※この作品はR-18です。

対魔忍アサギ~~風の騎士・風魔~~   作:ユウキ003

7 / 21
今回からは、対魔忍ムラサキをベースにした、
八津紫の救済の話です。
ただ、私は対魔忍シリーズのゲームをほぼ未プレイなので、
知識のソースはwikiや、ムラサキをベースにした
アニメ版の魔界騎士イングリッドなので、
所々おかしな点があると思います。
ご了承下さい。



第2章 対魔忍ムラサキ編
第1話 新たな戦い


~~第1章のあらすじ~~

妖魔と人間が共存する近未来の日本。人と妖魔は

不干渉を暗黙のルールとしていたが、実際には

妖魔と悪人が結託した闇の組織や企業が

無数に存在し、人々の平和を脅かしていた。

そんな闇の組織と戦う人々がいた。それが

『対魔忍』である。

そんな中、元女対魔忍であり現在は引退していた

女性、『井河アサギ』は恋人の『沢木恭介』との

日々を過ごしていた。しかしかつてアサギに敗れた

宿敵、『朧』は組織、『ノマド』と結託しアサギを

捕えてしまう。

肉体改造や地獄のようなレイプを受けるアサギ。

一方で、アサギの妹である『井河さくら』は

アサギ救出の為ノマドの施設、『カオス・アリーナ』

へと侵入するが、妖魔となった沢木によって

捕えられてしまう。

そしてさくらにも改造が始まろうとしていたとき、

突如として施設を謎の集団が襲撃。

その集団を指揮していたのは、かつてアサギと

さくらが実の兄のように慕っていた幼なじみの

『橘歩夢』だった。

さくらを救出した歩夢は、すぐさまアサギも

救出。そこへ朧、妖魔となった恭介、オーク達が

現れるが、歩夢は彼自身が開発した装備、

マスクドライダーシステムの力で

『仮面ライダー』へと変身。

激闘の末に妖魔となった恭介、朧らを倒すのだった。

 

その後、歩夢は自らのこれまでと二人を守る決意を

固め、二人を千葉のセーフハウスへ招きそこで

3人は共同生活を始めながら対魔忍として、

仮面ライダーとして妖魔との戦いに赴いていた。

 

 

~~カオス・アリーナでの激闘から少し後~~

ある日の橘邸。

 

そこでは、3人の男女が暮していた。

『ジュ~~ッ』

朝早く、エプロン姿でキッチンに立ち、

調理をしている青年にして、この家の

家主とも言える男性、『橘歩夢』。

そのすぐ側のダイニングでテレビの

ニュースを見ている女性、『井河アサギ』。

「おはようアユ兄。お姉ちゃん」

そこへ、二人目の少女、アサギの

妹でもある『井河さくら』が

やってきた。

 

歩夢、アサギ、さくら。この3人がこの

家で暮していた。

「おはようさくら」

「おはようさくらちゃん。もうすぐ

 朝ご飯出来るからちょっと

 待っててね」

「は~い」

そして、しばらくするとワゴンで朝食を

運んできた歩夢が皿をテーブルの上に

並べていく。

 

「良しっと。二人とも~、準備出来たよ~」

「は~い」

歩夢の声にさくらが頷くと、彼女とアサギは

テーブルに着く。

「「「いただきます」」」

3人揃って手を合わせ、共に食事を取るのだった。

それは、仲睦まじい3人兄姉のようだった。

 

そんなある日。

「郵便で~す」

「あ、は~い」

休日という事もあって、リビングで

のんびりしていたアサギの耳に外から声が

聞こえてきた。

外に出ると、郵便配達員の男性がいた。

「あっ。どうも~。え~っと、こちらに

 井河アサギさん、と言う人が居ると

 思うんですけど」

「あ、私です」

「あぁそうでしたか。それじゃあこれ、

 お届け物です」

と言って差し出された箱を受け取るアサギ。

そして彼女は箱の差出人の欄を見て

一瞬目を細めた。

「それじゃあ、ここに受け取りのサインを」

「あ、はい。ご苦労様です」

しかしアサギはすぐさま平静を装い、笑みを

浮かべながらサインをする。

そして郵便配達員が去って行くのを見送ると

アサギはすぐさま家の中に戻った。

 

