アリーナ
鈴音『一体何なのよ!』
アリーナでも相手が見たこともないISで、鈴音と一夏は様子を伺っていた。その姿は全身装甲(フル・スキン)とここは『ゴーレムⅠ』と一緒だが、背中には一対の翼顔は鳥に似ているが長い悪魔の様な耳が着いている。パッと見悪魔のように見える。
ピピッ
『未確認ISから熱源を感知』
一夏「(ヤバい!)鈴!」
ハイパーセンサーからの情報で攻撃が来ることを察知した一夏は、鈴音に声を掛け回避行動を取る。
ギュンッ
すると、さっきまで一夏達が居た場所を人間の体の半分くらいの太さの青色のレーザーが通り過ぎて行った。
一夏「セシリアのレーザーよりデケェ、あんなもん食らったら人堪りも無いぞ」
鈴音『一夏、あんたは早くピットに戻りなさい』
鈴音が表情に焦りを見せながら一夏に言った。
一夏「お前はどうすんだよ!」
鈴音『あたしはアイツの足止めをするわ。だから早くピットに行きなさい』
アリーナには多くの生徒が居る。シールドを破壊出来る所属不明ISが居るなかで自分が逃げれば生徒が危ない、だから鈴音は足止めをしようとしているようだ。
一夏「んな訳に行くかよ!男が女だけ残して逃げれる訳ねぇだろ!それに、一人より二人の方が良いに決まってる」
一夏はそう言って謎のISの方を向く。
真耶『織斑君、凰さん!直ぐにそこから退避して下さい!』
真耶から退避するよう通信が入る。だが、二人はもう退避する事など頭に無かった。ただ思うのは目の前の敵からこの場を守ること、それだけだった。
一夏「山田先生、俺と鈴であのISを足止めします。その内に早く避難を!良いよな鈴」
鈴音『誰にもの言ってんのよ。来るわよ一夏』
鈴音は前を向きながら一夏に危険を促す。
一夏「ああ!」
真耶『生徒だけで何て危険です!織斑君、凰さん聞いてますか!』
真耶が声を掛けるが、二人はもう聞いていない。
一夏「行くぜ鈴!」
鈴音『命令すんじゃ無いわよ!』
二人は謎のISに向かってブースターをふかした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
管制室
真耶「生徒さんにもしもの事が有ったら……聞いてますか!織斑君、凰さん!」
既に通信は切れており真耶の声は届いて居なかった。
千冬「本人達がやると言っているんだ。やらせて見ようじゃないか」
真耶「お、織斑先生まで何を行ってるんですか!?」
千冬「まぁ落ち着け、糖分が足りないからイライラするんじゃないか?コーヒーを入れてやろう」
そう言って千冬はコーヒーを入れ始める。
チャポン
チャポン
千冬「砂糖は二つで良かったか?」
真耶「はい。普段は砂糖は二つですけど、織斑先生それ『塩』ですよ」
真耶が指摘した通り、千冬がコーヒーに入れていた白く四角い物が入っていた容器にはデカデカと『塩』と書かれていた。
千冬「…………何故ここに塩が置いて有るんだ?」
真耶「分かりませんけど…………あ!織斑先生実は弟さんが心配何ですね。だから普段しないようなミスを」
悠「山田先生それは言わない方が!」
悠が止めようとしたが時既に遅し、真耶は千冬に向かって挑発とも取れる発言をしてしまった。
真耶「へ?」
ガシッ
真耶の頭に腕が回される。
千冬「私はからかわれるのが嫌いだ」
ギュー
真耶「いたたたた!!す、すすすいませんでした(泣)」
言わんこっちゃない。千冬姉をからかったらどうなるか山田先生も分かってた筈なのに何でやっちゃうかな~。しょうがないから今回は助けようかな。
悠「織斑先生、それ以上やると山田先生を本当に殺っちゃいます!」
ギュッ
真耶を鬼(千冬)のヘッドロックから助ける為に、悠は鬼(千冬)の後ろから抱きついた。
千冬「ゆ、ゆゆ悠///何を」
悠「これ以上は駄目だよ」ウルウル
悠は目を潤ませながら千冬を上目使いで見る。
千冬「ぐっ!///」タラー
千冬は一瞬顔をしかめると鼻から血が垂れてきた。
千冬(堪え切れなかったか。やはり悠の上目使いは最強だ!)ハァハァ
どうやら堪えようとしたが、堪えきれず鼻血が出てしまったようだ。相変わらず千冬は変態のままだった。
悠(これぞ十数年封印してきた秘技!『天使の願い』(ただの上目使いでお願い)だ!)
