~~~前回のあらすじ~~~
橘邸で暮らす事になった達郎、ゆきかぜ、凜子、不知火の4人。彼女たちを仲間に加えた歩夢達はこれまでよりも、一層敵と戦うのだった。そんな日々の中で、不知火は自らを助け出してくれた歩夢に、密かに思いを寄せ始めていた。最初は自分には夫が居た事もあって、節操がなさすぎる、と消極的だった不知火。しかし戦いの中で守られた事もあって、ついに彼女の想いは決壊。さくら達にOKを貰った事もあって、正式に不知火は歩夢のハーレム入りを果たすのだった。
歩夢が不知火たちとHな事をした翌日。
「えぇぇぇぇっ!?お、お母さんが歩夢さんとっ!?」
「うふふ、そうなの」
休日の朝、朝食が終わって全員でまったりしている時、不知火がゆきかぜに、歩夢と交際を始めた事を切り出したのだ。そして不知火の横で、申し訳なさそうな表情を浮かべてる歩夢。彼にしてみれば、離婚したとは言え、夫が居た不知火と情事をしてしまった事は、ゆきかぜを怒らせるのではないかと考えていた。
下手をすれば、歩夢を『自分の父親と母親の間に割って入って来た男』と拒絶される可能性も考えていたのだが……。
「おめでとう、お母さんっ!」
しかしゆきかぜは満面の笑みを浮かべていた。
「え?」
それが予想外過ぎて、呆けた声を出してしまう歩夢。
「あれ?歩夢さんどうしたんですか?」
「い、いや、えっと。ゆきかぜちゃんは良いの?その、もちろん僕にそんなつもりは無いけど、これって僕が不知火さんをゆきかぜちゃんの本当のお父さんから、寝取った、みたいな形になってるって言うか。娘としては複雑じゃないの?」
と、疑問を口にする歩夢。
「う~ん、そうは思いませんけど」
「えぇ?」
しかし帰ってきたのは、予想外にもあっさりとした反応だった。
「私はお母さんが一緒に居てくれて、お母さんが幸せならそれで十分ですから。それに本当のお父さんは1人だけです。……そして、同じくらい。歩夢さんはお母さんを助けてくれて、達郎にも力をくれて。歩夢さんはお母さんの恩人で、私の恩人ですから」
「ゆきかぜちゃん」
笑みを浮かべるゆきかぜに対して歩夢は少し呆然としていた。すると……。
「良かったねアユ兄っ!」
そう言って彼の肩を叩くさくら。
「う、うん。良かったの、かな?」
若干戸惑いながら、歩夢は苦笑を浮かべるのだった。
こうして、歩夢と不知火の中は彼女の娘であるゆきかぜ公認の物となった。
おかげで不知火は、これまでの疼きを取り戻すかのように頻繁に歩夢とセックスをしていた。
今日も今日とて激しい7Pを終えて、全員が汗を流した後。
今は彼女達と歩夢が揃って、歩夢の開発室兼私室の隣に併設された部屋、通称『ヤリ部屋(名付け親さくら)』の大きなベッドの上で裸のまま寝転がっていた。
そんな時。
「ハァ」
ふと、不知火がため息をついた。
「ありゃ?不知火さんどうかしたんですか?」
それに周りに居たさくら達が気づいた。
「何か困り事でも?」
来栖も心配そうに問いかける。
「あ、あぁいえ。ごめんなさい。困り事とかでは無いんです。ただ、ちょっと」
「「「「「「??」」」」」」
少しばかり心配そうな彼女に歩夢やアサギ達は首をかしげた。
「もし、良かったら相談に乗りますけど?」
「う~ん。そう言って貰えるとありがたいですし。では、少しだけ相談させてください」
歩夢の言葉に少しばかり悩んだ後、不知火は彼等に相談をした。
で、その内容と言うのが……。
「『娘が奥手で困ってる』?」
と言う物だった。彼女の言葉をリピートし、アサギが首をかしげる。
「はい。私の娘、ゆきかぜは達郎君とお付き合いしては居るのですが、皆さんも知っての通り、そのぉ、2人とも奥手と言うか。まともにキスもした事が無いと言いますかぁ。お恥ずかしながら2人とも純朴で、そう言う事にはシャイなので。……ゆきかぜは私の子供ですし。達郎君も、もう息子のような存在なので。2人が奥手なのを見ていると、親としてはやはり心配で。何せ私達の仕事がら、危険と言うか、その、口に出すのも憚られるような陵辱が、無いとも限りませんし」
