次の日
今日も今日とて朝から箒の苦難が有り、やっと起きた悠と箒は食堂に行き一夏とシャルロットに合流した。
箒「ふぅ。どうしたら悠は一発で起きるんだ?」
少し疲れた様子の箒が横でにこやかに歩いている想い人に向かって言う。
因みに今日は布団をひっぺがしたのだが、布団に悠がしがみついて放さなかった為に、いつもと変わらない時間に起きたのだった。
シャル「悠ってそんなに起きないの?」
女子と分かったけど、まだ男子の制服を着ているシャルロットが、こちらを覗き見ながら不思議と言った表情で言う。
一夏「そうなんだよ。悠は朝が天敵見たいなもんなんだよな」
悠「しかた無いじゃん。どんだけ早く寝ようが起きれないんだもん。ふぁ~」
七時に寝ようが八時に寝ようが、起きるときはどうしても辛い。これだけは治そうにも治らない。
と、話している間に教室に着いた。
ガラッ
ドアを開けて中に入ったが、皆話しに夢中で聞こえていないようだ。
そして、教室の中央にクラスの人が何人も集まっている場所があった。中にはセシリアに鈴音までもが、混じっている。
セシリア「そ、それは本当ですの!」
鈴音「嘘ついたらただじゃ置かないわよ!」
女子1「本当だって!学年別トーナメントで優勝したら、如月さんが何でも一つ言う事を聞いてくれるんだって」
セシリア「何でも一つ」
鈴音「言う事を聞いてくれる」
二人は何を想像して、うっとりとした表情になる。
一夏「何の話ししてんだ?」
そこに超鈍感大王である一夏が割り込んだ。
女子2「あ、織斑君。実はね……って、如月さん!」
一夏の声に反応して振り返った女子生徒が、一夏に事情を説明しようとしたとき、一夏の後ろに居る悠に気が付いた。
そして、女子生徒が悠の名前を呼ぶと周りもやっと悠が教室に入ってきた事に気が付いたらしく、いそいそと席に着き始めた。
セシリア「さ、さてと、もうそろそろ織斑先生がこられますわ。早く席に着きませんと」
セシリアは業とらしく手を叩くと、自分の席に戻って行った。
鈴音「あ、あたしも自分の教室に戻るわね」
鈴音もセシリアが手を叩くと同時に、教室を出ていった。
悠(聞こえてないと思ってる見たいだけど、バッチリ聞こえてるんだけど。……にしても、まさか箒との会話が聞かれていたとは、しかも何で私が『デートする』から『何でも一つ言う事を聞く』になってるんだ?誰だよ流した奴)
本音「ん~。この飴美味しい~」←流した奴
この情報を流すために、相川、鷹月、布仏はこの中で誰か一人が情報を流し、他の二人がサクラをやる手筈だった。
が、情報流す役目をおったのが布仏になってしまったのだ。(くじ引き)
そして、布仏が流した情報はこんな内容だった。
本音「ねぇねぇ。今度の学年別トーナメントで優勝するとね~。一組のゆうちゃんが『抱っこ』してくれるんだよ~」
清香「え、それって『デート』してくれる見たいな?」
静寢「ああ、××××見たい バシッ 痛いっ!」
他のクラスの子に伝えたが、三人はそれぞれ自分の願望を思い思いに言ってしまったため、内容がごちゃ混ぜになり、周りは優勝したら『何でも』してくれるになってしまったのだ。因みに、鷹月がが危ない発言をしそうになったので、相川が言わせまいと頭を叩いたのだ。
こうして学年別トーナメントの優勝商品『悠が何でも一つ言う事を聞いてくれる』が出来上がってしまった。
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放課後
鈴音・セシリア「「……あ」」
トーナメントが近い事から、アリーナには沢山の生徒が練習に励んでいる。
そしてこのISスーツに身を包んだ偶然出会した中国活発少女と英国淑女もちょっとでも想い人に近付きたくて、アリーナに練習しにきたのだが、この二人は何かと良く衝突する仲でアリーナで会うと言う事は即ち喧嘩勃発一秒前と言う事だ。
