やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。with 貞操逆転世界 作:神納 一哉
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昼食を食べ終わってまったりとしていたところに、葉山医師が病室に入ってきた。
「雪ノ下くん。調子はどうだい?」
「まあ普通です」
「それはなにより。ではとりあえずこれを渡しておきます」
そう言うと葉山医師は雪ノ下八幡名義の搾精カードと書かれたICカードを俺に手渡した。搾精カードにはランクと名前(雪ノ下八幡)が書かれていて、SSランクの文字の下には『CHIBA006228745.JP-SS00001』の番号が書かれていた。これってもしかしなくても日本で初めてのSSランクってことかね?
「雪ノ下くん、搾精カードについて説明します。今日の搾精は初回だったからランク測定のために使用したが、ランクが確定した後、Bランク以上の者は任意での搾精によって回収した精子は精子バンクに登録・保管することが義務付けられます。それをマッチングして受精し、無事子供が生まれたら提供者には報奨金が支払われます。雪ノ下くんの精子のマッチング先は基本的に国が決めますが、雪ノ下くんが提供してもいいという女性にも優先的に提供することができます。この搾精カードのデータは保険証や精子バンクにも連動しているので、保険証と一緒に所持しておいてください」
「財布と別にカードケースを用意した方が無難ですかね?」
「そうだね。診察券・保険証・搾精カードなんかの医療関係のを纏めておけるカードケースを用意するといいよ」
「纏めておいて落としたり、盗まれるとマズくありません?」
「まあ雪ノ下くん以外が使用しようとしても使用できないから大丈夫。搾精カードには雪ノ下くんの情報が書き込まれているから、なりすましは不可能なので」
「うーん、一抹の不安を覚えるから、
「ええ、構いませんよ。…はあ、雪ノ下家が羨ましい。将来が安泰じゃないか」
「はは。どうも」
葉山医師の言葉に愛想笑いを浮かべることしかできなかった。
「
…葉山医師=葉山隼人の父親ってことで確定。
ところで葉山の親父さん。そんなことを俺の前で愚痴ってもいいのか?まあ誰かにチクったりはしないけど。チクる相手もいないけどね。
「では本日はこれで。お大事に」
「はい。どうも」
心なしか肩を落として病室を出ていく葉山医師を見送ると、自然と大きなため息が零れるのであった。
× × ×
午後四時三十分頃、部屋の扉がノックされた。
「はい、どうぞ」
「こんにちは。八幡」
「いらっしゃい。雪乃」
「ええと、あなたに会いたいって人たちを連れてきているんだけど、入れてもいいかしら?」
「ああ、別に構わないけど」
「それじゃあ中に入ってください」
「邪魔するし」
「お、お、お邪魔します」
雪乃に促されて焦茶色のセミロングの女の子と黒髪のお団子頭の女の子が室内に入ってくる。セミロングの女の子がお団子頭の女の子を引っ張っている感じだ。
うん、髪の色は違うけどポジションは変わらないみたいだな。三浦と由比ヶ浜。
「ほら、結衣」
「あっ、うん。その、このたびは、サブレを助けてくれてありがとうございました」
「それじゃ通じないっしょ。えーと、説明させてもらうけど、昨日あんたが助けた犬の名前がサブレで、その飼い主がこの子、由比ヶ浜結衣。で、あーしは
「お、おう。わざわざすまないな。三浦と由比ヶ浜。その、サブレは元気か?」
「あっ、うん。おかげさまでサブレは元気だよー」
「首輪を新しくした方がいいぞ。金具が壊れてたっぽいからな」
「わ、わかった。新しくする」
「おう。そうしろ。三浦も、わざわざ付き合ってくれてありがとうな」
「……」
「三浦?」
俺の言葉に対しての返事がなかったのでもう一度声をかけたが、三浦はベッドサイドのテーブルの上にあるものを凝視して動かなかった。俺は三浦が見ているものを指さして口を開く。
「ああ、雪乃。葉山医師から
「あら、私が管理していいのかしら?」
「奥さんなんだからいいんじゃね?保険証も雪乃の管轄だろ?それと一緒に管理してくれ」
「わかったわ」
微笑んで搾精カードを手に取ると、雪乃はそれを大事そうに制服の胸ポケットに差し込んだ。
なんかすげえ嬉しそうなんだけど。正妻のステータスってもんかね。
「あ、あの!雪ノ下さん!」
「なにかしら?三浦さん」
「
「ええ。そうだけど?」
「あーし達も仲間に入れてください。結衣、あんたも頭下げな!早く!」
「えっ、どうしたの優美子?」
「いいから早く頭下げる!お願いします!!」
「う、うん。お願いします」
いきなり三浦と由比ヶ浜が雪乃に対して頭を下げた。なんなんだ一体?
