「みんな、お疲れ様。なんとか最終的には予定通りに収まったよ」
「ふーん」
「そうですか」
「…」
「お、おつかれさまです」
みんな始祖様をじとーっとした目で見てるわね。
まあ、されたことを思えば当然なんだけど、一応、すごいえらい人だからね、その人。
「ありがとう、ルールーシー。君だけだよ僕を労ってくれるのは。……、いや、うん。ごめんなさい。ほとんど君達のおかげです。ありがとうございました」
「…はぁ、分かればいいのよ」
あれ、ハクレンが大人しい…。
何されたかは知らないけど、多分色んな男に抱かれたんだと思うんだけど。
彼女の性格からして、このまま済ませるはずがないと…あ。
「あ、あの、ハクレン?もしかして今回の件、旦那様に報告して始祖様に報復をって考えたりは…」
「…え。そ、それは困るっ!ちゃんとアフターフォローはしてるし、誰の口から漏れることもないからっ!」
「この契約って、実はかなりガバガバなのよねー。あの時は驚いて熱くなっちゃったから気付けずそのまま連れて行かれて変なことになっちゃったけど…。そもそも契約期間も定めてないし」
「あ、それは私も思ってました」
「そうですね。もしかしてずっとこのままなんじゃ…って絶望しかけたこともありました」
……き、気付かなかった。
確かに始祖様の決めた五箇条にも書いてないし、その前の契約前宣言でも言ってなかったわね…。
ぁぁぁ…、これ、気付いてないの私だけっぽい。
「い、いやいやいや、確かにその通りなんだけど、それは契約でガチガチに縛ってしまうのを防ぐためだったり、契約時に期間を定めちゃうと淫紋の場合は効果がかなり高くなってしまうからでっ…!」
「はいはい、分かったわよ。理由がちゃんとあったってことね」
「それだけじゃないんだよっ。本当に、君達の尽力が無ければ話はまとまらなかったし、どうしても受けてもらわないと動かせなかったことだから感謝してるんだ。本当に必要なことで…、それにこれから僕はしばらく後始末に回らなきゃならなかったりで…」
むぅ…。
感謝ね。
確かに始祖様の数年間の根回しをぶち壊しにしてしまった代償が今回の件だから、受けざるをえなかったとはいえ…。
やったことを思えば、感謝で済まされるのも…。
「分かったってば。私も途中までは絶対に殺す大陸ごと滅ぼしてやるって思ってたけど、まぁある程度納得はして受け入れてあげたから」
「お、思ってたんだ…。も、申し訳ない。謝ってすむ話じゃないかもしれないけど…。あ、あの…、ハクレン、力の封印すぐ解いちゃうからね」
あはは…。
やっぱりハクレンはハクレンね。
あれ、そういえば封印されてるはずなんだけど普段と受ける雰囲気が同じっぽい?
もしかして…。
「あら、気付いてなかったの?あんなの一ヶ月くらいでさっさと解いちゃったわよ。だからさっき言ったでしょ、ある程度納得して受け入れたって」
うわー、始祖様固まってる…。
そりゃそうよね、だってハクレンだもの。
もし受け入れる前だったら根回しどころか、本当に大陸が消滅してたでしょうし。
「あ、あは、あははは…。そ、そうかい。じゃあ、もう折角だしさっさとこの契約も終わらせちゃおうか…。ははは……、はぁ」
「あ、待って待って。納得はしてあげたし、謝罪も感謝も貰ったけど、それだけじゃなんだか軽くない?」
「え、えーっと、お金や芸術品ならその…」
「そんなの欲しがるわけないでしょ。そんな自分でも分かってるようなこと聞かないの。ま、しばらくはアナタ、私達の奴隷ね」
「……は?え、…えっと、どういう。えーっと、僕、まだ契約解除してないからこのまま…」
「コレ、多分お父様なら契約ごと噛み砕けるわよ?それに、村長ならクワですぱっとやれちゃいそうだし。そうなるとこの三ヶ月間のことも話さなきゃならないし。……どうする?」
うーわー。
ハクレンこわっ。
確かに旦那様ならすぱっとやっちゃいそう。
始祖様相手に恐ろしいこと言ってるけど、さっき感じたもやもやが綺麗さっぱり消えちゃってるわね。
ティアもリアも楽しそうに頷いてるし…。
始祖様ごめんなさい。
でもいい気味です、反省してください。
「……な、何をすれば?えっと、僕はこれでもコーリン教の宗主だから、結構忙しくて…。それに君達のアフターフォローも」
「聞くの?聞かないの?」
「聞きます」
おお、認めさせちゃった。
何させるのかな。
あ、そういえばさっき私達って言ってたから私も何か要求出来るかも。
「ん、いい返事ね。じゃあ、まずこの淫紋のことなんだけど、解除しなくていいわ。村長にはファッションとかおまじないって言っておくから」
「まず、ってことはいっぱいあるんだね…。え、いやいいのそれ?そのままだと男から誘われたら抱かれちゃうけど…」
「そこに関しては解釈違いで対応出来るわ。一条目の、アナタから紹介された男にって、アナタ自身が思い込んで限定しちゃえばいいのよ。それに、アナタこれから私達に男紹介するの?」
「いやいやいや、もうやらないよ。確かに、内容を広く設定してたから、解釈違いでいけそうだね。となると理由は…、そうか。妊娠率アップのためだね!」
「そう。村長は人、…人? …まあいいわ、私達とは種族が違うから、あれだけ回数を重ねても、やっぱり妊娠しにくいのよ。それが改善されるとなると、後はデメリットなんて全くないんだからこのままにするのも当然よね」
なるほど…。
確かにそれはとても大きいわね。
特にハイエルフの村にいるリアなんか、回数が私達より少ないから、妊娠率アップって聞いてすっごく喜んでるし…。
そっか。
このまま、ね…。
「次は……。えーっと、先に貴女達の要求からどうぞ」
「えっ、私達もいいんですか!?」
「うん…。もう覚悟を決めたよ……。どうせハクレンは何言ったところで聞かないし、村長の耳に入りでもしたら僕は破滅だし、何より君達への覚悟と献身への報酬と思えば、ね。リアからどうぞ」
「では、私は、始祖様がなるべく村に来て村長の助けになって欲しいです」
「リア…。分かった、約束するよ」
うわっ。
眩しい。
リアが眩しくて直視できない。
私はあんなこと考えていたっていうのに、リアは即座に村や村長のために…。
「ティア、ルールーシー、君達はなんだい?」
「あの…、私は……」
「そのー…」
ええい、女は度胸!
