時計の短針が十一を指し、橙色の灯台の光が暗闇の母港を妖しく照らす頃である。
最後の団子に手を伸ばそうとした指揮官は、既に皿が空であることに気づいた。
手元の資料から目を離して顔を上げる。
犯人──プリンツ・オイゲンは机に腰を掛けて足を組み、ガーターベルトにより際立った太腿を惜しげもなく晒していた。みたらし団子特有の、艶のある褐色のたれを舌へと絡ませ、見せつけるように賞味している。
普段は左右に従えた、鮫のようなギザ歯を持つ船首(セイレーンの技術の影響なのか、艦装でありながら生き物のように振る舞う節がある)を、水色の腺を持つ尻尾のような太いコードで胴体へと繋げているのだが、執務室で仕事をする際は外しているため、「俺たちにも分けろ」とせがまれることもなく、実質彼女の独り占めである。
「あ、それ僕の」
指揮官の制止の声も虚しく、一個、また一個と、咥えられては消えていく団子たち。
最後の一個に差し掛かったところで、プリンツはようやく指揮官の顔を一瞥し──悪戯っぽい笑みを浮かべると躊躇なく口内へと放り込んだ。
「あむ、じゅる」
わざとらしい咀嚼音が聞こえる。
葛粉によりとろみの付いたみたらし団子は、とろけるような甘味を口腔粘膜の隅々にまで浸透させる。甘露に満たされた様子で、プリンツは人差し指を唇へと当てながら、
「ごちそうさま」
と言い、目を細めて指揮官の方を見た。
「……プリンツ、せめてひとつだけでも僕に残しておこうという配慮はないの?」
「あんたがいつまでも手を付けないから食べてあげたのよ」
からん、と乾いた音が響く。
プリンツが串を皿の中へと投げて戻していた。
僅かに団子の残りが付いたままである。
「取っておいたの! この深夜業務の補給用に!! もう頭が限界だぁ……無理……」
「そもそも働き過ぎよ指揮官、いい加減切り上げなさいな」
「いや、せめてこの資料だけでも……でも甘いものが無い……力が出ない……」
萎れた花のように項垂れる指揮官。
身体は糖分で出来ている──と豪語するコンコードほどではないにしろ、甘いものに目が無い指揮官にとっては生命線を断たれたに等しく、その落ち込み様はお菓子を取られた子供にも勝っていた。
その様子を見たプリンツは小さくため息を付くと、指揮官の方へと身体を乗り出し、
「ほら、ちょっとこっちを向きなさい」
くい、と彼の顎を指で上げる。
突然のことに呆けた顔の指揮官。
プリンツの顔が視界に映る。
かつてのぎこちなさを感じさせない、情熱的な笑みが徐々に近づいていき──次の瞬間、彼が認識したのは、鼻腔をくすぐるみたらし団子のたれの甘みと、柔らかなプリンツの唇の感触であった。
「んっ……」
そっと触れるような口唇の重なり。
淡い桜色をしたプリンツの唇は瑞々しさも兼ね備えており、軽い接触でも宙に浮いたような心地よさを与えてくる。
プリンツは自身の銀髪を耳へとかける仕草を取りながら、比較的肉厚な指揮官の下唇を挟むように唇を密着させる。
そのまま舌先で左右にゆっくり擦ったかと思うと、軽く甘噛み。
異なる刺激の連鎖で、身震いするような快感が背筋を走る。
「ちゅっ、ちゅっ、ん、ちゅっ……」
未だ硬さの取れない指揮官をほぐしていくかのように、今度は唇をすぼめて啄むような接吻を繰り返す。温もりを確かめるように、何度も、何度もリップを合わせる。
すると、堪えるように奥歯を食いしばっていた指揮官も、徐々に力みが抜けていき、その口が半開きになりかけたところで────熱を帯びたプリンツの舌がねじ込まれた。
「んんっ!?」
不意打ちに目を見開く指揮官だが、舌同士が絡み合う快楽の前に締まりのない表情へと変わっていく。一度指揮官の舌を捉えたプリンツは、手心を加えることなく次々と技巧を披露する。