そして、すぐさま壁際の柱に偽造されている

端末にコールボタンを押したアサギ。

これは家の中に居る者に対し、すぐさま

招集する合図だ。

アサギは歩夢の執務室から地下へと降りる。

「お姉ちゃん、どうしたの?」

そして地下に着いたエレベーターの扉が

開くと、そこにはラフな私服姿のさくらが

待っていた。

「ごめんさくら。どうやら急用みたい。

 これを」

そう言って、さっき受け取った箱の欄を

見せるアサギ。

 

「ッ!この住所から届く物って、確か……」

「そう。この荷物はあくまでもカバー。

 中に手紙か何か入っているはずよ。

 歩夢は?」

「今私室で色々やってるはず」

「アサギ、さくらちゃん」

と、通路で離していると奥から

歩夢が現れた。

 

「どうかしたの?」

「歩夢、里の方から連絡が来たわ。

 今の私達の連絡手段の一つとして、

 こういった贈り物に偽造して

 命令書や手紙なんかが届くの。

 そして、ここに載っている住所は、

 『可及的速やかに内容を確認せよ』。

 と言う意味よ」

「ッ。……わかった。とりあえず僕の部屋で」

「えぇ」

 

そして3人は歩夢の私室に集まると箱を

開け、中を調べた。

中に入っていたのは、何て事ないお菓子の

箱だった。そしてその箱の内側に、本命の

封筒が隠されていた。

「アサギ、あったよ」

そう言って、見つけた封筒をアサギに差し出す

歩夢。アサギはすぐさま裏面を確認し

驚いた。

「差出人は、『八津 九郎(くろう)』」

「えっ!?八津九郎って、確かむっちゃんの

お兄さん!?」

「八津、さん?アサギの知り合い?それに

さくらちゃん、むっちゃんって?」

身に覚えの無い名前に問い返す歩夢。

「えぇ。彼は今伊賀の対魔忍の一派に属する

 対魔忍よ」

「むっちゃんって言うのはその九郎さんの妹の

 『八津 紫』ちゃんの事なんだよ。紫ちゃんは

 私と同い年の対魔忍なの。歳もタメだったから

 最近里で仲良くなったんだけど……」

「けど、どうして彼からこんな……」

と、呟きながらも封筒の封を切り中の手紙を

取り出すアサギ。

 

そして彼女は内容を声に出して読み始めた。

 

「突然の連絡驚かれたと思うが、どうか許して欲しい。

 実は折り入って頼みたい事があって、この手紙を

 送った。……」

 

『実は、俺の妹が今ノマドのある人物について

 調査をしている。その男の名前は『桐生佐馬斗(さばと)』。

 ノマドに属する魔界医(まかい)だ。この男は少し前の

カオス・アリーナ殲滅作戦で俺の妹、紫が

首を切り殺したはずだった。しかしその桐生が

生きていると言う情報が入り、紫は確認と

その情報が真実であった時もう一度桐生を

倒すように命を受けて調査に向かった。

しかし俺には、この情報を臭いと感じている。

妙な胸騒ぎも絶えない。

俺は今別の任務で動けない。頼む。

妹を、紫を助けてやってくれ』

 

「……」

手紙を読み終え、しばし3人は沈黙する。

「……二人はどうする?」

やがて、歩夢が静かに口を開いた。

「私は、行くべきだと思う」

と、進言するさくら。

「桐生佐馬斗って、確かお姉ちゃんの、

 その、改造とかにも関わってた男、

 だよね」

「……えぇ。歩夢があの施設で回収してくれた

 データの中に、顔と名前があったわ」

アサギは、静かに手紙を持つ手に力を込める。

あそこに居た、と言う事はアサギにとって

恋人、沢木恭介を妖魔に変える行為に

加担していた可能性のある人物。つまり、

彼女の復讐のターゲットになりえる人物だ。

 

「……この八津紫ちゃんが仮に捕まった

 のだとしたら、表現としてあれだけど、

 カオス・アリーナでの、アサギのように……」

と、言いかけて口を紡ぐ歩夢。

 

カオス・アリーナでアサギは、肉体の感度を

3000倍にまで強化されるという改造を施された

上でオーク達の慰み者にされた。

歩夢が救出しなければ、更にもっと酷い

地獄が待っていただろう。

 

