やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。with 貞操逆転世界 作:神納 一哉
× × ×
入浴を済ませ、遅めの夕食をいただいてから、リビングで母さんと姉さんと私の三人で話をする。(注:八幡が夕食をとっているとき、雪乃は食事をせずお茶を飲んでいた)
「比企谷さんのご家庭では、今までAランク以上の男性がいたことがないから重婚に否定的なのではないかしら?」
「どういうこと?」
「Aランク以上の男性には重婚が認められているでしょう。逆に言えばBランク以下の男性は重婚が認められていないから、一夫一妻が普通と考える家庭に育ったのではないかと考えたのだけれど」
正解はランク制のない一夫一妻が普通の世界で育ったのだからなのだけれど、余計なことは言わないでおこう。八幡と私の二人だけの秘密だもの。
「まあ家は名家だからねえ。そういったお
「姉さん、お誘いって?」
「そのままの意味だよ。Aランクを擁している家からのお見合いの申し込み。
「陽乃、聞いてませんよ」
「うん。言ってないからね。お母さんの手を煩わせることでもないし」
「
「あー、言い方が悪かったわね。私のことを気に入っている教授が持ち込んでくるのよ。『私の親戚とお見合いしてみない?』みたいな感じで」
「大学にも釘を刺してあるのよ。早速抗議を入れておくわ。『娘にはSランクの夫がいるからちょっかいかけないでください』ってね。貴女も明日からはそう言って断りなさい」
「了解。SSランクじゃなくて?」
「対外的にはSランクにしておいた方が都合がいいのよ。雪乃も対外的にはそうしておいた方がいいと八幡さんに話しておきなさい」
「わかったわ。八幡のご家族にも話しておいた方がいいかしら?」
「そうね。念のため話しておいた方がいいと思うわ。まあ八幡さんに従姉妹なんかが居れば嫁に加わる可能性は高いでしょうけどね」
「
「そうね。私もお父さんも一人っ子だから従姉妹は居ないわね」
「比企谷家もそうならいいねえ」
「八幡さん次第ではあるのだけれども、早めに陽乃も抱いてもらって、八幡さんにはお手付きに慣れてもらわないと」
「……とりあえず、姉さんは私に生理が来た日に八幡に紹介する感じでいこうと思うのだけれど。周期的に今週には来ると思う」
「私は先週終わったばかりだから大丈夫」
「あら、それじゃあ妊娠は陽乃が先かもしれないわね。排卵期にぴったりじゃない。陽乃は明日にでも婚姻届を書いておきなさい。比企谷さんには葉山さんに持っていってもらうわ」
そんな母さんの言葉を聞いて、なんとなく嫌な気分になった。これが独占欲ってやつかしらね。
× × ×
病院のベッドの上で目を覚まし、トイレ、洗顔、歯磨き、朝食を済ませて一息ついていると、母ちゃんがスーツケースを引いて部屋に入ってきた。
「おはよう八幡。着替えと、雪乃ちゃんに言われたから筆記用具と携帯の充電器を持ってきた」
「おはよう母ちゃん。ありがとうな。充電器は助かるが筆記用具?」
「勉強のためでしょ。筆箱はあんたの部屋にあったやつを持ってきたし、ノートは新品のやつを10冊ほど昨日買っといた」
「ガチで教える気なんだな。流石は学年主席だけのことはある」
「学年主席!?あんたすごい子を嫁にしたね。ああ、あんたの部屋の荷物は新居の方が決まり次第、そっちに送っておくから」
「なんか実感がわかねえ」
「スピード婚だったからねえ。まああんたのランクを考えれば仕方ないんじゃない。あちらさんは名家だし、相思相愛だ。囲い込まれるのが普通だよ」
「名家ってのと俺のランクがどう関係してくるんだよ?」
「高ランクの男ってのは希少価値が高い。それが名家の名を冠するんだ。敵対勢力への牽制になるし、味方勢力には希望にもなる。厭らしい言い方をすると雪ノ下ブランドの子供が増やせる」
「いや、俺、雪乃だけでいいから!」
「それなら雪乃ちゃんに搾精してもらって、あんたの精子を精子バンクに登録してマッチングするだけでもいいかもしれないわね。人工授精のための搾精一回につき十万円の報奨金が出るし、受精した子供が生まれるたびに提供者として五百万円の報奨金が入るから悪い話じゃないのよ。でも、あんたのランクを考えると上の方からお願いされることがあるかもしれないけど」
なんかでかい金額が聞こえたような…。それよりもお偉いさんからのお願いって女を抱けってこと!?