自分の過去を思いだしてか、少しばかり暗い表情で語る不知火。更に過去、陵辱されたり陵辱されそうになった経験のあるアサギ達も、彼女に同意するように真剣な表情を浮かべている。
「そうですね。それも考えると、親としては2人に早く、今よりももっと親密になって貰いたいですよね」
「えぇ」
アサギの言葉に頷く不知火。
すると……。
「う~ん。じゃあ私達で強引にデートでもさせちゃう?」
「「「「「「え??」」」」」」
さくらの唐突な言葉に、歩夢達は皆首をかしげたのだった。
数日後。とある休日。の朝。
「「えぇっ!?で、デートォッ!?!?」」
さくらが切り出した話題に、達郎とゆきかぜの2人は顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「そっ♪折角だからアユ兄と私達。達郎君とゆきかぜちゃんのダブルデートしようって事になったのっ!」
「そ、そんないきなりっ!確かに今日は皆休みですけどっ!」
「そうですよっ!い、いきなり言われても準備がっ!」
顔を赤くしたまま叫ぶ達郎とゆきかぜ。
「だ~か~ら~!準備はこれからするのっ!と言う訳でゆきかぜちゃんっ!」
『『ガシガシッ!!』』
「へっ!?」
気づいた時には、不知火や紗弥がゆきかぜの両肩を掴んでいた。
「おめかし、しよっか?」
「え?えっ?」
ゆきかぜは、さくらの笑みに困惑していた。そして……。
「って事でっ!女性陣はおめかしタイムに入るから~!アユ兄たちも準備しといてね~!」
「ま、待ってぇっ!まだ心の準備がっ!た、達郎助けて~~~!!」
歩夢と達郎は、ズルズルと引きずられながら連行されていく涙目のゆきかぜを茫然と見送る事しかできないのだった。
その後。
「え、えと。それじゃあ達郎君。とりあえず準備、しよっか?」
「は、はい」
我に返った二人も、まだ驚きから抜けきらないまま、外行きの用意を始めたのだった。
それぞれの自室で、念のために自分がかっこいいと思う服装に着替え、リビングで二人して待っている事、数十分。
やがて。
「おっ待たせ~~!」
女性陣が戻ってきた。さくらの声がリビングに響き、歩夢も達郎もそちらに目を向けた。
見ると、女性陣は皆思い思いの私服をまとっていた。しかし、そんな中で達郎の視線は、ゆきかぜに釘付けだった。
今、ゆきかぜは普段の髪型と違い、長い髪をポニーテールでまとめている。そのまとめているシュシュもピンク色。更に服装は白などを基調とし、白の短めなスカートも相まって彼女の日に焼けた小麦色の肌を逆に協調するようなコーデとなっていた。
「ゆ、ゆきかぜ?その恰好って……」
「こ、これはその。さくら先輩たちに、無理やり……」
お互い、顔を赤くしながら会話する達郎とゆきかぜ。
「へへ~んっ!どうよこのコーデッ!可愛いでしょっ!ちなみに服は紗弥ちゃんと来栖ちゃんからの借り物ですっ!」
そう自慢げに話すさくらと、彼女の後ろで笑みを浮かべる紗弥と来栖。
「さぁさぁ達郎君っ!着飾った彼女に言う事、あるでしょ~?」
「うぇぇっ!?」
さくらが煽り、困惑しながらも顔を赤く染める達郎。
「う、え、えぇっと」
「ど、どうせ似合わないって思ってるんでしょ?」
マジマジと達郎に見られ、ゆきかぜは顔を赤くしながらそう言って視線を彼から逸らす。
が……。
「そ、そんな事無いよっ!ゆ、ゆきかぜのポニーテールってなんかその、新鮮でっ!す、すごく、可愛いよっ!」
「ふぇっ!?」
それが、今の彼が思いつく最上級の誉め言葉だったのだろう。顔を真っ赤にしながら殆ど叫ぶように話す達郎。しかし、好いた男に『可愛い』と言われたからだろう。ゆきかぜも驚きながら、顔を真っ赤にしている。
「か、可愛いってそんなのっ!え、えぇとあのそのっ!えっとっ!……あ、ありが、とう」
「い、いえ。ど、どういたし、まして?」
お互い、顔を真っ赤にしながらしどろもどろな会話をしている二人。ちなみにその後ろでは、さくやらアサギ達が滅茶苦茶『ニヤニヤ』していた。