指揮官の舌を吸い込んで自身の舌で包み込み、愛撫するように擦ったかと思えば、舌先を固くして何度も角度を変えて出し入れし、上顎や頬の内側の粘膜を突くように刺激する。
更に歯茎をなぞるように舐め回されると、指揮官の身体は何度もびくつきを繰り返した。
「れぅ、じゅるじゅる、じゅるるるっ、れろれろ……くちゅ」
やがてされるがままだった指揮官の方からも舌が差し出され、お互いの唾液を交換するように舌を交互に出し入れしたり、舌だけを出して触れ合わせるような接吻も織り交ぜられる。舌同士が擦れ合うたび、粘り気のある唾液がいやらしく糸を引いて垂れていく。
不意に紙の束が、すとんと落ちる音がした。
両手に力が入らなくなったせいで、指揮官の手にあった資料が床へとばらまかれる。
もはやそのことを気に掛ける余裕も、彼には残っていない。
「ぢゅるぢゅるぢゅるるるる……んっ、はぁ……じゅぱっじゅぱっ、ぶじゅるるるるっ」
とうとうプリンツは両手で指揮官の頭を押さえると、口内を掻き乱すように舌をうねらせ、激しい水音を執務室に響かせる。
暖かい唾を纏った柔らかい感触が口の中で蠢くと同時に、湿り気のある吐息が注がれる。
堪らず舌を引っ込める指揮官だが、これを逃すまいとプリンツはしつこく追いすがって絡め取り、互いの蜜を混ぜ合わせていく。
(あたま、とろけて、へんになる)
口内を蹂躙されるのは、脳内を掻きまわされる感覚に等しく、指揮官はすっかり陶酔し切っている。
「ぶぶっぢゅっっっ~ぢゅっっっ~……っはぁ」
最後に顔を交叉させて、貪るように唇を隙間なく吸いつかれた後、指揮官はようやくプリンツの濃厚な口吸いから解放された。
熱いベーゼの余韻は残響となって脳内にこだましている。
焦点の合わない目のまま彼女を見ると、赤のメッシュが入った銀の前髪がぶれて、幾重にも重なって映った。
口の中は、互いの唾液と団子のたれの甘い風味が混じり合って、独特の味わいを醸し出している。
「────これでおすそ分けはおしまいよ。少しは元気になったかしら」
などと言いながら、机から降りて指揮官の座る椅子の正面へと立つプリンツ。
放心したままぴくりとも動かず、息の荒い指揮官の前で、手に付けた赤黒のグローブを外していく。陶磁器のように滑らかな肌を持つ素手が露になる。
「ふぅん、あんたには少し効き目が強かったみたいね。こんなに腫らして……いけない指揮官様だこと」
指揮官の胸から腹、その下へと、疼きを与えながらなぞっていくプリンツの手。
指先が目当ての場所────息苦しそうに盛り上がった股間へと辿り着くと、その曲線をそっと撫で上げ、ファスナーを摘まんでゆったりと降ろしていく。
じじじ、と開かれていく音を聞かせるかのように緩慢な手つき。
焦らされた末に最後まで開き切ると、もう一方の手でズボンの留め具が外されてずり落ち、膨らんだトランクス状のパンツの布地がはっきりと見えるようになった。
「ふふふ、ガチガチよ指揮官……これじゃお仕事に集中するなんて到底無理でしょう。今日はこのままお開きね」
「ご、強引にも程がある……」
「あら、私はただ駄々をこねる指揮官に‟甘いモノ”を分けてあげただけ。勝手に大きくしたのはあんたでしょう? うふふっ」
「そんな言い草、しなくても」
弱々しく目を伏せている間に、プリンツは起立したパンツの布地に顔を寄せるように屈む。目と鼻の先でまじまじと観察され、羞恥で一気に身体の熱が上がる指揮官。
「これ、今にも突き破って出てきてしまいそうね」