鈴音「何であんたがここに居んのよ」
セシリア「それはこちらのセリフですわ。貴女こそどうしてここに居ますの?」
二人は敵対してますと周りに伝えて居るかのように火花をバチバチと散らせている。
周りもその雰囲気に気圧されて、二人の周りには近付かないように距離が開いている。
ズドンッ
鈴音・セシリア「「っ!?」」サッ
ズガァン
だが、突如、二人の喧嘩は終止符を打たれた。
何かを打ち出すような、そうまるで大砲を打つような音がしたとたんに、二人は飛び退いた。
すると、さっきまで二人がいた場所に砲弾が着弾した。
鈴音「キッ ちょっとあんた、一体どういうつもり?」
鈴音が砲弾が飛んできた方向を睨み付けながら、撃った本人に問う。
ラウラ「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。折角の第三世代も乗り手がこれでは宝の持ち腐れだな」
ピットの射出口に黒いIS『シュヴァルツェア・レーゲン』を纏った『ラウラ・ボーデヴィッヒ』が二人を見下ろしながら立っていた。
鈴音「ムカッ 何?やるの?わざわざドイツからボコられに来るなんて、とんだMね」
セシリア「あらあら鈴さん、この方はまだ日本語が上手く話せないですわ。あまり虐めては可哀想ですわよ」
二人は自分等を見下した態度を取るラウラに激しく怒りを覚えたが、すんでのところで悠が頭に浮かび攻撃を許さなかった。
ラウラ「ふんっ。二人そろって量産機程度に負ける力しか持っていない者が専用機持ちとは、国もそうとう人員に困っているらしい。あの牝牛が専用機を持って居るのも、所詮ただの実験だろう」
セシリア「っ!?あ、貴女、わたくし達の祖国を侮辱して、ここに居ない人まで侮辱するなんて、わたくしももう我慢出来なくってよ!」
鈴音「……あんた、あたし達だけだったらまだ堪えられたけど、他のしかも悠の侮辱するなんて許さないわよ!」
自分等の事だったらまだ理性で持ちこたえられた二人だったが、想い人の顔に泥が塗られて黙って居られるほど、二人の理性は硬くは無かった。
ラウラ「牝が牝を庇うか。所詮両方ただの雑魚だ。二人一辺に掛かってこい、1+1=2だ。大して変わらんさ」
鈴音「ふ~ん。お望み通り、スクラップにしてやるわよ!」
セシリア「まさか貴女のような方が代表候補生とは、同じ代表候補生として恥ずかしい限りですわ。これ以上恥をかかさないように、ここで叩き潰してあげますわ!」
もうこの三人の戦いを止める事は出来ないだろう。それを察してか、アリーナに居た生徒は全てアリーナから出ていった。居るのはシールドを隔てた観客席に生徒が何事かと集まってきているぐらいだ。
ラウラ「無駄口を叩くのならさっさとかかってこい」
その言葉を最後に、三人の戦いの火蓋が切って落とされた。
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悠「はぁ。今日は妙に周りの視線が痛かったよ」
シャル「確かに凄い視線の数だったね。皆悠の事見てたし」
そう、今日は噂のせいか廊下やクラスの前を通る度に一々皆振り返るのだ。一体どこの芸能人が居るのかと思う程に、今日は視線がうざかった。
一夏の時の再来だな。
一夏「でも、何で悠の事見てたんだろうな」
悠「何?一夏。人気を取られたから嫉妬してんの?」
ちょっと視線がきつかったので、少しからかって
見ようとちょっかいを出す。
一夏「ば、そんなんじゃねぇよ!」
一夏は慌てた様子で否定する。
後、今は学年別トーナメントの為にアリーナに一夏とシャルロットと一緒に特訓しに行くところだ。
女子1「ねぇ。それ本当なの?」
女子2「本当だって、兎に角行こうよ!」
何やら周りが騒がしい。あ、そっか。鈴とセシリアが戦ってんのか。じゃあ早く行かないと!