千冬「はっ!如月、分かったから離せ皆見ているしな」
千冬はやっと我に戻り、回りが見ていることを思い出すと泣く泣く悠に離すよう言う。
セシリア「わたくしも行きますわ!」
千冬「駄目だ」
変な空気の中セシリアが一夏達の援護に向かうと言ったが、千冬がその案をバッサリと切り捨てる。
セシリア「な、何故ですの!?わたくしと『ブルーティアーズ』なら」
千冬「お前のISは一対多向きだ、相手はあのIS一体しかもお前のより強力なビーム兵器を持っている。これではあいつ等を援護しながらと言うのは無理だ。それに、これを見ろ」
そう言って千冬は今の状況を写し出した。
セシリア「これは!?隔壁が閉じて、レベル4に設定されていますわ!?これもあのISが」
千冬「恐らくな」
真耶「先程から解除を試みて居ますが、ハッキングされてこちらの指示を受け付けません!」
箒「くっ!どうすれば」
八方塞がりの状況に全員が動けないで居た。ただ一人を除いては
悠(神!おい神聞こえるか!)
神(ふわぁ。何だい?今から寝るところ何だけど)
悠はあることを頼むために、神に念話していた。
悠(ああ、困ったことが起きてな頼みが有るんだ。BLACKCATで出てきた『エキドナ=パラス』の能力、『GATE(門)』を使ってアリーナに入りたいんだ)
神(ふーん成る程ー。状況は把握出来た、良かろうワシが能力を使ってお主をアリーナに飛ばしてやる)
悠(ありがとな)
神(何、こちらはお主に無理を言ってそっちに送ったんじゃ、少しくらい大丈夫じゃ。お主こそ気を付けるのじゃぞ)
プツッ
それを最後に神の声は聞こえなくなった。
そして、神の声が聞こえなくなると同時に管制室の隅の方の空間が歪んだ。
悠(あこに入れってか?上等!)
スッ
悠は歪みに近付き中に入った。途端に歪みは消え、そこには何も残らなかった。
箒「おい悠、何か思い付かないか?って、悠?」
箒が振り返って悠の姿を探すが、そこには誰も居なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アリーナ
ドキュンッ
一夏「はぁ!」
ブンッ
一夏の何度目かの攻撃はまたも空振りに終わる。
一夏「くそっ!」
鈴音『ちょっと一夏!隙作ってんだからちゃんと当てなさいよ!』
鈴音が『龍砲』で援護しているが、なかなか攻撃を当てる事が出来ない。それと言うのも、敵ISには背中の翼にブースターが四つ、足に四つ、腰の辺りにスラスター二つ、腕にもスラスター二つと超高速移動型の機体で並みのISでは攻撃する事は愚か触れることも出来ない。
一夏「分かってるよ!(くそっ!全然当たんねぇ!それにさっきから感じるこの違和感は何だ?)」
ギュンッ
ギュンッ
謎のISの両掌からビームが発射され、一夏に一直線に向かっていく。
一夏「うわっ!」
ガゴンッ
一夏は回避しようと上に飛んだが、一発が右肩の装甲に当たりシールドエネルギーをかなり削る。
一夏(っ!一発でこんなにダメージがあんのかよ!これじゃ『零落白夜』は精々あと一回が限界だ。どうするあと一回しか使えないなら確実に当てる必要が有る。でもあのスピードを捕まえることが出来ない、一体どうすりゃ!)
?『お悩みだね。一夏』
ガギンッ
突如謎のISの後ろに黒い影が現れ、後ろから剣で切りつけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
悠視点
歪みを通り最初に見たのは一夏が攻撃を外すところだった。
悠(やっぱ今の一夏じゃあのスピードには当てれないか。お…私が止めるしか無いな)
ガシッ
手にⅠの剣『クライスト』が現れる。そして、一夏の攻撃を避けてビームを撃った状態で浮遊している謎のISの後ろに素早く回り込み『クライスト』を降り下ろす。
悠「お悩みだね。一夏」
ガギンッ
謎のISは突然の奇襲に対応出来ず、背中に切り傷が出来る。
ブンッ
悠「おっと」
謎のISは反撃とばかりに鋭利な爪の着いた手で手刀を振り向き様に振ってきた。それをギリギリで体を反らしてかわす。
一夏『悠!何でここに!?』
一夏がオープン・チャンネルで話し掛けてきた。
悠「え~と(何て答えよ、まさか神様に手を貸して貰ったとは言えないし……)つ、通気孔を使ったんだよ(ちょっと苦しかったかな?)」
一夏『成る程な、流石悠。そんな発想全然無かったもんな』
一夏が馬鹿で良かった。
悠「で、これからの作戦だけど……アイツは私が止めるしか無いと思うんだよ」
