俺が結衣と契りを交わすことが決定すると、桜は目に見えてショックを受けていた。
「猛との契りはボクだけの特権だったのに……」
壁の方を向いて床にのの字を書きながらただでさえ暗い部屋をさらに暗くして落ち込んでいる。
桜も俺に他の女ができることに関しては特に気にしていなかった。
問題はその女が自分と同じ神で契りを結んだこと、その神が自分と対立している悪神の結衣であったことだ。
「まあまあ、仲良く同列になっただけじゃん。むしろ神力使って無理矢理猛くんを奪わなかっただけましな方でしょ」
桜とは対称的にホクホク顔の結衣は敵の桜を慰める。
よほど俺と契りを結べることが嬉しいらしい。
しかし、俺は内心ではそんなことを考えていたのかと冷や汗をかく。
「当たり前だ!そんなことしたら塵一つ残さないからな!」
余裕がない桜は結衣の言葉に激しく吠え、取っ組み合いの喧嘩を始める。
しまいには神の力を使ってポルターガイストまで起こし始めたので、俺は二人を引き剥がす。
「まったく、アンタといると疲れるよ」
「それはこっちの台詞だ。それと、私はアンタじゃない。猛に付けてもらった神咲桜って名前があるんだ」
桜は気持ちばかりの意趣返しか俺に付けてもらったという部分を強調して言う。
桜が咲き誇っている日に
、子供の無い知恵ではこんな名前しか浮かばなかったが、桜はこの名前を気に入ってくれたようでそれ以降はこの名前を使ってくれている。
「え~いいな~。私も名付けてもらおうかな」
「絶対ダメ!そんなことはさせないぞ!」
意外と羨ましいようで俺に期待の籠った目を向けてくるが、桜が断固阻止と言わんばかりに間に入って視線を切る。
「そもそも君にはもう名前があるんだろアーリマン?」
「うがぁぁぁあ!!その名前で呼ぶなぁぁぁぁ!!」
桜が意地の悪い笑みを浮かべて結衣がかつて名乗っていたであろう名前を呟くと、結衣は顔を真っ赤にして絶叫する。
「ああ、確かにこの名前を使ってた頃は、人の子で言う厨二病だったな」
「あぐっ」
「自分で片目を潰して封印を施したり」
「んがっ」
「そのせいでボク達に消滅させられかけたり」
「ひでぶっ」
「確か『ふははははは!人の子よ吾を畏れよ、吾はこの世に混沌をもたらす者。さぁ嘆き喚け!吾を楽しませろ!』とか言ってたね」
「桜、そろそろ勘弁してやったらどうだ……」
顔どころか全身を真っ赤にして床に倒れ込んでピクピクと痙攣している結衣を見ると、流石にかわいそうに見える。
そもそも神様が中二病ってどういうことなんだ?とか、なんで神様が中二病なんかにかかるんだ?とか色々気になるが、それを今聞くと結衣に止めを刺しかねないので自重する。
しかし、
「神も人の子と感性は変わらない部分があってね、そういうことは神々でもいわゆる痛いてやつなんだよね。で、実際に力持ってるから逆に質が悪いんだよね」
だが、桜が俺の心を読んだかのように俺の制止を無視して的確に結衣の急所を抉る口撃を続ける。
結衣はついに血まで吐き出したぞ。
「それで、何て呼べばいいんだアーリマン?」
「ぐはっ!?」
桜は後光が射しそうなほどの笑顔で生まれたての小鹿のようにプルプルと震えながらこの場から逃げようとしていた結衣に止めを刺す。
「あ、猛が知ってるし猛に聞けばいいか」
桜は
それはそれはものすごい良い笑顔だった。
だが、その目だけは笑っていないのがうすら寒いものを感じさせる。
「えっと、黒神結衣って名乗ってるけど」
「黒神結衣か、まぁありきたりだね」
相変わらず瀕死状態で痙攣している結衣の代わりに、俺は冷や汗を流しながら結衣の名前を教える。
逢ってから数日しか経ってないがこんな結衣を見るのはなんと言うか、新鮮だ。
そこでふと桜の過去が気になった。
俺は結衣はもちろん桜の過去はほとんど知らない。
自分が知らない桜はどんな様子だったのか非常に知りたくなったのだ。
