※この作品はR-18です。

まっしろレポートとふたつの炎『裏面』   作:アリィ

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本編[Report6-0]の直後のお話です。

【CP】メルティ×ファルナ
【R-18度】★☆☆☆☆


Report6-A [宿泊部屋の小事件]★

クチバシティに到着したスゥ達は

例によって、まず第一に寝床を確保するため

ポケモンセンターの宿泊施設を押さえていた。

 

しかし、例によらない事が多々あった。

 

…とにかく人が多い。

ハナダシティでも、マサラタウン出身であるスゥにとっては

随分な賑わいに感じていたが、クチバシティはその比ではない。

 

ポケモンセンターのロビーは

ポケモンの治療を待つ列、パソコンルームの予約を待つ列、

そして宿泊施設の予約を待つ列…と、

どこもかしこも列、列、列。

かなりの待ち時間を要するものだった。

 

列に並ぶこと、約一時間。

ようやくスゥ達は宿泊部屋を借りることができた。

 

 

「うわっ、狭い!!」

 

 

部屋に入るなり、開口一番。

 

スゥは今までの街で利用した部屋と比べて

比べ物にならない程狭いことに、思わず声を上げた。

 

 

「んにぃぃぃ、ベッドもちっちゃいよ!」

 

「こんな狭い所で我に寝ろと言うか!!」

 

お子様組のピコとベルノは二人して

頬を膨らませながら、ベッドの上で飛び跳ねている。

 

「こら、二人とも!

 ベッドで暴れるな!!

 …やれやれ、ホントに『2部屋』借りて正解だったなあ。」

 

そう言いながら、スゥは荷物を置き

椅子に腰かけ、一息つきながらクチバシティのタウンマップを流し読みしている。

 

スゥが『2部屋』押さえたのは、

受付から強くオススメされた為だ。

 

トレーナーの多くは、ポケモン達を皆モンスターボールに格納し、

実質一人で寝泊まりする。

 

特にヤマブキシティ周辺の都会では、どうしても

宿泊人数が多く、一部屋が狭くなる傾向があるため

そのスタイルが普通だ。

 

さらに、これまでの地方都市とは違い、

宿泊部屋は無料ではない。

一部屋あたりで料金を支払う必要がある。

 

スゥは、それを承知しながらも

やはり『ボールに入れたまま』という事に抵抗があり

男女それぞれの部屋を借りる事にした。

 

「ねぇねぇスゥにぃ!

 ファルねぇ達は隣の部屋なんでしょ?

 早く呼んで出かけようよ!」

 

「そうじゃ!

 早く『フナ』を見に行くぞい!!」

 

スゥに叱られた事を気にも止めず、

相変わらずベッドの上を飛び跳ねながら

ピコとベルノが催促する。

 

「ああもう、二人とも本当に言う事聞かないな…!

 まあ、そろそろ向こうも落ち着いた頃かな?

 それじゃあ呼んでくるから、少し待っててね。」

 

そう言ってスゥは部屋の鍵を開け、

隣の部屋に向かった。

 

 

___________________________

 

時は少し遡り、ファルナとメルティの部屋にて。

 

「わー…今までの部屋とだいぶ違うね。」

 

「ちょっと狭いですねえ…。

 でも、今までで一番綺麗な部屋です!」

 

「ほんとに!

 机とかベッドとか、ピカピカだもんね!

 やっぱりスゥの言ってた『とかい』だからなのかな…?」

 

ファルナとメルティは、あまり部屋の狭さについては

気にならない様子。

それよりも、家具の装飾が凝っているのを

興味深そうに見回っていた。

 

ひとしきり見回り、満足した二人は

ベッドに並んで腰かける。

 

「ふふ、思ってみたら初めてですね!

 ファルナちゃんと二人きりで居るのって。」

 

交じり気の無い笑顔でメルティが言う。

 

「ねっ!

 寝る前もたくさんお話しよ!

 えへへ、楽しみ~!」

 

メルティに釣られるように、ファルナも笑顔を向ける。

 

「はい!

 あ、そうだファルナちゃん。

 今日はどうしますか?

 ベルノくんのあの様子なら、今日は多分

 『お休み』の日だと思いますけど。」

 

「えぅ…?

 どうする、って…何を?」

 

キョトンとするファルナ。

メルティが尋ねている事が分かっていない様子。

 

そんなファルナに、メルティは指を口元に当てて

笑いながら答える。

 

「ふふ、決まってるじゃないですか!