「それに、その桐生が沢木さんの妖魔化に

 関わっているのだとしたら、僕にも

 桐生を倒すだけの理由がある。

 けどそれだけじゃない。その紫ちゃんが

 妖魔によって慰み者にされるのは、

 男として、仮面ライダーとして

 見逃せない」

 

歩夢の言葉に、アサギとさくらが頷く。

そして……。

 

「行こう。八津紫ちゃんを助けに」

「えぇ」

「うん」

 

こうして、3人は動き出した。

 

 

夜、魔都東京のビルの一角に、対魔忍スーツを

着込んだアサギとさくら。そして、仮面ライダーに

変身している歩夢が立っていた。

そして、3人の見つめる先、東京湾に島が

浮かんで居た。

 

『東京キングダム』

かつて政府が主導して行われた、東京湾内の

人工島建設計画。その計画で生まれたのが、東京

キングダムだ。

しかし、海上に浮かぶ東京キングダムへはヘリを

使った空路の他に、本島とキングダムを繋ぐ道が

一本だけと、交通の便の悪さから人々は

すぐさまここに対する興味を失った。対し、

ここへ移り住む者たちがいた。

日陰者達だ。マフィアやヤクザ、薬物中毒者、

娼婦などだ。そして、その者たちと結託している

妖魔もまた、ここに潜んでいる。

言わば、悪人と妖魔が潜む闇の無法地帯。

この国で、1、2位を争うほど危険な場所だ。

故に、桐生のような人間が隠れるのには絶好の

場所だ。

 

「東京キングダム。……さながらこの国の

掃溜め、か」

遠くに見える、その光を見ながら仮面ライダーは

呟く。

「……行きましょう」

そして、アサギが呟くと仮面ライダーは

彼女の方を向きながら、ガシャットを取り出した。

 

『ジェットコンバット!』

『ガッチョーン』

ガシャットを起動し、ドライバーを

一旦閉じるライダー。

 

「変化、三の巻」

『ガシャット!ガッチャーン!』

 

『レベルア~ップ!マキマキ!竜巻!

 ハリケーンニンジャ~!アガッチャ!

 ジェット!ジェット!イン・ザ・スカイ!

 ジェット!ジェット!ジェットコンバ~ット!』

 

仮面ライダーは、出現したコンバットゲーマと

合体し、コンバットニンジャゲーマー・

レベル3へと変身した。

 

そしてアサギとさくらが彼に近づくと、ライダーは

二人の腰に手を回し、背面のエアフォース

ウィンガーで離陸。二人を抱えて東京キングダム

へと向かった。

 

そして、数分後。3人はとあるビルの一角に

降り立った。

ライダーは、ジェットコンバットガシャットを

抜き取り、レベル2へと戻ると、周囲に

多数の忍者プレイヤーを召喚した。

すぐさま周囲に散っていく忍者プレイヤー達。

「アサギ、さくらちゃん。僕達も」

「そうね。まずは桐生佐馬斗か紫に関する

 情報を得ましょう。私はさくらと行くわ」

「OK。じゃあアユ兄、あとでね」

 

そう言うと、アサギとさくらも夜の闇に

消えて行き、それを見送ったライダーも

街の中へと消えていった。

 

その後、ライダーは新しく自らに装備した

システム、光学迷彩を使って街中へと

繰り出し、妖魔が集まっていそうな

街角を見つけては、ライダーとなって

強化された視力と聴力を使って

桐生か紫を探しつつ、二人に関する会話を

探っていた。

 

その時だった。

「なぁおい聞いたか?一昨日対魔忍の女が

 捕まったらしいぞ」

「マジか!俺らもやりてぇなぁ!」

「ッ!」

ライダーの耳に、望んでいた情報が

飛び込んできた。

そして、彼はすぐに声の元へと飛んだ。

 

それは、ライダーのいた場所から10

メートルと少し離れた、路地裏でオーク2匹が

女をレイプしていた時の会話だった。

 