五本の指が指揮官の膝を撫で回したかと思うと、腿の付け根を通って張ったテントの頂へと上っていく。先端へと行き着くと、親指で塗りこむように円を描き、パンツ越しに伝わる弾性を何度も確かめる。
「ほら、すっかりビンビンよ……はむ、くちゅっ」
最後に盛り上がったパンツの上から軽く口に含む口付けをすると、用は済んだとばかりに立ち上がる。
ここまで散々煽られたこともあり、肉棒は今にも飛び出してきそうなほどいきり立ち、男臭を撒き散らしている。それを抱えた指揮官の表情は苦渋に満ちていた。
そんな姿に加虐心を刺激されたからか、プリンツの頭に意地悪な発想が浮かぶ。
「ねぇ指揮官、辛いならここで処理すればいいじゃない。こんな時間に訪ねてくる子もいないでしょうし。お邪魔なら私は出ていくわ……それとも、見てて欲しいのかしら。さっきまでのベーゼを思い出しながら、一心不乱に自分のモノを扱き上げるあんたの情けない姿を……♡」
「えっ……?」
「ふふふ……その反応、このまま直接してもらえるとでも思ってた? そんなに期待してたのかしら、恥ずかしい指揮官様」
完全に図星であった。
このままプリンツに抜いてもらえる────執務室という公的な場所のブレーキが働いていても、上官としてのプライドが歯止めをかけようとしても、ズボンを降ろされただけでなく、布越しに舌を這わされた時点で、期待感の方が遥かに上回っていた。
「……そ、そんなの、ひどいよ」
震える声をどうにか絞り出す。
既にパンツには染みが出来ており、漏れ出た先走り汁とプリンツの唾液によって滲んでいた。
「もう、泣きそうな顔をしては駄目よ。そうね、どうしてもというなら……」
徐に立ち上がったプリンツは後ろへと回り込むと、指揮官の首を抱き寄せるように腕を回して、下半身を覗き込むような形で肩から顔を出す。
背に押し付けられたふくよかな乳袋は、柔らかさを示すように楕円状に潰れていた。
いったい何のつもりなのか、そう問いかけようとした指揮官は、
「こういうのはどうかしら────あむっ、んじゅるる」
次の言葉が出なかった。
突如身体に走った電流は、一切の動きを止めてしまう。
彼が辛うじて目を横に向けると、プリンツが真っ赤な耳たぶへ舌を這わせ、そのまま口へと含んで唾液を塗りたくるように舐め始めていた。
「こら、頭を動かしちゃ駄目よ、んふ、じゅるるるるるるる……くぷくぷくぷくぷっ……ずずずずずっ」
流れるように耳輪をなぞっていき、内側の窪みへと舌先をねじ入れて、ほじくるように弄り回す。ミミズがのたうち回るような激しい舌遣いに、思わず「ひぎっ」と悲鳴を上げてしまう指揮官。
「こんな風に……じゅぶぶっ……あんたのよわぁいお耳を責めて……れろぉ……ずずずずっ……頭が馬鹿になっても止まらない自慰行為のお手伝い、してあげてもいいのよ……じゅるり」
舌なめずりをする音。
挑発にも近い誘惑だが、結局は自らの手で処理することに変わりはない。
しかし、指揮官はもう限界だった。
プリンツの絶技により閾値を超えた身体は、媚薬を盛られたかのように発情し切っており、更に強烈な快楽体験を求めてしまう。
(自分の手でもいいから快感を得たい……こんなえっちすぎる状況で我慢なんか出来るわけないじゃないかッ)
トランクス状のパンツに手を掛け、勢い任せにずり降ろすと、反り返った怒張が大きく跳ねた。血管がくっきり浮き出たそれを握ると、情欲に流されるまま激しく扱き始める。
「あらあら、返事もしないうちに始めてしまったわね……そんなに我慢できなかった?」
とプリンツに聞かれても、答えることもなく夢中で逸物を扱き続ける。
(はぁ、はぁ……だってこんなの反則だよ……あんな滅茶苦茶なキスされて、今度は敏感な耳を舐められて、息吹きかけるみたいに囁かれて……気持ちよすぎるのが悪いんだ……)
