一夏と箒は焦っていた。一夏は右手に確りと『福音』をの操縦者を抱えて、左手で箒に掴まり旅館はまだかと………。
箒はもっと飛行速度は早くならないのかとエネルギーの全てをブースターに注いでいるかのように、必死で旅館に急いだ。
悠の元から飛び立ち数十分後、無事に旅館に着くことが出来た。旅館に着くと一夏は『福音』の操縦者を医務室になっている部屋に預けて、箒は急いで専用機持ち達が集まっている千冬の居る部屋へと入った。
バンッ
箒「織斑先生!早く!早く悠を助けて下さい!」
箒はいつも出さないような大きな声を出して、部屋へと勢いよく入った。
千冬「落ち着け篠ノ之。既に状況も把握して準備を整えてある。後はお前と織斑のISのエネルギーを満タンにするだけだ。他の専用機持ちは海岸に待機している。お前も『紅椿』が調整できしだい、海岸に向かえ」
千冬は表には出していないが、内心悔しがっていた。自分の大切な存在が今傷つけられているのだ。何も出来ない自分に悔しくて、そのくせ世間では『世界最強のブリュンヒルデ』と言われて。
箒は千冬の言葉を聞くと部屋を出ていった。
千冬「………何が『世界最強のブリュンヒルデ』だ。妹一人守れず、守りに行ってもやれない情けないただの女ではないか」
千冬は拳を硬く握りしめ、顔を俯かせた。
真耶「織斑先生………。信じましょう。無事に生徒達が戻って来ることを」
千冬「………ああ、そうだな」
二人は静かに、箒が出ていった襖を見つめていた。
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箒が海岸に着くとそこには専用機持ちが勢揃いしていた。
束「箒ちゃん。後は箒ちゃんの『紅椿』だけだよ。エネルギーを満タンにするから貸してくれるかな」
箒「はい、姉さん」
箒は『紅椿』の待機形態の金と銀の鈴が着いた赤い紐を束に渡した。
束「待っててね箒ちゃん。すぐに『紅椿』を動かせるようにするから」
束は『紅椿』の待機形態を受け取ると、すぐに手元の機械を操作し始めた。
よく見ると束の手元には『紅椿』の他にもう一つ、白いガントレット見える。
一夏「箒」
箒「一夏」
一夏「悠を助けよう。悠はきっと俺達が来るのを待ってる筈だ。だから、今度は俺達が悠を助けよう。今まで悠が俺達を助けてくれた見たいに」
セシリア・鈴音・シャル・ラウラ・簪「「「「「コクッ」」」」」
セシリア達は箒の方を向いて、そうだと言うように頷いた。
箒「………そうだな。悠に今度は私達が恩返しする番だ」
箒は束がエネルギーを満タンにするのを待った。
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悠「はぁ……はぁ…」
悠は黒いISと激戦を繰り広げていた。だが、長期戦では断然黒いISの方が有利で悠は息を切らしていた。
悠「(こっちは武器三つに、体力だって限界が有るんだ。こっちがあきらかに不利なのは変わらないか)一か八か『単一仕様能力』を使うか」
悠は自分に更に負荷が掛かるのを覚悟で、『単一仕様能力』を使おうかと考えていた。
黒いIS『ガガ……モード変更。スピードモードから、アタックモードへと変更』
悠(モードを変更、するだと)
悠は黒いISから発せられた機械的な音声に驚愕した。
キュイーン
ガシャ
