※この作品はR-18です。

対魔忍アサギ~~風の騎士・風魔~~   作:ユウキ003

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今回は桐生との決戦です!


第3話 鋼鉄の拳

~~前回までのあらすじ~~

桐生に捕えられた紫を救出するために

龍門のビルに潜入したアサギ、さくら、

ライダーの3人。3人は龍門に捕えられて

いた一般人の女性数人を保護した。

その後、ライダーは女性達を守る為に

龍門のビルから離れたアサギ、さくらと

別れ紫と桐生を探していた。そんな中、

ライダーは桐生に捕えられていた

魔界騎士、イングリッドがレイプされている

現場に遭遇。彼女の涙を見たライダーは、

イングリッドを救出し、一時的に共闘

する事に。更にその後、紫を救出した

ライダーは紫とイングリッドの武器を

探索し、無事に発見する。

そして、武器を取り戻した紫、イングリッド

と共に、ライダーは桐生佐馬斗と

戦うのだった。

 

「はぁっ!」

ライダーの双剣が、流れるようにオーク達の

体を切り裂いていく。忍者プレイヤー達も、

オークや悪人達を相手取り、優勢のまま

戦っていた。

「おぉぉぉぉぉぉっ!」

イングリッドも、ダークフレイムを手に

妖魔と戦う。

だが……。

「くっ!?」

今の彼女は、桐生に投与された媚薬が

抜けていない状態。完全とは言えない

状態だった。

媚薬の効果でフラつき、膝を突くイングリッド。

「今だぁっ!やれぇぇぇぇっ!」

そこに、イングリッドを押さえ付けようと

数人の悪人が襲いかかる。しかし……。

 

「させないっ!」

ライダーが叫び、複眼が光を放つ。

彼、ライダーから送られた指示に

従い、数人の忍者プレイヤーが

イングリッドのフォローに入る。

数体がイングリッドを護り、更に数体が

悪人どもを切り裂く。

 

「ッ。お前達は……」

「僕とプレイヤー達がフォロー

 する!その代わり、トドメを

 頼みます!」

「ッ」

イングリッドは、彼の言葉に驚いた。

その声に、信頼の感情が浮かんで居た

からだ。

 

出会って数時間の、敵同士である

彼女に、だ。

それがイングリッドにとって驚き

であった。

 

「ふっ、お人好しめ」

 

そして彼女はそんな彼に笑みを浮かべ

ながら立ち上がった。

 

「良いだろう!ならばこの場限りの

 その信頼、助けられた恩義も含めて、

 貴様の意思に答え今は共に戦おう!」

 

そう叫ぶと、イングリッドは忍者

プレイヤー達と並んで駆け出す。

 

一方、紫も……。

「はぁっ!」

両刃斧を振り回し、オークや悪人共を真っ二つ

に切り裂いていく。

そして、オークや悪人の壁を越えた紫の

前に、桐生が現れる。

「桐生、覚悟っ!」

斧を手に斬りかかる紫。

しかし、彼女と桐生の間に割って入った

ケルベロスのような化け物、『ナベリウス』が

割って入り、突進。紫とぶつかり合い、

彼女を押し返した。

「くっ!?」

空中で回転し体勢を整え着地する紫。

 

「ふはははははっ!無駄だ!こいつは

 ナベリウス!あのエドウィン・ブラックの

 細胞より作り出した生物兵器!お前達

 のちゃちな武器では倒す事など、

 出来はしないぞ!」

「ッ!?ブラック様の、細胞だと!?

 まさか貴様、それを手にするために

 ノマドに!?」

「そうだ!そして、このナベリウスには

 エドウィン・ブラックを殺すためだけに

 作り出した特別製の毒を持たせてある!

