ん?今なんかちょっとすっきりした気がする。まぁ良いか。
今私は『黒猫』を直しているらしい整備室に向かっている。
因みに、他の皆はいろいろと用事や部活等が有りここには居ない。
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整備室
整備室に到着さしたものの、私は整備室の前で立ち止まっていた。何故止まっているかと言うと、中で更識 簪が『打鉄弐式』を制作していて、中に入れる空気では無いのだ。
悠(昔会った時はもっと元気な娘だったんだけど、数年で人はこうも変わるのか)
簪「……もっとスラスターを強化しないと……」
何やら簪がぶつくさ言っているが、このままでは埒があかないので中に入る事にした。
悠「ふぅ。よし!こんにちは~」
正直普通過ぎる挨拶で入室したことを後ほど何であんな風に入室したんだろうと思ったが、今は置いておこう。
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簪視点
私はずっと姉に近付きたくて努力している。しかし、姉はどんどん私よりも先に行ってしまう。やはり私には姉のような才能が無いのだろうか。その答えをこの『打鉄弐式』を一人で完成させて知りたい思った。
だが、まだまだ完成の目処が立たない。そもそも『打鉄弐式』が途中未完成なのはあの世界初の男性操縦者織斑 一夏のせいだ。アイツさえ出てこなければ。
そんな事を考えていると
悠「こんにちは~」
能天気に挨拶して入ってくる一人の美少女が居た。その美少女は昔どこかで見た顔、そして無性に敵であると言うように自己主張の激しい胸部が目に止まった。
簪「……誰?」
悠「あり?覚えてない?悲しい」
簪「?どこかで会った事有る?」
美少女は私に覚えが有るようだが、生憎私には覚えがない。こんな強敵(胸敵?)に会ったら覚えて居ると思うんだけど……。
悠「う~ん。あ、そうだ。おほんっ。引け目に感じる事は無いさ。誰にでも得て不得手が有るもんだ、人間に完璧何てあり得ない、未熟だからこそもっと強く慣れる。そうじゃないか?」
簪「え?」
何かを迷った後に美少女が言った言葉に私は驚愕した。それは昔、少しだけほんの数時間だけ知り合った女の子が言っていた私を励ますために言ってくれた言葉だったからだ。
その瞬間、私の頭の中の昔の女の子と今目の前に居る美少女が重なった。
簪「如月……悠……」
数年前に会った女の子の名だ。その頃から悩んでいた事をその女の子の言葉で随分救われたと思う。今私がここに居るのも女の子のお陰と言っても過言じゃない。
悠「あ、やっと思い出した?いや~最初に「……誰?」って聞かれたときは結構ショックだったけど、良かった~思い出して貰えて」
簪「何故貴女がここに居るの?」
まさか昔会った女の子とこんな形で再開するとは夢にも思わなかった。
悠「何故って、何でIS学園に居るのって言うのなら、私がIS適性が有ったからだし。何で整備室に居るのって言うのなら、私の専用機がダメージ受けてここで直して貰ってるって聞いたから、様子を見に来たんだし」
ッ!?この子も専用機を!?
簪「ふ~ん。どこかの国家の代表候補生なの?」
専用機を持っているって事は、まずそう言う事だろう。
悠「いんや。私はどこの国家の代表候補生でも無いよ。専用機は私のオリジナル。完全な例外だよ」
……織斑 一夏以外にも代表候補生じゃないのに専用機持ってる人が居たんだ。しかもオリジナルって事は
簪「……自分で作ったの?」
だとしたらこの子も才能が有る人なのだろうか。お姉ちゃんの様に
悠「う~ん。それは少し違うな。私の専用機は私一人で完成させた訳じゃないよ。他の人の助けも有って、何とか完成させたんだよ(殆ど神が作って、悠は機体の説明しかしてません)」
簪「……他の人の……助け」
……でもそれじゃダメなんだ。お姉ちゃんに追い付くには
悠「……簪。また悩んでるんじゃないの?例えば、姉妹の事でとかさ」
簪「ビクッ……何で?」
何で分かったんだろ。私は何かそんな素振りを見せたのかな。
悠「確かここの生徒会長の名前は『更識 楯無』だったから、しかも最強って肩書きも付いてるんでしょ。昔も似たような事聞いたしもしかしたらと思ってさ」
簪「……貴女には何でもお見通しなんだね。あれからいろいろと有ったけど、やっぱり比較されるとさ、気にしちゃうんだよね。「姉は何でも、でも妹は……」ってね」
お姉ちゃんは気にしなくて良いって言ってたけど、周りはそうは見てくれない。いつも比較されて誉められた事だって数える程しかない。全て私には才能が無いから。
悠「……簪は私が前に言った言葉覚えてるよね。未熟だからこそもっと強くなれる。簪はまだ未熟何だよ。それに、最初から完璧な人間何て居ない。更識会長だって周りに支えられて今あの場に立っているんだから。何よりも、自分が一人だと思っちゃいけないよ。簪の周りには簪を支えてくれた人が一人も居なかったの?」
簪「っ!?」
……そうだった。
本音『かんちゃん!大丈夫?』
いつも本音が側に居てくれた。クラスの人だって、更識の人だって、皆が居たからここまで来れたのに