「いや~。初々しいね~♪」
「ホント。見てるこっちが胸やけしちゃいそうよね」
笑みを浮かべるさくらとアサギ。
「「っ!?」」
そして彼女たちに見られていると気づいた二人は、更に顔を赤くしたのだった。
その後。彼らは車2台に分乗して、車で小一時間ほどの距離にある都市へとやってきた。車は都市部へと入り、そのまま都市の中では1、2を争う大きさの複合商業施設へとやってきた。駐車場に車を止め、彼女たちは施設の中へと足を踏み入れた。
「さ~てっ!それじゃ行きますか~!」
先頭を歩くさくらに続いて歩夢達、ゆきかぜと達郎、凛子たちが続く。
そして、彼ら、彼女らはあちこちを巡った。衣類系の店に出向いて、新しい服を見て回ったり、雑貨店に行って部屋を飾る小物や日用品を買い足したり、フードコートへ出向いて少し遅めの昼食を皆で食べたり。
ひと時、戦いを忘れ彼らは日常を謳歌していた。
「ん~~!いや~満喫した~~!」
最後は、たまたまやっていた映画館で映画を見て、それで終わりとなった。今は車へと向かっている彼ら。
「アクション映画も偶にはいいわね。ど派手なアクションを見てるとスカッとするわ」
「いやまぁ、変身したら私達もあれくらいのアクション簡単にできるんですけどね」
映画の内容を思い出しながら話すアサギと紫。
「あははっ」
そんな二人の話を聞き、笑みを漏らす歩夢。
今、彼らは人気のない駐車場を歩いていた。野外の駐車場は、休日の昼間ともなれば満車な事もざらだ。しかし既に日も落ち、時計の針は9時に迫っていた。止まっている車の数は数えるほどしかなく、人影もない。今は等間隔でおかれたライトから漏れるオレンジ色の光が、駐車場を仄かなオレンジ色に包んでいた。
そして、あと少しで車、と言う所で。
『『『『『ピクッ』』』』』
彼ら、彼女らは皆微かに眉を顰め、表情を険しい物にしながら足を止めた。
皆、警戒心を強め、背中を守り合うように背中合わせの態勢で、ゆっくりと手に持っていた買い物袋などを地面に置く。
と、その時。
「けっ。気づかれたか」
疎らな車の影や、街路樹の影、ライトの照らす範囲の外の暗がり。それらから現れた影。それは魔族、オークの群れだった。全員が警棒や棍棒、ロープや槍、鞭らしき物で武装している。
「……何の用だ」
皆を代表するように、歩夢がリーダーらしきオークに向かって問いかける。
「何のようだぁ?はっ!知れた事っ!そこにいる女はあのノマドの頭、エドウィン・ブラックが狙ってるっていうじゃねぇかっ!だったら、捕まえて差し出せば、ノマドに取り入れるかもしれねぇからなぁっ!」
そう言って、下卑た笑みを浮かべるオークのリーダー。それに続く他のオークたち。
「まぁ、あとはそうだな。他の女どもは、捕らえて楽しむって所かぁ?」
「ッ!」
『ギリッ!!』
下卑たオークの更に下種な言葉に歩夢はブチ切れ奥歯を噛みしめる。
「貴様っ!!」
「ははははっ!男二人は殺せっ!女はっ!」
『ドゥンッ!』
捕らえろ。そう言いかけたリーダーの言葉を遮り、銃声が響き渡った。
「あっ?」
そして、リーダーのオークは間抜けな声を、辞世の句として額から血を流しながら倒れた。
「え?」
「り、リーダー?」
他のオークたちは、何が起こったのか分からず、倒れたリーダーの方へと目を向ける。
「えっ!?さ、さくらちゃっ、んっ!?」
今の攻撃を、ガシャコンウェポンの一つ、ガシャコンマグナムの射撃だと銃声で分かっていた歩夢は後ろへと振り返る、が……。
「「「「………」」」」
そこにいたのは、冷徹を通り越してブリザードみたいに冷たい表情で、それこそ汚物を見るような目をしたさくらやアサギ、紫、紗弥、来栖、不知火だった。 そしてその後ろで彼女たちの殺気に怯えた様子のゆきかぜ、達郎、凛子。
『え~~~~?』
こんな状況だというのに、さっきの怒りはどこかへ。代わりに歩夢は心の中で困惑していた。
「一つ、良い事を教えてあげる」