 だがそれを差し引いても、こいつの

 防御力はブラック並!貴様らにナベリウスは

 倒せはしない!ふはははははっ!」

 

高笑いを浮かべる桐生。更に紫の周囲を

数人の悪人達が取り囲む。

「くっ!?はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

紫は、周囲の悪人達を切り倒していく。

だが……。

『ギュルルルッ!』

「しまっ!きゃぁぁっ!」

背後から迫ってきた桐生の触手に

捕えられてしまう紫。

「くくくっ。貴様に投与した媚薬の力は

 まだ抜けきっていまい。そんな貴様なぞ」

『ヌルンッ』

「うぅっ!」

触手が、服の中に侵入し彼女の乳房を撫でる。

今の紫は、それだけで声を抑えるのが

やっとな状態だった。

ゲスな笑みを浮かべながら、桐生は触手で

紫の服を破こうとする。だが……。

 

『キメワザ!』

 

突如として電子音声が響く。

 

『ハリケーンクリティカルストライク!』

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

次の瞬間、渦を巻くエネルギーが濁流の如く

紫の周囲の妖魔と、彼女を拘束していた

触手をバラバラに切断する。

「あぅ」

 

媚薬の影響か、フラつく紫が倒れそうに

なる。

しかし……。

『ギュッ』

「彼女に、その薄汚れた触手で触るな。外道」

倒れそうになる紫を左手で優しく抱きかかえ

ながら、ライダーは右手で小太刀を逆手持ち

で構える。

 

「……」

紫は、頬を赤く染めながら仮面ライダーを

見上げる。

しかし……。

「ふ、ふはははははっ!威勢が良いな

仮面ライダー!だが貴様にナベリウスは

倒せるとでも思って居るのか!?」

 

「……倒すさ」

紫をゆっくりと離しながら、左手に小太刀を

抜き構えるライダー。

彼の、殺気と闘志が入り交じったオーラが

更に濃密になる。

 

「倒せるか倒せないかじゃない。

 お前は、ここで倒す。それだけだ」

 

ライダーは右手の小太刀を桐生に向け、

突き付ける。

そして……。

「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

ライダーは猛然と桐生に向かって突進する。

 

『ガルルルルルッ!』

その前にナベリウスが立ちはだかり、三つの

首が、ライダーに噛みつこうとする。

『ギギギンッ!』

しかし、ライダーの背後から現れたプレイヤーが

その口を小太刀で受け止めた。

 

ライダーはスライディングでナベリウスの

下をくぐり抜けると、すぐさま飛び上がり、

桐生に斬りかかった。

「はぁぁぁぁぁっ!」

『ズバッ!』

「ぐあぁぁぁぁぁっ!」

 

肩から脇腹に掛けてを一閃。紫色の血が

周囲に飛び散る。

だが……。

「ふ、ふふふっ!この程度!」

傷がすぐさま塞がり、立ち上がる桐生。

「妖魔の力を持つ俺に、貴様等の力など

 無力だ!この俺の才能の前に、死ね!

 仮面ライダー!」

服の下からいくつも触手が現れ、ライダー

へと向かう。

 

「はぁっ!」

ライダーは手から手裏剣型エネルギー弾を

投げ、それを破壊しながら後ろへ飛んだ。

 

もう一度踏み込み、一閃。今度は十字を

描くように切り裂くが、これも再生される。

「くっ!?」

「ふはははははっ!無駄だ無駄!この俺は

 不死身だ!これまでの実験体たちと

 同じように、俺の才能を表現する

 土台となれ!」

叫ぶ桐生。

 

しかし、ライダーにはそれ以上に

気になる単語が混ざっていた。

 

実験体という単語が………。

 

『ズバズバッ!』

ライダーは、襲い来る触手を切り裂く。

「どういう、意味だ」

「ん?」

 

「実験体とは、どういう意味だっ!!!」

 

その時、ライダーは、いや、歩夢は

怒りを滲ませながら叫んだ。

 

「ふんっ。何を聞くかと思えば。

 だが冥土の土産に教えてやろう。

 実験体とは俺が妖魔と合体するための

 研究に使った人間達の事さ」

 

「ッ!!!!」

その言葉に、ライダーは拳を振るわせる。

 

「妖魔と人間を融合させるためのデータを

 取るために、実験としてオーク共が

 誘拐してきた人間を使ってやったのさ。

 おかげでこうして俺がここに居られる、

 と言う事さ。ふ、はははははははっ!」

 

高笑いを浮かべる桐生。

 

しかし、それは『火に油を注ぐ』という行為

そのものだった。

 

「貴様。……沢木、恭介という男性を

 知っているか?」

「……何?」

「数ヶ月前ッ!ノマドのカオス・アリーナで

 人間から妖魔に変えられた人の名前だっ!

