箒『悠、目を開けてくれ!私はまだお前になにも返せて居ないんだ!やっと、やっと隣に並べると………』
箒は悠を力強く抱き締めた。
悠「ちゃんと……返して…貰ってるよ」
箒『っ!?悠!』
箒は耳元で聞こえた微かな声で、バッと悠の顔を見た。そこには痛そうにしながらも目を開けて箒を見ている悠の姿があった。
箒『悠!良かった!』
悠「私は箒を置いて居なくなったりしないよ。でも、今は『黒猫』のエネルギー切れでちょっと動けないかな」
箒『すまない悠。こんなボロボロになるまで待たせてしまって』
箒は目を潤ませながら、悠をいとおしそうに抱き締めた。
その瞬間、神々しい光が二人を包んだ。『紅椿』の単一仕様能力『絢爛舞踏』が発動したのだ。『絢爛舞踏』の力で『黒猫』のエネルギーは0からフルまで回復した。
箒『これは』
束『箒ちゃん!聞こえる?』
箒が神々しい光に驚いていると、束から通信が入った。
箒『姉さん!はい聞こえます』
束『箒ちゃん、今箒ちゃんとゆーちゃんを包んでる光は、『紅椿』の単一仕様能力『絢爛舞踏』だよ。これでゆーちゃんの『黒猫』のエネルギーは満タンになったとから、十分に戦える筈だよ』
箒『『紅椿』の単一仕様能力。悠、私はこれ以上悠に傷付いてほしくない。しかし、奴を倒すには悠の力が必要なんだ。だから、一緒に戦ってほしい!』
悠「箒………。ふっ、あったりまえでしょ!私はまだまだ戦えるよ!」
悠は箒に抱き締められている状態から、『PIC』で浮き上がった。
悠(『黒猫』もっちょっとだけ我慢してね)
悠は優しく『黒猫』のボディーアーマーに触れた。
黒猫(主のために、力をあたえます)
悠に答えるように、『黒猫』が黒いしかし澄んだ光を放った。
光が止むと、そこには鋭利な刃物を思わせる『黒猫』の姿があった。
箒『………悠』
悠「大丈夫だよ箒。『黒猫』が第二形態移行したみたい」
今までの『黒猫』と違い、爪は刃物のように鋭く肘や膝は角のように尖っている。目元はゴーグルに覆われ、金色の瞳は見えなくなっている。
悠「さぁ、行こう箒」
箒『ああ!』
悠と箒は六人と黒いISが激戦を繰り広げる場所へと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
簪『はぁ……はぁ』
シャル『はぁはぁ』
鈴音『な、なんなのこいつ。攻撃をするどころか、攻撃を避けるので精一杯じゃない』
セシリア『もうシールドエネルギーが無くなりそうですわ』
ラウラ『こちらも同じ状態だ』
一夏『くっそ!俺も『零落白夜』が後数分使えるくらいだ』
六人は黒いISの攻撃を受けてシールドエネルギーが無くなりそうになっていた。
黒いIS『ギギ…ガ……砲門を開口する』
黒いISの骸骨の口を開き中から頭部と同じくらいの砲門を出す。
キュアー
砲門にはエネルギーが収束していき、エネルギーの塊が出来上がっていく。
一夏『ちくしょー!』
鈴音(悠!)
セシリア(悠さん!)
シャル(悠!)
ラウラ(悠!)
簪(悠!)