謎のISのスピードに着いて行けるのは悠のISしか無い、ならば自分がやるしか無いと思い悠は提案した。
鈴音『確かにあのスピードに攻撃するには止めて貰うしか無いわね』
一夏『……』
鈴音は提案に乗ってくれたようだが、一夏は黙ったままで言葉を話さない。
悠「一夏、何か不安でも有るの?」
一夏『……なぁ悠。悠って、自分の事「私」って言ってたか?』
そこかよ。何で肝心なところは気付かなくてどうでも良いところに気付くんだよ。
悠「……別に良いだろ。聞くな」
悠は少し暗い雰囲気を出しながら言う。
一夏『お、おう。何でも無いなら良いんだ(また千冬姉になんか言われたな)』
悠「と、取り合えずさっき言った作戦で行くから、二人は私が動きを止めたら反撃宜しく」
鈴音『分かったわ』
一夏『おう!』
それぞれの役割を確認し、三機は別々に飛ぶ。
悠(先ずはどうやって動きを止めるかだな。先回りして行く手を阻むか)
シュッ
トップスピードで謎のISの先回りをし、『クライスト』を構えて謎のISの動きを止める。
悠「さて、第二ラウンドと行こうか」
ヒュッ
ガギンッ
ギチギチ
悠の『クライスト』と謎のISの手刀がぶつかり火花を散らせる。
悠(あの糞親父が作った物ならリスクを負うようなことはしない、だとしたらこいつは無人機の筈だ。遠慮なくやらせて貰うぜ)
博士(糞親父)のリスク、それはISに人を乗せてもし捕まったとしたら自分の正体がばれる可能性が有る。だからこそ悠はそれをしないと思い無人機と判断した。
ヒュッ
ガギンッ
ヒュッヒュッ
悠は何度も『クライスト』を振り謎のISの動きを止めていた。
悠「今だ!鈴、一夏!」
鈴音『ええ!』
鈴が『龍砲』を撃つ体制になり
一夏『よし!』
一夏は薄く金色のオーラを纏い、『零落白夜』を発動させる。
とその時、ここにいない筈の人物の声がアリーナに響いた。
箒「悠!!私が惚れた者ならその程度の敵を倒せなくて何とする!!」
アリーナの中継室に一人の人影が有った、それはまさしく悠を思って居る昔からの幼馴染み篠ノ之 箒だった。
悠「(やっべ!忘れてたぁぁぁ!!)一夏!鈴!早く!」
鈴音『分かってるわよ!って、一夏!あんたそこ退きなさいよ!』
一夏『これで良いんだ。このまま撃て鈴!』
一夏は鈴音の前に浮遊し、鈴音に『龍砲』を撃つことを促す。だが、このまま撃てばシールドエネルギーを全て『零落白夜』に注ぎ込んで居るので一夏にもかなりのダメージが来る。
謎のIS「ギギギ」キュイー
謎のISも箒の存在に気付いたのか、掌にエネルギーを溜め始めた。
一夏『時間がねぇ!早くやれ!』
鈴音『ああもう!分かったわよ!どうなっても知らないからね!』
ドキュン
ドキュン
鈴音は肩の砲門から圧縮した衝撃を発射する。その衝撃を一夏は背中に受け、エネルギーを吸収し『龍砲』の勢いで『瞬時加速』(イグニッション・ブースト)を発動させる。
一夏『うおぉぉぉぉぉ!!』
ザンッ
一夏のバリアー無効化攻撃はシールドバリアーを破り、直接謎のISの右腕を切り落とす。
悠「よし。後は私が、はぁ!」
ズパンッ
悠も一夏のシールドバリアーを破ったのを利用して、今度は左腕を『クライスト』で切り裂く。
悠「後は本体だけだ!はっ!」
ズガンッ
そして『クライスト』の切っ先をその硬い装甲に突き刺す。
謎のIS「ギ……ギギギ」ガパッ
ガシッ
悠「な!?」
謎のISに『クライスト』を刺して引き抜こうとした時、謎のISの顔面部の嘴が開き中に砲身が顔を出す。
一夏・鈴音『悠!!』
悠「くっ!(捕まれたままじゃ『支配眼』(グラスパーアイ)も使えない、結構疲れるけど二個同時に出すか)『ア・バオア・クー』!」
鎖骨のⅠの字の横にⅩⅡの字が現れ、同時に全身を黄金色の鎧が包む。
鈴音『早く逃げなさい!悠!』
一夏『悠ー!』
二人とも悠の危機を察知し、助けようと手を伸ばす。
ギュアッ
だが、二人の手が届く前にビームが発射され、悠に至近距離で命中する。
悠「ぐあっ!」
ズザザザ
鈴音『悠!』ガシッ
ズサー
吹き飛ばされた悠を鈴音が素早く受け止め、何とかブースターと地面に足を着け勢いを殺す。
一夏『大丈夫か悠!』
鈴音『悠はあたしに任せて、あんたはアイツを倒しなさい!』
一夏が悠を心配して近寄って来ようとするが、鈴音がそれを止めまた動き出そうとする謎のISに止めを刺すよう促す。
一夏『コクッ 頼んだぞ鈴。はぁぁ!』
ザンッ
一夏は『雪片弐型』を上段から一気に振り下ろし、謎のISを縦に真っ二つに切る。
悠「終わった……か」コテッ
悠はそれを最後に見届け意識を手放した。