

それでも、不知火の胸の内には

『帰ってきたんだ』、と言う思いがあった。

 

やがて、車は不知火の慣れ親しんだ家の

前に停車した。ドアを開けて外へと出る

不知火。深呼吸をすれば、故郷の匂いに

彼女の頬が緩む。

と、その時。

 

「不知火?不知火なのか?」

家の玄関の戸が開いて、中から1人の

男性が現れた。そして不知火も彼を

見つけると目を見開き、目尻に涙を浮かべ

手で口元を覆った。

 

「あぁ、あなた」

「し、不知火っ!」

「あなたっ!」

やがて男性が駆け出すと、不知火も駆け出し、

彼と、夫と熱い抱擁を交わした。

 

「あぁ不知火っ!無事だったんだね!」

「はいっ、はいっ!ゆきかぜ達や、 

 皆さんのおかげで!」

2人とも、再会の涙を流し、ゆきかぜも、

再び家族が揃った嬉しさから、静かに涙を

流しながらも、笑みを浮かべていた。

 

「おかえり、不知火」

「えぇ、ただいま。あなた」

 

2人は、その言葉を交わすともう一度熱い

抱擁を交わすのだった。

 

その後、不知火達の勧めるまま、アサギ達

は水城家のリビングへと招かれた。

そこで不知火の救出時の状況などを

説明した。

 

「そうか。リーアルは死に、矢崎宗一も 

 法による裁きが待っている、か。

 個人的にはこの手で八つ裂きにしたい

 ほど憎いが、不知火を助ける為に、 

 ヨミハラに飛び込む覚悟も無かった

 私にその資格は無いな」

そう、彼は自嘲気味に呟いた。

 

「あなた」

「あぁ、すまない不知火。……しかし、

 一番の恩人に挨拶すら出来ないとは」

彼は、一番の恩人、つまり歩夢に会う事

すら出来ないのが歯痒かった。

「どうかお気になさらず。歩夢はそう言う

 のを気にしませんから」

そう言って笑みを浮かべるアサギ。

「皆さんが再び家族として、こうして 

 揃われた事が彼の一番の喜びでしょうし」

アサギはそう言いながら、再び揃った

3人を見つめる。

 

「……何度お礼を申しても足りない。

 なので、どうか橘歩夢殿にお伝え

 下さい。もし、私達に出来る事が

 あれば、誠心誠意力になる、と」

「はい。必ず、伝えます」

 

その後、アサギとさくらは、『歩夢を

待たせているから』と言って水城家を

後にした。

 

家に残ったゆきかぜ達3人と達郎、凜子。

それからしばらく5人は会話に花を

咲かせていたのだが……。

 

「あ、ではそろそろ、私達はおいとま

 させていただきます」

外がすっかりオレンジ色に染まっている

事に気づいた凜子がそう言って立ち上がろう

とした。

 

「あぁ待って凜子ちゃん」

それを不知火が呼び止めた。

「折角だから、凜子ちゃんと達郎君も

 ご飯食べていかない?久しぶりに、

 料理をしたい気分なの」

「え?」

突然の提案に首をかしげる達郎。

「だ、大丈夫なのか不知火。まだ帰って

 きたばかりなんだし、もう少し休んで

 いたほうが……」

「大丈夫よあなた。橘さんのところで

 十分療養させて貰ったから。

 どうかしら?凜子ちゃん、達郎君」

 

彼女の言葉に、2人は顔を見合わせた後。

「そ、それじゃあ……」

「ご相伴にあずかります」

達郎と凜子は彼女達と夕食を共にする

事になった。

 

その後、不知火がキッチンで料理をして

いる中、達郎は彼女の夫と椅子に座り、

キッチンテーブルを挟んで向かい合っていた。

そして一緒にお茶を飲んでいた時。

ゆきかぜは今お風呂の様子を見に行っている

のでいない。凜子も、切れていた調味料を

買いに出ているのでいない。

つまり男達だけだった。そんな時。

 

「ありがとう、達郎君」

「え?」

突然頭を下げた彼に戸惑う達郎。

「さっき、娘から聞いたんだ。不知火を

 助ける為に、今後仮面ライダーとして

 戦う覚悟を決め、改造手術を受けたと

 聞いたんだ」

「そうでしたか。あ、でも改造手術なんて

 そんな大仰な物じゃ無いですよ?