「三浦さん、由比ヶ浜さん、とりあえず顔を上げて」
「「はい」」
「ではまず三浦さんから、あなたの気持ちを彼にもわかるように話してみて」
「ええと、結衣と話しているときの表情にキュンってきて、搾精カードを見てドキッとして、あーしに優しく声をかけてくれたのでとどめを刺された感じ。キュンキュンしすぎて返事できなかったのはゴメン。ランクを考えると重婚可能で、雪ノ下さんが正妻だと思ったので仲間に入れてもらえるようにお願いしました。ぶっちゃけ一目惚れです。よろしくお願いします」
「ちょっ、優美子、抜け駆けはずるい!重婚できるなら、あたし、由比ヶ浜結衣も、雪ノ下くんのお嫁さんになりたいです!サブレを助けてくれたのを見たときにビビッてきました!雪ノ下さんとも優美子とも仲良くやっていけると思います!よろしくお願いします!」
「二人とも、私の姉が第二夫人なのだけれど、大丈夫かしら?」
「「問題ありません」」
「ですって。八幡はどうかしら?三浦さんも由比ヶ浜さんも、いい
雪乃がそう言って微笑む。
「…いきなりすぎねえ?」
「私との出会いもこんな感じだったじゃない。重婚ならこういうのも珍しくないわよ」
「でもなあ。雪乃には惚れた弱みもあるけど、三浦と由比ヶ浜とは、いきなり結婚ってわけにはいかないんじゃないか?お互い良く知らないわけだし」
「とりあえず候補で構わないから、雪ノ下くん、あーしと付き合ってください」
「あたしも候補でいい。雪ノ下くん、お付き合いしてください」
そう言って頭を下げる二人を見る俺に近づいてきた雪乃は、俺の耳元に唇を寄せてぽしょりとつぶやく。
「由比ヶ浜さんのことは聞いているけど、三浦さんとはどんな関係だったのかしら?」
「三浦は同級生。
俺も頭を下げている二人には聞こえないように、雪乃の耳元で情報を伝える。
「なるほど。二人とも候補でいいって言っているから、とりあえず今日は連絡先を交換して帰らせて、後で今後のことを話しましょう。では、話を付けてくるから八幡は喋らないで待っていてね」
「了解」
俺との内緒話を終えると、雪乃はポケットから携帯を取り出して二人へと近づいていく。
「三浦さん、由比ヶ浜さん、二人共とりあえず候補とします。二人の連絡先を貰ってもいいかしら?」
「あっ。はい。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「今日は顔合わせみたいなものだからこのままでもいいけれど、親睦を深めていけたら嬉しいと思うわ。よろしくね」
「よろしくお願いします。あーしのことは優美子と呼んでもらえると嬉しいです」
「よろしくお願いします。あたしのことも結衣って呼んでください」
「わかったわ。では私のことも雪乃と呼んで頂戴。ついでに言っておくと姉の名前は陽乃、旦那様は八幡よ。旦那様の旧姓は比企谷で、義妹に中学二年生の小町さんがいるわ」
「雪乃さん、八幡くん、よろしくお願いします」
「えへへ。雪乃さん、八幡くん。よろしくね」
どうやら俺には候補ってのが二人できたようだ。嫁候補ってことかね?
雪乃だけでいいって言ってるのに、そうも言っていられないみたいだ。