その時、さくらはマグナム片手に歩みを進める。 それに気づいたオークたちが慌てて武器を手にする、が……。
「今、さくらたちは折角の平和な一日の最後を邪魔されて、ご立腹なんだよねぇ~」
「「「「「ひぃっ!?」」」」」
笑っている。笑っているのだが、それは背後に般若が見えるタイプの、相手を威圧する笑みだ。 彼女の殺気に当てられ、オークたちは情けない声を上げる。
更に、さくらの後ろで思い思いのガシャコンウェポンを取り出すアサギ達に、来栖にイクサナックルを渡し、イクサカリバーを取り出す紫。不知火も、紗弥からガシャコンスパローの片方を借り受ける。
そして……。
「だからぁ~~」
さくらはガシャコンマグナムを左手の指先で撫でた直後。
「「「「「ぶっ殺すっ!!!」」」」」
アサギ達と共に女性がしちゃいけない表情で、叫んではいけないセリフ第1のようなセリフを叫んだ。
「「「「「「おらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」」」」
そして直後、どっちがオークだか分からないような雄たけびを上げながら彼女らはオークへと襲い掛かったのだ。
「ひっ!?ま、待てっ!俺達はリーダーに誘われただけでっ!」
「問答無用ぉっ!」
「その首置いてけクソ豚ぁっ!」
「はぁっ!」
容赦なくブレイカーで殴りかかるアサギと、鎌モードのスパローで斬りかかる紗弥と不知火。
「ぎゃぁっ!」
「うぐわぁっ!?」
「どうしたっ!この程度かぁっ!!」
紫のイクサカリバーが煌めき、オークの分厚い胴体が真っ二つにされる。
「く、クソっ!こうなったら人質だっ!あのちびを狙えっ!」
そう言って、オーク数人が近くにいた来栖へと襲い掛かるが……。
「はっ!!たぁっ!」
逆に小柄な事を生かして、来栖はオークの懐に飛び込むと次々とイクサナックルで殴りつけた。
『『バリバリバリッ!!!』』
「ぐぎゃぁぁっ!?」
「あばばばばばばっ!?」
接触と同時に放たれた高圧電流がオークたちを内側から焼く。
「私とて対魔忍の端くれっ!なめてると、痛い目を見ます、よっ!」
『ドゴォっ!』
「ぎゃぁぁぁぁっ!?」
再び繰り出されたイクサナックルの一撃が、オークを打ちのめす。
そして極めつけが……。
「おぅらぁぁぁっ!くたばれぇぇぇぇぇっ!」
『ドンドンッ!!』
「ぐわぁっ!?」
「あがぁっ!?」
マグナムを手に次々とオークを、嬉々とした表情で撃ち殺していくさくらだった。
「は~~~。ど~してこうなったのかな~~」
そして後ろでは、盛大にため息をついている歩夢の姿があった。
「あ、あの。歩夢さん?俺達は、どうすれば……」
更に、この状況で彼女たちのフォローをしようにも、鬼みたいな彼女たちが怖くて前に出られない達郎。 だからこそ彼は歩夢に問いかけた。
「あぁ。うん。とりあえずドライバーとガシャットだけ用意しておいて。助けが必要になったら、変身して援護、って感じなんだけど……」
どこか疲れた目で歩夢はアサギ達の方へと目を向ける。
そこでは、嬉々とした表情でオークたちをズタボロにしている彼女たちの姿があったのだった。
「あれ、援護要らないですよね?」
「だよねぇ」
男二人は、苦笑を浮かべる事しか出来ないのだった。
それから数分後。彼らは、と言うかアサギ達はオークの群れを退けた。辺りには血まみれのオークの屍が散乱していた。
が、いつまでもここにいる事は出来ず、彼らはすぐさま車でその場を離れた。
で、何とか車で自宅まで戻ってきた時の事だった。
とりあえず皆、リビングに集まり息をついていたのだが……。
「………」
何やら深刻そうな表情を浮かべているさくら。
「ねぇ、さくらどうしたのかしら?さっきから何か考え込んでるみたいだけど」
「うん。僕もちょっと気になってるんだけど、不満でもあるのかな?」
「まぁ、折角のデートの最後があれじゃあ、不満もあるわよねぇ」
と、ヒソヒソ話をするアサギと歩夢。
「う~~んよしっ!」
しかし、さくらは次の瞬間何かを決意したような表情で手を叩いた。
