「おい遠山」
「なんだ…あと俺はもう遠山じゃない」
「あたし的にはお前は遠山に変わりないんだよ。ていうか仕事の名義は遠山だろ」
「まあそうだな」
俺は遠山キンジから北条キンジになった。この時代には珍しく婿入りしたのだ。北条家の本筋はもう銀華しかいないからな。北条家を途絶えさせるわけにはいかない。
「で、なんだよ。カツェ」
目の前の椅子に座っているのはカツェ。元
そんな悪友(?)が言った言葉は…
「お前、
「ブゥゥゥゥ」
驚きで飲んでたお茶をむせるどころか吐きだしてしまう。
「汚ねぇ!お前自分の家汚すんじゃねえよ。あたしまで銀華に怒られるじゃねえか」
ちなみに銀華は小さい娘二人と散歩中。お忍びできたカツェは銀華がいない時に来てしまい、たまたま家にいた俺が接客してるわけだが、爆弾発言が飛び出して驚いた。
高校生の頃の俺なら『ヤる?何をだ?』とかなったかもしれんが、流石に妻子持ちの今、そこまで性知識がないわけではない。
「ちっ…!その調子じゃマジでヤったくせえな」
「いったい、何で…」
「変態」
「くっ…」
「ロリコン」
「…」
思ったより心に突き刺さる…哿様は頭に銃弾を撃たれたぐらいじゃ死なないが、精神的には結構くるもんがあるんだからな。もしかしたら、精神攻撃が一番効くのかもしれん。
「…というかなんでいきなりお前来たんだよ」
「話題変えんな。それがお前の
話題逸らし破れたり…
「まああたしが来た理由は後で話すから、まずは聞かせろよ。なんで紅華とヤったのか」
「…どうして分かった」
「そりゃ、お前らの2人目の子、亜金?だったけ。あの子を見たら一目瞭然だぜ」
ああ、そういやちょっと前にパトラと一緒に来た時、妙に2人で驚いてたな。なんで驚いてるかわからんかったが、亜金見て驚いてたのか。
「何が一目瞭然なんだよ」
「お前も…ああ、銀華もか…あの子の本当のすごさに気づいてないみたいだな」
「だからそれはなんだよ」
「
この世には超能力というものが嘘みたいだが本当に存在する。俺みたいな一般人にはわからないがカツェのような超能力者は超能力者がわかるという。
「それとなんでお前のさっきの発言に繋がるんだよ」
「お前は馬鹿か、紅華もG20越えだったが多分それ以上だぜ。G1ならともかくあんなGが高い子は普通じゃ産まれねえよ」
Gというのはグレード。この後に続く数字が大きければ大きいほど強い超能力者らしい。G20越えというのは世界で10人もいないと言われている。ちなみに最も低いレベルのG1は10人に1人ぐらいの割合で生まれるのだとか。
「遠山も銀華も超能力に関してはからっきしだしな。まあ…お前は頭撃っても死なないバケモンだけど」
「人をバケモン呼ばわりするな。そしてそれが…」
「そう。遠山と銀華の子供ならまずG20越えは産まれねえ。あってG1や2程度だ。だが、G20越えの紅華の子供なら話は別だ」
「紅華の超能力を引き継いだのが亜金ってお前は言いたいのか」
「そういうことだ」
やっぱり元テロリストは違うな。自爆テロならまだしも、何回もテロを引き起こすような奴らは知能指数が高いと武偵高で習った。史上屈指の悪辣な組織、ナチスドイツの残党だったカツェは例外にもれず切れ者だったんだな。その頭を使う場所を間違えている気がするが……
…さて、ここで何をいうのが正解なのか。
肯定したらロリコンや変態だと罵られ、否定するならば嘘つきと言われる。
いや…否定したら肯定するまでぐちぐち言われるだろうし、この場合だと先に肯定しといた方が楽だな。
「ああ、そうだよ。亜金は俺と紅華との子供だ」
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「今なんて言った……?」
仕事が終わり、銀華と机で向かい合う夜遅くのこと。肌を貫く絶対零度の声が俺に投げかけられる。母親となり落ち着いて、昔みたいにやんちゃしなくなった銀華だが、その声は元イ・ウーリーダーの娘ということを思い出させるような声だった。
「
言い方は丁寧だが、俺にはわかる。今の銀華はベルセ一歩手前だ。ベルセの銀華はめちゃめちゃ怖い。仕事で犯罪者と戦うことが多い俺だが、自分の妻に対して足がすくむぐらい怖がってるってなんだよこれ…だが、ここで止まるわけにはいかない。
「今日の…その…
夜の行為とは説明不要のアレだ。昔の銀華なら、顔を真っ赤にしてその言葉に恥ずかしがったはずだが、何度も体を交えているしその言葉で羞恥を持つことはもうないらしい。
「なんで」
紅華は銀華のもう一つの姿。もう1人の自分と言っても過言ではない。理子みたいなコスプレとかではないし、リサのように半人外のような姿でもない。それなのになぜ銀華がベルセになりかけているのか?