ライダーはすぐさま、右手に改良型の手裏剣型

エネルギーを2枚作り出し、投擲した。

『シャッ!』

『ドドッ!』

「「ぐがぁっ!」

オーク達の体を電流が走り、気絶させる。

そして、ライダーは強引にフェラを

させられていた事で嘔吐いていた女性の

側に着地し、膝を突いた。

「大丈夫ですか?」

「う、げほっ!げほっ!あ、ありがとう、

 ございます」

「ここは危険です。すぐに逃げて下さい」

「は、はい」

女性は、乱れていた服装を直すと走り

去っていった。

 

そして、一人残ったライダーは、すぐさま

近くにいる忍者プレイヤー達を招集し、

更にアサギ達へと連絡を繋げた。

 

「アサギ、さくらちゃん。こっちは 

 紫ちゃんの居場所を知っている可能性

 のある妖魔を2匹捕えた。一旦

 合流しよう」

『分かったわ。それと、こっちも気になる 

 情報を手に入れたわ。合流した後で

 話すけど、場所は?』

「僕達が着陸したビルは廃ビルで誰も

 いなかった。そこで合流しよう」

『了解』

 

通信を切り、ライダーは合流した

プレイヤー達と共に気絶した妖魔を

2匹、担いで夜の闇の中を駆けていく。

 

そして、ビルに先に到着したライダーは

用意していた強化素材のロープで妖魔を

縛り上げ、それを監視していた。

それから数分後。

「アユ兄」

窓から静かに、アサギとさくらが入ってきた。

「アサギ、さくらちゃん。無事だった

 みたいだね。……どうだった?」

「それが、桐生佐馬斗について妙な噂を

 耳にしたわ」

「妙な噂?」

アサギの言葉に首をかしげるライダー。

「えぇ。何でも、桐生はノマドだけでは無く、

 龍門にも通じているかも、との事だったわ」

「龍門。確か中華連合の犯罪組織の一つの。

 けど、確か龍門は……」

「えぇ。ノマドの敵対組織よ」

「けどねアユ兄。実はこの情報には続きがあるの」

「続き?」

「うん。何でもノマドは、組織を裏切った桐生を

 処刑するために、女魔界騎士を派遣したって」

「けれど、その魔界騎士は返り討ちに合い、

 桐生に捕えられた、と。けど重要なのは

 その魔界騎士の立場よ。聞いた話では、

 あのブラックの側近の女、と」

「ッ!?エドウィン・ブラックの、側近!?

 まさか、考えたくは無いけど……。

 その魔界騎士を救出するためにブラックが

 直々に出張ってくる可能性も……」

「えぇ。否定は出来ない」

と、静かに答えるアサギ。

 

「……三つ巴だね」

そして、静かに呟くさくら。

「桐生佐馬斗と龍門、ブラックのノマド。

 そして、私達。……どうするのアユ兄」

「……今の僕には、まだブラックを

 倒せると言う確証が無い。

 ドラゴナイトハンターZガシャットも、

 今は持っていないしね」

そう言って、ライダーは左腰元のスロットに

手を添える。

「出来る事なら、ブラックとの対決は避けたい」

「そうね。それで、どうするの?」

そう問いかけるアサギ。

 

「……主目的は変わらないが、優先度を設けよう。

 最も優先するべきは、紫ちゃんの救出と、

 この東京キングダムからの脱出。桐生の

 事は、その時次第だね。もしも桐生を倒せると

 判断すれば、倒す。けどブラックやそれ並の

 強さの敵が出張ってくれば、迷わず撤退する。

 ……無理に桐生を狙って命を落とすのは

 避けたい」

「つまり、むっちゃんを助けたら、場合によっては

 島から即行で脱出、って事だね。アユ兄」

「うん。アサギも、それで良いかな?」

「……桐生には借りがあるけど、そうね。

 無理をして敵にやられるのは避けたいわ。

 私も歩夢の判断に従うわ」

「ありがとう」

 

と、話をしていた時……。

「ウッ、ウゥッ」

オーク達が呻きだした。

それを見て、3人はうなずき合う。

「う、うぅ、ここは……」

そして、オークの一人が目覚めた時。

「ここは廃ビルの中だ。オーク」

完全に顔を隠していないアサギとさくらは、

部屋の外に出し、完全に顔を隠している

歩夢、ライダーが尋問を行う事になった。

 

