悠「そうだ!『打鉄弐式』の装備の一つ、『夢現』(ゆめうつつ)の超振動さ。こいつを見本にしない?」
私は装備の『マルス』を右手に出す。
簪「……良いの?」
悠「簪の力になれるなら、私は何にでも協力するよ。だって、大切な友達だからね(今はまだ)」
簪「……悠」
本音「かんちゃ~ん」
本音はそろそろ待つのも嫌なので、中に入ってきた。
簪「本音。どうしたの?」
本音「お菓子一緒に食べようと思って~。探してたんだよ~」
簪「……そう」
悠「ん。もうこんな時間か。今日はここまでにして帰ろっか」
見ればもうすぐ五時半。食堂の事やお風呂の事を考えると急いで帰らなくちゃいけない時間だ。
簪「……うん」
本音「は~い」
整備室の片付けをして寮に帰った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
寮の廊下
いよいよだ。いよいよシャルロットの真の姿が晒される日が来た。
私は今、一夏達の部屋の前に居る。
さてどうやってフラグを立てるか。先ず第一に一夏が居てはフラグが立たない可能性が有る。第二にデュノア社の社長をどう説得するか。
悠「う~ん。あ、そうだ」
ピッピッ
プルルル
私は目的の為に有る人物に電話する。
セシリア『も、もしもし!セシリア・オルコットですわ!』
はやっ!まだワンコールしかしてないのに出たよ。
悠「あ、もしもしセシリア。良かったら何だけど食事しない皆で」
今回は騙すような形になるけど許してね。今度何かしてあげるから。
セシリア『も、勿論行きますわ!(皆でと言うのが癪ですが、悠さんのお誘いを断る訳には行きませんわ!)』
悠「やった!じゃあ皆誘って食堂に行ってて、私は一夏とシャルルを連れていくから」
セシリア『分かりましたわ』
ガチャ
ツーツー
……これで準備は整った。後は
私は計画を実行する為に、ドアをノックした。
コンコン
悠「一夏居る?」
一夏『ん?悠か』
ドアの向こうから一夏の声がした。声を聞く限り動揺を見せていないから、まだシャルロットのお風呂イベントは起きていないみたいだ。
ガチャ
一夏「どうした?」
悠「うん。食事行かないかな~って思ってさ」
一夏「おう良いぜ!あ、でも今シャルルシャワー浴びてるからさ、シャルルと一緒に行くよ」
成る程、一夏は今さっき帰ってきて直ぐに私が来たからシャルロットの正体にまだ気付いて居ないのか。
よしっ!
悠「シャルルは私が連れていくよ。シャルルに用も有るし。一夏は先に行ってて、皆を待たせちゃ悪いからさ」
一夏「分かったよ。じゃあ先に行ってるぞ」
一夏はそう言って食堂に歩いていった。
悠「後でね~」
私は一夏の後ろ姿に手を振って見送った。
悠「さてと、こっちはこっちでやらないとね」
パタンッ
私はゆっくりとドアを締めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
室内
シャー
シャワールームからシャワーの流れる音が聞こえる。
悠「シャルル」
シャル「あれ?悠?どうしてここに居るの?一夏は?」
悠「一夏は食堂に行ったよ。私はシャルルと一緒に行こうと思って待ってるの」
シャル「そんな悪いよ。別に待たなくて良いんだよ?」
悠「良いの良いの。私がそうしたいだけだから。そう言えば、一夏がそろそろシャンプーが無くなるとか言ってたっけ、替えがここに有るから渡すね」
私は洗面所の縁に置いてあったシャンプーの替えをシャルロットに渡すために、シャワールームのドアを開ける。
ガチャ
シャル「え!?ちょま!?」
シャルの制止を聞かずにシャワールームのドアを開ける。
悠「あ」
シャル「あ」
そこにはこちらに手を伸ばした状態で停止しているシャルロットの姿が有った。
おそらくドアが開かないように手で止めようとしたが、間に合わなかったと言ったところだろう。
悠(どうしよう。自分から故意にやったとは言え、きゃーっ!って叫べば良いのかな?女子的には)
この間僅か一秒。
悠(いやいや私が入った訳だし、ここで叫んだら他の人が駆け付けて来るから原作通りに対処しよう)
今のこの場に人が来ると、シャルロットがピンチになるので叫ばずに冷静に行動する。
悠「……え~と、シャンプーの替えここに置いとくね」
パタンッ
私は静かにシャワールームのドアを締める。
悠「ふぅ。上がってくるのまだっぽいし、少し休んでよ」
私はシャルロットか一夏のベッドに腰掛ける。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
シャル視点
僕は女で有ることを隠して、世界で二人目の男性操縦者としてこのIS学園に通っている。
そもそも何故女で有る事を隠して居るかと言うと、僕の親に関係が有って、僕の親の会社は世界的にも有名なデュノア社なのだ。