「マジかぁ…。そういうのがないことを祈るしかないか」
「ってかあんた、SSランクなんだから、抱く側なのよね?」
「まあ、今は足がこれだから、上手くできないんだけどな。一応、突き上げるくらいはなんとかできたけど」
「え?あんた、雪乃ちゃんとヤったの?」
「………まあ、昨日は初夜だったからな」
「私の息子が絶倫だった」
いや、向こうの世界では普通なんだけど。
「まあ、雪乃ちゃんのプロポーズを聞いた時の八幡の顔を見て、八幡の気持ちを聞いて、結婚を認めたのは私だからとやかく言うつもりはないけど、来年の今頃には孫ができてそうだね」
「否定できないんだよなあ。今日もヤる予定入れられてるし」
「昨日搾精にセックスまでして、今日もできるの!?」
「まあ、求められれば吝かではない、けど」
「規格外すぎる。さすがSSランク。旦那なんて一回抱けば一週間は不能なんだけど」
「親の性事情を聞かされたくはなかった」
「雪乃ちゃんも若いし、その調子でヤっていたらすぐ妊娠するかもしれないわね」
「そんなすぐデキるもんなの?」
「あんたの場合はだいたい半年くらいでデキたから、多く見積もっても30回のセックスでデキたわけよ。それを考えるとあんたたちは二人とも若いし、一発でデキてる可能性も十分にあるわね」
「しばらくはデキないで欲しいな」
「雪乃ちゃんは早くデキて欲しいって思っているでしょうね。多分あんたは雪乃ちゃんだけでいいって言ってるけど、雪乃ちゃんはそう考えていないんじゃないかしら」
「……お姉さんを第二夫人にって話はされてるけど、そういうものなの?」
「そういうものよ。雪乃ちゃんは正妻だからあんたの第一子を身籠りたいと思っているはずよ。あんたのハーレムでの地位を盤石にするためにね」
母ちゃんの口からハーレムを容認する言葉が出てきたことに戸惑っていると、見透かしたように話し始めた。
「今まで一般庶民だったから戸惑うのもわかるけど、あんたはハーレムの主になる資格を得たのだから、
「いや、その実感がなくてだな」
「まあそのうち慣れる、っていうか慣れさせられるわ。悪いようにはされないから、あんたは開き直ってハーレムに君臨しなさい。あんたがお手付きをすればするほど、雪ノ下も大きくなるんだから雪乃ちゃんも喜ぶわよ」
「ええぇ…」
「高ランクの男は多くの女を侍らせる、正妻はそれを束ねるってのがステータスなのよ」
「第二夫人以降も雪ノ下になるの?」
「正妻の雪乃ちゃんが雪ノ下雪乃、旦那のあんたが雪ノ下八幡、第二夫人のお姉さんの名前は?」
「雪ノ下陽乃さん」
「まあお姉さんも雪ノ下姓だから、第二夫人でも名前は変わらないけど正妻と同じ姓の女性を娶った場合、第二夫人以降は旦那の元の姓を名乗ることもできるの。この場合は比企谷陽乃さんね。これは家を残すための措置なんだけど、陽乃さんが選ぶのに任せなさい」
…あの人のことだから比企谷姓を名乗りそうだなあ。いや、多分名乗るだろう。
なんとなく憂鬱になる八幡であった。