もっとも、彼にとっては二人に汚れ役を

させたくなかったから、だが。

 

静かにオークの眼前に立つライダー。

「て、テメェは!?仮面ライダー!?」

「ほう?僕を知っていたか。なら話は

 早い。お前、さっき捕まった対魔忍について

 話をしていたな。言え。その対魔忍に

 ついて貴様が知っている事全部」

「はっ!誰がお前に何か!」

「……そうか。なら……」

『ズバッ!』

「ッ!?ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」

いつの間にか、ライダーの右手に握られていた

小太刀がオークの左足を切り飛ばす。

「グッ!がぁぁぁぁぁぁっ!」

わめき、体を揺らすオーク。

 

「言え。喉を潰したわけじゃないんだ。

 喋れるはずだ。その女対魔忍について、

 知っている事を話せ。さもないと、

 次は腕を……」

「わ、分かった!分かったよ!話す!

 や、奴は島の中央にある龍門のビルに

 潜入して捕まったって話を聞いたんだ!

 又聞きだから今はどこにいるか知らねぇ!

 ホントだ!」

「……そうか」

「な、なぁ!これで良いだろ!?話したん

 だから命ばかりは――」

『ズバッ!』

次の瞬間、オークの首をライダーが

切り飛ばした。

『ビシャッ!』

溢れ出た血が、ライダーの体を汚す。

 

そして……。

「おい。狸寝入りならそこら辺にしておけ。

 貴様、震えているぞ」

隣で縛られていたオークが、ガタガタと

震えていた。そう、こっちのオークも

途中から起きて、話と流れを聞いていたのだ。

「お前も話して貰おうか。知っている事を」

そう言って、喉元に小太刀の切っ先を

突き付けるライダー。

「お、俺は何も知らねぇ!女の対魔忍が

 捕まったって聞いたのも、さっきが

 始めてだ!」

「……そうか」

『ズバッ!』

ライダーは、もう一匹が情報を知らないと

見るや、首を切り飛ばした。

再び妖魔の血がライダーに降りかかり、

周囲に血の池を作る。

 

「……。アサギ、さくらちゃん。もう良いよ」

彼が声を掛けると、外にいた二人が

入ってきた。二人とも、歩夢を

心配そうな目で見つめる」

「歩夢、あなた大丈夫?私達だって、

 尋問くらい」

「良いんだ、僕は」

そう言うと、彼は躊躇いつつも振り返った。

 

「血を被る覚悟くらい、とっくの昔に 

 出来ているから。二人を護ると誓った、

 あの日から」

 

『『キュンッ』』

歩夢の言葉に、彼女達は心を高鳴らせ、

顔を赤くする。

「も、もうアユ兄!こ、こんな時に

 そんな事言われたら、こ、興奮

 しちゃうよ~」

「えっ!?そうなの!?」

と、顔を赤くするさくらの言葉に、

戸惑う歩夢。

「んんっ。二人とも、そう言うのは

 後になさい」

と、注意するアサギも若干顔が

赤かった。

 

そして、落ち着いた後。

「こほんっ」

咳払いをして気分を切り替えるライダー。

「それじゃあ、まずはさっきの妖魔が

 言ってた龍門のビルに潜入してみよう。

 もしかしたら、紫ちゃんと桐生は一緒に

 いるかも知れない。いないとしても、

 何かしらのデータが残っているかも。

 なので、目的は二人の居場所を示す 

 データの発見。可能であれば紫ちゃんの

 救出と、桐生の討伐。但し、討伐に

 関しては無理をしないこと」

歩夢の言葉に頷く二人。

「それじゃあ、行こうっ」

 

そして、3人は中心部にあるビルへと、

駆け出した。

 