シャル「何だろうね?」
一夏「何か有ったのか?」
事情を知らない二人は、頭に?を浮かべながら、どうしたのか考えて居るようだ。
箒「第三アリーナで誰かが戦って居るようだ」
突然一夏と私の間に、ニュッと箒が現れた。
一夏「うわっ!」
シャル「し、篠ノ之さん!」
二人は余程びっくりしたのか、箒から一歩飛び退いた。
箒「……そんなに驚く事無いだろう」
箒は余りにも驚かれたので、少し拗ねているようだ。
その箒の拗ねた表情に、一瞬「萌えっ!!!」と叫びそうになったのは仕方ないと思う。
ナデナデ
悠「大丈夫。二人共いきなり声が聞こえたからちょっとびっくりしただけだよ」
私は箒の頭を撫でながら、箒を励ます。すると、箒の顔はみるみる内に真っ赤になった。
箒「あ、ありがとう悠///(悠の手暖かい///)」
シャル(良いな~。僕も悠にナデナデされたいな~)
その光景をシャルロットは羨ましそうに見ていた。
一夏「なぁ。俺達も第三アリーナに行ってみようぜ」
悠「(お、ナイスタイミング!)良し!行こう!」
箒「あ……」
私が箒の頭から手を離すと、箒は名残惜しそうに私の手を見送った。
こう言う顔をされたらもう少ししてあげたい気分になるが、今は鈴とセシリアの方が優先だ。
タッタッタッ
第三アリーナに着くと、そこには他にも興味を持って来たらしい人が沢山居た。
女子1「あれ誰が戦ってるの?」
女子2「一組のオルコットさんと二組の凰さん、後転校生のボーデヴィッヒさん、じゃないかな?」
女子3「あ!凰さんに攻撃当たった見たいだよ!」
一夏「何!?鈴とセシリアが!?」
焦った表情で一夏はアリーナの中が見える場所に移動する。私達も一夏に続く。
中を見ると、状況は思ったよりも悪く、鈴は地に伏しており、セシリアはワイヤーで首を締め付けられている。
一夏「鈴!セシリア!」
そんな場面を見て一夏がじっとしている筈も無く、一夏は『白式』を展開する。そしてそのまま
バリーン
シールドを切って、アリーナに降り立つ。
悠「そうやって、仲間思いなのは、一夏の良いところかな」
私も『黒猫』を展開し、アリーナに入る。
一夏「セシリアを離せぇぇぇぇ!」
ズパンッ
一夏はセシリアをワイヤーで苦しめているラウラに向かって、『雪片弐型』を上段に構えて突っ込んだ。そしてワイヤーを『雪片弐型』で切った。
ラウラ「ふっ!やっと来たか。『織斑 一夏』」
ドサッ
セシリア「けほっ!けほっ!」
一夏「大丈夫かセシリア!」
ワイヤーから解放されて咳き込むセシリアに、一夏が心配の言葉をかける。
セシリア「大丈夫ですわ一夏さん」
大丈夫と言っているがISはボロボロで所々破損している。本人も打撲の痕やISスーツも少し破けている。
一夏「おいラウラ!俺と戦いたいなら他の奴を巻き込むな!お前が憎いのは俺だろう!」
ラウラ「貴様がやる気を見せなかったから、やる気を出させてやったのだ。どうだ、やる気になっただろう」
一夏「っ!?てんめぇぇぇ!」
ダッ
ラウラの言葉を聞き、一夏は『雪片弐型』を構えて斬りかかった。
ラウラ「ふんっ」
だが、『雪片弐型』はラウラに届く事は無く、ラウラの目の前で一夏と一緒に止まっていた。
アクティブ・イナーシャル・キャンセラー。『AIC』を使われたのだ。慣性停止結界と呼ばれるこれは、元々は『PIC』を発展させた物で相手に意識を集中させる事により相手を任意で停止する事が出来ると言う技だ。かなり反則のように思えるが、かなりの集中力を必要とし、複数相手だと効果が薄い。
一夏「う、動けねぇ!」
どうにか体を動かそうとするが、一夏の体はびくともしない。
ラウラ「貴様もこれでお仕舞いだ。死ね!『織斑 一夏』!」
『シュヴァルツェア・レーゲン』の肩のデカイレールカノンを一夏に向けて、至近距離から撃とうとする。
シャル「させないよ!」
ズガガガガガッ
そこへ、『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』を纏ったシャルロットのアサルトライフルの弾丸がラウラに直撃する。
ラウラ「くっ!」
ラウラの注意が一瞬シャルロットの方に向く。
悠「今だ一夏!」
一夏「おう!」
ガンッ
その一瞬の隙を逃さず、一夏はラウラを蹴って距離を取る。
一夏「サンキューシャルル、お陰で助かったぜ」
シャル「うん。一夏は大丈夫?」
悠「て言うか、一夏は猪突猛進過ぎだよ!そりゃセシリアと鈴が危なくて居ても立っても居られなかったってのは分かるけど、私とシャルルで注意をそらして一夏がセシリアを救うって手が有ったと思うんだけど?」
制止する間も無く、すぐに飛び出すんだもん。少し考えればいくらでも手は有ったのに、一夏のそう言うところは『良いところ』では有るけど『短所』でも有るんだよね。鈴とセシリアはさっき保健室に運んで貰った。
一夏「うっ。すまん。でもよ!」
悠「でももカモも無い!そこで冷静に状況判断して仲間を助ける。そうでなきゃ仲間も自分も危険な目に合う可能性が有るんだ!分かった?」
一夏「……以後気を付けます」
一夏も少しは反省したようだ。若干落ち込んでる。