 ただちょっとバグスターウィルスって

 言うのを体内に取り込んだだけですから」

そう言って笑みを浮かべる達郎。

 

「そうか。だが、君はこれからどうするのだ?」

「え?」

「一度仮面ライダーになった達郎君は、

 もう戻る気は無いんだろう?」

彼の言葉に、達郎は……。

 

「はいっ。俺はもう、ただの秋山達郎に

 戻る気はありません。これからは、

 1人の仮面ライダーとして、戦って

 いくつもりです」

 

達郎は、確固たる信念を思わせる凜とした

表情で頷いた。

 

「そうか」

それを前にして、彼は自嘲するかのように

小さく笑った。

 

「そんな君ならば、娘の事を任せられる

 かもしれないな」

「え?」

それは、達郎にとって予想外の言葉であり、

彼は一瞬呆けてしまった。

「私はね、達郎君。弱い人間だったんだ。

 だから彼女の、妻のために命を張る事も 

 出来なかった。結果、長い間娘には

 悲しい思いをさせてしまった。

 ……でも、そんな悲しみを終わらせるため

 に動いてくれた一人が、君だ。達郎君。

 娘のために、君は覚悟の上で仮面ライダー

 になったんだろう?」

「はい」

「であれば、そんな君になら、娘を

 託せると思ったんだ。だから……」

 

「どうか、娘を幸せにしてやって

 ください」

 

そう言って、彼は頭を下げた。父親として、

一人の男として。

 

「必ず、俺がゆきかぜを幸せにして

 見せます」

 

対する達郎も、一皮むけた様子だ。

しっかりと決意ある表情で頷いた。

『自らの大切な人を愛し、守り、

共に過ごしていく』という誓い。

 

それははからずも、歩夢がライダーを

生み出すきっかけとなった思いと

同じ、『男の覚悟』であった。

 

 

その後、5人で夕食を取り終えたあと、

凜子と達郎は水城宅を後にした。

そして帰路に就く最中。

 

「姉さん。僕、決めたよ」

「ん?どうした?」

「これから僕、歩夢さんの所で生活

 しながら修行を付けて貰うって

 思ってるんだ。だから……」

「そうか」

凜子は、ただ一言、それだけ呟く。

 

すると……。

「だったら、私も行く」

「え?……えぇっ!?」

突然の言葉に驚く達郎。彼としては

拒否されるか受諾されるかのどっちか

だと思って居たからだ。

「な、なんで!?姉さんが!?」

「あそこにはアサギ様、さくら様、

 紫様と言った名だたる対魔忍の先輩

 がいるんだぞ?修行を付けて貰う

 のにぴったりじゃないか。それに、

 私としてはお前が無茶をして怪我でも

 しないか心配なんだよ」

「う、うぅん。……まぁ、分かったよ。

 でも近いうちにまた歩夢さんに

 聞いてからだから、どうなるかは

 分かんないよ?」

「あぁ、分かってるさ」

 

そう言うと、止めていた足を再び動かし、

2人は歩き出した。

 

そんな最中で……。

「達郎」

「ん?何、姉さん」

「お前は立派になったよ。私の、

 自慢の弟だ」

そう言って、彼女は優しい笑みを浮かべる。

対して達郎は、姉に褒められ、顔を赤く

していた。

 

「ま、まだまだだよ、僕なんて」

そう言って、赤い顔を見られるのが嫌なのか

そっぽを向いてしまう達郎。

 

だからこそ、彼は気づかなかった。

 

凜子が、自分の事を、熱を持った表情で

見つめている事に。

 

 

一方、水城宅では、洗い物を終えた不知火と

ゆきかぜが、2人で一緒にお風呂に入っていた。

久しぶりに再会した母子2人の水入らず、

と言う事でゆきかぜの方から提案したのだ。

 

そして今は2人、湯船の中で不知火の体に、

おっぱいに自分の体を預けるようにして湯船に

浮かんでいるゆきかぜ。

そんな中で……。

 