皆の頭には最後までいつも笑っている悠の姿しかうつっていなかった。
悠「『ウルスラグナ』」
ドガァン
黒いISのエネルギーは一夏達の後ろから飛んできた砲弾により分散する。
一夏『今のは!』
全員がまさかと思い振り返ると、目元はゴーグルに隠されて見えないが、口の端を吊り上げてニッと笑う悠が右肩にバズーカを担いで浮いていた。
全員『悠!』
悠「おう!私は無事だから、ちゃっちゃとその黒いの倒しちゃお」
俺が声を掛けると、全員自分の得意な距離についた。
悠「じゃ、戦闘再開」
悠は以前よりもスピードの増した『黒猫』で正面から『クライスト』で切りかかる。
黒いIS『ガガ……『魔槍ゲイボルグ』』
黒いISは右手に『魔槍ゲイボルグ』もう一つの右手に黒い槍を展開する。更に、エネルギー刃八本を全て使い悠を落とそうとする。
悠「無駄だよ。セシリア、楽勝でしょ」
セシリア『勿論ですわ!』
上空から青いビームが降り注ぎ、エネルギー刃八本を全て撃ち抜く。
黒いIS『ギギ……ガガ…』
次は黒いISは両手合わせて四本の腕が縦に開き、中からミサイルが無数に飛び出した。
悠「鈴、シャル。道を作ってくれるかな?」
鈴音『任せなさい!』
シャル『悠には一つも当てないよ!』
鈴音の『龍砲』とシャルの弾丸の嵐の前で、ミサイルは全て粉々に撃ち落とされた。
黒いIS『ギギ…ガ』
黒いISは武装を使い果たしたのか、背中の翼のスラスターを使い撤退しようとする。
悠「ラウラ、簪。奴の動きを止めてくれる?」
ラウラ『ああ、逃がしはしないさ』
簪『…悪は……成敗…する』
簪の『山嵐』で行く手を塞がれ、ラウラのレールカノンで翼を砕かれ『PIC』で浮いているだけとなった。
黒いIS『ガガ………ギギギ』
黒いISは四本の手に『魔槍ゲイボルグ』と黒い槍を出して、こちらを伺っている。
悠「一夏、箒。アイツをぶった切るか手伝って」
箒『任せろ!』
一夏『俺だって、悠に負けちゃ居られない!』
一夏が叫ぶと、答えるように『白式』が光、第二形態移行をして『雪羅』へと姿を変えていた。
箒『はぁぁ!』
一夏『うぉぉ!』
箒は『雨月』と『空裂』で左手を二本切り落とし、一夏は『雪片弐型』と『雪羅』のエネルギー爪を使い右手二本を切り落とした。
これで黒いISは文字通り無防備となった。
悠「これで終わりだ!」
悠は『瞬時加速』を使い更に加速し、黒いISに近付く。そして、『クライスト』を上から下に降り下ろし、黒いISを真っ二つにする。
悠「まだまだ!」
数字がⅠからⅡ変わり『グングニル』を出し横薙ぎに振り、上下に切り分け
次はⅡからⅢに変わり、『アルテミス』を出して矢を四本放ち、右肩と左肩に一本ずつと右足と左足に一本ずつ撃ち込んだ。
ⅢからⅣに変わり『マルス』で右膝から下をスパッと切る。
ⅣからⅤに変わり『ディオスクロイ』で殴打を何発も浴びせ。
ⅤからⅥに変わり『オシリス』で黒いISの腹に穴を開ける。
ⅥからⅦに変わり『エクセリオン』で左足を切り取る。
ⅦからⅧに変わり『ヘイムダル』の鉄球を黒いISに当てて殴り飛ばす。
ⅧからⅨに変わり『ジークフリード』を投げて幾つもの裂傷を刻み。
ⅨからⅩに変わり『セイレーン』で切り刻み。
ⅩからⅩⅠに変わり『ウルスラグナ』で砲弾を叩き込み。
ⅩⅠからⅩⅡに変わり『ア・バオア・クー』で黒いISを殴り飛ばす。
ⅩⅡからⅩⅢに変わり『ハーディス』で再起不能になっている黒いISに、最後に『炸裂・電磁銃』を撃ち込んだ。
『炸裂・電磁銃』が止むと、そこには欠片も残っていなかった。
箒『終わったな悠。………悠?』
フラッ
箒が呼び掛けても返事が無いので不思議に思っていると、悠の体が傾きISが解除された。
箒『悠!』
ガシッ