「なぁ結衣、桜は昔はどんなんだったんだ?」
「っ!?」
「え、ちょっ!?」
純粋に気になったのもあるが、結衣への助け船も兼ねて桜の過去を聞いてみる。
すると結衣は息を吹き替えし、ガバッと勢いよく跳ね起きる。
一方桜は盛大に焦りだした。
今まで散々結衣の過去を弄っていたのだ、どんな恥ずかしい話をされるか分かったものではない。
桜は喋らすまいと結衣の口を必死に塞ぐが、結衣は猫のようにヒラリと抜け出し俺に桜の過去を話し出す。
その内容は俺の知っている桜からは想像できない一面も含んでおり、聞いてるこっちは楽しかった。
もっとも桜は先程の結衣と同じように全身を真っ赤にして悶え苦しんでいたが……
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「桜、そろそろ帰ったら?君がいると猛くんに真名教えられないじゃない」
その後も二人と話をしたり、ゲームをしていたら、すっかり時間が経ってしまった。
俺と言う緩衝材が出来たことでマシになったが、二人の仲は相変わらず悪かったので、結衣はこれを口実に桜を追い出そうとする。
俺と契りを結んだもの同士でも真名を教える気はないということだろう。
「猛、本当に結衣とも契りを交わすの?」
「断る理由がないからな」
「猛がそう決めたんなら受け入れるよ……」
「悪いな」
「うぅ~」
桜は最後の抵抗でできる限り俺と結衣が契りを結ぶ事を阻止しようと頑張っていたが、俺が言葉に出したことで渋々諦める。
「そういえば猛ってここに住んでるんだよね?」
トボトボと肩を落としながら帰って行こうとする桜が、ふと何かに気付いたように振り返りながら聞いてくる。
「そうだけど」
「それで、結衣もここに住んでるんだよな」
「見れば分かるでしょ」
俺とは一転して険しい顔で結衣にも同じ質問をすると、結衣が鬱陶しそうに答える。
すると桜は顎に手を当てて何か考える素振りを見せた。
そして、
「よし、ボクもここに済む!」
ポンと手を打ち居住宣言をする。
しかし、この宣言に音速で食って掛かる者が一人。
「は!?ちょっと待ちなよ、ここは私のテリトリーだ!」
いくら同じ人間と契りを交わしたとはいえ、二人は敵対関係のままだ。
そんな相手が目と鼻の先に住むなんて認められるわけがないだろう。
しかし、桜はそんなことはどうでもいいとばかりに続ける。
「ここには猛が住んでる。そんな猛のすぐ傍に君がいるなんて我慢できないね」
「いや、だからってそんなの認めないよ」
「じゃあ逆の立場だったらどうする?」
「それは……」
「じゃあ問題ないね」
結衣が尻窄みした瞬間に桜が決定とばかりに良い放ち、結局結衣は桜が寄合荘に住むことを認めさせられてしまう。
「思ったんだけど二人って実は仲良いのか?」
俺はふと気になったことを尋ねてみる。
さっきは純粋に敵対してるいるだけかと思ったが、二人の様子を見てている限り、ただ単純に憎み合ってる関係というわけではなさそうに思える。
「仲がいいと言うより腐れ縁って感じかな」
「もう長いこと色々やってきたからね」
二人はお互いの顔を見てから苦笑いを浮かべ、複雑な感情が混じった表情をする。
やはり、ただの敵というわけではないようだ。
「じゃ、ボクはそろそろ帰らさせてもらう。結衣、ボクがいない間に猛に変な事をするなよ」
「分かってるよ。五月蝿いな~」
これ以上長居をしても特に収穫がないと思ったのか、桜は腰を上げて玄関に向かう。
その際に息も詰まりそうな圧力を放って釘を刺すが、結衣はさして堪えた様子もなく、むしろ鬱陶しそうに手をヒラヒラさせて適当に受け流す。
「はぁ」
桜はそんな結衣を見て諦めたように溜め息を漏らし、結衣の部屋から出ていく。
「さてと、邪魔物もいなくなったところで私の真名教えて上げるよ」
桜がいなくなった後、結衣は俺に甘えるようにしなだれかかってくる。