 答えろっ!!!」

 

怒りを滲ませながら、ライダーは咆える。

 

しかし……。

 

「あぁ、そんな名前もあったかな。

 確か実験体リストの後ろの方にそんな

 奴がいたなぁ。まぁ、実験体の名前など

 一々覚えていられないんでね」

 

次の一言が、起爆スイッチとなる。

 

「………忘れたよ。そんな奴が

 居たかどうかさえ」

 

 

 

『ブチィッ!!!』

 

次の瞬間、ライダーの中で何かがはじけた。

 

そして……。

 

 

 

「桐生佐馬斗ォォォォォォォッ!!!!」

 

部屋の中に、ライダーの怒号が広がる。

 

部屋に居た者達は等しく、部屋全体が揺れている

のかと錯覚するほどの、怒気を孕んだ咆哮だった。

 

今の仮面ライダーを突き動かす感情。

 

それは、『怒り』。

 

その時、ライダーの背後からナベリウスが

彼に飛びかかった。

 

だが……。

『フッ!』

ナベリウスの牙がライダーを捉えようとした

瞬間、残像を残して消えるライダー。

そして直後、ナベリウスの頭上に出現した

ライダーがナベリウスの中央の頭を掴み、

床にたたきつけた。

ドゴォォォンッという音と共に、床の一部が

ひび割れる。

 

そして、ライダーはナベリウスの体を

蹴って後ろに飛ぶ。

彼の傍に集まる紫、イングリッド、

プレイヤーたち。

 

気が付けば、部屋に残っていたのは桐生と

ナベリウスだけだった。妖魔と悪人たちは、

忍者プレイヤーたちによって倒されていた。

 

「ちっ。役立たずどもが」

桐生は周囲に転がる死体に向かって

吐き捨てるように呟くと、眼前の

ライダーたちを睨みつける。

しかし彼はすぐに笑みを浮かべた。

 

「いやはや。正直驚いたよ。仮面ライダーの

 力がこれほどの物とは。どうかね?

 仮面ライダー。お前なら私の野望を

 手伝うにふさわしい人材だ。いっその

 事私と――」

『ビュッ!ドッ!』

桐生が何か言おうとした直後、そのすぐそばを

光の手裏剣が掠り、頬に傷を作る。

 

「誰が、貴様などと」

殺気と共に、ライダーも桐生を睨みつける。

 

「ふっ。ならば……。殺せ!ナベリウス!」

桐生が叫んだ直後、ナベリウスが咆哮を上げ

彼らに向かって行く。

 

しかし、ライダーは怯えていなかった。

 

今の彼の脳裏には、恭介の遺言を聞き、

涙を流したあの日のアサギの顔が

浮かんでいた。

 

愛する人を奪われた無念、絶望。

 

それはアサギだけの物ではない。

 

桐生に捕まり、未来を奪われた人々と、

アサギのように愛する人を奪われた人々。

 

その人々の事を知らないライダーだが、

分かる。

その人たちは、あの時のアサギのように、

いくつもの涙を流したはずだ、と。

 

そう考えるだけで、ライダーの中の

頭の中が、血が、心臓が、燃えるように

煮え滾る。

 

「……お前は、ここで倒す。

 例え、それがどれだけ困難で

 無謀な行いだとしても……」

 

向かってくるナベリウスを前に、

ライダーは左腰のスロットから一つの

ガシャットを取り出し、右手に持ち帰ると

それを、赤いガシャットを掲げた。

そして……。

 

『ゲキトツロボッツ!!』

 

赤いガシャット、ゲキトツロボッツガシャット

が起動し、現れたゲーマがナベリウスに

向かって行き、突進。これを弾き飛ばした。

 

ライダーは、静かにガシャットを半回転

させるが、その視線は桐生から離れない。

 

「お前に、未来を奪われた人々や、大切な

 人を奪われ、涙を流した人のためにも……」

 

ガシャットを握るライダーの手が、怒りに

震える。

そして、彼は、吼える。

 

「貴様は、今日ここで!僕たちが倒す!」

 

怒りの決意と共に、ライダーはドライバーへ

ガシャットを突き刺した。

 

『ガシャットッ!』

 

『ガッチャーン!レベルア~ップ!