 せっかくのお休みなんだから、

 スゥくんに買ってもらった服、一緒に着ましょうよ!」

 

彼女の答えに、ファルナは少し顔を赤くして言う。

 

「…ぅ、うん…いいよ!

 バトルがある日は着れないもんね!

 メルちゃんはあの服、気に入ってるの?」

 

「私は気に入ってますよ!

 一人で着るのは相変わらず恥ずかしいですけど…

 だけど、もっと色んな服を着てみたいな~って思ってます。

 ファルナちゃんはあまり気に入ってないんですか?」

 

歯切れがイマイチ良くないファルナの反応に、

メルティが問いかける。

 

「べ、別に気に入ってないワケじゃないんだけど…

 やっぱり、まだ慣れないなあ…って。」

 

「ああ、胸元が開いてるから…ですか。

 もったいないなぁ…お風呂でも思ったけど

 私には羨ましい位大きいのに。

 アクアちゃんもカスミさんも結構大きかったし…

 …むぅ、贅沢な悩みですね。」

 

そう言いながら、メルティは自分の胸に

ペタペタと手を当てながら、口を尖らせている。

 

"そんな事を言われても…"と、ファルナが言いかけた直前。

メルティは目を光らせて、ファルナに飛びかかる。

 

「えいっ!!」

 

「わぷっ、な、何!?

 どうしたのメルちゃん?」

 

ファルナはベッドに押し倒され、

メルティの妖しげな目を見ながら問う。

 

目を白黒させているファルナ。

彼女が特に抵抗しないのをいいことに、メルティは

ファルナの上着の裾に手をやり…

 

「そんなもったいない事を言う人は…

 こうです!!」

 

…と、勢いよくファルナの上着を一気に捲りあげた。

 

「へっ…?

 きゃあっ!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

ぷるんっ!

と、まだ幼さが残る顔の割には

随分な大きさの胸が露わになった。

 

あまりの事にファルナは一瞬頭が真っ白になったが、

上を素っ裸にされた今の状況を理解して

とっさに胸を隠した。

 

「が、がうううっ!!!

 何してるのメルちゃん!!」

 

顔を真っ赤にして吠えるファルナ。

メルティはその反応を期待してたという風に、

怯むことなく笑っている。

 

「ふふふふっ!

 良いじゃないですか、女の子同士ですし♪

 はあ~…やっぱり大きいなぁ…

 本当に羨ましいです。」

 

「がううぅぅぅ…!!」

 

さすがにこれは仕返ししなくては…と、

ファルナは眉を吊り上げ、

メルティに押し倒されたままの姿勢で

彼女の前に腕を構えた。

 

メルティは初めてファルナから威嚇され、

悪戯にしてはちょっとやり過ぎたか、と焦り始めた。

 

そしてファルナは爪を鋭く尖らせる。

 

「あ、あはは…ファルナちゃん…

 さすがに『引っ掻く』のは…」

 

「はあっ!!」

 

「っ!!

 …きゃああっ!?」

 

 

ビリィッ!!

と、ファルナは問答無用の『引っ掻く』を繰り出し

メルティの服を切り裂いた。

 

服は胸元から大きく縦に引き裂かれ、

白く艶のある肌と、控えめな胸が露出した。

 

当然、メルティも顔を真っ赤に染め、

慌てて露出した部分を手で覆う。

 

「う、うぅ…酷いです…ファルナちゃん!」

 

「ふーんだ!

 これでも手加減したんだよ!

 それに、服は元に戻るから大丈夫でしょ!?」

 

「大丈夫じゃないです!

 うぅ…小さいから見られたくないのに…!」

 

「ぁぅ…そ、それはゴメンだけど…

 でも元はと言えばメルちゃんが~!」

 

涙目になって手で上半身を隠してあっている二人。

 

僅かな間、真っ赤な顔でうなり合っていたが、

改めてお互いの置かれた状況を冷静に見合うと…

 

「ぷっ…!」

 

「ふふふ…!」

 

おかしくて思わず笑いがこみ上げてきた。

 

「あはははっ!!

 もー、何やってるんだろうね?私たち。

 こんな格好になっちゃって、あははは!」

 

「本当ですよ!ふふふっ!