すると黒いISに変化が表れた。黒いISは肩、肘、膝、踵から鋭利な刃物のような紫色のエネルギー刃が出てきた。それはまるで
悠「『展開装甲』。なんであのISに『展開装甲』か使われてんだ」
黒いIS『ガガ……モード変更完了。目標の迎撃を開始』
シュンッ
黒いISは先程よりも遅いスピードで悠に近付き、手に持った槍を横薙ぎに振るう。
悠はそれをかわし、『クライスト』と『マルス』を消して代わりに『グングニル』を両手で持ち、上段から降り下ろす。
黒いISは槍でガードするが
バキンッ
『グングニル』の方が威力が強く黒い槍は折れてしまった。
黒いIS『ギギ……槍の破損を確認。『魔槍ゲイボルグ』を展開』
黒いISは折れた持ち手だけの槍を捨てて、新たに右手に禍々しいオーラを纏った槍を出した。
悠(今こいつゲイボルグって言ったか?それってまさか、あれで刺されたり切られたりしたら治らないってやつか)
悠は『魔槍ゲイボルグ』の能力が自分の知っているものと同じだったらと思い冷や汗をかいた。
黒いIS『ガガ……ギギ…』
ドシュッ
ドシュッ
黒いISは両肩に着いた紫色のエネルギー刃を飛ばしてきた。エネルギー刃にはコードが繋がっており、自由に操れるようだ。
悠はなんとか避けながら、『魔槍ゲイボルグ』のせいで無闇に近付けずにいた。
ガシッ
悠「しまっ!」
悠が黒いISに注意を向けた瞬間に、紫色のエネルギー刃が悠の足に絡み付いた。
グンッ
悠「ぐっ!」
黒いISはそのままコードを引き寄せて悠を刺そうと構えている。
悠「『ア・バオア―――」
黒いIS『ギギ……膨大なエネルギー反応を感知…妨害を開始』
バリバリ
黒いISはコードに電流を長し、悠の武装展開を阻止する。
悠「うわぁぁぁぁ!」
悠は電流を受けて『ア・バオア・クー』を出せなかった。
黒いISは近くまで悠を引き寄せると、『魔槍ゲイボルグ』を突き刺した。
悠は避けきれずに右の脇腹にゲイボルグをかすってしまう。
かすった脇腹の装甲は剥がれ、白い肌とゲイボルグがかすって出来た傷から血が出ていた。
悠「ぐっ!(やっべ!かすっただけなのにメチャクチャいてぇ!)」
黒いIS『ガガ……目標の生存を確認。…追撃を開始する』
黒いISは肩のエネルギー刃をまた飛ばして、更に両肘、両膝のエネルギー刃も飛ばした。
悠「すまん箒、一夏。ちょっとキツいかも」
八本の電流の流れたエネルギー刃が悠に襲い掛かった。
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『紅椿』と『白式』のエネルギーを満タンにした一夏達は海岸を飛び立ち、急いで悠の元へと向かっていた。
一夏と箒と簪のIS以外はそれぞれ強化されており
『ブルー・ティアーズ』には強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』
『甲龍』には機能増幅パッケージ『崩山』
『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』には防御パッケージ『ガーデン・カーテン』
『シュヴァルツェア・レーゲン』には砲戦パッケージ『パンツァー・カノニーア』
と、それぞれ強化パッケージを装備していた。
ラウラ『もうすぐ目標のポイントだ。気を引き閉めて行くぞ』
全員『了解!』
箒(悠、待っていろよ!必ず私がお前を助け出して見せるからな!)