止まらない自慰行為によって、亀頭は充血したように赤く染まり、大きく膨らんでえらが張っている。我慢汁で滑りの良い肉棒は簡単に扱けてしまうのか、徐々に摩擦音の間隔が短くなっていく。
「ぐちゅぐちゅいやらしい音立てて、随分思いっきり扱くのね。普段からそうなのかしら? 可愛いわ……はぁむ、ちゅっ」
先程までとは反対の耳に移り、再び熱い口内へと招き入れる。
「ちゅっぷ、ちゅっ……んふぅ……ぢゅむぢゅむ、ぷちゅ、ぢゅぷぷぷぷ……っはぁ、なんだかさっきよりビクビク跳ねてるようだけど、もしかしてこっちの方が弱いの? なら、念入りに苛めてあげないといけないわね……れろれろれろ、ぐりゅぐりゅじゅるるるる」
耳の外側を唇で優しく挟んでの吸い付きから、螺旋階段を下るように耳穴へと向かって舌を回していき、満遍なくぬめりを広げる。
蜂蜜を瓶から直接耳に垂らされている────そう錯覚するほどの粘り気が耳に浸透する。
やがて敏感な性感帯に仕上がったのを察したプリンツは舌を細め、穴の縁辺りを抜き差ししながら、またゆっくりと逆方向に回し始めた。
段階を踏んで手前から奥へ、奥から手前へと犯されるほど身震いが止まらなくなり、指揮官は口を半開きにしたまま「あっ、がっ、ひっ、おっおっおっ」と、動物のような喘ぎ声を漏らしている。
「耳が弱いなら、んちゅ……れろぉ……ちゅっ……こっちも責めてほしいわよね……ちゅぷっ……れるっ……」
耳元から輪郭へと沿うように舌を動かし、そのまま首筋へと這わせて吸い付いていく。
「ひぐっ、そっちは、だめ」
「ちゅるるっ……そうかしら? ますますだらしない顔になってるけど……はむっ……んっ……」
「あっ、歯が当たって」
「こういうのもいいでしょう……たっぷり跡を付けてあげる……あむっ」
とうとう吸い付くだけでは飽き足らず、歯を当てて、噛みつかない程度の微弱な刺激を与えていく。喉元を押さえられた指揮官が、あまりの恍惚に男根を扱く手の力が弱まっていく様は、肉食動物に狩られて衰弱していく草食動物そのものであった。
「さっきから手が止まってるわよ指揮官。その調子じゃイクまで程遠そうね」
「……誰の、せいだと思って、はぁ、はぁ」
両耳は丁寧に舐められて真っ赤、逸物を扱いた手も真っ赤、ついでに亀頭も真っ赤。
完全に熟して食べ頃の指揮官をどう料理するか──────いつもの人差し指を噛む仕草を取りながら、プリンツは次の段階へと移ることにした。
「……興が乗ってきたわ。もし私のお願いを聞いてくれるなら、ちゃんと出させてあげてもいいわよ」
「ほ、本当に」
一瞬にして顔が晴れた指揮官だが、「お願い」の三文字が持つ不吉な気配に感づき、引きつった表情へと変わる。
「えぇ、本当よ……お願いは、一緒のお風呂に入るだけ。簡単でしょう?」
「えっ、いやそれは……」
「は・い・る・わ・よ・ね?」
「……入ります」
風呂場────完全に逃げ場の無い、しかも濡れても大丈夫な場所に連れ込まれたら、一体どうなってしまうのか。
指揮官はもう、今抱いている感情が期待なのか恐怖なのか、綯い交ぜになり過ぎて判別が付けられなかった。
風呂に入るなり早々、指揮官は四つん這いになっていた。
正しくは、四つん這いになるよう命じられたのだ────他ならぬプリンツ・オイゲンによって。
本来艦船に指示を出す立場にあるはずの指揮官が、言われるがままに羞恥を煽る体勢を取らされている。
下半身に溜まった白濁の放出を担保しているからこそ生じた逆転なのだ。
「そう、もっとお尻を上げなさい。そのままキープよ指揮官」