箒は瞬時に異変を察知し、悠を落ちないように受け止める。
悠「ごめん箒。ちょっと疲れたわ」
無理も無い。『福音』と一戦交えて、その後に黒いISとの激戦を繰り広げ、ボロボロにされてその後にまた激戦を繰り広げたのだ。しかも、時の番人の武器を全て使ってだ。普通ならもうとっくに倒れているくらいだ。
その後箒に抱えられながら悠は皆と旅館に戻った。千冬には怒られて、真耶には大泣きされ大変心配をかけた。
悠は千冬に「少し休め」と言われ床に着くと、あっという間に寝てしまい、少しどころか朝までずっと眠りに着いていた。
悠が起きると既に皆帰りの支度が出来ており、悠の分の支度は千冬がしてくれていた。
そして今はバスの中だ。
悠「ふぁ~。あれだけ眠ったのにまだ眠いよ」
シャル「しょうがないよ。悠は重症同然の傷を負って、その上あれだけ激しい戦いをしたんだから」
セシリア「これに懲りたらこれからは無理しないで下さい」
箒「全くだ。少しは心配する者の身にもなってほしいものだ」
ラウラ「嫁は日頃から無茶し過ぎなのだ」
悠「うっ。は~い」
悠は四人に言われて縮こまる。
因みに一夏は一番後ろの席で爆睡している。
?「ねぇ。織斑 一夏って子と、如月 悠って子居る?」
清香「あ、はい。後ろの方に居ますけど」
?「そう、ありがとう」
悠が縮こまって居ると、バスに見知らぬ金髪の女性が入ってきた。
?「貴女が如月 悠さんね」
悠「はい、そうです」
悠はこの人物に見覚えがあった。悠が転生前の世界でアニメの中に出た人物『ナターシャ・ファイルス』だ。
ナターシャ「私は『ナターシャ・ファイルス』。『銀の福音』の操縦者よ。貴女があの子を助けてくれたのね。貴女が最後にかけてくれた言葉、あの子はその言葉で少し救われたわ。ありがとう」
「これはそのお礼よ」と、ナターシャは悠の頬にキスをした。
ナターシャ「それとこれは私個人からよ。チュッ 貴女の事、気に入ったわ」
ナターシャは続けて、悠の顎を持ち少し上を向かせると素早くキスした。
皆は今起こった事に驚き過ぎて固まっている。
ナターシャ「織斑 一夏君は………お寝むのようね。じゃあ私はこれで、バーイ」
ナターシャはとんでもない爆弾を落としてバスを降りていった。
箒「………悠」
ビクッ
悠「な、なにかな箒さん」
悠がブリキの人形のように振り返ると
悠「んっ!?」
箒からの熱烈なキスが待っていた。
悠「ちょ、箒いきなりは んっ!?」
更に箒から顔を離すと、次はセシリアの方に顔を向けさせられ、セシリアともキスをした。
悠「プハッ。い、息が、続か んっ!」
そして次は顔を上に向けさせられシャルとのキス。
悠「ハッ。はぁはぁ、ちょっとたん んっ!」
お次は下からラウラのキス。めでたく全員とキスをした。
その頃二組と四組のバスでは
二組
鈴音「むっ!今悠の唇が他の女に奪われた気配がしたわ!」
女生徒1「落ち着いて鈴!そこは窓だよ!出るならせめてドアから出ようよ!」
四組
簪「……今…悠が…キスされた気がする……。やっぱり……悠は一度………監禁する必要が…有りそう」
女生徒2「急にどうしたの簪さん!?そしてどこから出したのその猿ぐつわ!?」
戻って一組
ナターシャがバスを降りると、鬼と兎が腕を組んで待っていた。
ナターシャ「あら『ブリュンヒルデ』と『天災』篠ノ之 束がお見送りとは豪華ね」
千冬「ああ、私の悠の唇を奪ったんだ。最高のお見送りをしてやろう」
束「久し振りだねちーちゃんと意見が合ったのは。じゃあ束さんからも飛びっきりのプレゼントをあげようかな」
バスの外では大人達で一悶着あったと、真耶が言っていた。
悠は学園に帰った後、鈴音と簪から交互に何回もキスされたそうだ。
第一章
完