「達郎君。立派になったわね」

「うん」

「まさか、あの少し気弱だった彼が、

 本当のヒーローになるなんて。

 そして、私を助けに来てくれる

 なんて、思いもしなかったわ」

「それは私もだよ、お母さん。まさか

 達郎が仮面ライダーになるなんて。

 思ってもみなかったんだから」

 

そう語りながら、ゆきかぜは思い出す。

あの日、ヨミハラで見た達郎の、

仮面ライダーブレイブの勇姿を。

 

無数の敵を前に、恐れず立ち向かい、

竜騎士として立派に戦い抜いた、彼の

後ろ姿を。

 

そして更に、数珠つなぎのようにつられて

思い出す、達郎の叫び。

 

≪ゆきかぜは、俺の女だぁぁぁぁぁぁっ!≫

 

その言葉を思い出すだけでゆきかぜの頬は

赤く染まる。

 

幼馴染みとして共に育ち、不知火を失った

悲しみを慰め支えてくれた達郎。そんな彼

の、戦いの場で見せた新たな一面。

戦いの中で覚醒させた、男として覚悟。

 

好きな男の新たな一面に、ゆきかぜは

何度も心をときめかせた。

 

そんな時。

「ゆきかぜ」

「何?お母さん」

「達郎君と、仲良くね?」

「え?」

最初、ゆきかぜは母の言っている言葉の意味

が分からなかった。

 

「だって、達郎君あんなに立派になったん

 だもの。他の誰かに奪われないように、

 しっかりその手を繋いでいなさい?

 じゃないと、他の積極的な誰かに

 取られちゃうかもよ?」

そう言って意地悪な笑みを浮かべる不知火。

「うっ、そ、そうだね」

そしてゆきかぜも、ふと思う。

 

今の達郎は、言わば歩夢の弟子のような物。

『第2の歩夢』と言っても良い。

 

大切な人を守る為、その手に剣を取り、

覚悟を持って戦う様。

達郎はその生き様を歩夢から学び、そして

あの戦いの中で、覚醒した達郎。

 

歩夢のように、愛する人を守りたい、助けたい

と思う願いを糧に、立ち上がった。

 

そして歩夢は、現状からも分かる通り、

さくら、アサギ、紫、紗弥、来栖といった

美女・美少女達5人から好かれている。

更に英雄、ヒーローを体現したような生き方

から、既に噂話としてライダーの話は

日本各地へと広がりを見せている事や、

助けられた者達から、真の英雄として

崇拝にも近い形で慕われている事もある。

加えて、助けられた対魔忍の多くが女性で

ある事から、アサギ達のように彼を慕う

女性対魔忍も少なくないと言う。

 

実は、ゆきかぜ達が歩夢の事を知ったのも、

極秘に創られた仮面ライダーの、延いては

歩夢のファンクラブから情報を得たからだ。

 

元々、アサギやさくら、紫は対魔忍として

の戦闘力の高さもあって異性、同性問わず

人気が高い。

そんな彼女達を更に護る英雄、と言うだけ

あって注目度も高い。

加えてアサギやさくら、紫が里に訪れ、

興味本位から歩夢の事を聞く者がいると、

続々と出てくる自慢話(と惚気話)の山。

 

特に、英雄としてだけではなく主夫として

のスキルも持ち合わせている事から、

何気に女性たちからの受けが良い歩夢。

 

技術者にして天才肌。大切な人を守る為

に人生をつぎ込み、尚且つ危険なところへと

突き進んでいく覚悟と勇気。隠れたお金持ち

で主夫としてのスキルも高く、愛する人への

一途な思い。

と、これほどまでの優良物件な男が果たして

世界中を探してどれだけ居るのか。

 

それもファンクラブが出来る原因の一つ

であった。

 

話を戻せば、そんな歩夢の弟子とも呼べる

達郎に、周囲の目が向くのは時間の問題

だ。そして不知火は、ゆきかぜ以外の女が

達郎に言い寄って、奪っていく事を心配

していたのだ。

 