プリンツは生まれたままの姿ではなく、上下ともに黒を基調とした、ドイツの国旗を彷彿させる赤と黄の二本線が入ったビキニを着用している。
普段髪留め代わりにしている真紅の艦装ではなく、やや薄い色合いの黒リボンで二つに結んでおり、耳には十字勲章を模したピアスが付けられている。
艶のある豊満なバストがビキニによって引き締められ、一層目を惹く格好となっている。
特に象徴ともいえる右胸の黒子は、あまりに魅惑的。
ひとたび視界に収めただけで釘付けとなり、脳殺されてしまうに違いない。
何故風呂場なのに水着なのか、という問いかけは無粋であろう。
明らかに指揮官の性的興奮を煽る目的で着ているのだ。
「なんでこんなポーズを……うぅ」
指揮官がお尻を突き上げると、臀部の割れ目から覗く放射状に広がる菊門も、ぶら下がった睾丸も、そこから突き降ろされた剛直も全てプリンツの方から一望できる形となる。
「鉄血では動物の名前で恋人を呼ぶこともある話はしたわよね」
「あ、あぁ、うん、多分。今それと何の関係が」
「……指揮官の部屋にある、左から二番目のたんすの裏」
「へっ!? いやあれは知り合いが無理やり、ってそもそもなんでそれを知ってんのさ!!」
「あんたの考えることなんかお見通しよ。それにしても、つれないわね指揮官……ああいうのが好みだったなんて一言も話してくれなかったわ」
「だからあれは強引に押し付けられたんだって……」
知人の悪戯により、郵送物に紛れていた一枚のDVD。
問題はその中身で、くノ一の格好をした女優の前で、男が仰向けに横たわった状態から両脚を頭の方へと持っていき、恥部が持ち上げられて晒された体位のまま、舌や指、胸で執拗に責められるという、中々に専門的なアダルトビデオだったのだ。
貰い物を捨てるわけにもいかず、かといって送り返す勇気もない指揮官は、誰にも発見されないような場所にこっそり保管するしかなかった。
(よりにもよってプリンツに見つかるなんて……)
果たして内容まで確認されてしまったのかは定かではないが、この体位を取らされた以上、何をされるかは考えるまでもない。
「……ワンちゃん♡」
「……ッ」
「ふふふっ、股間が反応してるわね。嬉しくて尻尾を振ってるみたい」
「ち、ちが……」
「口では否定しても身体が喜んでるわよ。そう、指揮官はワンちゃんと呼ばれたいのね」
顔から火が出るほどの恥ずかしさ。
動物呼びの話が良からぬ方向への火付け役を果たしてしまい、指揮官は弁明の仕様がなくなる。
「さっきまでの火照りが残ってるのかしら。こんなに尻尾を硬くして」
不意にプリンツの指が尻の割れ目から竿の裏筋へとかけてなぞる。
当然堪えられるはずもなく、指揮官は全身を震わせる。
プリンツは薄笑いを浮かべると、そのまま片方の手で睾丸を揉みしだきながら、もう一方の手でくすぐるように亀頭をカリカリと弄り出す。
「もう準備万端なようね。少し時間が経ったのに、さっきと変わらないくらいかちこちよ」
「プリンツ……あっ……もう焦らさないで……」
「ふぅん。そんなにイキたいのね」
「イキたいからッ、お尻の穴ほじろうとしてないでッ、あっ、息吹きかけるのも駄目だからぁ」
「はいはい、しょうがないわね……それじゃ今度は中腰になりなさい、手は壁に付けるのよ」
言われるがまま、指揮官は起き上がると尻を差し出し中腰の姿勢を取る。
後方からは何かを泡立てる音が聞こえ、それをどこかに塗りたくっているようだ。
────ずっぷり。
突如男根を包み込む柔和な肉質の感触に、指揮官は驚く。
首を後ろへ向けることは出来ないが、おおよそ何をされてるのかは察しが付いていた。
プリンツはビキニを着たまま、その豊満な谷間に潤滑液を塗り込んで肉棒を挟んだのだ。