「アユ兄ッ!」
「あっ、はいっ!」
突然名を呼ばれ、咄嗟の事で姿勢を正す歩夢。何だろう?と彼が内心身構えていたのだが……。
「セックスしようっ!!」
「……………。ん?」
聞こえてきたのは、予想の右斜め上を駆け抜ける言葉だった。
「なっ、なななっ!?」
「せ、セックスってっ!?」
言葉を聞いていたゆきかぜと達郎が、顔を真っ赤にしながらワナワナと震えている。
「え~っと、さくらちゃん?ごめん。脈絡が無さ過ぎて理解出来なかったんだ。もうちょっと理由を聞いても?」
「理由も何もないよっ!私は今怒ってるのっ!激おこなのっ!せっかくのデートを邪魔されてご立腹なのっ!」
「う、うん。それは分かるよ?でも、なんでそれでセックスになるの?」
「だって~~!私としては良い感じのムードでしたかったんだも~んっ!でもムード台無しだしっ、でもでも中途半端に戦ったせいで体は火照りまくりだしっ!となればもう、お互いを貪り合うような激しいセックスでこの火照りを解消するしかないって訳っ!」
「えぇぇ~~?」
さくらの言葉に、歩夢は冷や汗を流しながら苦笑していた。周りのアサギ達も同じように苦笑していた、のだが……。
「っていうかお姉ちゃんやむっちゃん達はどうなのよっ!セックスしたくないのっ!?」
「うっ」
「そ、それはその」
「いやまぁ、したいかしたくないか、と聞かれればしたい、が」
矛先が向いてきたために、アサギと来栖は戸惑い、紫は恥ずかしそうに漏らす。
「皆だってしたいんでしょっ!?となればやるっきゃないでしょセックスっ!肉欲の宴で、アユ兄のちんこでずぶずぶってセックスしたいでしょっ!?」
「さくらちゃんお願い言葉を選んでっ!!」
下ネタ全開なさくらの言葉に赤面し止めに入る歩夢。そしてそんな彼の近くでは、達郎、ゆきかぜ、凛子の3人が顔を真っ赤にして俯いていた。
「あとそれと、達郎君たちもっ!」
「は、はいっ!」
突然話題を振られ、咄嗟に背筋を伸ばす達郎。
「二人もいい加減付き合ってるんだからしちゃいなよっ!お互い、命がけの仕事してるんだからっ!万が一、変な奴に処女奪われたりしたらどうするのっ!?言っとくけど、それってすっごく悲惨なんだよっ!?」
「うっ、そ、それは……」
現に過去、凌辱によって処女喪失をする寸前だったさくらの言葉は重く、達郎やゆきかぜは赤面していた表情が陰った物へと変わる。
ただ、だからと言っていきなりセックスをしよう、と言う覚悟を二人が持てるわけもなく、二人は迷ったような表情を浮かべていた。
すると、それに痺れを切らしたのがさくらだった。
「あ~~も~~!初々しいけどじれったいっ!お姉ちゃんっ、不知火さんっ!二人をヤリ部屋まで連行っ!私達も行くよっ!」
「えぇっ!?い、行くってっ!?」
突然のことに戸惑う歩夢。
「折角私達もセックスするんだしっ、こうなったら初心で奥手な二人に実際見せて教えてあげるのっ!セックスがどういう物かっ!大好きな人と、愛し合う事がどういうものなのかっ!」
「「っ!!」」
さくらの言葉に、達郎とゆきかぜは息をのんだ。 大切な人と愛し合う、と言う事を。
2人は赤面し、互いの様子を伺っている。
「そうねぇ」
「お、お母さん?」
そこに歩み寄る不知火。
「私としても、いずれ2人がそうなるかな~とは思っていたけど、でも私達の仕事は危険が付きまとう。だからこそ、平和な今のうちに、って言うさくらちゃんの言葉には賛成ね」
「えっ!?」
母たる不知火の言葉に戸惑うゆきかぜ。
「ねぇ、達郎君。あなたはどうなの?」
「えっ?ぼ、僕ですかっ!?」
唐突な問いかけに彼は戸惑う。
「あなたは、ゆきかぜの事が好きなんでしょ?」
「そ、それは、そうですけど」
「じゃあ、ゆきかぜとエッチな事はしたいって思わないの?」
「うっ。そ、それは……」
達郎は声を詰まらせた。やがて……。
「正直、僕はゆきかぜとそういう事をしたい、って思う時はあります。……でも、セックスについて、僕はあまり肯定的になれないんです」