どうか気付かれませんようにっ!
「あとでまた塔まで送ってください」
「あとでまた工房まで連れてってください」
……え。
もしかしてティア、あなたも…?
「……えーっと、ルールーシー。工房っていうのはあの魔道具職人のだよね、ああ、もしかして何か忘れものでもしたのかい?ティアもだなんて、君達本当に仲が」
「はぁぁあああああ……」
ハクレン?
なにその大きなため息…。
ち、違うわよね?気付いてないわよね?
「貴女達ね、村長にはなんて説明するのよ? 浮気セックスにハマったからしばらく戻れないなんて言うの、私は嫌よ」
うわぁぁぁぁああっ。
気付かれちゃってる…!
始祖様も、フォローしてるけど、絶対分かってて聞いてたわよね…っ。
ああもう顔真っ赤。
ティアも下向いてるけど、同じように耳が真っ赤だし羽がぱたぱたしてる。
「流石に僕も同意見。それにルールーシー、君はあの魔道具職人が泣き喚きながらしがみついて縋ってきてたのを足蹴にして出てきたじゃないか」
そうなのよね。
始祖様が来る日の前に、子宮責めで陥落して帰らないって言っちゃったけど…。
代理契約者への命令だから言っただけで、代理契約が終わったら全く関係無いのよね。
気付かれなかったから、ラッキー、騙されたわね、ざまぁみなさい!って思ってたんだけど。
―――契約なんか関係ないっ!ルールーシーっ!ぼくのルールーシーっ!約束っ!ぼくとの約束だからっ!ご主人様と離れないって約束してっ!!またぼくの子を産みに来るって約束してっ!!!
別れ際のあれでキュンときちゃったというか…。
こんなに必死になって求めてくるくらい愛してくれてるんだとか…。
私と一緒にいるときの笑顔とか思い出がいっぱい溢れてきちゃって…。
なんというか、本当に絆されちゃってたのよね。
まったく。
しょうがないご主人様だこと。
「……はぁ。もう、しょうがない。原因は僕で、アフターフォローもするって言っちゃったからね。とりあえず、一度全員村に戻ってから、ルールーシーとティアは適当に何か理由をつけて連れ出してあげる。そのでっちあげた理由も、こっちでやっておいてあげるから、しばらく楽しんでくるといいよ」
「待って、もう折角だから私も言っちゃうわね。私の気が向いた時に、またあの店に連れて行きなさい。あの時と同じヤリ方でいいから」
ハクレン?
どういうこと、あの店って、あの時と同じやり方って…、え、まさか、そういうこと?
「あ、じゃあ私もそれでお願いします。たまにでいいので、王子に…、じゃなくって、城に送迎をお願いします」
う、うわー。
リアも?
えぇ、何これ。
じゃあもしかして全員ハマっちゃったってこと?
さっきの淫紋のくだりってなんだったの!?
全員、旦那様以外の男に抱かれるわけだから、デメリットだらけになるんだけど…。
ああこれ、言い出せない。
みんな顔真っ赤にしてるから全員、分かってて言ってる。
始祖様は反対に顔が青ざめてきてるわね。
これからの労力のことを考えたのかしら?
……まあ、仕方ないですよね。
こんな異常な体験させられたんだから、性癖がちょっと歪むことくらい当然のことです。
全員旦那様への愛は感じられるし、ちょっと変わった性癖を処理するためって考えれば…、うん。
最初はどうなるかと思ったけど、今は全員笑えてるし、結果オーライと言ってもいいんじゃないかしら。
それにしても、会いに行ったらどんな顔するかしらね、ご主人様。
……笑顔で泣きながら抱きついてくる以外想像できないわね。
多分そのままご主人様が倒れるまで耐久セックスだろうけど…、身体、持つかしら。
ああダメダメ。
ご主人様のこと考えると子宮が疼いて、淫紋で身体が熱くなっちゃう。
これから旦那様とアルフレート達に会うんだから、平常心、平常心。
よし。
「始祖様、これからも、よろしくお願いしますね」