もちろん彼女もゆきかぜも、達郎が

そんな男ではない事は百も承知していた。

しかし物事には万が一はある。だから

こそ不知火は母親として念押しをしたのだ。

 

「だからこそ、しっかり達郎君の手を

 握ってるのよ?」

「う、うん」

 

ゆきかぜは、母の言葉に顔を赤くしながら

頷いたのだった。

 

 

そんな、ある日の夜の事だった。

 

深夜の水城宅。ゆきかぜは夜、おトイレ

で目が覚め、水を飲もうとリビング

へと向かった。するとそこで、明かりが

付いている事に気づいた。何だろうと

思って近づいてみると………。

 

「不知火。こんな事を言うのはあれ

 何だが……」

聞こえてきたのは父親の声だ。

聞き耳を立てるゆきかぜ。

すると……。

 

「私と、別れて欲しい」

 

「……え?」

突然の話題に、彼女は呆けた声を

出してしまう。そして次の瞬間には

考えるよりも先に、リビングのドアを

壊さんばかりの勢いで開け放った。

 

「ちょっとっ!お父さんそれって

 どういうことっ!?」

「ゆきかぜっ!?」

突然現れた娘に彼は戸惑った。

「別れるって、まさか離婚するって事!?

 なんで、なんでっ!?折角家族3人

 また揃ったのにっ!なんでっ!?」

 

何故別れる必要があるのか。それが、

ゆきかぜには理解出来なかった。

その言葉に、彼はしばし悩んだ様子を

見せた後、静かに話し始めた。

 

「……ゆきかぜ。お前には話した事は

 無かったが、1年前のあの日の任務は、

 実は私達2人に与えられた任務だったんだ」

「え?」

「だが、不知火はゆきかぜ1人を残していく

 のは心配だからと、私を家に残し、

 1人で任務に出かけた。……だが、それは

 嘘だ。……本当は、私がヨミハラという場所

 を恐れていたからだ」

「お父さんが?」

「あぁ。当時から最強候補の1人と呼ばれて

いた不知火に比べ、私は平凡だった。

そんな弱い私は、ヨミハラへの調査に

怯え、結果彼女1人を行かせてしまった。

そしてそれがどう言う結果を招いたのか。

それは、言うまでも無い。……だが

仮に、私が一緒に行ったとして、逆に

彼女の足を引っ張らなかったと言える

のか?……ずっと悩んでいた。そして

思い知った。結局、彼女について行こうが

行くまいが、彼女の足かせになっていたの

だと私は思った。そんな私に、弱い私には、

不知火の傍で、夫を名乗る資格はないのだと」

「あなた」

不知火は自虐的な事を語る夫に声を掛けるが、

彼は俯くだけだ。

 

「弱さはつまり弱点。敵に付け入るスキを

 与える。ましてや、結果的にこの国の

 多くが変わる大事件となった。不知火は

 その中心人物の1人だ。あの矢崎の周囲

 の人間からすれば、不知火は逆恨みされ、

狙われるかもしれない。その時、私は

きっと2人の足を引っ張ってしまうかも

しれない。だから……」

「別れようって言うの?」

 

ゆきかぜの言葉に、彼は静かに頷いた。

「お母さんは!?お母さんはどうなの!?

 それで良いの!?やっと家族3人が

 揃ったんだよ!?なのに、こんなのって!」

「ゆきかぜ」

不知火は、泣き出しそうな我が子を抱き寄せる。

「……お母さんはね、それでも良いと思うの。

 お父さんが別れたいと言うのなら、

 それで良いって」

「ッ!それってっ!」

 

母が、父を必要無いと言っているようで

ゆきかぜは表情を歪ませる。

だが……。

「でもね、別れたからって、私達が

 家族じゃ無くなる訳じゃないわ。

 どこに居ようと、あなたは私達の

 娘で有り、お父さんはお父さん

 なのだから」

それが夫の望みなら、不知火は受け入れる

覚悟があった。

 

そして、ゆきかぜは……。

「分かった。2人がそれで良いなら、

 それで良い。でも……」

彼女は、涙を浮かべながら彼に抱きついた。

 

「私のお父さんは、お父さんだけだからっ!」

 