「お互いを愛し合う人たちが、合意の上であっても?」
「……頭では愛あるセックスを、その、歩夢さん達がしているのは分かってます。実際皆さん、幸せそうですし。でも……」
「まぁ、無理もない」
達郎の言葉に紫は同意した。
「対魔忍をやっていれば、凌辱風景など嫌と言うほど見る事になる。そんなものを見ていれば、セックスへの忌諱感を抱いたとしても、何らおかしくはない。そう言う事だろう?」
「……はい」
紫の言葉に達郎は静かに頷き、似たような思いを抱いた経験のある紗弥も同意するように静かに頷いている。
すると、そこにさくらが達郎へと歩み寄った。
「じゃあ、こうしよっか?」
「え?」
「私達とアユ兄で、お手本を見せてあげる」
「お、お手本、ですか?」
「そっ♪愛のあるセックス。純愛で、ラブラブで、甘々なセックスがどういうものか。ただ相手を犯すだけじゃなくて、自分も、相手も満たすラブラブセックスを達郎君と、ゆきかぜちゃんに教えてあげるっ。それでもダメ?」
「………」
達郎は、迷いの表情を浮かべ、ゆきかぜへと視線を向けた。
「ゆきかぜ」
「な、なにっ?」
彼女は赤面しながらも答える。
「僕は、いや。俺は、ゆきかぜと、その、エッチな事がしたいっ」
「ッ!」
「俺は、ゆきかぜを守るって決めたけど、本当は、もっと深い所で、ゆきかぜと一つになりたいって、そう思ってた」
「達郎」
赤面しながらも、彼女はただ、彼の言葉を聞き、周囲も静かにそれを見守っていた。
「でも、不知火さんの一件があって、ゆきかぜがエロいことをどう思ってるか、不安だった。俺からしたい、なんて言ったら、嫌われるんじゃないかと思ってる自分が居た。『不知火さんを凌辱した男たちと同類なんじゃないか?』って思われるのが、怖かったんだ」
達郎はギュッとこぶしを握り締める。
ゆきかぜの母、不知火はヨミハラにて、性的な凌辱を受けていた。当然、娘であるゆきかぜにとって、母を凌辱した男たちなど許せるわけがない。 そんな彼女に、自分からエッチな事がしたい、などと言ってしまうと、嫌われるのではないか? そんな不安が、達郎の中にずっとあった。 だからこそ、達郎はゆきかぜに対して、奥手になっていたのだ。
と、その時。
「バカッ」
「えっ?」
不意に聞こえた罵声。しかしそれに怒りや軽蔑の類は無く、むしろ、呆れているようだった。
聞こえた声に達郎が、俯いていた視線を上げると……。
『チュッ』
「んむっ!?」
いつのまにかゆきかぜの顔が眼前まで迫っていた。そして彼女の唇が達郎の唇を塞いだ。キスだ。
数秒して顔を離すゆきかぜ。
「ゆ、ゆきかぜ?」
「達郎がさ、そんな最低な奴らとは全然違うの、私知ってるんだからね?」
戸惑い、顔を赤らめる達郎と、同じく顔を赤くしながらも笑みを浮かべるゆきかぜ。
そして、彼女の言葉を聞いた達郎は、再びギュッとこぶしを握り締めると……。
「ゆきかぜ。俺、ゆきかぜと、エッチな事、したい。もっと、深い所で繋がりたい」
「うん」
彼女は、顔を赤くし、瞳を潤ませながら頷く。
「……俺に、君を抱かせてくれ」
「うん、良いよ」
お互い、恥ずかしい告白で顔は真っ赤だが、二人とも、お互いの視線だけは外さず、見つめ合いながら頷く。
が……。
「よ~しそうと決まればヤリ部屋に直行だ~~!」
「「えぇっ!?」」
折角いい雰囲気だったのに、さくらの一言で台無しだ。さくらの隣で『あちゃ~~』みたいな表情を浮かべる歩夢にアサギ達。
「じゃあ皆行くよ~~!今日は宴だ~~!肉欲の宴だ~~!」
「ちょちょちょっ!?」
「さくらさんっ!?」
さくらは赤面しているゆきかぜと達郎の手を引いて地下へと向かう。アサギや歩夢たちも、やれやれと言った表情ながらも3人を追う。
だが……。
「達郎」
そんな中で一人、凛子だけが寂しそうな表情を浮かべているのだった。
第7話 END
次回は歩夢達や達郎たちのH回になる予定です。ちなみにスワッピングなどは一切行いません。コメントや評価、お待ちしております。