そして俺の耳元でそっと真名を囁く。
「これから末永くよろしくね、猛くん♥」
そして、あどけなさの残る幼い顔に花を連想させる笑みを浮かべ正式に契りを交わしたことを告げる。
俺はそれに微かに笑うことで答えると、結衣は一層笑みを大きくさせた。
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離れにある自分の自室に戻ると妹ズが夕食の支度をしていた。
まるで俺が帰ってくるのを見計らったかのように殆ど料理が完成していた。
俺は手を洗い、席に着くと翠がコップにお茶を注いでくれる。
「なぁ、二人とも、ちょっと話があるんだが」
俺はお茶を一口飲んで二人に話しかける。
「何でしょうか?」
葵は料理を続けたままだが、翠は俺の隣に座って話を聞く。
「あー、実はだな……」
「もしかして、誰か増えました?」
俺が言いにくそうにしていると、鋭い翠が俺の言いたいことを察して確認をとってくる。
何が増えたかなど俺達に言う必要はない。
「まーそうだ」
俺が頬を掻きながら頷くと、二人は黄色い声を上げる。
二人にとって俺に新しい女が出来ることは、家族が増えるのと同じ意味を持つ。
つまり、喜ばしいことなのだ。
「私達も知ってる人ですか?」
「ここに住んでる黒神結衣だよ」
俺の言葉に再び黄色い声を上げる妹ズ。
二人とも結衣とは良好な関係を築けているので、すれ違いの心配がなく嬉しいのだろう。
「初めて会ったときからお兄様に懐いていましたけど、まさか家族になるなんて」
「まあ、一割くらいは桜に対する対抗心だろうけどな」
「あれ?桜さんって確か……」
「そう、結衣も桜と同じで神様らしい」
二人は驚いたような表情をするが、先程のように大きな反応は示さない。
どうやら結衣が神様だったことは俺の女になったことより衝撃的ではないらしい。
「それにしてもお二方目ですか……流石お兄様です!」
しかし、本物の神様だということを知っているので、素直に俺を誉めてくる。
別に誉められることではないのだが、二人は俺が凄いことをすると、自分以上に喜ぶのだ。
「それから、桜も寄合荘に住むみたいだ」
桜がここに住むという情報も教えてやる。
葵はあまり桜と関わりはないが、翠は幼い頃によく一緒になって遊んでいた仲だ。
近くに住めるのは嬉しいだろう。
「そうですか、桜さんもここに」
思った通り翠は思い出を懐かしむような表情になる。
翠にとって桜は頼りがいのあるお姉さんのような立ち位置なのだ。
「話しはこれくらいだ」
せっかくのご飯が冷めてもいけないので、俺は手早く話を切り上げる。
因に、妹ズはお祝いだ!と張り切って追加の料理を作ったせいで、後で体重計の前で大泣きするはめになるのだが、それはまた別の話。
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「猛、今日買い物に付き合ってくれないか?」
数日後、宣言通り寄合荘に引っ越してきた桜が初日に買い出しに誘ってくる。
桜はもともと廃れた神社を家にしていただけなので家具は持ってなく、この機に買いそろえたいとのことだ。
もっとも桜はどんな環境でも過ごせるので家具は必要ない。
だからこれはただの口実なのだろう。
「いいよ」
苦笑しながら、買い物に付き合うことにすると、桜は手を絡めて、いわゆる恋人繋ぎをしてくる。
「ぐぬぬ」
その瞬間、隣の部屋から物凄く不満そうな唸り声が聞こえてくる。
声の主が誰なのかは考えるまでもない、結衣だ。
たまたまなのか、わざとそうしてもらったのかは分からないが、桜のお隣さんは結衣なのだ。
「桜!それは自宅警備員が部屋の外に出れないと知っての狼藉なのか!」
部屋の外に出れない等と神様の口から出てきている言葉とは思えない台詞を口にしながら憤慨している。
いや、天照大神とかも引き籠りの一種だから、おかしくはないのか?