「ほら、今まで頑張ったご褒美をあげる。あんたの大好きなおっぱいでしてあげるわ」
指揮官の足の間に出来た空間で膝を付き、ぶら下がる肉棒をビキニの間の生乳で迎え入れる。
一見ストローを挿す感覚に近いが、中に詰まっているのはサイズにしてHかIはあるだろう、温いプリンツの乳肉。
液体の中とは違う、肉厚で密封された場所は男根を押し返すように圧をかけてくる。
それでありながら、事前の仕込みで程よいぬめりが施されていたため、肉棒はすんなりと呑み込まれてしまう。
圧に逆らいながら乳房を掻き分けていくのは、これ以上なく指揮官の興奮を煽った。
「ふふふっ、本当に嬉しそうに震えてるわよ、あんたのおちんぽ♡それじゃ思いっきり扱いてあげるから、好きなだけ声を上げなさい」
通常とは違い、上乳から挿入する形で行われる乳との交わりは、まさしく未知の体験であった。
上位置へと変わった睾丸へ打ち付けるように乳房が持ち上げられると、乳圧をかけて亀頭の位置までずり降ろされる。滑らかな一連の動作の中で、密着した乳肉が肉棒へと吸い付き、手や口とは違う柔らかい圧迫感が与えられる。
それを手拍子に乗せるように上下、上下と繰り返されれば、たちまちのうちに顔がだらしなく歪んでしまう。
反応の良さに気を良くしたのか、プリンツはビキニに皴ができるぐらい強く抱き寄せて、よりホールドを高めていく。
団子に刺さった爪楊枝はこういう気分なのだろうか、と指揮官は思った。
張りのある乳肌は餅にも負けないほどの弾力で、カリの段差へと食い込むように吸着してくる。
そうして肉棒の形を覚え、指揮官専用の乳穴へと最適化されていく。
「胸の中でぐちゅぐちゅにされるのも、お玉に柔らかい肉が当たるのも、全部気持ちいいでしょう。こっちから見るとすごいわよ、あんたのおちんちんが私の胸にずぶずぶ挿し込まれて、ねっとり糸を引きながら抜かれてる……ふふふっ、ワンちゃんだけじゃなくて、ミルク搾りされるウシさんもお上手なのかしら♡」
相変わらず煽るのを止めないプリンツだが、指揮官はもはやそのことに意識を割く余裕は残っていなかった。
散々お預けを喰らった末に堪能する乳房の心地よさは想像を絶するものであり、加えて本当に胸で搾られてるような家畜同然の体位であることが、ますます射精への欲求を強固なものにしていく。
「プリンツ……もう……イキたい……イキたいよぉ」
ぼやけた思考の中、最後の力をふり絞った、か弱い声でのおねだりが浴室に反響する。
「自分からせがむなんて、よっぽど射精したいのね……でも残念。本番はここからよ指揮官……んっ、れろぉ……」
酒を飲み干す時のように大きく口を開けたプリンツは、目の前でひくひくと動く尻穴へと被さるように吸い付き、皴を伸ばすように舐めまわす。
同時に前腕を寄せて乳房の締まりを良くすると、快楽の逃げ場が無くなってしまう。
肉棒は極上の乳壺の中で、今にも白い欲望を漏らしそうである。
「ほら……んじゅるるる……こうしてデリケートな部分を舐められながら……ちゅぷちゅぷ……おっぱいでずりゅずりゅされるのは天国でしょう? このまま果てるまでしてあげるから、気にせず出しなさいな……ちゅるちゅる」
両耳にしたような舌遣いをそのままお尻で実行された指揮官は、極楽の二点攻めの前に「し、死ぬっ、きもちよすぎて死んじゃう」と狂ったように叫ぶことしか出来ない。
両乳によりこねられる肉棒からは卑猥な音が鳴り響き、それに対抗するように尻穴を虐める舌音も激しくなる。
────ぱちゅんぱちゅん、ぐりゅぐりゅ、ずっぷずっぷ、ぐぽぽっ。
淫猥の音色は僅かに残っていた理性をかき消し、指揮官の頭を真っ白に染め上げる。