 浮かれすぎちゃいましたね。

 ごめんなさい、ファルナちゃん。

 悪ふざけし過ぎちゃいました。」

 

「ううん。

 私の方もごめんね、服を破っちゃって…

 恥ずかしいし、早く着替えようよ!」

 

じゃれ合いにしては、珍しく過激になったファルナとメルティ。

仲が良くなり、遠慮が無くなったのだろうな、と

お互いに嬉しい気持ちになりながらも、少々やり過ぎた事を謝った。

 

 

…その時だった。

 

 

コンコン。

 

「ファルナー、メルティー。

 ちょっといいかい?」

 

ノックの音と共に、ドアの外からスゥの声が聞こえる。

ファルナとメルティは、それが聞こえた瞬間

髪が逆立ち、『ひゃわっ』だとか『ぴゃぃっ』だとか、

言語にし難い声を発していた。

 

 

今の状況をスゥに見られるのは非常にマズい!

…と、数秒の間はパニックで、それしか考えられなかった二人。

 

「はわっ、わっ、ちょっ…!!」

 

「ちょ、ちょっ…!」

 

ファルナもメルティも、『ちょっと待って!』と、

口から発したい言葉は決まっているのに

頭と舌が空回りし、なかなか声に出せずにいた。

 

 

一方スゥの方は、部屋の中から返事が来ない事を不思議に思っていた。

 

「あれ…?

 居ない…って事は無いよな…。」

 

そう呟いて、彼はドアノブに手をかけ

半周ひねって軽く押してみると、開きそうな手応えを感じる。

 

「あれ、開いてる?

 不用心だなあ…女の子なのに。

 後で言っておかないと。」

 

開きそうなことは分かったが、流石に女性の部屋に

勝手に立ち入るのはダメだろう、と思いとどまる。

 

 

しかし、部屋の中にいる二人にとっては

一瞬でも『ガチャリ』とドアが開きかかっただけで

心臓が飛び出そうな程に驚かされた。

 

「ひぅっ!?

 か、鍵かかってないんですか!?

 ファルナちゃん!

 私、ドアを押さえてきます!!」

 

「あああ、鍵かけ忘れてた―!

 待ってメルちゃん!

 私も押さえるよ!!」

 

…ただドアに向かって『入ってくるな』とだけ言えば済む物を、

まともな思考が出来ていない二人は

何故か『力技』でこの場を乗り切ろうとするが…

 

 

「ちょ、ファルナちゃん動いちゃ…

 きゃあっ!!」

 

「わ、わーっ!」

 

 

ドタンバタン!!

…と、二人とも体をぶつけ

脚や腕が絡まり合った、表現し難い姿勢でベッドから転げ落ち…

 

『きゅぅ…』

 

…と、そのまま目を回してしまった。

 

 

「な、なんだ!?

 二人とも大丈夫か!?」

 

ドアの外で大人しく待っていたスゥだったが、

何かが転がり落ちる激しい音と、さらに二人の悲鳴が聞こえ、

『これは只事では無い!』と感じ、とっさにドアを開けてしまった。

 

そして部屋の中に入った彼が見た物は、最早言うまでもない。

 

 

「おい、二人ともしっかり…!

 ……

 …

 ええ…なんだこれ…」

 

あられもない恰好で、もつれ合って気絶しているファルナとメルティ。

二人とも思いっきり服が乱れている…というよりも、脱げている。

メルティに至っては、何故だか分からないが、服がビリビリに破られている。

当然、本来隠すべき部分まで見えてしまっている。

 

スゥにとっては、あまりに刺激が強い光景。

彼は少しの間思考が停止し、その場で立ち尽くしていた。

 

しかし、気を持ち直して再び考えを巡らせる。

 

『女の子同士のスキンシップ…にしては、やり過ぎじゃない?』とか、

『もう少し見てるくらい、バチは当たらないかな…?』と、不埒な考えが混じりながらも

『今ここで二人が目覚めたら、自分の命は無い』と、冷静に思う。

 

この状況で、自分が取れる最適な行動。

彼の中で、結論は決まった。

 

 

「……よし、見なかった事にしよう。

 『火炎放射』と『炎の渦』で消し炭にされたくないし…」

 

 

三十六計、逃げるに如かず。

彼は物音を立てないように、忍び足で部屋を後にした。

 

 

__________________________

 

スゥがファルナ達を迎えに、部屋を出てから10分ほど。

ピコとベルノは、主人が中々戻ってこない事を不思議に思っていた。

 

「んに”っ!!

 スゥにぃ、まだ戻ってこないよ!

 さすがに遅いんじゃないの~?」

 

「そうじゃ!!

 家来の分際で主を待たせるとは、言語道断なのじゃ!」

 

プスプス!と頭から湯気を出して

苛立ちを露わにする二人。

 

「もう待っとれん!!