「だがしかし!私をそんじょそこらのもやし自宅警備員と一緒にしないでもらおう。私にとって日光や人混みなんど問題じゃない!」
等とどうでもいいことを考えていると、隣の部屋から壁越しに話していた結衣は力説と共に桜の部屋にテレポートしてくる。
「そういうわけで私も行くからな。色々買いたいゲームとかもあるし」
結衣が普段のダボダボTシャツ姿ではなく、外に出てもおかしくない程度の服装に着替えているところを見ると完全に付いてくる気だ。
桜はこの程度の事態は予想していたのか特になにも言わずに俺と手を繋いだままショッピングモールに向かう。
「なぁ、二人とも、ちょっと離れてくれないか」
桜はずっと恋人繋ぎだし、結衣はそれに対抗して反対側の腕に抱き付いているので歩きにくい。
「良いじゃん、もっと私たちの関係を見せつけようよ」
「見せつけるつもりなら尚更止めて欲しいんだけど」
こんな絶世の美少女と可憐な幼女を侍らせて大通りを歩くなんて自殺行為だが、ショッピングモールまでの道のりで俺達が目立つことはなかった。
そもそも神様は普通の人には見えていたとしても正確に認識されることはない。
そもそも桜達がわざと認識させなければ、彼女らのことを思い出すことも出来ないし、その事を不審に思いもしない。
これは神としての力を使っているわけではなく、人々が神を畏れ多い存在と認識してしまい自動的に発動する能力らしい。
その影響で二人にくっついている俺まで認識されなくなり、やっかみの目を向かれらなかったのだ。
「さてと、一人暮らしに必要な物とか、あったら便利なものとか教えてくれないかな?」
ショッピングモールについて人が増えたのに、桜はは一層俺にくっついて家具を見ながら色々とアドバイスを求めてくる。
桜は文明の利器とは無縁の生活を続けてきた。使い道は分かったとしてもどれが便利なものかなどは分からないのだ。
といっても俺も殆ど妹達に任せているのでそこまで家具に詳しい訳じゃない。
「別に構わないさ。猛がお勧めしてくれた物が欲しいんだ」
「それならこれはどうだ?」
俺は近くにあったベッドに触れて感触を確かめながら聞いてみる。
「このベッドフカフカだ~しかも良く跳ねるし、ヤるときには最適だね」
結衣はそのキングサイズのベッドにダイブしてピョンピョンと跳び跳ねながら下ネタを言ってくる。
そういう意図でお勧めしたわけではないのだが、デザインが桜に合っている気がしたのだ。
「とは言え、一人で使うには勿体ないし、何より高いだろうな、これ」
キングサイズのベッドってだけでかなり値が張りそうなのに、かなりデザインも良いときた。
軽く数十万はするだろう。
しかし、
「分かった、これにする」
「金足りるのか?」
桜はあっさりと購入を決意するが、桜がそんな大金を持っているとは思えなかった。
「なぁ、気になってたんだけど、二人はどうやって金を手に入れていんるだ?」
結衣は元より桜もバイト等をしていないので、人間の通貨など手に入れらないはずだ。
そのわりには、大量のゲームや高価な家具を簡単に買っている。
まさか神様の力を使って誤魔化しているわけでもないだろうし……
「う~ん、私はそこらに落ちている石ころとかを宝石とか純金とかに変えて売ってるね~」
前言撤回、結衣は思いっきり神様の力を使ってた。
「ボクは元から持っている資産を人間の尺度に変えて換金してるね」