 マキマキ!竜巻!ハリケーンニンジャ~!』

 

電子音性に合わせ、ゲーマがライダーと合体する。

 

今、彼を動かすのは、『怒り』。

 

身勝手な野望のために、多くの屍の上に、

土足で立つ、悪辣なる男が彼の目の前にいる。

 

本能が、彼の中の魂が叫ぶ。

 

『こいつを倒せ』と。

 

同情も慈悲も要らない。そんな事をすれば、

また同じことが繰り返される。

 

だから戦う。

 

その拳で、『鋼の拳』で。

 

燃え盛る炎のように真っ赤な鎧が、

彼の激情を物語る。

そして……。

 

『アガッチャ!ぶっ飛ばせ~!突撃!

ゲキトツパンチ~!ゲキトツロボッツ!』

 

ゲーマと合体したライダーは、

『ロボットニンジャゲーマー・レベル3』

へとレベルアップした。

 

イングリッドと紫が、そんなライダーの背中を

見つめていた。

 

「……ふぅ」

やがて、ライダーは息を吐き出すと、ゆっくりと

歩き出した。

「ちっ!?姿が変わったところで!

 やれ!ナベリウス!」

桐生が叫ぶと、ナベリウスが再びライダーへと

向かって行く。

 

しかし、ライダーは動じない。

 

今、彼の心の中では、その装甲のように

赤く、炎が激しく渦巻いていた。

 

人の命をゴミのように扱う悪魔とその僕が

目の前にいる。

 

それだけで、ライダーの腕に力が籠る。

 

だが、彼には力がある。今この場で、

奴らを倒す事が出来れば……。

悪魔を倒す事が出来れば……。

その悪夢に、終止符を打つことができる。

 

相手はエドウィン・ブラックの細胞から

造られた生物兵器。勝てる可能性は未知数だ。

 

『グワァァァァァァッ!』

未だに歩いているだけのライダーに

ナベリウスが飛び掛かる。

 

「ライダーッ!」

後ろに居たイングリッドが咄嗟に叫ぶ。

 

しかし……。

『それが、どうした』

ライダーは、歩夢は動じない。

 

『相手が、何であろうと……』

その時、ライダーの左腕に力が籠る。

 

『この悪魔を倒し、一つでも多くの絶望を

 破壊する』

その決意が、彼にはあった。

 

ゆえに、引かない。退かない。

 

その鋼鉄の体には、彼の熱い魂が宿っている。

 

魂が叫ぶ。

 

『目の前の敵を、悪魔を、≪ぶっ飛ばせ≫』と。

そして……。

 

「お前たちを倒して、人々の無念を、

 晴らすッ!!!」

 

彼は叫ぶ。そして……。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

裂ぱくの気合と共に、握りしめた左腕が

繰り出された。

 

『ドゴォォォォォォォッ!!!』

 

鋼鉄の巨大な拳がナベリウスの中央の

頭を捉える。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

だが、それだけではない。

その剛腕、『ゲキトツスマッシャー』の

スラスターが点火し、更にナベリウスを

押し込む。

そして……。

 

『バゴォォォォォォォォォンッ!!!』

 

盛大な音と共に、ナベリウスがぶっ飛び……。

『ドゴォォォンッ!』

壁にめり込む。

 

「なっ!?」

桐生は背後にぶっ飛ばされたナベリウスの

方を向き、驚愕する。

その時。

 

「どうした?こんな物か?」

 

酷く底冷えする、怒気を孕んだ声が響く。

それは、ライダーの物だった。

そして……。

 

「さぁ、立てよ犬っころ!この程度で

 くたばってるわけじゃないだろ!」

ライダーが叫ぶ。すると、ぶつかった際に

生まれた煙の中からナベリウスが

現れる。

そして再び、ナベリウスはライダーに

向かって飛び掛かった。ライダーを

噛み殺そうと大口を開くナベリウス。

 

『『『ギギギィィィィンッ!』』』

しかし、その牙は割って入った忍者

プレイヤーの小太刀に防がれた。

そして……。

『ドゴォォォォォォォッ!!!』 

 

