※この作品はR-18です。

アズレンズリ劇場   作:おっぱいサムライ

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丑乳樫野との新婚旅行~水着選びに悶々とした後日、混浴露天風呂でUカップズリ抜きされる話~ (前)

「えっ、温泉ですか?」

 

 両肩に大きな荷物を乗せたまま、重桜所属の給兵艦・樫野は思わず顔を綻ばせた。

 神前式で取り交わした指輪がきらりと光を反射し、資料室の埃を照らしている。

 キツネやイヌ、ネコなど動物の部位が目立つ重桜の中でも、とりわけ珍しい「ウシ」の特徴を持つ彼女。

 先日晴れてケッコン関係となった指揮官からの申し出に、尾っぽが思わず上がってしまう。

 

「お互い次の非番が近いし、まだちゃんとした旅行もできてなかったでしょ? せっかくだし、樫野の好きな温泉でもどうかな~って思ったんだけど……いい?」

 

 その誘いを聞くや否や、樫野は抱えていた荷物を棚の上へとぶん投げ、

 

「えへへ、もちろんですぅ。二人きりでの温泉旅行に誘ってもらえるなんて、贅沢すぎますよぉ」

 

 その代わりと言わんばかりに指揮官を持ち上げて、自身の喜びをアピールした。

 

「はは、喜んでもらえたのは何よりだけど、とりあえず降ろしてくれないかな……」

「あっ、ごめんなさい。駆逐艦の子と遊ぶ時のクセで、つい」

「ちびっ子と同じ扱い……一応僕って、170センチ台の成人男性なんだよ? やっぱり力持ちだなぁ樫野は」

「お姫様だっこも試してみます?」

「え、あ……興味がないといえば嘘になるけど、こう、僕の立場がなくなってしまうような」

 

 フォークリフトより安定する持ち上げ方、と持て囃されるぐらいにたくましい樫野の腕力。

 単に牛がモチーフだから、というだけではない。

 樫野はかつての大戦時、大和型戦艦の主砲砲身、主砲塔を運ぶ砲塔運搬艦だったのだ。

 その活動記録がメンタルキューブに刻まれ、結果として規格外のパワーを有することになったと考えられる。

 何せ主砲である46㎝砲の重さはおよそ2800トン。

 たった一基で金剛型戦艦の主砲全部の総重量にも匹敵するのだ。

 二年という短い稼働期間ではあったものの、その主砲を三度も運んで超弩級戦艦「武蔵」の完成に貢献したという唯一無二の実績。それが樫野のパワーの源に違いない。

 

(参ったなぁ。なだらかそうな肩してるのに、軽々とちびっ子を乗せちゃうんだもんなぁ。僕だって水練の影響でそれなりに肩幅あるんだけど……)

 

 内心落ち込む指揮官だったが、決して彼が貧相な身体つきなのではない。

 日本人男性の平均身長は満たしているし、触れば分かる程度に筋肉もついている。

 ただケッコンした相手が、力も目線も上だったという話だ。

 

「あの、指揮官……旅行に行く前にお願いしたいことが」

「お? 樫野からのお願いなんて珍しいね。もちろん、出来ることなら何でもするよ」

 

 やや伏し目がちで、耳を垂らしたまま、もじもじとする樫野。

 言いづらそうな雰囲気に、何か粗相をしてしまったかと身構える指揮官だが、

 

「わ……私の水着選びを、て、手伝っていただけないでしょうか」

「へ? 水着?」

「はい、せっかくなので混浴を楽しみたいなって思ったんですけど……ご迷惑でしたか?」

「い、いやいや迷惑なんてそんな訳……そ、そっか、慰安だけじゃなくて新婚旅行も兼ねてるもんな、こ、混浴ぐらい普通にするよな、は、ははっ」

 

 温泉旅行を樫野にプレゼントしてあげたい、という気持ちからの提案だっただけに、混浴の誘いは予想外だった。当然、二人だけの旅行で何も起こらず……で済ますつもりはなく、むしろ指揮官の方からアクションを起こそうと思っていたので、先手を打たれたのは少し悲しくもある。

 

「み、水着は、その……指揮官に………一番好きなものを選んでほしくて」

「な、なるほど……」

 