桜も結構グレーゾーンだと思う……
「それじゃ、身分証明とかはどうしてるんだ?」
ついでなので次の家具を探している間に色々と問い詰めてみる。
「あ、流石にそれは誤魔化してるね、勿論戸籍とかも作ってるけど有って無いようなものだしね」
どうやら神様補正は本人だけでなく神に関する情報にさえ作用するようで、かなり適当に作っても通るらしい
聞いてみると、両親不明、年齢不明、住所不明などと本当に穴だらけなのに、ちゃんと通用するそうだ。
「まあ、殆ど使う機会がないからね」
桜がそんなものを使うとしたら、間違いなく俺に関係するときだけだ。
そういう点では大して問題じゃないのかもしれない。
そんなことを話ながら一通り必要な物を揃え会計に向かう。
その際見えた会計の値段を見て俺は冷や汗を流したのだが、桜はなんともないように現金で払った。
「後は結衣の買い物だな……どうしたんだ?」
桜の買い物が終わり、次に結衣の買い物に行こうとして結衣を見てみると、結衣が物凄く不機嫌そうな顔をしていた。
いや不機嫌というより、どこか禍々しく恐ろしく感じてしまう様な表情だ。
「いやね、どいつもこいつもちょっかいをかける気も起きないような面白味のない奴ばっかで辟易してね。こんな奴等が一番嫌いなんだよ。いっそ根絶やしにしたくなるくらいには……ね」
悪神が人間にちょっかいをかけるのは退屈しのぎでしかない。
人が理不尽な運命に翻弄されている姿や、身に余る力や知識のせいで身を滅ぼすのを見ることを娯楽にしているのだ。
並の悪神ならば誰でもいいのだが、最高神ともなると只の人間だけでは満足できない。
しかし、そんな厳しい審査をクリアできる人間などそうそう現れる訳もなく、基準以下の人間を見ていると嫌気がさしたり、満足に遊ぶことさえできない苛立ちだけが溜まっていくそうだ。
桜に慣れていることや、自分には桜と変わない態度で接してくるため実感が沸かなかったが、結衣は紛れもない悪神の最高神なのだと理解させられる。
「ま、これからは猛くんが居るからもうどうでもいいんだけどね♪」
結衣はさっきまでの雰囲気から一転、普段通りに戻りこちらに笑顔を向けてくる
「やっぱり猛くんはいいね、私の本性を見てもそんなに動じないんだから」
「どこがだよ、冷や汗が止まらないぞ」
全身から冷や汗が吹き出し、体の芯が氷のように冷たくなっている。
これで大して動じてないと言われても説得力がないだろう。
「いやいや、そんなのは表面だけで、君の奥底ではそんなに動揺してないよ。それに、表面の反応だって本当に大したことじゃないんだよね、そこら辺の人の子に同じことしたらよくて発狂、下手したらあの世行きだからね」
ケラケラと愉しそうに笑いながらとてつもなく恐ろしい事を言ってくるので、とりあえず下手したら死ぬかもしれない事をするなと結衣に拳骨を落としておく。
蹲りながら頭を押さえて涙目になっている結衣を見て何となくさっき言われたことを納得する。結衣の悪神としての側面を知っても結衣に対する考え方は少しも変わっていない。
これは自分が人間としての何かが壊れているのか──なんにしろ、そんな俺は最高の玩具なのだろう。
「猛くん早く来なよ。良いエロゲがいっぱいある店紹介してあげるからさ」
結衣はさっさと立ち直り、トテトテと小走りで先頭に立って、早く来いと手招きをしながらゲームコーナへと向かっていく。