一瞬の隙をついたライダーのゲキトツ

スマッシャーが、ナベリウスの腹部に

深々と突き刺さる。

『バキバキッ!』

ナベリウスの腹部から、嫌な音がいくつも

響く。

骨をへし折られ、悲鳴を上げるナベリウス。

 

だがそれだけではない。

『ガッ!!』

スマッシャーの巨大な指が、中央の頭の首を

掴んだ。

『ギリギリギリッ!』

そして、そのまま万力のように締め上げる。

中央の頭は、口から血の混じった泡を吹き出し、

白目を剥く。

左右の頭と前足がライダーを攻撃しようと

するが、足はプレイヤー達に押さえられ、

頭部の牙は、ライダーの肩部アーマーを

貫く事が出来ない。

 

そして……。

『バキバキバキッ!!!』

とうとう、ライダーの豪腕がナベリウス

中央の首の骨をへし折った。

ダランと垂れ下がる首に、左右の首が

おののく。

しかし、それだけでは無かった。

『ガッ!!!!』

 

巨大な指が、今度はナベリウス右側の

頭を掴み、締め上げる。

藻掻こうとするナベリウス。しかし、

数十人の忍者プレイヤーが何度も

小太刀を足に、膝裏に、背中に突き刺し、

それを拒む。

そして……。

 

『バギバギバギッ!!!グシャッ!!!』

 

スマッシャーがナベリウスの右の頭を、

文字通り握りつぶした。潰れた脳漿や血が

周囲に飛び散り、ライダーの体を赤く

染め上げる。

更に……。

 

『『『『ドドドドッ!!』』』』

無数のプレイヤーの小太刀が残った左の頭に

四方八方から突き刺さった。

 

『ドシャァァァァッ』

全ての頭を失ったナベリウスの体が、血を

流しながら床の上に横たわる。

 

倒れたナベリウスを見下ろしていたライダーは、

視線を上げ、今度は桐生を睨み付ける。

「次は、お前だ」

「ば、バカなっ!?ナベリウスをこうも

 簡単に!?クソォッ!」

ナベリウスを倒された桐生は、驚きながら

触手を伸ばす。

しかし……。

『ブォォンッ!ブチブチッ!』

それはライダーの左腕の一振りだけで

破壊された。

 

そして、ライダーは一歩一歩、桐生へと

向かって歩き出した。

「ひっ!?ま、待て!命だけは!

 そ、そうだ!お前の協力者になってやろう!

 俺ほどの力があれば、貴様の役に立つぞ!」

「……」

命乞いの如く、自らを売り込む桐生。

しかし、ライダーは何も言わない。

 

「ま、待て!命は、命だけは!」

「……。ふざけるな」

ようやく、彼が呟いた言葉は底冷えするような

圧迫感のある、とても低い物だった。

 

「そうやって、命乞いをしてきた人々の

 命を、散々もてあそんできた貴様が、

 今更命乞いをするな!」

 

アサギの絶望、沢木の無念。同じ絶望を

味わった人々の思いを背に、ライダーは

叫ぶ。

 

そして、ライダーは右手でロボッツガシャット

を抜き取り、左手に持ち替えてスロットホルダー

に装填する。

 

『ガシャット!』

 

そのまま、左手の指先でスロットのスイッチを

2回、押し込む。

 

『キメワザ!』

『ゲキトツクリティカルストライク!』

 

電子音声が響く中、ライダーは左手を

後ろへ引き、力を溜める。

「はぁぁぁぁ………!」

鋼の拳が、エネルギーを纏う。

指先が赤熱化し、圧倒的な熱量を持つ。

 

「この、ふざけるなぁぁぁぁぁっ!」

それを見た桐生が、全身から触手を

生やし、ライダーへと向かわせる。

 

だが、それは無意味だ。

 

「だぁぁぁぁっ!!!」

左腕を前に突き出すライダー。

ゲキトツスマッシャーが射出され、

内部のスラスターを推進力に突き進む。

 

そして、その鋼鉄の拳は、行く手を塞ぐ

数多の触手を蹴散らし、破壊し、

真っ直ぐ、桐生に向かって≪突撃≫

していく。

 

今、その拳を防げる者は居ない。

 

赤く、炎のように輝くその拳には、

ライダーの、いや、彼だけでは無い。

桐生の身勝手な考えの犠牲となった

人々の怒りが込められていた。

 