 樫野の一言に、指揮官はある一点を見つめたまま、思わず唾を飲み込んだ。

 彼女はその力もさることながら、もう一つ規格外な身体的特徴を持っている。

 それは────あの大鳳すらも上回るほど、たっぷり肉の詰まった爆乳である。

 乳牛と呼んでも差し支えないサイズは、普段の軍服でも圧倒的な存在感を誇り、歩くだけで大きな山が揺れているのかと思えるほどだ。

 上の羽織は前が締められず、代わりにひもをつないで固定しているのだが、そうなると余計に突き出た乳房のラインが目立ってしまう。

 どうにか閉められた中シャツのボタンも、いつ弾けて飛んでいってもおかしくないという有り様。

 おまけに、指揮官よりもやや背が高い都合上、いつでも顔からダイブできる位置で誘惑してくるのである。

 男にとって、色々な意味で目を離せなくなる逸品だ。

 

(実をいうと、樫野に抱きかかえられるたびに当たってるんだよな、アレ……服の上からでもぶるんぶるんに揺れてるのに、脱いだらどうなるんだ……?)

 

 背中や腰に感じた、柔らかな弾力を思い出す。

 もし、水着なんて開放的な姿を目にしたら、果たして冷静さを保てるだろうか。

 肩幅の件から考えると、樫野は着やせするタイプの可能性もある。

 つまり服の上から受ける印象よりも、実際はもっと重たく、たゆんと揺れる大きさだったとしたら……。

 そこまで妄想して、指揮官は身体の芯が熱くなるのを感じた。

 秘めた欲望が湧き上がってくる前に、急いで言葉を発する。

 

「き、気持ちは嬉しいけど、ちゃんと樫野の好みに合わせたのを二人で選びたいかなー、僕は……ん? これってむしろ優柔不断だったりする?」

「とんでもございません! 指揮官が私のことを大切にしてくださってるのは、分かってますから……えへへ、大好きですよ」

「あぁ、良かったぁ~。僕も同じ気持ち」

「そうと決まれば仕事を早く片付けて、明石のところへ行きましょう! 樫野、張り切って手伝いますよ」

「えっ、ちょ樫野、まだ話してる途中うおおっ!? なにゆえ僕を抱きかかえてッ!?」

「この方が早いですから!」

「公衆の面前でお姫様だっこはダメだってえぇぇ!!」

 

 残念ながら、力で到底敵わない指揮官にふりほどく術はない。

 重力で揺れる乳の重さとバランスを図るよう、尻尾をしならせて走る樫野に抱え上げられ、執務室へと戻るのであった。

 その道すがら、他の艦船少女たちに指を差されたのは言うまでもない。

 

 

 

***

 

 

艦船には想像を絶するグラマーな体形が多いため、市販のモノでは服のサイズが合わないことがままある。

 そんなとき頼りになるのが明石のショップだ。  

 もっとも、足元を見られて高値で売り付けられる、なんてことも日常茶飯事なのだが。

 

「明石め、『夫婦水入らずでごゆっくり~ニャ』ってずいぶん含んだ言い方されたけど……いくら新婚だからって、試着室でやらかす訳ないでしょうが……ないない、うん」

 

 指揮官はイスに座って、樫野の着替えが終わるのを待っていた。

 購買部の奥にある衣装の展示室には、大人が二人入れる程度の広さの試着室も備わっている。

 一緒に入ると思われたのか、明石はダボダボの袖で口元を隠しながら「ハメを外し過ぎるのはダメニャ」と釘を刺してきた。

「言われなくても分かってるよ」と被せるように返事をした指揮官だが、実際は全く平常心ではない。

 胸のソワソワが止まらないどころか、どんどん増している。

 だから逐一口に出して否定することで、どうにか自分を保っているのだ。

 

「指揮官、最初の水着に着替えたので見て頂いてもよろしいでしょうか……」

「あっ、うん。どうぞ」

 

 来た。

 ドキドキしながら試着室をじっと見つめる。

 間もなく、控えめにカーテンの開ける音がすると、普段のイメージとは異なるエレガントな水着姿の樫野が現れた。

 紫のアジサイをあしらった頭飾りに、ブラックワントーンの三角ビキニ。

 そしてフリル部分を淡い藤色で染めた薄暗いパレオ。

 三つの要素が噛み合った結果、上品で落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 

 