全員スピードを上げて悠の元へと急いだ。
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箒達が悠の元に着くと、そこには所々装甲が剥がれて血を流しているボロボロの悠の姿だった。悠は左手を黒いISに持たれてグッタリとしている。
箒『………悠』
箒が呼び掛けても、悠はピクリとも動かない。
箒『貴様ぁぁぁぁ!』
箒は怒りに任せて『雨月』と『空裂』を振るう。が、黒いISは動かない悠を箒に投げ付けて、箒の攻撃を中断させる。
『雨月』と『空裂』を消して、悠を両手で受け止めた箒は悠の安否を確認するために何度も呼び掛ける。
箒『悠!確りしろ!』
だが、悠はなんの反応も示さない。
セシリア『箒さん!悠さんを連れてさがって下さい!ここはわたくし達が食い止めますわ!』
鈴音『箒!悠の事、頼んだわよ!』
セシリアと鈴音は狙撃と『龍砲』の攻撃をしながら箒に言った。
その時、黒いISのエネルギー刃の一本が箒と悠目掛けて伸びてきた。
シャル『させないよ!』
ガギンッ
それを箒とエネルギー刃の間にシャルロットが入り、実体シールド二枚でエネルギー刃を弾いた。
ラウラ『はぁ!』
ドンッ
ラウラはシャルロットに更に追い撃ちが来ないように、レールカノンで攻撃する。
シャル『二人には!』
ラウラ『指一本触れさせない!』
黒いIS『ギギ…ガ……』
黒いISは八本のエネルギー刃に電流を流してセシリアと鈴音、シャルロットとラウラに四本ずつエネルギー刃で多方面から攻撃する。
簪『よくも悠を………許さない!『山嵐』!』
簪の『打鉄弐式』から十二発のミサイルが発射され、ロックオン・システムにより全て黒いISに誘導される。
ドドドドンッ
黒いIS『ガガ…ギギ』
着弾したが、煙が晴れると黒いISは殆ど無傷で姿を現した。
鈴音『なんて奴なの!』
セシリア『わたくし達の攻撃がまったくきいていませんわ』
シャル『……悠はこんな相手に一人で戦ったんだね』
ラウラ『ああ、嫁はよく頑張った』
簪『だからこそ………次は私達の……番』
黒いISがどれだけ強かろうと、そんな事もうすでに皆には関係無かった。ただ悠を守りたいと、そのためだけに皆はここにいた。
一夏『こうなったらもう一回『零落白夜』の一撃必殺で!』
一夏の『雪片弐型』を握る手に力が入る。
黒いIS『ガガガ………モード変更。ロックを解除。デビルモードに変更』
黒いISがモードを変更すると、紫色だったエネルギー刃が黒色に変色していた。
バシュンッ
黒いISが右の手一本を一夏達に向けると、五本の爪がエネルギー刃のように伸びた。
一夏(爪まで伸びんのかよ!?)
爪の攻撃を全員瞬時に避ける。
バシュンッ
更に左の一本の手を上に向けて、同じように爪を伸ばした。爪はそれぞれ五方向へと伸びていく。
一夏達の戦いは、激しさを増していった。
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悠(ここはどこだ?)
目が覚めるとそこは満天の星空が広がる草原だった。
悠「俺、また死んだのか?」
?『いいえ。貴女はまだ死んでいないわ』
悠一人だと思っていた草原に、もう一人の人影が立っていた。
立っていたのは真っ黒なドレスを纏った少女だった。少女にはふさふさの猫耳と尻尾が着いていた。時おりピクピクと動く猫耳とふりふりと揺れる尻尾は、間違いなく本物だろう。
悠「君は誰?ここはどこか知ってる?」
?『ここは私の中。貴女は酷い怪我をして、眠って居るの。今は貴女の仲間が貴女を守っているわ』
悠(私の中って事は、ここは『黒猫』の中なのか。アニメの一夏と似たようなものだな)
悠はアニメに出てきた昏睡状態の一夏の時の事を思い出して、目の前に居るのが『黒猫』だと言うのが理解できた。
悠「って、箒達が戦ってんのかよ。じゃあ早く私も加勢しないと」
?『何故行くの?貴女は今怪我をしているのよ。私は私を作ってくれた貴女を守りたい。だけど、あの黒いISの攻撃は私じゃ防げない。だから行かないで』
少女は必死に告げた。きっと余程悠の事が大事なのだろう。
悠「………私は行くよ。そりゃ傷付くのは怖いし痛いよ。でもね、仲間が傷付くのが一番怖いんだ。君が私の事を大切に思ってくれるように、私は私の大切な人が居なくなるのが嫌なんだ。それに、このままだと皆やられた後に、君と私もやられちゃうかもしれないしさ。だから、私は行くよ」
黒猫『………うん、そうだよね。貴女は人を大切にできる人。私はそういう貴女だからこそ好きになれたのよ。私は貴女に全てを捧げるわ』
『黒猫』がそう言うと辺りに光が溢れた。