怒りの鉄拳は、速度を緩める事なく

真っ直ぐに、一直線に、桐生へと

向かっていく。

そして……。

 

『ドゴォォォォォォォォォォッ!!!!』

 

その拳が、桐生の腹部を捉えた。だが

スマッシャーは止まらずに、そのまま桐生を

壁に叩き付けた。

「かはっ!?!?」

体をくの字に曲げ、息を吐き出す桐生。

『バキバキバキッ!!』

更に、その腹部から骨が砕ける音が響く。

 

だが、それだけでは無い。

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

叫びながら疾走するライダー。そして

彼は、桐生を押さえ付けていたスマッシャー

に突き刺すように、左腕を突き出した。

 

『ドゴォォォォォォォォンッ!!』

追撃の二発目が、桐生の胴体に突き刺さる。

『バゴォォォォンッ!』

その余波で、桐生背後の壁が蜘蛛の巣状に

ひび割れる。

『バキバキバキッ!』

そして、桐生の体全体の骨が、バラバラに

砕け散る。

 

静かに腕を放すライダー。すると、

桐生の体が地面に落下し、仰向けに

横たわった。

 

「ぐ、が、バカ、な」

何とか動く頭で、ライダーを見上げる

桐生。そして、それを見下ろすライダー。

「この、俺が、貴様、なんぞ、に」

 

「……。軽いんだよ。お前は」

そして、ライダーは桐生を見下ろしながら

静かに語り始めた。

「その頭脳があれば、誰かを助ける

 側の人間にだってなれただろうに。

 だが、お前は自分の野望を優先した。

 そんな男の力なんて、軽すぎるんだよ」

 

それだけ言うと、ライダーは後ろに振り返った。

彼の後ろには、既にダークフレイムを構えた

イングリッドが立っていた。

 

『コクンッ』

無言で頷いたライダーは、彼女と入れ替わる

ように桐生に背を向ける。そして、

イングリッドが桐生の前に立つ。

 

「ッ!?ま、待て!俺は、俺は!」

 

「桐生佐馬斗。……覚悟っ!」

 

『グサッ!!』

 

次の瞬間、逆手に持ったダークフレイムの

切っ先が桐生の胴体を貫いた。

『ボォォォォォォッ!』

直後、突き刺した傷口から炎が溢れ出し

桐生の体を包み込んだ。

 

「うがぁぁぁぁぁぁっ!!

 熱い!熱い熱い熱い!!!

 と、溶けるぅっ!体がぁっ!」

全身の骨を砕かれたその身では、

動く事も出来ずに、泣き叫ぶ事しか

出来ない桐生。

 

ライダーは、それを静かに見つめていた。

 

「そうだ。その痛みが、絶望が、お前が

 殺してきた人が味わって来た物だ。

 ……あの世で被害者の人達に、詫びてこい」

 

その言葉を最後に、桐生の体が完全に炭化し、

そして炎の中で崩れ去っていった。

 

これで、桐生佐馬斗という男は完全に

消滅した。

 

しばし、3人は沈黙する。やがて……。

 

「……これで、当面の目的は果たされた。

 そして……」

「この共闘関係も、終わりか」

ライダーの言葉の先を読み呟くイングリッド。

彼女の言葉に、彼の後ろに居た紫は斧を

構えるが、ライダーが右手でそれを制止する。

 

「確かに、共闘関係は終わった。けど、

 今ここで僕達が戦う理由にはならない。

 お互い、万全ではないしね。

 ……まずは、この東京キングダムを

 脱出しよう」

「は、はい」

「……良いだろう」

 

と言う事で、3人は龍門のビルから脱出を

始めた。

 

 

一方、あの廃ビルで待っているようにと

言われたさくらとアサギ。

そして……。

「……」

さくらは無言でビルの中を行ったり来たり

していた。

「ハァ。落ち着きなさいさくら。ライダー

 ならきっと大丈夫よ。だから落ち着きなさい」

と、壁際の古びた椅子に座っていたアサギが

声を掛けた。

「それはそうだけど!でもやっぱり心配だよ!