「……ぉお……」

 

 思わず言葉に詰まってしまう指揮官。

 呆けた表情を見て不安になったのか、樫野は「に、似合ってないでしょうか」と自信なさげに尋ねた。

 

「……ぁ、あぁー、ごめん。あんまりにも美人だから心臓止まっちゃって……」

「そ、そうですか!? 美人だなんて……あんまり言われ慣れてないので、ちょっとムズムズしちゃいます」

 

 照れ隠しに耳をパタパタさせる樫野だが、まんざらでもないらしく、顔のにやけを隠し切れてない。

 改めて見ても、艶やかな黒髪と紫の色合いがとても良く、非常にマッチした水着といえる。

 普段の軍服も同じ色の取り合わせなこともあって、樫野らしさも感じられると指揮官は思った。

 

「でもこれ、少し上品すぎて混浴に着ていくのは……」

「海水浴ならばっちり合いそうだし、キープしておいたら? すごく似合うからもったいないって」

「か、海水浴ですか?」

「あー、ほら、母港にあるビーチなら比較的行きやすいし、次の機会にどうかなーと」

「指揮官……」

 

 樫野は指揮官の手を握ると、そのまま自分の胸元へと持っていき、そっと添えるように当てた。

 

「え、ヴえっ!?」

 

 突然のことに奇声を上げてしまう指揮官だったが、樫野は構わず言葉を紡いでいく。 

 

「分かりますか。私のここ、とってもぽかぽかで、ドキドキもしているのが……」

「お、おぅ」

「指揮官の優しい気持ちが流れてくるみたいで、想像以上に素敵な気分になれるんです」

「か、樫野……」

 

(ごめん樫野。せっかくの良いムードなのに、それどころじゃなくなりそうなんですけど……!!)

 

 指揮官の指は、文字通り埋まっていた。

 人間の頭よりも大きい豊球へと押し付けられ、すっぽりと包まれていた。

 それで気づいてしまう。

 先ほどはギャップに感銘を受けて気にも留めてなかった、樫野の水着が抱える異常に。

 明らかに乳肉がはみ出しているのだ。

 指揮官の記憶が正しければ、大鳳が母港に着任して以降、下着も水着も全般的にサイズの改良が施され、Rカップという爆乳の域すら超えた艦船少女でも、それぞれぴったりな衣装が生産されているはずである。

 だが樫野はどうだ。

 その自慢のビキニが胸元を押し上げて、乳肉の丘が出来ているではないか。

 今にもこぼれそうな谷間はすさまじいボリューム感で、少し指の関節を曲げただけでも至福の柔らかさを感じ取れる。実際に触れたことで、指揮官は自分の懸念がまさに当たってしまったと痛感した。

 みちみちとひしめき合う乳房の重みも、たぷたぷ具合も、背中や腰に当てられたときとは比較にならない。

 爆乳ひしめく母港の中でもトップクラスのバストサイズ、という触れ込みが冗談でも何でもないと分からされる。

 

「あっ……指揮官の胸も、とってもドキドキしてくださってますね。えへへ、嬉しいです」

 

 いつの間にか距離を詰めてきた樫野の手が、指揮官の胸に置かれる。

 破裂しそうなほど高鳴る心音。

 恥ずかしすぎて気絶してしまいたいと指揮官は思った。

 おっとりした性格の彼女がこんなにもグイグイ来るのが予想外なら、実際のバストサイズはいくつなのかという疑問もスケールが大きすぎて予想の範疇を超えている。

 どこまで意識的にやっているのだろう。天然な彼女のことだから、無意識のうちにやっている可能性もある。

 どの道、頭がどうにかなりそうだ。

 指揮官はこれ以上はいけないと離れようとしたが、前述の樫野パワーの前では全くの無力で、ピクリとも手が動かない。

 

「それで、まだいくつか着てみたい水着があるのですけど……指揮官も中に入って手伝っていただけませんか?」

「え、あ、はい?」

 

 完全に動転して気の抜けた返事をする指揮官。

 今何て言った? 手伝って欲しいって、どこで?