「……ありがとう、ゆきかぜ」

 

 

それが、水城家の3人の、選んだ道だった。

 

 

それから数日後。不知火たちは凜子と

達郎に離婚の話をした。2人とも最初は

驚いていたが、それが3人の選択なら、と

言って自分達に出来る事はするとも言った。

 

そんな中で……。

「実はね、私とゆきかぜも、歩夢さんの

 所で生活しながら、戦ったり、訓練

 するのはどうかってゆきかぜと

 話し合ったの」

「え?おばさん達もですか?」

驚き、聞き返す凜子。

「えぇ。私もかれこれ1年以上のブランクが

 出来てしまったし、何より、今はゆきかぜ

 の傍に居てあげたいの。そして

 ゆきかぜも、達郎君と一緒に強くなりたい

 って言ってるの。だからアサギさん達

 の所で、私も娘と一緒に強くなろうって

 思って居るの」

「成程。……まぁ、僕達も向こうで

 お世話になる身ですから、僕達から

 は特に言う事もありません」

「そうですね。しかし、歩夢さん達に

 このことは?」

「まだです」

 

と言う事で、達郎は前に教えて貰った

歩夢の電話番号へかけた。

『はい、もしもし。歩夢です』

「あ、歩夢さん。達郎です」

『あぁ、達郎君。どうしたの?』

「はい。実はその、今ゆきかぜ達の

 家に居るんですけど、実はゆきかぜ

 と不知火おばさんがそっちに行きたい

 っと言ってて」

『え?それってつまり、ここで暮すって

 事?こっちは別に問題無いよ。

 そう言うのを想定して少し前に

 改築してたから。えっと、そうなると

 こっちに来るのは……』

「僕と姉さん、ゆきかぜとおばさんの

 4人です」

『そっか。分かった。こっちは問題

 無いよ。必要なら、アサギ達に迎えを

 お願いするけど』

「はい、分かりました。細かい日程は、

 また後で連絡します」

『うん分かった。それじゃ』

「はい、失礼します」

 

こうして、達郎、凜子、ゆきかぜ、不知火

は橘邸で生活することが決まった。

 

 

そして数日後。里にアサギの運転する

車がやってきて、4人を迎えに来た。

既に衣服類などは事前にアサギ達が

取りに来て家に運んでいる。あとは、

本人達とその少しの荷物だけだ。

 

水城家に来た車の後ろに、残りの荷物を

積み終えると、アサギと達郎、凜子が

乗り込む。だが、ゆきかぜと不知火だけ

は、見送りに来ていた彼と向かい合って

いた。

 

「ゆきかぜ、不知火」

「あなた。……行ってくるわね」

「お父さん」

3人とも、涙を堪えている。

 

「あぁ。……僕に出来る事は、この家を

 守る事くらいだ。だからこそ、この家

 だけは、何が何でも守り抜くよ。

 2人が何時帰ってきても良いようにね」

そう言って、彼は笑みを浮かべた。

 

ゆきかぜと不知火は、涙を浮かべながらも、

最後に彼と抱擁を交わすと、その場を離れ、

車へと乗り込んだ。

 

走り出す車の中で、ゆきかぜは涙を流し、

隣に座る達郎の手を静かに握った。

達郎は、彼女が落ち着くその時まで、

何も言わず、ただ彼女の手を優しく

握り続けたのだった。

 

     第5話 END

 




不知火が夫と別れたのは、彼女が達郎のハーレムに入るためです。
じゃないと不倫になってしまうので。

また、IFストーリーとして不知火が彼と別れず、彼もまた
ライダーになるストーリーを考えてます。

ヒントは、水城という姓。メカ。平成ライダー2番目の劇場版です。

※2020/10/10 追記

アンケートの結果、不知火は歩夢のハーレムに入る事になりました。
以上でアンケートを締め切らせていただきます。皆様のご協力、
ありがとうございました。

読者様から、不知火を歩夢のハーレムに入れて欲しいと言うのがありました。どちらが良いですか?

  • 不知火は予定通り達郎のハーレムに入る。
  • 上とは別に歩夢のハーレムに入る。
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