 アユ、じゃなくてライダーが!」

アユ兄、と言いかけて止めるさくら。

周囲には、あの助け出された女性達も

居たからだ。

 

「ライダーの強さは、私達が一番分かってる

 でしょ?彼なら大丈夫よ」

「う、うぅ。それは分かってるけど~~。

 未来の妻として、やっぱり心配だよ~」

「ハァ。大丈夫よさくら。仮面ライダーは

 桐生になんて負けないから」

と、アサギはため息を漏らしつつもさくらに

フォローを入れた。

 

 

 

その時。

 

「あぁ、桐生のような雑魚では、あの男の

 足下にも及びはせんよ」

 

不意に、どこからか聞き覚えのある声が

聞こえてきた。二人は考えるより先に

対魔剣を抜き取り、周囲を警戒する。

その時、二人の側の影の中から突如として

エドウィン・ブラックが現れた。

 

「エドウィン・ブラックッ!?」

叫び半ば驚きながらも、剣を構えるアサギ。

さくらも双剣を構えながら、女性達を

庇うように、彼女達の前に立つ。

 

今この場に歩夢は居ない。そのプレッシャー

からか、二人の頬を汗が伝う。

 

しかし……。

 

「ふっ。安心しろアサギ。今日私がここに

 来たのはお前達と戦う為ではない」

「……それを、信じろと?」

怨敵の言葉を信じろ、と言うのだから

アサギが疑うのも無理は無い。

 

彼らの間にしばし沈黙が流れたが……。

 

「ん?」

不意に、ブラックが眉を僅かに動かすと、

視線を窓の外へと向けた。

「来たか」

そして彼が呟いた直後。

 

『バッ』

窓の外から、紫とイングリッドを抱えた

ライダーが入ってきた。

 

「ッ!?ブラック様!?」

そして入ってくるなり、一番驚いたのが

イングリッドだった。

ライダーは、ブラックの顔を見ると、

静かにイングリッドを離し紫と共にアサギ達

の方へと歩み寄った。

 

それに対し、イングリッドもブラックの側に

歩み寄る。

そして、両者は向かい合った。

 

「エドウィン・ブラック。……彼女を

 助けに来たのか?」

一瞬、イングリッドに視線を向けてから、

問いかけるライダー。

「あぁ。その通りだ。……今回ばかりは、

 礼を言っておくぞ、仮面ライダー」

 

「……お互いの利害が一致しただけの一時的な

 共闘だ。それも終わった。僕達はまた、

 敵同士だ。礼なんて必要ない」

「ふふ、そうか。では、礼代わりに……」

 

『パチンッ』

不意に指を鳴らすブラック。すると

イングリッドと紫の体を蝕んでいた

うずきが収まった。

「体が。元に戻った」

自らの体を見つめ、驚く紫。

 

「桐生の媚薬の力を無効化してやった。

 これでお互いのメリットにもなったであろう」

「……」

ブラックの言葉に、ライダーは何も言わない。

 

やがて、その場で身を翻すブラック。

「ではな。いずれまた出会う事もあるだろう」

「……その時は、戦うさ。僕達は、敵同士

 だから」

「ふっ。そうだな。いずれ決着を付けるか。

 アサギ。そして、仮面ライダー」

 

その言葉を最後に、ブラックは自らのマントを

翻し、イングリッドと共に、空間に溶ける

ように消えていった。

 

そして、ライダー達も。

「帰ろう。ここでの僕達の戦いは、

終わったんだ」

「そうね」

彼の言葉に頷きながら、アサギとさくら

は剣を鞘に戻した。

 

 

こうして、東京キングダムでの戦いは終わりを

迎えた。

 

その後、歩夢達はビルに捕まっていた女性達

をそれぞれの家などに送り届けた後、紫と

共にステージセレクトの力で千葉の

セーフハウスへと戻った。

 

「ふぅ」

 

『ガッチョーン。ガッシューン』

 

基地にたどり着いた歩夢は息をつくと

ドライバーを閉じ、ガシャットを引き抜いて

変身を解除した。

 

「二人とも、お疲れ様。それと、ご無事で

 何よりでした。八津紫さん」

「は、はい。ありがとうございます」

戸惑いながらも頭を下げる紫。

「ここに居れば安全です。お互い色々

 ありましたし、今はもう休みましょう。

 僕の事やお兄さんへの報告は、一眠り

 してからと言う事で」

「は、はい。分かりました」

 

