※この作品はR-18です。

インフィニット・ストラトスの世界に黒猫が転生   作:悠之

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第二十九話

整備室

 

簪「ふぅ。これで……完成……」

 

悠「やったー!やっと完成だー!」

 

あのセシリアと鈴の事件以来二日後、私と簪と他の整備系の生徒のおかげで『打鉄弐式』が完成した。自分のISじゃないが、完成した瞬間の感動と達成感は苦労のかいがあったと思えるものだった。

 

簪「でも、予定より……一日遅かった。……急いで練習しないと」

 

悠「そんなに焦る必要は無いよ。じっくり確実に行こう」

 

焦っている簪を見て、焦っても上手く行く筈が無いと思い簪を落ち着かせる。

 

悠「先ずは試運転だよ。さ、第二アリーナに行こう」

 

簪「うん!」

 

学年別トーナメントへのカントダウンは始まった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

束の研究所

 

カタカタ

 

薄暗い部屋の中、パソコンの光だけが束を照らしている。

 

束「う~ん。やっぱり仕掛けてくるよね~。まったくしつこいんだよ!ちょっと石ころに磨きがかかったくらいでさ~。ゆーちゃんは束さんのものだよ!」

 

パソコンにはクラス対抗戦の時に乱入してきたIS『ガーゴイル』が写し出されていた。

 

束「束さんも、ゆーちゃんの為に一肌脱いじゃおうかな。そして~ゆーちゃんになでなでしてろらう~❤」

 

カタカタ

 

不純な理由では有るが、束は悠の為に動き出したようだ。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

学年別トーナメント当日

 

悠「予想通りだね」ボソッ

 

学年別トーナメント当日、更衣室にてペアと対戦表が写し出されていた。そこには

 

Aブロック一回戦

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之 箒

     vs

如月 悠&更識 簪

 

Bブロック一回戦

 

織斑 一夏&シャルル・デュノア

     vs

相川 清香&鷹月 静寢

 

学年別トーナメントはペアが決まらなかった場合、ランダムでペアが決められる。結果、対抗戦の相手は原作通りラウラと箒のペアとなった。

 

簪「……最初から当たる何て、良いの?悪いの?」

 

横に居る簪が首を可愛らしく傾げながら、私に聞いてきた。

 

……正直に聞きたい!コテンッと首を傾げながら聞いてくる簪は…………可愛いとは思わないか!?

 

フワッと揺れるその水色の髪!少し不安げに潤んだその瞳!愛らしくプニッとした薄ピンクの唇!

 

これ以上語るところが山程有るが、これ以上続けると止まらなくなるから今日はこの辺で止めよう。

 

取り合えず一言叫ばせてくれ。

 

スゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

カッワイィィィィィィィィィィィィィィイッ!!!!

 

ゴホンッ

 

失礼、もう大丈夫だ。

 

悠「簪、これはラッキー何だよ!私と簪の力でラウラを改心させよう!そして、生徒会長に簪の力を見せ付けてやるんだよ!」

 

簪「ッ!?……そうだね。お姉ちゃんに……私の力を………でも、出来るかな?」

 

簪はお姉さんに自分の今の力を見せると意気込むが、本当に出来るか不安になり表情が曇る。

 

ガシッ

 

悠「簪。『私』じゃないよ。やるのは『私達』だよ。私と簪、二人で生徒会長の度肝を抜こうよ!」

 

私は簪の両手を、自分の両手で包み込み簪を励ます。

 

簪「……うん///」

 

簪は頬を朱色に染めながら、力強く頷いてくれた。

 

悠(ラウラ、今助けてあげるからね)

 

 

 

 

 

 

箒「これは、運命の悪戯か」

 

箒は悠以外とペアを組む気はなかった。自分が守りたい背中は悠だけ、逆に自分の背中を任せられるのも悠だけだと思っていたからだ。故に箒は学年別トーナメントではランダムに決まった人と戦うと決めていたが、ランダムでペアになったのはラウラだった。

 

ラウラは当然誰とも組んでいなかった。ラウラは自分よりも弱い人とは組まないだろう。

 

箒「……悠が相手だろうと、全力で戦う」

 

そうだ。相手が悠でも全力で戦う。悠だったらそれを望む筈だ。問題はペアの方だ。こいつ(ラウラ)は恐らく私の力など必要としないだろう。厄介なペアが出来てしまったものだ。

 

箒「悠に勝てたら、私は悠の隣に肩を並べて立つことが出来る。……そして、この想いを」

 

箒は、胸の内に秘めた想いを伝える為に闘志を燃やした。

 

 

 

 

 

 

 

ラウラ「織斑……一夏」

 

教官の唯一の汚点。たいして強くも無く、今までごく平凡な暮らしを送ってきた貴様が教官の弟など、私は決して認めない!

 

そして

 

ラウラ「織斑……いや、如月 悠か」

 

教官がこいつの話をするときはいつも穏やかな表情を見せていた。

 

教官にあのような表情をさせる貴様を、私は許さない。

 

教官はいつでも誰が相手でも凜としていた。そんな教官が、何故こいつの話をするときにはそのような表情をなさるのですか!終いにはこんなISをおしゃれとしか思っていない者共が居る場所の教師など!