それは…
「やっぱりキンジって……ロリコン?」
「違う!違う!違う!」
そう、紅華の姿は小学二年生なのだ。見た目は子供頭脳は大人。合法ロリといえばいいのだろうか?……って俺はそんなことを言いたいんじゃない。
「はぁ…この私にはもう飽きたのね…」
「そういうことじゃなくて…だな」
「……ねえキンジ。自分が他の人にどんな目で見られてるか知ってる?」
「え……?」
「ロリコン、ホモ、女装癖」
「おいおいおいおい」
ロリコンはまだ1000歩譲ってわかる。わかるのだが…
……後ろの二つはなんだよ!
ホモは銀華と結婚してる時点でどう考えてもおかしいし、女装癖は昔クロメーテルに良くなっていたが好きこのんでやっていたわけじゃない。
ひどい言いがかりだ。
「私の
「……いや、俺悪くなくね?」
カッコいい旦那様とか絶対からかってるだろお前。
「でもロリコンじゃなかったら紅華とヤりたいなんて言いません」
「いやお前が成人してるんだから紅華も成人してると同じだろ!まあ見た目はあれだが…」
「はあ…じゃあ急になんで
紅華も自分自身と変わらないということでベルセを抑え、銀華はテーブルに頰に手を当て片腕をつき冷静に問いかけてきた。
「美銀が産まれてからお前一度も紅華になってないだろ?」
「そうだね」
「まあどうせ『美銀にはあの姿見せれない』とか『結婚したのは紅華ではなく銀華だから』とか思ってるんだろうけど」
ビクッ
銀華の身体が大きく振動したところを見るにどうやら図星らしい。俺はその隙にテーブルの対面の席から銀華の横の席に移動する。
「紅華も俺は愛したい。ダメかな?」
ヒス俺に学んだ話術で銀華を口説きにかかる。いや、口説いてるのは銀華じゃなく紅華なんだけど。
「本当に…」
「うん…?」
「本当に紅華でいいの…?紅華は
銀華が武偵としての仲間のイメージがあるとすると、紅華は敵のイメージがあるのは事実だ。というか、紅華とはほぼ敵同士だった。
「まあ、あの頃はお互い色々やんちゃしてた時期だし、ノーカンで。若気の至りっていうやつだな」
若い時はマジで色々あったしな。色金関係はもちろん父さん関係やN関係、細かいところでいうと饅頭を作ったりもした。
「でもあのときがあるから今の俺たちがある。紅華も銀華であることは間違いないだろ?俺は銀華の全てを愛したい。ダメかな?」
銀華は言葉を発することはなかったが俺のお願いには答えた。顔を真っ赤にして頷くという久しぶりに見る初々しい反応で。
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「………で、お前らはハッスルして亜金が産まれたと」
「おい、言い方言い方」
まあ、あの時は2番目に激しかったかもしれない。紅華の小さな身体に精を注ぎまくった。ちなみに1番は初めて交わった時だ。
「かー、お熱いことでね。あたしは一人寂しく暮らしてるっていうのによ」
嘘である。
カツェは使い魔にした男性と仲良く暮らしてるらしいと銀華が言っていた。
まあ突っ込むのも野暮だしここはスルーしておくか。
「ただいま〜、あれカツェじゃん」
そんな下賤な話をしていたら、銀華と娘二人が帰ってきた。
「銀華おかえり」
「あ、カツェ
「美銀〜!覚えててくれたんだなぁ!」
カツェは美銀と亜金のところに超特急で向かい顔をデレデレさせている。カツェ20歳前半ではあるが美銀に自分のことを『お姉さん』と呼ばせてることについてはドン引きだけどな…
「カツェは美銀のことが大好きだからよくうちに遊びに来るんだよ。キンジはあんまり家にいないから知らないと思うけど」
それで急に現れたのかカツェは。
「カツェお姉さん遊ぼ〜」
「遊ぶ遊ぶ〜」
「こっち来て〜」
「来る来る〜」
脳まで退化してんじゃねえかカツェ。厄災の魔女と恐れられているやつとは思えんぞマジで。
「美銀は結構人誑しね」
「誰に似たんだか」
「ほんとね」
俺と銀華はお互いに見つめあってクスリと笑いあった後、視線をカツェと美銀、そして最近拙いながらも二本足で歩けるようになった亜金の3人に戻す。
そんな休日の一コマ。
これが俺の望んでた『平和』なんだろうな。
不可能を可能にする『
生命を操作する世界最高ランクの魔女『
元ナチスドイツの残党『厄水の魔女』
メンツは全く平和じゃないがな…
外伝は一応これで終わりです。気が向いたらまた書くかも。