間もなくまともに発射を告げられないまま、弾むように揺れ動く乳肉の中、降参の白濁汁がぶちまけられた。
「ふふふっ……白く粘ついた精液がびゅるびゅる、びゅるびゅる……まるでボディソープね。ビキニまで真っ白に染まるくらい大量よ……」
牛の乳搾り以上の勢いで噴射されたザーメンは、プリンツの乳房では受けきれずに下乳から零れ落ちていく。
射精の最中でも左右に揺すって、最後まで出し切るよう促すプリンツ。
その間、彼女の舌は尻の割れ目に抜き差しするように挿入されており、こちらに刺激を与えるのも怠らない。
太腿へと飛び散った精液が垂れて広がる様は、ドーナツをコーティングする白い砂糖を連想させた。
最後の一滴まで谷間に吐精し終えると、力を使い果たした指揮官はそのままプリンツの膝に尻餅を付いて倒れこむ。
「もう、足に力が入らない……」
背中をプリンツの乳房にもたれたまま、ようやく終わった搾精に安堵する指揮官。
だが────
「何を終わった気になって、身を預けてるのかしら。まだ一発目でしょう? ほら、ほらほらほら、まだ硬いままじゃない♡次は湯船に浸かりながらたっぷり可愛がってあげるから、覚悟して頂戴────ワンちゃん♡」
抱きしめられ、再び肉棒を手で扱かれながら、地獄の宣告を突き付けられる指揮官。
もう勘弁して下さい、という弱々しい叫びは当然聞き入られず、指揮官は足腰立たなくなるまで搾り取られる運命から逃れらなかった。
「本当、散々な目に合った……ちんこ取れたりしてない、よね?」
一連の行為を終え、床に就いた指揮官。
射精の負荷で未だに痛む睾丸を気にしながら、鉛のように重たい足を動かし、寝返りを打とうとするも────艦船の力でがっしりと腕に抱き着かれてるため、下手に体勢を変えることが出来ない。
隣で静かな寝息を立てているのは、案の定プリンツ・オイゲンである。
「流れで添い寝することになったけど、まさかへろへろの僕より先に落ちるとは……おかげでこっちは寝付けないという」
二の腕を包み込む幸せな温もりのせいで、先程までの淫靡な交わり(というよりは一方的な搾精)が脳裏を過り、中々落ち着けない指揮官である。ひどい倦怠感と眠気に身を任せようとしても、ざわつく胸がどうにもそれを阻害してしまう。
改めてプリンツの寝顔を見る。
獲物を刈り取るような嗜虐的な雰囲気は四散し、安らぎに満ちた様子で寝入っている。
(そういえば、こういう表情を見るのは初めてかも)
着任して直ぐからの付き合いである指揮官だが、当初は飾ったような笑顔が目立ち、からかうことはあっても決して深くは踏み込んで来ず、距離を保ったような付き合い方だったと記憶している。
しかし、誰かにちょっかいを出すというのは、構ってほしい心情の裏返しでもある。
本質的には寂しがり屋な部分もあるのかもしれない────そう思った指揮官は、努めて彼女の孤独に寄り添ってきたのだが、いつの間にか完全に火を付けてしまったらしい。
今回の搾精も、八割方自分が楽しんでたとはいえ、指揮官の趣向に併せようとした結果なのだろう。
「とはいえ……なんかやられてばかりだと沽券に関わるな」
そう言うと指揮官は眠るプリンツの前髪をそっと上げて、額に添えるような優しい口づけをした。
(我ながらヘタレすぎるだろ、これ……)
起こさないための配慮、などと言い訳を付けた、奥手な男のせめてものお返しだった。
「おやすみ、プリンツ」
気恥ずかしさから早々に目を閉じた指揮官は、彼女の口角が微かに上がったのを知る由もなかった。
マゾの僕は満足です……
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