そして、3人はものの見事にビルへと侵入に

成功した。

「……こっちへ」

3人は歩夢を先頭にビルの中を進んでいく。

そして……。

『キィッ』

僅かに開いた扉から、部屋の中の様子を

伺うライダー。その部屋は、このビルの

警備員の詰め所であったが、中にいたのは

数体の妖魔と、悪人面の男達が居て、

嫌がる女性数人をレイプしている所だった。

「ッ!あいつら……!」

怒りを露わにして飛びだそうとする

さくら。しかしそれをライダーが

制止する。

「……プレイヤーを召喚し、一気に

 妖魔と人間達だけを倒す。

 合図に合わせて」

彼がそう言うと、二人は頷く。そして、

ライダーは背後や周囲を警戒しながら、

忍者プレイヤーを10人ほど召喚する。

「行くよ。3……2……1……0ッ!」

『バンッ!』

ライダーが蹴破り大きく開け放たれた扉から、

瞬く間にアサギ、さくら、忍者プレイヤーが

飛び込む。

「な、なん、ギャァッ!」

「グォォッ!」

女を汚す事に夢中だった妖魔と男達は、

瞬く間に切り裂かれ、床に倒れ伏す。

そして、それを確認した彼女達は震えている

女性達の方へと歩み寄る。

 

「大丈夫です。落ち着いて下さい。我々は

 あなた方に危害は加えません」

手を上げ、落ち着けさせようとするライダー。

そんな中。

「あっ。あなたって、もしかして、

 仮面、ライダー?」

「え?」

突然の事に戸惑うライダー。

「わ、私、聞いたことがあるんです。

 夜な夜な、化け物が女の人を襲ってて。

 でも、助けてくれる人が居るって。

 そ、その人が、仮面ライダーと

 名乗って、去って行くって」

 

それは、日々歩夢がしていた事だ。

魔都、東京で一人でも妖魔による

被害者を減らすためにと活動していた事。

それが今、噂となっていたのだ。

そして……。

 

「はい。僕がその仮面ライダーです。

 だから、安心して下さい」

そう言うと、ライダーは周囲を見回し、

毛布を見つけると、一人一人女性に

優しく掛けていった。

 

「私達、もう、ダメかと……」

「大丈夫です。僕達が必ず、皆さんを

 ここから救出します」

歩夢は、マスクの下で微笑んだ。

そして女性達は、顔が見えずとも、

その仮面の下で彼が優しく微笑んでいる

事を理解した。

「あ、ありがとう、ございます」

そして、歩夢の言葉に、女性達は涙を

流す。

彼女達も、妖魔や悪人達の被害者だ。

だからこそ、歩夢は彼女達を助けようと

思って居たのだ。

 

歩夢は、泣きじゃくる女性達の背中を

優しくさすり、落ち着かせる。

それを見ていたアサギとさくらも、

口元を覆っていたマスクを外し、女性達

をなだめる。

 

そして、そんな彼女達を前にした歩夢

は密かに、決意をより大きな物へと、

変化させていた。

アサギとさくらだけでは無い。この国

では、妖魔に蹂躙されている人々が

数多く存在する。女性ならば、尚更だ。

歩夢には、それが許せなかった。

一体何の権利があって、妖魔は人を

襲い、犯すのか。

人々の平和を、時に大切な人を奪っていく

妖魔に、歩夢は怒りの炎を滾らせていた。

 

そして今、歩夢の中で、怒りの炎を糧に、

『正義の炎』が覚醒しようとしていた。

 

誰かを守る為に戦う。

 

そんな意思が、歩夢の中で生まれていく。

 

そして歩夢は今正に、『真の仮面ライダー』

として覚醒しようとしていたのだった。

 

 

さて、唐突ではあるが、英雄とは何だろうか?

それは、個人が自らに付ける称号ではない。

英雄とは、人々に英雄だと認められるからこそ、

後世まで英雄として語り継がれるのだ。

つまり、英雄とは正義の道を行き、人々に

その姿を鮮明に、鮮烈に焼き付けた者たちを

指すのだ。

 

そして今、歩夢の知らぬ所で、その英雄を

語る伝説が始まろうとしていた。

 

悪意ある者から、力無き者達を守り抜き、

決して人前では素顔をさらさず、富も、栄誉も

求めず、ただひたすら、悲しみと絶望の

淵にある者へと手を差し伸べる、英雄たちの

物語。

 

『仮面ライダー伝説』は、今正に始まろう

としていた事を、歩夢達は知らないのだった。

今は、まだ。

 

   第2章 第1話 END

 




本当はもう少し先まで行くつもりだったんですけど、
場面が良かったので区切りました。
次回で紫は助けられるかも知れません。
加えて、『彼女』も……。
感想や評価、お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。