 考えるまでもない。樫野ひとりで着替えるのはやはり手間取ってしまうのだ。

 片方だけで二桁以上の重さはありそうな爆乳と、複雑な衣装の取り合わせ。

 補助が欲しいと思うのは自然なことだろう。

 それなら明石を呼んでくればと思案したが、身長差の関係上いろいろな不都合がありそうだし、何より「うわぁ、いくじなしだニャ」と小馬鹿にしたネコガキ顔が目に浮かんでくる。

 ハメを外すなと言ったのはそっちじゃんか、と空想の相手に毒を吐いてるうちも、樫野は一切手を離す気配がない。

 ビキニにより両脇からぎゅうぎゅうに詰められ、盛り上がった乳肉に囚われたままである。

 

「で、でもほら、色々とまずいんじゃ」

「んー、大丈夫ですよ。私たちは正式にケッコンをしている間柄なんですから……多少肌が触れ合っても、決して間違いじゃないんです……お互いに了承の上のお手伝いですから、ねっ」

 

 ぐにゅん、と手のひらに柔らかさが跳ね返ってくる。

 樫野は指揮官の手を押さえたまま、試着室へと徐々に後ずさりをしている。

 つられて歩き出すと、ますます胸のことしか目に入らなくなり、理性が細切れていく。

 

「う……うん……そう、かも」

 

 ついに流された。

 決してビキニという薄布一枚がギチギチに悲鳴を上げるほど極上の豊乳と、常識外れの樫野の腕力に押されたわけではない。あくまで前に出来ることならなんでもする、といったことを嘘にしないためだ────そんな言い訳で自分を納得させながら。

 樫野につられて足が進み、とうとう試着室の中へと入ってしまった。 

 

「ぅ……あっ」

 

 カーテンを閉められ、二人だけの空間となる。

 そこに充満していたのは、樫野の匂いだった。

 力仕事で汗をかいていたのだろう。当人だけでなく、壁にかけられた軍服からも甘いフェロモンが漂ってくる。いや、染み込んでいる分、衣服の方が発生源として正しいか。

 まろやかな芳香に頭がクラクラする。手のひらに感じる乳肌の汗ひとつにまで意識が向いてしまう。

 ふと目の前の鏡を見ると、耳まで真っ赤に染まった自分の顔が映っていた。

 それが恥ずかしかったので、指揮官は鏡の正面に立たないよう横へとずれていった。

 

「では脱いじゃうので、指揮官はそこに掛けてある水着を取っていただいてもいいでしょうか?」

 

 ようやく手を離してくれた樫野は、早くも着替えを始めようとしている。

 手にあった幸福感が離れていくことを惜しむ間もなく、指揮官は慌てて逆を向いた。

 

「焦らなくても大丈夫ですよ。そんなに早く着替えられませんから」

「いやそういう問題じゃなくて。い、いくらケッコンしてるからってまじまじと見るのは」

「……見ちゃうんですか?」

「そ、そういうのは、温泉の後に取っておこうかな~、なんて……あっ」

 

 口が滑ったとはまさにこのことだが、樫野から返事はなかった。

 代わりに牛の尾っぽが左右に振られ、べしべしと指揮官の足に当てられる。

 どうやら変に意識させてしまったらしい。

 それ以降会話は途切れ、二人そろって黙ってしまったため、しゅるしゅると衣擦れの音だけが嫌に目立ってしまう。

 

「あの、次の水着をお願いします」

「ああ。ど、どうぞ」

 

 唐突に口を開いた樫野に急かされ、顔を背けたまま新しい水着を渡すと、代わりにやや温もりの残った何かを渡される。

 横目で確認すると、今まで着ていた黒の水着が腕に掛けられていた。

 思わず心臓が飛び出そうになるのを抑え、それらをハンガーに戻そうと手に取る。

 

(うわ、でっかい……)

 

 指揮官は改めて、ビキニの大きさに目を見張った。

 顔ごと覆い隠せてしまいそうな布面積に、きっちりとした強度のヒモ。

 乳児の体重よりも重い豊乳をハンモックのように下から支えていた実物が、目の前にある。

 顔を埋めて思いっきり息を吸いたい、濃厚なミルク臭で肺を満たしたい。

 湧き上がる衝動をかき消すように、頭を横にブルブルと振った。

 その拍子でビキニに付いていた新品タグがヒラリとめくり上がり────19号、という数字が見えた。

 バストで換算すれば、約120センチにも対応できる一品である。

 では、それを以てしても余裕で溢れ出ていたあの乳肉は一体何カップだというのか。

 