簪「……ありがとう。私は間違ってたみたい。また助けられちゃった」
私の中で目の前に居る恩人と、私が大好きなヒーローが重なった瞬間だった。
悠「……あ、あぁ!私はここに専用機が直ってるか見に来たのに何してんだろ!めっちゃ恥ずかしい台詞口走った気がするし!ごめん今の忘れて///」
簪「ふ……ふふふ!」
さっきまでの真剣な表情とは裏腹に、顔を赤くしてあたふたしている。そのギャップが面白くてつい笑ってしまった。
いつ振りだろう。こんな風に笑ったのは
悠「もう笑う事無いじゃん。そう言えば、簪は何してたの?」
簪「私……私は専用機を作っていたの」
悠「へ~。凄いね。専用機を自分で作るなんて、名前は何なの?」
簪「名前は『打鉄弐式』(うちがねにしき)って言うの。如月さんの専用機の名前は何て言うの?」
専用機とは言ってたけど、名前すら聞いてなかった。
悠「如月さん何て畏まらなくて良いよ。気軽に悠って呼んで、私の専用機の名前は『黒猫』って言うんだよ。名前の通り真っ黒何だ」
楽しそうに話す悠の姿は、昔と変わらず私を安心させた。
視点終了
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悠視点
良かった良かった。
昔言った言葉を簪に言うと簪はようやく思い出してくれたようだ。
にしても
悠(結構損傷してるな。左腕の原型ほぼ無いじゃん)
やはり防御無しで攻撃を受けたのがヤバかったらしく。左腕は大破していて、左腕の近くも黒く焦げたような痕が残っている。
簪「凄いね。何が有ったの?」
そりゃ気になるよね。こんだけ壊れてたら誰でも何が有ったか聞きたくなる。
悠「まぁいろいろ有ってさ……」
簪「いろいろって、例えば?」
悠「れ、レールカノンに防御無しで撃たれた、とか?」
アホだぁぁぁぁ!!自分で言ってて「うわ何こいつ馬鹿じゃないの?」とか思ったよ!!
簪「え!?だ、大丈夫なの?」
悠「うん大丈夫。それに『絶対防御』が有るから、そこまで深い傷は残らないよ」
私は簪に湿布が張られた左腕を見せる。
簪「……大事に至らなくて良かった。……けど、自分の体は大切にしてほしい」
左腕を優しく撫でながら身長的に簪が私を見上げて、上目使いで話す。
悠「……ありがとう」
こうして簪との久し振りの再開を果たし、新しい友達が出来た瞬間だった。この後簪とアニメについて暑く語り合った。
そして私達を見ている影が一つ有ったことに、私と簪は気付かなかった。
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廊下
本音「あれ~?かんちゃんどこに行ったかな?お菓子分けてあげようかと思ったのに」
袖がだぼだぼの制服を着て廊下を歩いているのは、悠と同じクラスの『布仏 本音』通称『のほほんさん』だ。
本音は代々更識家に使えてきた家系で、簪とは小さい頃からの仲だ。故に人付き合いの苦手な簪の唯一の友達と言えるだろう。
今本音は簪とお菓子を食べようと思って簪を探しているようだ。
と、前の方から人が歩いてきた。
本音「あ!お嬢様!」
歩いてきたのは本音が使えている更識家の当主更識 楯無だった。
本音「どうしたんですか~?こんな所で?」
普段は生徒会室に居る彼女がいったい何の用が有ってここに居るのか。本音は不思議に思って素直に聞いてみる。
楯無「別に、少し散歩していただけよ」
本音「こんな時間に校舎の中を散歩ですか~?」
今の時間は午後6時、散歩するには少し遅い時間だ。
楯無「私はこの学園の生徒会長なのよ。見回りをしたって不思議じゃないわ。……ふふふ」
本音「何だか嬉しそうですね?何か良いことでも有ったんですか~?」
楯無「別に……ふふふ。それじゃあね」
否定しているが、あきらかに嬉しそうにしながら手をひらひらと振って去っていった。
本音「?変なお嬢様」
楯無が去っていった方向を首を傾げながら見た後、再び自分の親友を探して歩き始めた。
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整備室前
簪「……が……の」
本音(あ!かんちゃんの声だ。また整備室に居たんだ)
本音「かんちゃ悠「いやここはこうして」」
整備室の中に入り簪に声をかけようとしたとき、中かな簪とは別の声が聞こえてきて、本音は中に入るのをストップした。
本音(かんちゃんと一緒に誰か居る。誰だろ~?)
本音は顔を少し出して中を覗き見る。するとそこには『打鉄弐式』のデータを見ながら床に座り込んで話し合っている簪と悠が居た。
本音(あれってゆーちゃん。何でかんちゃんとあんなに仲良いんだろ)
簪は内気で臆病な性格の為あまり他人を近付けない。その簪があんなにも親しく、しかも誰にも触らせなかった専用機のデータも見せている何て、本音は夢でも見ているのかと思ってお菓子の煎餅をかじってみる。
バリッ
ボリッ
口の中に煎餅の醤油の味が広がる。
本音「うん。夢じゃない」
確認の仕方がおかしい。普通は頬をつねるとかだと思うが、この少女は少し……いやだいぶずれているようだ。