「それじゃあさくらちゃん。悪いけど

 彼女を空いてる部屋に」

「うん。任せて。じゃあむっちゃん、

付いてきて」

と言う事で、紫はさくらに案内されて、

地下の一室へと案内された。

 

「な、なぁ。さくら。ここは一体」

あてがわれた部屋に入り見回しながら

問う紫。

「ここはアユ兄ちゃんが作った

 セーフハウスだよ。場所は千葉の

 山奥。そしてここは地下に作られた

 秘密基地って所かな。あっ、

 後こっちにシャワールームとかが

 あるから好きに使って良いよ。

 えっと、後何か聞きたい事ある?」

「あ、えっと。大丈夫だ」

戸惑いながらも頷く紫。

 

「そっか。じゃあ今日はもうシャワーで

 汗を流して寝ちゃった方が良いよ。

 むっちゃんも色々あって疲れてると

 思うし。あっ。私は一個左の部屋に

 居るから。何かあったら来てね。

 じゃあお休み」

と言うと、さくらは部屋を出て行った。

 

そして紫は戸惑いながらしばし部屋を

見回していたが……。

「そうだな。シャワーを浴びて、寝るか」

やがて、着ていた貫頭衣を脱ぎ捨てると、

裸になってシャワールームでシャワーを浴び、

汗を流すと部屋に備え付けられていた

バスローブに身を包み、倒れるように

ベッドの上に横たわった。

 

そして、そのまま紫は静かに瞼を

閉じていく。

 

そんな彼女の脳裏に浮かぶのは、

仮面ライダーの事だった。

 

紫もまた、アサギやさくらと同じように、

絶望の淵から彼によって救出された

一人となった。

 

闇の中で涙していたその時、光と共に

差し出された手は、優しく、暖かく、力に

満ちていた。

 

それは歩夢自身の決心を表していた。

 

どんな絶望の中にある人に対しても、

手を差し伸べる。

 

それが彼の決心であると同時に、彼を

『仮面ライダー』へと昇華させていく。

 

だが、それだけでは無い。

 

英雄とは人々に英雄だと認められるからこそ

英雄なのだ。

 

その高潔なる魂と力は、人々の心の中に

英雄というイメージを強く刻みつける。

 

英雄の力や姿は、人々の心にも働く。

 

歩夢は、決して力だけを持った存在では無い。

 

歩夢には、アサギやさくら、そして泣いている

誰かを思いやる『優しさ』。

 

決してめげずに、一度決めた事。アサギとさくら

を守る為に戦う事を貫き通す、強靱な『精神』。

 

そして、どんな敵であろうと大切な人を守る

為に戦場に立つ『勇気』を。

 

歩夢はその3つを備えていた。そして、

力も。

 

その4つを持ち、実際彼の力強い腕に助けられた

さくら達に、彼に惚れるな、などと言えようか。

 

彼の差し出した手は確かに、絶望の淵にある

乙女達を、闇の中から引き上げる。

 

その力強い腕の主に、誰が惚れないと言うのか。

 

自らを絶望の淵から救ってくれた男に、

一体どんな女なら惚れないと言うのか。

 

そう。計らずとも、歩夢は既に男として、

最大限と言っても良い程の魅力を

備えていた。

 

童話の王子様のように、騎士のように、

闇を払い、光をもたらし、涙を拭う英雄。

 

風の如く現れ人々を救う英雄、『仮面ライダー』。

 

その存在は、圧倒的なカリスマとなって

人々の心へと響く。

 

そして、紫にも……。

 

「仮面、ライダー」

彼女は、頬を赤く染め、その名を呟き

ながら、静かに眠りについていく。

 

今正に、その力と魂に魅せられた乙女が

一人、生まれた。

 

果たして、紫の望む未来とは?

その望みは、叶えられるのか?

 

それはまだ、誰にも分からない。

 

     第3話 END

 




って事で、今後桐生の出番はありません!あっても名前が
出てくる位だと思います!
で、次回は多分紫とのH回になると思います!(断言は出来ませんが)
なので、お楽しみに!
感想や評価、お待ちしています!
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