だが、各国では第三世代型が開発されている中、技術・情報力不足によりデュノア社は第二世代型までしか開発されていない。開発されていないが故に経営危機に陥ってしまい、経営危機回避の苦肉の策として広告塔及び第三世代型以降のISのデータ収集の為に僕がここに送られたのだ。
そして今、最大のピンチに直面している。
今回、ターゲットで有る織斑 一夏の特訓に付き合っており汗を沢山かいてしまったのでシャワーを浴びていたら、一夏の兄弟のような存在だと言う少女如月 悠が一夏と僕を食事に誘いに来たのだ。
僕はシャワーを浴びていたから後から行くつもりだったけど、悠が僕の事を待っていると言ってこの部屋に残ったのだ。そしてシャンプーが切れていることを一夏から聞いていたらしく、シャンプーの替えを渡そうとしてくれたのだ。
一夏と生活していた悠が男偽っている僕の裸を見ようと動揺しないのは分かる。だからこそシャワールームの中に居る僕にシャンプーを渡してくれるのも分かるのだが、女だと知られたくない僕に取っては最悪の状況だ。
少しの沈黙が流れる。
悠「……え~と、シャンプーの替えここに置いとくね」
パタンッ
今の私は何も見てないよ見たいな表情を見る限り、他の人に言い触らしたりはしないだろう。第一悠はそんなことをするような人ではない。
取り合えずどうするか考えて置かなければ。
ガチャン
自分で用意したジャージを着てシャワールームから出る。因みに下は着けているが、上は着けていない。何がとは聞かないでね。
シャワールーム出て、室内に悠が居ないか探してみると、一夏のベッドの下を覗いている悠の姿を発見した。下を覗いてお尻を上に突き出すような姿になっている悠は、スカートが捲れて兎さんが顔を出していた。
シャル「……何してるの?」
悠「ビクッ…………」
僕が声を掛けると肩をビクつかせて何も無かったように、ベッドに腰掛けた。
悠「……こ、珈琲と紅茶どっち飲む?」
シャル「えっと、じゃあ紅茶を貰おうかな」
どうやら悠はさっきの事を丸々無かったことにしたいらしい。
でも、ほんとに何やってたんだろう?
悠「確かここったへんに紅茶のが有った筈……あ、有った!ポットのお湯を……あちっ!」
シャル「え!?大丈夫!?」
自分のベッドに座って待っていたら、キッチンの方で悠がお湯を手にかけてしまったようだ。
僕は急いでキッチンに向かう。
悠「らいじょるだよほれくらい(訳:大丈夫だよこれくらい)」
キッチンに着くと悠が右手の親指を舐めていた。
シャル「ちょっと見せて」
僕は悠の右手を取り様子を見てみる。するとそこはほんのりと赤くなっていた。
シャル「あぁ赤くなってる。早く冷やさないと」
ジャー
悠の手を水道に持っていき、蛇口を捻って水を出しそこで悠の手を冷やす。
シャル「もう、女の子何だから肌には気を付けなきゃダメだよ」
悠「う、うん///ありがとぅ///」
悠が顔を赤くしながら喋ったが、最後の方は声が小さくて上手く聞き取れなかった。
どうやら悠は有る一点を見つめて顔を赤くしているようだ。
悠「……シャルル、その、胸見えてる///」
シャル「バッ///」
僕は急いで自分の胸元を見る。胸元はジャージのチャックが胸の中間あたりまで開いていて、もうすぐで全部見えてしまいそうなくらいだった。
僕は胸元を隠して悠を上目遣いで見て
シャル「……悠のエッチ///」
女の子同士だから別に恥ずかしく無いことは分かっていたが、一応言っておいた。
悠「エッチって別に見ようとして見たんじゃ」
第一何で悠が顔を赤くするのさ。
シャル視点終了
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悠視点
ビックリしたー!一夏がエロ本隠してないか探してたらシャルに見付かっちまってほんとに焦ったよ~。
で、今は紅茶をベッドの横に有る台に乗せてシャルロットと向かい合わせに座って居る。因みに、私が座って居るのが一夏のベッドらしい。
シャル「…………何も聞かないの?」
シャルロットが沈黙を破って、私に問い掛けた。
別に聞かなかったんじゃなくて、他の事考えてただけなんだけど……。
悠「聞いて欲しかったの?」
シャル「う、それは……」
逆に問い返すと、シャルロットは言葉を濁す。
悠「私はシャルルが自分から言いたいって思うようになったら、その時聞ければそれで良いよ」
さ~て、どうやってデュノア社を黙らせようかな。
シャル「……いや、今言うよ」
悠「ん、じゃあ聞かせてもらおうかな」
シャル「先ずは、僕がここに来たのは一夏の情報を盗むためだったんだよ」
シャルロットがポツポツと語り始めた。
悠「何でそんな事してたの?」
シャル「デュノア社の……社長の命令だったんだ」
デュノア社の社長、シャルロットの父親か。ったく!この世界にはろくな親が居ないな!
