やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。with 貞操逆転世界 作:神納 一哉
今日は退院日である。事故から三週間がたった日曜日の朝だ。俺は朝食の後、片づけを手伝いに来てくれた母ちゃんと病室で話していた。雪乃は退院の手続きをしに受付へ行っている。
「じゃあ、明日から
「ああ。そろそろ出席日数がヤバいだろう?幸い勉強の方は
「入院期間は傷病扱いになるから少しは優遇されるわよ。テストで赤点さえ取らなければ大丈夫よ」
その辺は
「で、八幡。あんたの候補も同じクラスに居るんだっけ?」
「ああ。結衣と優美子も同じクラスらしい」
入院中に何度かお見舞いに来てくれた候補たちを名前で呼ぶのにも慣れてきた。年上の
「それで雪乃ちゃんがあんたをサポートする部活を立ち上げて、あんたとその二人も部員になるのよね?」
「ん。まあそういうこと」
「まあ頑張んなさい。それよりもあんた、新しい家に入る前に覚悟決めておきなさい」
「何の覚悟だよ?」
「セレブ入りの覚悟。まあSSランクだからほっといてもセレブ入りは確実なんだけど」
「は?」
「あんたの新居、高級マンションのペントハウスだから。
「そりゃすげえな」
ペントハウスってことは、前の世界の
「今のところあんた自身の収入は
「お義母様、八幡には
母ちゃんのありがたいアドバイスに対して、戻ってきた雪乃が対応した。保険証とかの名義を雪ノ下に変えるついでに、俺の銀行口座とかも作ってくれたんだよね。通帳と印鑑は雪乃に預けてあるけど、そのときに
「えっ、
「もちろんです。私が妊娠しないと八幡自身がランクの恩恵を受けられませんし、その、私たちも
なるほど。雪乃は結婚指輪が欲しいのか。まあ変な
「なあ雪乃。結婚指輪って、どこで買えばいいんだ?」
「雪ノ下家で懇意にしている
「今日この後、
「嬉しいわ。八幡。姉さんなら
守りたい、その笑顔。
「
そんなことを言っている母ちゃんの左手の薬指にも結婚指輪が嵌っているわけで、うちの親父も母ちゃんにとってはいい男なんだろう。
「指輪は結婚した人に渡すってことで、今は俺と雪乃と陽乃さんだけでいいだろ?お揃いで
「可能だと思うわ」
「表側に雪ノ下家の家紋を入れて、嫁たちの指輪の内側に俺の名前を彫るってのはどうだ?…本当は俺の指輪にも嫁の名前を入れたいけれど、全員分入れるのは無理だよな」
「ふふ。
俺の指輪には嫁の名前の
アルファベットは最大26文字でも名前に使われない文字もあるし、結衣と優美子の名前のアルファベットは雪乃と同じだから追加で彫る必要はない。
「とりあえず下には車椅子で行きましょうか。松葉杖は車椅子に立てれるようになっているからいいとして、荷物はスーツケースに全部入っているのかしら?」
「本類は昨日、陽乃さんが持って行ってくれたから大丈夫だ」
「お義母様。すみませんがスーツケースを車まで持って行っていただいてもよろしいでしょうか?」
「もとからそのつもりよ。雪乃ちゃん固い固い。義理とはいえ親子なんだから、もう少し砕けた感じで話して欲しいかな」
「な、なるべく善処します」
「母ちゃん。あまり無茶振りするなよ。人は急には変われないんだからさ」
「これは無茶振りじゃなくてスキンシップよ。こうやって雪乃ちゃんの人となりを確認しているんだから余計な口挟まないの。馬鹿八幡」
「へいへい。悪うございましたよっと」
母ちゃんに悪態をつきながら俺はベッドサイドに立ち上がる。とはいえ左足はギブスで固定されているため、なるべく体重をかけないよう注意しなければいけないが。
松葉杖を手に取ろうとしたら雪乃がそれを制して背中側に車椅子を持ってきてくれた。礼を言ってから車椅子にゆっくりと腰を下ろす。車椅子はそのまま雪乃が押してくれるようだ。
「一週間で少しは松葉杖にも慣れたつもりだけど、車椅子の快適さには適わないな」
「あら。なら家でも車椅子をご希望かしら?」
「いや、駄目になりそうだからいい。それに夜も主導権を握り辛くなるからな」
「そ、それは困るわね」
「雪乃は攻められる方が好きだもんな」
「それは否定できないけれど、お義母様の前で言わなくてもいいじゃないの」
「雪乃ちゃん、私は八幡がSSランクって聞いたときから、攻める男だってわかってるから気にしなくていいのよ。それよりも、攻められる方がいいってどういうことなのかしら?」
「その、八幡がイくまでに、私の方は何度もイけるんです。それに八幡が
「八幡がテクニシャンなのはよくわかった。夫婦仲がよろしいようでなにより、はい、その話はここまで」
母ちゃんが強引に話をぶった切った。雪乃の声に段々と艶めかしさが混ざり始めてきたので、母ちゃんの判断は正しかったと言えるだろう。雪乃も朝から発情しないように。まあ俺がからかったのが悪いんだけど。
退院まで残り一週間となった日、足を吊る器具を外されたので身体をそこそこ自由に動かせるようになった。何よりもズボンやパンツが脱げるようになったのが大きかった。大き目のビニール袋でギブスを覆えば浴室で体を洗うことができるようになったし、松葉杖を使えば一人だけで移動もできるようになった。
入院一週間目で雪乃に生理が始まったので、それから一週間は禁欲生活をしていたのだが、足を吊る器具を外された日とセックス解禁日が重なったことにより、その日初めて俺主導のセックスをしたのである。溜まっていたのもあるが、四回ほど
「あなた、規格外すぎるのよ」
ぽしょりとつぶやく雪乃はとても可愛いのであった。