 

ラウラ「……教官。私が貴女を……連れ戻します」

 

その為には先ず……

 

ラウラ「貴様らを叩き潰す!」

 

ラウラは、内に有る怨みを燃やす。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

試合開始二分前

 

ピット

 

教員「残り二分になりましたので、アリーナに出てください」

 

悠「はい」

 

先生に準備を促され、『黒猫』を展開する。

 

千冬「悠、準備は良いな」

 

いつでも出撃出来るようにしていると、ピットに千冬姉が入ってきた。

 

悠「……千冬姉。バッチリだよ!」

 

千冬「ふっ。行ってこい」

 

悠「はい!」

 

千冬姉の言葉に答えて、ピットから出撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピットを出ると、そこにはラウラと箒が待機しており簪が丁度ピットから出てきたところだった。

 

アリーナには人が満ち溢れていた。観客席の生徒は興奮を抑えきれずに立ち上がって叫んで居るものもいる。

 

他にもいろんな企業や政府の人間もちらほらと見えている。

 

ラウラ「来たか。臆病風にふかれて来ないかと思ったぞ」

 

悠「大丈夫だよ。借りは返すからね」

 

アナウンス『これより、学年別トーナメントを行います。試合開始のカウントをします。10』

 

アリーナにアナウンスが流れて、四人はそれぞれ臨戦態勢になる。

 

アナウンス『9、8』

 

ラウラ「今度こそ貴様を、叩き潰す!」

 

アナウンス『7、6』

 

悠「……返り討ちにしてあげるよ」

 

真っ正面からラウラを見る。対してラウラは私を人でも殺すかのように睨み付けてくる。

 

アナウンス『5、4』

 

箒(きっと、きっとお前の隣にたって見せる。私の全力をもって)

 

簪(私のすること、悠を全力で戦わせてあげる事。その為に、私は悠を支える)

 

アナウンス『3、2』

 

それぞれの想いを胸に、学年別トーナメントの火蓋が

 

アナウンス『1』

 

切って落とされた。

 

アナウンス『試合開始!』

 

ラウラ「はぁっ!」

 

試合開始の合図と同時に、ラウラがプラズマ手刀で斬りかかってきた。

 

悠「『クライスト』!」

 

私も手に剣『クライスト』を出し、応戦する。

 

ガギンッ

 

悠「いきなりとは、せっかちだね」

 

ラウラ「ほぅ防いだか。まぁ、これぐらいで終わられては話しにならんからな」

 

悠「あんまり嘗めてると、足を掬われるよ」

 

ラウラ「言ってくれる」

 

ガギンッ

 

プラズマ手刀を『クライスト』が弾き、距離を取る。

 

箒「はぁぁ!」

 

距離を取ると、横から『打鉄』を纏った箒が『葵』で斬りかかってきた。

 

ギャリンッ

 

箒「ッ!?」

 

簪「……貴女の相手は……私」

 

だが、箒の『葵』の斬撃は簪の『夢現』により防がれた。

 

悠「ありがと簪。助かったよ」

 

簪「大丈夫。……悠は目の前の戦いに……集中して」

 

あの簪がこんなに大きく、グスッ お母さんは嬉しいよ。

 

箒の前に立ち、堂々としている簪を見て、逞しくなったな~と母性本能が刺激された。

 

悠「任せたよ。簪」

 

私は箒を簪に任せて、目の前のラウラの方を向いた。

 

ラウラ「ふんっ。あいつ(箒)が居ずとも、私には関係の無いことだ。お前ら程度、私一人で倒せる」

 

ムカッ 私の事は聞き流せるけど、簪の事を言われると腹立つな。

 

悠「そうかい。なら、倒してみなよ!」

 

ラウラ(ッ!?早い!?)

 

悠がラウラに突撃したときの早さは『瞬時加速』のそれと錯覚するほど早かった。

 

悠は接近すると同時に両手にトンファー『ディオスクロイ』を出す。

 

悠「この距離なら、効くでしょ」

 

『ディオスクロイ』を持った両手の内、右手を少し引き、ラウラの体目掛けて少し加減をして殴る。

 

ズドンッ

 

ラウラ「ぐふっ」

 

ラウラは呻き声をあげて後方へ大きく吹き飛ばされる。

 

ガンッ

 

だが、ラウラはある程度後方に飛ばされると何かにぶつかり止まる。

 

箒「何!?」

 

ラウラ「貴様!?」

 

そのぶつかった物の正体は、所々傷付いた箒だった。更に後方には簪が背中の二門の連射型荷電粒子砲『春雷』を撃った状態で浮遊していた。

 

悠「行け!簪!」

 

簪「うん!行っけー!」

 

簪の手元に簡易ディスプレイを出現させて、ミサイルポッドから独立稼働型誘導ミサイルを発射する。

 