 行くぞ家来!」

 

「だから家来じゃなくて『ピコ』って呼んでよベルノ!」

 

「ふむ、考えておいてやるわ!

 それよりも、この部屋から脱出じゃ~!!」

 

「脱出だ~!!

 えーっと、ファルねぇ達は隣の部屋…っと!」

 

一刻も早く外に出かけたいと思い、

部屋の外に出るなり彼らが見たもの。

 

それは、ファルナ達が居るはずの部屋のドアに

腕を組んで寄っかかっているスゥの姿。

 

「…スゥにぃ、何やってんの?」

 

「なんじゃ、悪い物でも食ったか?」

 

ピコ達は、スゥが何を思ってこんな事をしているのか

本当に見当が付かない様子。

 

「ああ、ゴメンなピコ、ベルノ。

 その…動くに動けない状況というか、何と言うか…」

 

 

この状況を、ピコ達にどう説明して良い物か…と

スゥは頭を悩ます。

 

まず、彼がファルナ達の部屋の前で佇んでいる理由。

それは、誰かが部屋に入るのを阻止する為だ。

 

何せ、部屋の中の二人は『ほぼ素っ裸』で気絶している。

そんな部屋を、鍵もかけずに放置出来るわけがない。

 

そこで仕方なく、彼女らが自然に目覚めて出てくるのを

ドアの前で待っていたのだ。

 

しかし、これをピコとベルノに説明する訳にもいかず

何とかはぐらかす言葉を考えている。

 

説明に困っているスゥを見て、

ピコとベルノはせっつく。

 

「ねぇ、スゥにぃ!

 ファルねぇ達を誘ったの?」

 

「我は早く船を見たいのじゃ!」

 

そんな風に二人が、ギャアギャアと喚いていると…

 

 

 

ガチャ…と、部屋のドアが開いた。

 

 

 

「あ、あれ!?」

 

「み、みんなお揃いで…」

 

ドアから顔を出したファルナとメルティが、

部屋のすぐ外にいるスゥ達を見かけて驚いた。

 

どうやら早々に気絶から回復して

たった今、着替え終わったようだ。

 

 

スゥはピコ達を誤魔化す手間が省けたと思い、

少しホッとしながらファルナ達に声をかける。

 

「あ、二人とも。やっと出てきた。

 何度かノックしたんだけど、

 返事が無かったから心配したよ。」

 

…と、彼女らに不自然に思われない反応を演じた。

 

対してファルナ達は、自分達の部屋の中での失態を思い出し、

顔を赤くしながら小声で答える。

 

 

「ぁ…う、うん。

 ごめんね、ちょ、ちょっと眠たくて…」

 

「そ、そうなんです。

 ついウトウトと寝ちゃってました、あははは…」

 

 

その答えがウソである事は、スゥのみぞ知る。

当然、自分がファルナ達の部屋に立ち入った事がバレないよう、

追及しなかったが。

 

ピコとベルノは、ファルナとメルティの返事に、心配しながら尋ねる。

 

「んに…ファルねぇ、メルねぇ、大丈夫?

 昨日スターミーと戦った疲れが残ってるの?」

 

「ぬぬ…それは悩ましい。

 我は『最強』ゆえ、疲れなど毛程も感じておらんが

 家来が疲弊しているとなると、船を見るのは

 休んでからの方が良いか…?」

 

割と本気で体調を心配してくれるピコ達に、

ファルナ達は申し訳なく思いつつ、笑顔で答える。

 

「だ、大丈夫だよ二人とも!

 ほら、こんなに元気!」

 

「ええ!私だって、少し仮眠して元気になりました!

 ほらほら、お外に行きましょ!」

 

…とりあえず、ぎこちないながらも

場の意見が纏まった所で、スゥは皆をクチバの街へと連れ出すことにした。

 

 

「よーし、みんな出かける準備が出来てるみたいだね!

 それじゃあ早速『船』を見に行こうか!!」

 

『おーっ!!』

 

 

 

 

「…それにしても、本当に何してたんだろう。

 あ~~気になる…!」

 

…ただでさえ健全な思春期の少年。

それが旅に出てからというもの、

『処理』など一度も出来るタイミングが無かった所に

このハプニング。

 

スゥはこの一日、部屋での光景と邪念が頭から離れず

悶々とする羽目になった。

_____________________________________

 

 

 




まずは裏面1話目という事で、かなりソフトな内容です。
(まだ書くのに恥ずかしさが…)
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