「すみません指揮官、ちょっと後ろを結んでいただけないでしょうか」

「う、うう後ろを?」

「はい、さっきのより複雑で手が回らなくて……指揮官?」

「な、何?」

「あの、声が震えてますけど、お体の具合が悪いのでしたら」 

「いや大丈夫、大丈夫。ちょっと腰がピリっときたというか」

 

 大嘘だった。

 隠すために必死なのだ。ズボンの上からでも分かるくらい膨らんだ、興奮の証を。

 内股のまま、恐る恐る振り返って樫野を見る指揮官。

 既に下の着替えは終わっていたが、色白の背中が剥き出しになった姿にドキリとしてしまう。

 おまけに背を向けているにもかかわらず、乳房が脇からはみ出して見えてしまっている。

 120越えの裏乳が呼吸に合わせてたゆんと揺れるのは、間違いなく股間に毒だった。

 

「く、首はもう結んであるんだ。じゃ僕は背中のところすればいいから、ヒモをこうやって……樫野は、えと、前で押さえてもらって」

「はい、お願いしますね」

 

 指揮官は脇から通されたヒモをつかむと、後ろで結ぶために少し強めに引っ張る。

 しかし中々うまくいかない。正面の弾力が強すぎて跳ね返ってしまうのだ。

 つまり、ヒモをきつく結ぼうとするほど、たぷたぷの豊球を締め付けなければならないので、なるほど大変である。下から支えるような着方になるのも納得だろう。

 一方、指揮官にとっては別の意味でも大変だった。

 乳肉に埋もれた指の感触を思い出してしまうし、あんまり力を入れると苦しいのか「んっー……」と樫野が声を漏らす。興奮状態にあるせいか、妙に色っぽく聞こえるのもいけない。

 動悸が止まらないまま、どうにか震える手を励まして結び終えると、思わず安堵のため息が漏れた。

 が、次の瞬間。ぷちん、とヒモの切れる音が試着室に響く。

 

「えっ、あっ、ひゃん!?」

 

 突然の出来事に驚いた樫野がバランスを崩し、前を押さえたまま指揮官の方へと倒れ込む。

 反射的に肩を抱き止めるも、内股だったこともあってそのまま壁へともたれかかってしまう。

 

「いたたた……ごめんなさい、バランスを崩しちゃいま、した……?」

 

 事故は起こった。

 乳に負けず劣らず、かなりの表面積を持つ樫野の巨尻は、硬く膨らんだズボンの熱棒を捉えてしまった。

 ちょうど良く割れ目に収まった上に、後ろは壁。

 どんなに腰を引いたとしても押し付けざるを得ない。

 さらに良くないことに、肩をつかむために突き出したひじが裏乳へと当たり、むにゅりと変形してしまっている。

 

「ご、ごめん樫野!! ちょっと催してきたから先出るわ! 待ってて!!」  

「あ、し、指揮官~……」

 

 これ以上は絶対に耐えられないという危機感が働いた。

 火事場の馬鹿力か、樫野を立て直してすぐ試着室を飛び出してしまう指揮官。

 潰れそうなほど胸をつかんで、激しく息を切らしている。

 あと数秒、出るのが遅ければ。

 あるいは、少しでも目が合ってしまったら。

 どちらの場合でも情欲を抑えるのは不可能だった。

 間一髪、指揮官はフライングを免れたのだ。

 

「……やっぱり明石に頼んでみよう。僕はもう色々な意味でダメだ」

 

 前かがみで歩きづらそうに進む。

 ハプニングの連続で頭がいっぱいになったせいか、指揮官は後方から注がれる視線に気づかなかった。

 試着室、カーテンの引かれた奥から覗くのは────淫猥な桃色に染まったケダモノの眼光。

 温和な草食動物とは正反対の、獰猛な捕食者の目が離れていく指揮官の背をじっと見つめていた。

 

 

 




区切りが良いので分けてます。
今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
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