ミサイルは全て変則的な軌道を描き、箒とラウラに降り注いだ。

 

ドガンッ

 

ドガンッ

 

ドガァァァァァンッ

 

ミサイルは見事に命中し、辺りを砂埃が包む。

 

簪「……やった……」

 

簪、それはフラグと言うものだよ。

 

砂埃が段々と晴れてきて、中の様子が見えるようになる。

 

悠「なっ!?」

 

簪「……嘘!?」

 

私と簪は同時に驚愕した。

 

ラウラ「少しは役に立ったか」

 

箒「くっ!うぅぅぅ」

 

砂埃が晴れた場所には、箒に『AIC』を使って盾にしているラウラが立っていた。周りにも無数の穴が空いている事から、相当なダメージを受けたのは明白だ。

 

ガシャン

 

『AIC』が解除されて下に箒が下ろされる。シールドエネルギーが無くなったのか、箒はそれから動かなくなった。

 

…………流石に怒るよ。

 

悠「お前、何やったか分かってんのか」

 

ラウラ「何とは、役立ててやったのだ」

 

プチッ

 

この銀髪ロリ軍人がぁぁぁぁ!!

 

悠「もう許さん!はぁぁぁ!」

 

『ディオスクロイ』を消し、『アルテミス』を出す。そして、ラウラの周りを高速で移動し『アルテミス』を無数に射る。

 

ラウラ「くっ!このくらい!」

 

ラウラは『アルテミス』の矢を巧みにかわしながら、当たりそうになるものはワイヤーブレードで叩き落とす。

 

悠「そのワイヤーは封じさせて貰う」

 

『アルテミス』の弓を消し、トランプ『ジークフリード』を出す。

 

悠「ふっ!」

 

シュカカカカカカ

 

『ジークフリード』を投げ、ワイヤーブレードに突き刺し動きを封じる。

 

ラウラ「ならば!」

 

動きを封じられたラウラは、レールカノンをこちらに向けてきた。

 

悠「そう来ると思ってたよ」

 

『ジークフリード』を消し、次は肩にデカイバズーカ『ウルスラグナ』を出す。

 

ドンッ

 

ドンッ

 

ズガァァンッ

 

レールカノンと『ウルスラグナ』が火を吹き、衝突し爆発する。

 

ラウラ(くっ!これも防がれた!)

 

バッ

 

爆煙が包む中、『グングニル』を展開してラウラの懐に移動する。

 

悠「これで、終いだ!」

 

ズドンッ

 

ラウラ「ぐはっ!」

 

悠は思いっきり『グングニル』の突きをラウラに食らわす。シールドエネルギーはみるみるうちに減っていき、最終的に0になった。

 

ラウラ(私は負けるのか!?)

 

戦うための兵器として試験管ベビーとして生まれ、これまで頑張ってきた。体術を覚え、兵器の操縦の仕方を覚え、その全てで最も優秀な成績を納めてきた。

 

だが、ISが現れて私の運命は変わった。ISの適合性向上の為に『ヴォーダン・オージェ』を埋め込まれた。しかし、結果は不適合、左目は金色に変わり能力を制御しきれずに、訓練では基準値以下の成績になってしまった。

 

軍は私を出来損ない扱いし、私は存在意義を失った。何もかもが黒く染まり、生きる意味を見失いかけた。

 

そんな時だった。

 

千冬『『ヴォーダン・オージェ』の不適合により出来損ないの烙印を押されたか。任せろ、私がお前を最強に戻してやる』

 

特訓の毎日だった。だが、決して悪い日々では無かった。教官のお陰で私は『シュヴァルツェ・ハーゼ』の隊長座に着くことが出来た。教官には感謝してもしきれない。そして私は思った。この人のように強くなりたい。

 

ある日私は聞いてみた。

 

ラウラ『教官。教官は何故そんなに強いのですか?』

 

教官は一瞬優しい表情を見せた。私の前では見せたことのない優しい表情。

 

千冬『私には弟が居る。どうしようもない弟が』

 

ラウラ『弟、ですか』

 

千冬『そして、愛する者が居る』

 

ラウラ『ッ!?愛する、者』

 

千冬『あいつらを見ていると分かる。強さとは何か、その先に何が有るのか』

 

ラウラ『…………良く分かりません』

 

千冬『いずれ分かるさ。日本に来ることが有ったら会わせてやる。……だが、決してやらんからな(悠の事)』

 

……違う。私の憧れる貴女じゃない!

 

私は妬んだ。教官にこんな表情をさせる弟を、教官に愛される者を

 

故に

 

ラウラ(私は負ける訳にはいかない!)

 

ドクンッ

 

ラウラ(力が……欲しい)

 

ドクンッ

 

ラウラ(何者にも負けない力を!)

 

ドクンッ

 

ラウラの心の奥底で、何かが動いた。

 

?(……願うか?汝、力を欲するか?)

 

欲しい!弱い私など要らない!

 

ラウラがそう願うと、ラウラが纏っていた『シュヴァルツェア・レーゲン』が放電し、形を変えた。

 

 

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