シャル「僕は社長の愛人の子でさ、引き取られたのはお母さんが亡くなった時で、二年前の事だよ。父の部下だって言う人が来て、沢山検査していく過程で僕にはIS適正が高い事に気付いたんだ。それから非公式では有るけど、デュノア社のテストパイロットになった」
まるで映画の中のような出来事だった。自分が大企業の社長の愛人の子で、母親が早くに亡くなって、会社のために男装までして。根は優しい普通の女の子なのにいっぱい頑張って、沢山無理して、シャルロットはそんな人生を歩んで来たんだと思うと、少し目尻が熱くなった。
シャル「でも、ろくに父親の顔も見たこと無いんだよね。会ったのは二・三回くらいかな?会話なんて殆ど無くてさ、ただ父親が僕にやること説明してるだけ。本妻の人には「この泥棒猫!!」って叩かれてさ」
聞くのが辛かった。アニメで見てるのと、実際に目の前で聞いてるのでは言葉の重みが違った。シャルロットの瞳は悲しさと切なさで潤んでいた。表情も俯きがちで話しているのも辛そうだ。
言いたかった。もう話さなくて良い。私が何とかするからもう大丈夫だよって、でも話して貰わないと助ける事が出来ない。だから私は止めなかった。
シャル「……その後はたぶん悠も知ってると思うけど、デュノア社は経営危機に陥った」
悠「……だから、スパイしに来たんだね」
シャル「…………」コクッ
シャルロットは頷いて、肯定で有ることをしめす。
シャル「嘘ついててごめんね」
悠「……それで、これからどうすんの?」
シャル「!?そ、そうだよね。ここには居られないよね。ずっと皆を騙してたスパイ何て居てほしく無いよね」
どうやらシャルロットはわたしが皆に言い触らすと勘違いしたようだ。
悠「そう言う事じゃ無い!シャルルはこれからどうしたいのか、シャルルの本当の気持ちが知りたいんだ!」
シャル「っ!?ぼ、僕は……」
シャルロットは俯かせていた顔を上げて、涙を貯めた瞳で私の方を見てハッキリと言葉にした。
シャル「僕はここに居たい!もっと皆と一緒に居たい!」
悠「……うん。私はその答が聞きたかった。私もシャルルにはここに居てほしい!」
私はシャルロット自信の言葉で「ここに居たい!」と聞きたかった。私達がそれを望んで、シャルロットがそれに流されるだけじゃダメだと思ったから。
悠「でも、シャルルがずっと男装を続けるって言うのは可哀想だな~。こんなに可愛いんだからもっと生かさなきゃ勿体無いし」
シャル「か、可愛い///ぼ、僕が?///」
悠「そりゃ~もう。見てて羨ましいぐらいだよ」
シャル「ぼ、僕は悠の方が…………可愛いと思うな///」ボソッ
止めろ、可愛いとか言うな。元男としては複雑なんだ。
悠「今何か言った?」
シャル「う、ううん///何でも無いよ///」
一応聞こえて無い振りをする。
悠「んで、ここに居てほしいとは言ったものの、具体的にここに残らせるにはデュノア社の社長をどうにかしなきゃいけない訳だけど…………何か良い案有る?」
ズコッ
シャル「か、考えて無かったの!?」
シャルロットがベッドから落ちそうになりながらツッコミをいれてくる。なかなかやるな。
悠「だって、シャルルの事で頭いっぱいだったし」
シャル「……悠(そこまで僕の事を///)」
悠「……あ、そうだ。デュノア社に第三世代型ISのデータをあげる代わりに、シャルルを自由にしてくれって言うのはどうかな?」
どうせ『黒猫』のハイスペックじゃ、堪えれる人居ないと思うし、契約が成立すれば後はこっちのもんだしね。
シャル「そんな!それって結構特別なISでしょ。簡単に情報渡すなんてダメだよ!」
こんな状況でも他人を思いやれる何て…………待ってろよシャルロット!絶対自由にしてやるからな!